オイルショック以後, 船舶発電用中速ディーゼル機関にあってもC重油を燃料とする技術はいちじるしく向上し, 当社では1982年にIF380, 1984年にIF700C重油機関を開発している.
これと並行して, 船主や造船所においてもディーゼル主機関と補機関に同一のC重油を適用するモノフュエル船を建造するようになったが, 就航船における長時間の実績としては, まだIF380モノフュエル船を調査できるという段階である.
本稿は当社のIF380C重油 (以下C重油と言う) 機関6PL-24を発電機関としているモノフュエル実船の追跡調査結果を報告するものである.
舶用機関の機能を十二分に発揮させるには, 機関自身の性能, 耐久性とともに, その周辺の機関室設備とシステムにも十分な配慮が必要であり, C重油機関にあっては特にそうであると考える.
本報告では, 就航後の追跡調査結果だけでなく, 6PL-24機関の概要, 本船計画段階において, 船主, 造船所, エンジンメーカである我々との間で十分意見をかわして決定した機関室システムの考え方も紹介する.
今回調査した船は西ドイツHDWキール造船所196, 200, 201番船として建造された3隻中の第1船で船名はカルタゴ号 (M/VCALTHAGO) , 船主は西ドイツのクリスティアンフ・アーレンキール社, 1984年5月就航の26140DWt, 1328TEUコンテナ船で550kW発電機を駆動する当社6PL-24形機関3台を搭載している (表1) .発電機関の発停・低負荷運転も含めすべての負荷において主機関燃料と同一のIF380C重油を使用して15000時間ピストン無開放の目標をたて, その可能性調査を第1号発電機関について, 船主・造船所協力のもとに実施した.
また, これと比較のため発停・低負荷運転をA重油で行う別の実例について, その訪船調査も報告する.この船は韓国現代造船所319, 320, 321番船の第1船で1985年1月就航の32000DWt貨物船スター・フロリダ号 (M/VSTAR・FLORIDA) で船主はノルウエーのビラボン社である.
750kW発電機を駆動する当社6PL-24形機関3台を搭載しており定常負荷における燃料はIF380C重油である.
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