日本文化人類学会研究大会発表要旨集
Online ISSN : 2189-7964
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日本文化人類学会第45回研究大会
選択された号の論文の169件中101~150を表示しています
11日午後の部 J会場
11日午後の部 K会場
  • フランス南西部に暮らす移動生活者マヌーシュのキャラヴァン
    左地(野呂) 亮子
    セッションID: K11
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/20
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    本報告では、フランスに暮らす移動生活者マヌーシュの移動式住居であるキャラヴァンに着目し、伝統や文化の象徴として語られるモノではなく、人々の日常の細部に深く関わり、人との相互浸透的な関係のなかで、人の身体や他者との関係を媒介するモノとしてのキャラヴァンの働きを検討し、そこからみえてくるマヌーシュ社会の個と共同性のありようを明らかにする。
  • 「ロマ/ジプシー」が分有する起源と共同体の現在
    岩谷 彩子
    セッションID: K12
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/20
    会議録・要旨集 フリー
    本報告は、ディアスポラの議論で提出されてきた起源の問題に焦点を当て、主にギリシャとルーマニアのロマの事例より、彼らの間で生成する起源や帰属意識の契機について検討する。彼らが起源としての<インド>とすれ違いつつ、起源や帰属が曖昧なままゆるやかに結びついている状況について、起源を分有する共同体やネットワークの可能性として提示する。
  • 米国国立公園局の制度化をめぐって
    寺崎 陽子
    セッションID: K13
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/20
    会議録・要旨集 フリー
    本発表は、世界に先駆けアメリカ合衆国で誕生した国立公園に焦点を当て、国家によって保護される「自然」について考える。そのために、1916年に内務省に設置された「国立公園局」(National Park Service)の歴史的形成プロセスを検証する。そのうえで、組織研究として知られるスタンフォード学派の新制度論(new institutionalism)を参照しながら、国立公園局という国家機関の綿密な制度化(institutionalization)によって、「自然」に関するさまざまな意味や価値が創造され共有されている場を議論する。
  • 鉄道院 An Official Guide to Eastern Asia vol.1-5 (1913-1917) を事例に
    長坂 契那
    セッションID: K14
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/20
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    本発表は鉄道院製作のAn Official Guide to Eastern Asiaを事例に大正初期の日本の外客誘致戦略と欧米諸国の反応を、アーリの「観光のまなざし」を手がかりに考察する。「観光のまなざし」の主な主体は欧米諸国の白人中流階級で、客体たる非欧米諸国の非白人の意思や反応は看過された一方向的なものになっている。当時既にその客体となっていた日本が、自らを記述した「公式」旅行ガイドブックを製作するという一方向的ではない状態に加え、その出来栄えに対する評価を保留するという慎重な書評のもたらす意味を考察する。
12日午前の部 K会場
  • 北インド・ダラムサラ在住チベット難民芸能集団のメディア活用の試み
    山本 達也
    セッションID: K21
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/20
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    本発表は、北インド・ダラムサラ在住のチベット難民芸能集団Tibetan Institute of Performing Arts(以下TIPA)に着目し、彼らのメディアをとおした伝統文化表象を取り上げる。彼らの表象は国内と海外と受け手に応じて異なった戦略がとられているが、今回特に注目するのは、インド国内在住のチベット難民向けのメディア戦略である。難民社会の若者たちが抱える問題に対し、「チベット文化」の独占的発信者であるTIPAがどのような対応をしているのか明らかにする。
  • イタリアの地域精神保健と演劇人類学の出会いから
    松嶋 健
    セッションID: K22
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/20
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    公立精神病院を全廃したイタリアで、病院から地域に出て暮らすというとき、そこにはどのような「生」とどのような「ひと」がイメージされているのだろうか。このことを、ウンブリア州における精神障害者による演劇ラボラトリーの経験を通して考察する。身体的存在と社会的存在を跨ぐ形で立ち上がる「制度化する主体」は、グロトフスキが「パフォーマー」と呼んだ概念=形象に結晶化するのだと考えることができるだろう。
  • インド・ゴア社会、ティアトル劇の複数メディアによる展開
    松川 恭子
    セッションID: K23
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/20
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    世界におけるメディア技術の拡大は均質ではない。儀礼・演劇など旧来メディアとマスメディアの連続性及び利用の現状を微細にみることで、グローバリゼーション下の共同体意識・実践の現代的あり方について明らかにすることが可能だ。本発表では、インド西部ゴア州で主に上演されている演劇ティアトルを取り上げる。CD、VCD、DVD、インターネットによるティアトルの展開とゴアとゴア外に居住する人々のネットワークについて考察する。
  • 病気をパフォーマンスする活動にみる実践
    杉本 洋
    セッションID: K24
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/20
