沙漠研究
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30 巻 , 3 号
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小特集
  • 石川 祐一
    2020 年 30 巻 3 号 p. 19-26
    発行日: 2020/12/25
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    沙漠学会が設立されて30年の記念すべき令和元年に,改めて沙漠化対処を考える講演会を企画した.その基調講演として1)沙漠化の定義,2)砂漠化対処条約の概要と現状,そして3)沙漠化の現状について総説を行った.1)沙漠化の定義は1992年ブラジル・リオデジャネイロの国連環境開発会議アジェンダ21憲章でまとめられ砂漠化対処条約でもそのまま用いられている.気候的要因と人為的要因を基に生じた沙漠化プロセスの積み重ねによって各生態系の生産性や複雑系が低下した結果,沙漠化が生じるとされている,そのため,侵食などの沙漠化プロセスは直接的な結果であるとともに沙漠化の要因ともいえる.2)1996年に発効した砂漠化対処条約の概要と組織,締結国会議の履歴について紹介した.最近の条約の動きとして国連の持続可能な開発目標(SDGs)を踏まえて,土地劣化の中立性(LDN)および持続的土地管理(SLM)という二つの大きな概念の導入と世界土地概況の発行が挙げられる.3)沙漠化の現状として,かつて人口に膾炙した6万km2/年という断定的な推定は最近あまり使われていない.2018年に発行された世界砂漠化地図第3版では社会・経済的要因も含めた様々な要因からの沙漠化の評価がなされており沙漠化現象を捉えることの困難さが示唆される.一方で中国・インドを中心に緑化が進んでいるという報告も紹介した.沙漠化は進んでいるのか? 賛否両論を併記したが,沙漠化と沙漠化対処は本学会活動の骨子の一つでもあるので,乾燥地農学分科会としても今後もフォローしていく.沙漠化対処については不断の実施が必要である.日本のプレゼンスを維持するためにも,乾燥地研究・沙漠化対処研究の裾野を維持すること,とくに産学官を含めた沙漠化対処に関する研究の推進や国際協力の進展が今後も求められる.

  • 田中 賢治
    2020 年 30 巻 3 号 p. 27-33
    発行日: 2020/12/25
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    植物活性剤,化粧品原料等に利用されるフルボ酸は,日本の森林土壌中に含まれる有用な有機酸であるが土壌中に微量しか含まれておらず,これらの用途に利用するために海外から採掘された有限資源を輸入して国内で利用してきた経緯がある.こうした状況の中,日本の森林から間伐によって産出される木質資材と木炭等の生産過程で産出される有機酸を利用することによって有機物の縮合・重合を促すことに成功したことから,人工的にフルボ酸を高純度で量産化できるようになってきた.このように量産化されるようになってきたフルボ酸は,国内外での環境改善に利用されていることから,一般的なフルボ酸等の高分子化合物の解説と環境改善への利用について説明する.

  • 迯目 英正, 小島 紀徳
    2020 年 30 巻 3 号 p. 35-42
    発行日: 2020/12/25
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    「砂漠を緑に」するためには,緑化の生産性から淡水コストは利用箇所で50円/m3以下が望まれ,送水/配水のコストを20-30円/m3とすれば,造水コストは30-20円/m3以下になる.加えて,濃縮水の処理とともに,膨大な造水/送水/配水に伴う電力のコストと熱源の質が問われる.

    解決策として,海洋深層水の清浄性を利用し,海水分離に疎NF/疎RO/TC缶を用い,濃縮水を固体塩とし,造水エネルギーおよびコストを低減させ,濃縮水を固体塩として活用あるいは貯蔵できる.また,安定/安全/低コスト/環境保全の発電方式として,低温太陽熱温度差発電が勧められる.更なる省エネの海水分離方法としては吸収式ヒートポンプのリファインと実証を提案する.

  • 飯田 哲也
    2020 年 30 巻 3 号 p. 43-49
    発行日: 2020/12/25
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    2020年に入って新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックによる感染者の増大と,ロックダウン等による経済・社会活動の停滞によって,世界各国で失業の増大や消費の落ち込みが顕在化し,産業・金融を含む経済全般にリーマン・ショック以上の停滞や冷え込みが予見されている.

    こうした経済危機からの復興に加え,かねてからの気候危機,そしてCOVID-19が浮き彫りにした社会格差を是正するための「緑の復興」(グリーン・リカバリー)を求める声が国内外で共鳴している.その施策の中心として期待されているのが,本稿の主題である再生可能エネルギー,とくに営農型太陽光発電である.

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