北海道東部の知床半島では, いくつかの大規模ランドスライドの発生域が, 第四紀火山体の山頂・山腹に存在する活断層に沿って配置している。例として, 知床岳断層系に沿う相泊溶岩ドームの崩壊, カモイウンベ岩屑なだれやクズレハマ岩屑なだれ, 硫黄山-羅臼岳断層系に沿う南岳岩屑なだれ, そして知西別岳-遠音別岳断層系に沿っては遠音別岳の山容を大きく変えた北西巨大崩壊や南東大規模地すべりがある。これら大規模ランドスライドの発生には, 地質的に中新統を覆う第四紀陸上溶岩類が形成するキャップロック構造や第四紀成層火山体の不安定要素に加え, 活断層の存在が大きく影響していたであろう。さらに, これら断層の活動や関連する火山活動が, 大規模ランドスライド発生の直接的な誘因であった可能性がある。
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