荷役装置に消費される電力の大きさを知ることは, 発電機容量を決定するうえにきわめて重要であるにもかかわらず, その計算法については, まだ具体的に確立されていない状態である.荷役電力は時間的に不規則に, かつ大きく変動するので, 統計的手法によるのが有効であり, 本論文も統計的手法に基礎をおく.まず, 荷役電力の分布は正規分布にしたがうことを, 実際の数値例によって検討し, 発電機容量を決定する自乗平均電力および発電機を保護する過電流継電器の設定値から得られる最大電力を, 変動係数ならびに限界係数なる指標により表現する.つぎに, 変動係数の性質を考察し, 最大電力を決定する限界係数を求める方法を述べる.限界係数は過電流継電器の電流対時限特性に左右されるから, 一般に船用発電機に採用されている誘導形過電流継電器についての特性を吟味する.さらに, 実際例によって, 各指標がいかなる特性を示すかを述べ, 各指標の変化により最大電力がいかに影響されるかを検討する.また, 自乗平均電力と最大電力との関係を具体例により述べてある.荷役電力を決定する本方法の特徴は, 最大電力を過電流継電器の整定値に対する値であると定義し, かつ, 限界係数なる指標を導入することにある.
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