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    「恥」は、対人関係やアイデンティティに悩む生存者にとって重要な問題となる。精神疾患等の病気をパフォーマンスで表現する活動では、「恥」を自慢し、曝し、笑う。表現する生存者にとって「恥」とは、消し去るものでなく、克服されるものでなく、誇りとして転化されるものでは必ずしもない。自分をダメな人間であると自らや他者に表明し、あきらめる経験であるが、そこから開ける世界には豊かな可能性がある。
  • 中国貴州省の漢歌を事例に
    梶丸 岳
    セッションID: K25
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/20
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    オラリティは当初文字と対比的に論じられてきたが、その後単純に文字の不在としてオラリティを考えることは誤りであることが明らかとなっている。しかしそれでもオラリティの特性は「遊び」から探ることができる。たとえば中国貴州省の漢歌は現在声の遊びとして歌われている。そこにみられる構成的規則は声の規則であり、娯楽性も兼ね備えている。こうした側面はこれまで見過ごされてきたオラリティの一面であると言える。
  • 実践共同体としての京都花街
    松田 有紀子
    セッションID: K26
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/20
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    本発表の目的は、京都花街の客―芸妓―経営者が形成するメンバーシップを「実践共同体」として読み解くことで、「信用社会」出現の可能性をみいだすことにある。
    花街とは、芸妓と、関連するサーヴィス業が集積する場である。客は「お座敷」での振る舞いを通じて、芸妓や経営者に「よい客」として承認されることを目指す。「お座敷」の参与観察を通じて、実践の具体例を挙げ、形成されるメンバーシップの機能を明らかにしたい。
12日午後の部 K会場
11日午後の部 L会場
12日午前の部 L会場
12日午後の部 L会場
12日午前の部 N会場
12日午後の部 N会場
  • DAC5項目と民族誌
    外川 昌彦
    セッションID: N31
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/20
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    本報告では、2006年に国際協力銀行(JBIC)が実施した、バングラデシュの農村電化事業におけるODA事業後評価を事例として、開発プロジェクトの現地社会へのインパクトとその評価の難しさを考察する。報告者は、JBICの外部評価員として事業後評価に従事するが、この年に現地では停電の深刻化による広範な農民暴動が発生する。その時の現地調査の経験を通して、プロジェクト評価にかかわる構造的な問題を検証する。
  • フィリピンにおけるネオリベラルな資源管理と生活実践
    関 恒樹
    セッションID: N32
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/20
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    本発表では、ネオリベラルな資源管理がコミュニティとその資源利用に及ぼす影響に関して、主にポリティカル・エコロジーの視点からなされてきた近年の諸研究を整理しつつ、今後いかなる展開が必要となるのかを検討する。その際に、フィリピンの海域社会に生きるある男性の、時にネオリベラルな資源統治によって排除されつつも、時にその制度を利用しつつ展開される生活実践を示すライフヒストリーを検討する。
  • 上村 明
    セッションID: N33
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/20
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    モンゴルでは、移動牧畜がおこなわれてきたが、1990年代以降、市場経済化と温暖化・乾燥化という大きな変化にさらされた。これらの変化に適応させることを目的にうたい、おおくの国際援助機関がプロジェクトを実施してきた。現在その主流は「コミュニティを基盤とした自然資源管理」の考え方にもとづくプロジェクトであるが、コミュニティを実体的に組織しようとすることが資源利用の現実と合わない問題点を生んでいる。
  • 日本の山村地域におけるFSC認定材をめぐるエコ・ポリティックス
    権 允義
    セッションID: N34
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/20
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    本研究は、現代日本の山村地域における森林の「生産財から環境材」への認識の変化過程を,資源利用と管理に関するコモンズ論を手がかりにして考察することである。森林のなかに埋め込まれて自給自足的に営為された山村住民の生活は、時代の変化とともに森林から切り離され、森林は公益的存在、生態的機能として新しく位置づけられるようになった。いわゆる生産財から環境材への意味変化である。
  • ローカルコモンズの利用と互助互酬にみる利益の再分配ネットワーク
    齋藤 典子
    セッションID: N35
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/20
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    高齢化率22.7%を超えた我が国の高齢者が働く現状と、高齢者労働が地域社会に果たす役割を論ずるものである。高齢者労働とは、下田市須崎地区の海村に暮らす高齢者が伝統的に携わってきた広義の意味での「海の仕事」である。海村に暮らす人々が、海から得た利益をどのように再分配しながら村落共同体を維持しているのかを分析、高齢者労働が互助互酬ネットワークの維持役割を果たしていることを明らかにする.
12日午前の部 O会場
12日午後の部 O会場
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