本学会誌の第I報 (Vol. 16, No. 2, 1979年) において斜面崩壊予知の手法の理論面について報告した。第II報 (Vol. 17, No. 2, 1980年) では, 前報の予知手法を伊豆半島の天城山系の一部に選定した模式地 (現在崩壊・既崩壊地点および未崩壊各地点) に適用して調査・分析を行い, その手法が正当であることについて報告した。本報文では, さらに中伊豆地域の広範囲にわたっての表層地質斜面 (調査地点総数122地点) の調査を実施し, 前報手法の客観性について検討し, かつまた数量化理論II類による解析を行い, 本手法についての検討を行った。
その結果
1) 前報で斜面崩壊予知のために統計上のモデル式として用いた, 下記の重回帰モデル (線形回帰モデル) log
Rα=log
R0+
r1log
X1+
r2log
X2+………………+
rnlog
Xnを, 本調査地域に適用した場合においても, 重相関係数 (第I地帯; 0.925, 第II地帯; 0.915) は高い値を示し, かつ
F値も, 第I地帯 (
F=26.7418), 第II地帯 (
F=28.1106) とも大で, いずれも有意水準1%で有意であり, 前報の斜面崩壊予知の手法の妥当性が確認された。
2) 数量化理論II類では, 表-1中に示した要因のうち,
X1,
X2,
X3,
X4,
X5,
X6,
X8,
X9,
X10の9要因について既崩壊・現在崩壊各地点 (Group-1), 未崩壊各地点 (Group-2) の判別を行った。その結果, 判別精度が約78%であり, 分析の結果としては良好で, 斜面崩壊予知分析としての本手法の普遍性・客観性が, 立証されたと考えられる。
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