最近の船舶における自動化の要求は著しく, その一端としての電動力設備のサイリスタ化は, ここ2~3年間の内に各方面にて試みられ, その成果は着々と現われている.
特に作業船におけるサイリスタ技術の応用は, 当技術の持つ制御性能の優秀性, 各種要求性能への柔軟なる適応力, 及び無接点の持つ各種メリット等により大幅な採用がなされつつある。著者においても, 近年, 上記特徴を十二分に発揮した種々の装置を船舶に採用する機会を得たが, 計画初期における従来技術では困難視されていた特殊なる事象を比較的簡単に解決し得たように考える.
本稿においては, サイリスタレオナード装置としては一般的な逆並列制御システムの概要と, この基本制御システムにオートテンションという特殊なる負荷条件が課せられた場合のドラム巻き太り補償, 機械損失補償, 加減速トルク補償, 及び電動機ストール対策など各種物理的事象に対する装置の適合の仕方を一例として記述する.
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