沙漠研究
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33 巻, 2 号
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原著論文
  • ニザモヴ シェルゾッド, アジズ ヌルベコヴ, ムハマドジョン コシモヴ, ラジザ ガフロヴァ, ジュリアン ブランジェ, 渡邊 裕純
    2023 年 33 巻 2 号 p. 91-104
    発行日: 2023/09/30
    公開日: 2023/09/30
    ジャーナル フリー

    国連食糧農業機関によって開発されたAquaCropモデルは,さまざまな環境条件下で冬小麦を含む複数の作物のバイオマス蓄積,キャノピー カバーの生育,および穀物収量を正確に再現する,作物-水モデルである.しかし,乾燥または半乾燥気候下で冬小麦を使用してAquaCropを検証したいくつかの研究では,較正されたパラメーターの値が大きく異なることが報告されている.その結果,以前に検証されたこれらのデータセットのウズベキスタンでの適用性と転用可能性は,ほとんど不明のままである.ここでは,ウズベキスタン南部の寒い半乾燥気候の下で収集された2年間の圃場データを使用して,さまざまな灌漑管理下で冬小麦の成長をシミュレートするためにAquaCropを調整および検証した.

    AquaCropモデルを調整するための客観的な方法論を適用し,AquaCropガイドラインに厳密に従って,5つの入力パラメーターを調整した.較正されたパラメーターを使用して,AquaCropは2010-2011年のバイオマス蓄積(R2 > 0.91,RMSE ≤ 1.3,およびEF ≥ 0.80)とキャノピー カバーの成長(R2 > 0.89,RMSE ≤ 13.1,およびEF ≥ 0.82)を適切にシミュレートした.2年目(2011-2012年)には,バイオマスとキャノピー カバーのシミュレーションも適切であった(R2 > 0.90,RMSE ≤ 8.6,およびEF ≥ 0.91).灌漑管理が異なったにも関わらずAquaCropのシミュレーションに与える影響が見られなかった原因は,i)限られた数の灌漑イベント(2回だけ),およびii)水ストレス状態を防ぐための土壌水分の補充に起因する可能性がある.両方の生育期において,シミュレートされた穀粒収量は,冬小麦が成長段階で低温ストレスを受けるため,実験圃場から得られた測定値よりも一貫して低かった.

    圃場実験とAquaCropシミュレーションの結果はどちらも,この半乾燥地域で水資源を節水しながら十分な穀物収量を維持する手段として,冬小麦による節水式畝間灌漑の実施を支持している.

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