土木学会論文集A2(応用力学)
Online ISSN : 2185-4661
ISSN-L : 2185-4661
71 巻, 2 号
選択された号の論文の87件中51~87を表示しています
応用力学論文集Vol.18(特集)
  • 佐藤 真理, 藤澤 和謙, 村上 章
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_521-I_532
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    時間的に変動する(動的)浸透流の多孔質領域内挙動は,主として最大振幅時の静的パラメータにより評価されてきたが,実地盤には地中空洞が内在し,様々な周波数成分が浸透流に含まれる.本研究では多孔質領域内に流体領域が存在する状況での浸透流周波数の違いによる影響を,数値計算により明らかにした.計算手法はDarcy-Brinkman式を用いた有限体積法を採用し,流体領域と多孔質領域境界のBeavers-Joseph条件を考慮した計算を実施した.計算の結果周波数上昇に伴い,流速や圧力勾配振幅が減少することが示された一方,広い範囲で水圧が高い状態となるため,高周波成分の影響を考慮する必要性が示された.さらに減少率に関して多孔質領域内への一次元浸透流により理論解を導出し,動的影響の評価指標として提案した.
  • Supapap PATSINGHASANEE, Ichiro KIMURA, Yasuyuki SHIMIZU
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_533-I_544
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    An overhanging failure is one of major problems in river engineering affecting the riverbank geometry. Unfortunately, the previous studies had limitation on the coupling fluvial erosion and overhanging failure. Therefore, the aim of this paper is to introduce new coupled processes for simulating the fluvial erosion and overhanging failure of the experimental banks as well as the real riverbanks at U-Tapao River in Thailand.
    For fluvial erosion, the actual shear stresses of the experimental banks are between 0.68 and 1.23 Pa, while at the U-Tapao River, they are within the range of 18.51 to 22.52 Pa. Moreover, the critical shear stresses estimated by the percentage of silt-clay content of the experimental banks are within the range of 0.38 to 0.57 Pa, while at the U-Tapao River, they are between 9.44 and 12.99 Pa. Additionally, the previous relationship between the critical shear stress and the erodibility coefficient indicate that they do not follow the present values of the experimental results and the U-Tapao River. Furthermore, the critical shear stress and the erodibility coefficient showed that these parameters varied significantly from one site to another site. Therefore, relationship between the critical shear stress and the erodibility coefficient are needed to be measured locally. For overhanging block stability, the results revealed that the dominant overhanging failure of the experimental study is the beam-type failure while the shear-type failure is the dominant failure mechanism in the U-Tapao River.
    Finally, the overhanging failure was simulated by the present numerical model within the frameworks of the fluvial erosion and overhanging failure. The numerical results were validated with the temporal variations of spatially averaged bank width. Moreover, this validation results showed a good agreement between the numerical results and the experimental results.
  • 桐山 貴俊
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_545-I_555
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    離散化を伴う数値解析法は,離散化に伴い生成する離散要素の支配領域を,各手法の特性に応じて定義する.有限要素法では節点と要素を用い,粒子法では補間関数を用いる手法が多い.粒子法は,物質を代表する評価点の位置は更新するものの,支配領域自体は初期形状で用いることが行われている.外力作用により支配領域が更新されないことから,幾何学的に大きな引張を受けた場合に,材料的強度ではなく,数値解析上の影響範囲外に達したという理由で,分離・剥離が生じてしまう.
    粒子法の一つであるMaterial Point Methodにおいても同様の問題が指摘されてきた.初期のMPMは支配領域を有していない手法であったが,数値解析上の不具合が問題とされ,その後,軸方向に支配領域を考慮するGIMP法,さらに近年,せん断変形まで考慮するCPDI法が提案されている.本論文では,支配領域の可変性を考慮したCPDI法に着目し,既存手法との相違点について考察する.新たにCPDI法の3次元定式化を示し,地盤材料を用いた大変形解析を実施することで,CPDI法の適用性について考察する.
  • 内藤 直人, 前田 健一, 今野 久志, 牛渡 裕二, 鈴木 健太郎, 川瀬 良司
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_557-I_566
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    敷砂緩衝材に作用する落体衝撃力が載荷速度依存性を有する原因について分析した.また,そこで得られた知見を基に落体衝撃力波形の推定を試みた.得られた主な結果を以下に示す.1)落体衝撃力は載荷履歴に依らず任意の貫入量における載荷速度のみに依存する可能性を示した.2)敷砂緩衝材が載荷速度依存性を有する理由として,載荷速度が大きいほど落体貫入による縮み量を受け持つ領域が表層に集中することで落体衝撃力が大きくなることが考えられる.3)落体周辺の粒子群の圧縮率と応力の関係について,静的載荷と動的載荷の結果がほぼ一致していることが分かった.4)一次元波動方程式に基づく衝撃応力σ=ρcvを用いて落体衝撃力波形の推定を試みた結果,実験で得られた落体衝撃力波形の主波動である第1波目を高い精度で推定できる可能性を示した.
  • 藤名 瑞耀, 福元 豊, 村上 章
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_567-I_578
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    土壌の内部侵食は観察が難しい現象であるため,数値シミュレーションによって現象の理解と予測をすることが有用となる.本研究では浸透流によるConcentrated leak erosionに焦点を当て,固体粒子の計算手法であるDEM(個別要素法)と流体の計算手法であるLBM(格子ボルツマン法)を組み合わせ,土と水のミクロな挙動を同時に解いた.Wan and FellのHET(Hole Erosion Test)を参考にした二次元モデルを作成し,浸透流を発生させて粒子の流出を観察した.勾配を変えながら繰り返し計算を行い,侵食に関する各パラメータを算出して既往の実験やHETを模擬したシミュレーションとの比較・検討を行った.固体粒子の取り扱いに関して新たな条件を導入したことで,従来に比べてより実験に近いシミュレーションを行うことができた.
  • 岩本 哲也, 中瀬 仁, 西浦 泰介, 鶴ヶ崎 和博, 宮本 順司, 清野 純史
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_579-I_586
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震において,多くの防波堤が津波による被害を受けた.その被災メカニズムとしては,津波による大きな水平波力だけでなく,越流後の流れによるマウンドの洗掘や,ケーソン下を流れる浸透流が,防波堤の安定性に影響したと考えられている.そこで本研究では,捨石マウンドにおける洗掘や浸透流を考慮するための手段として,流体抗力モデルに基づいたSPHとDEMのカップリング解析手法を提案し,その適用性について検討した.まず基礎的なシミュレーションを行い,理論値と比較することにより,カップリング解析手法の妥当性を検証した.次に,津波越流実験シミュレーションのパラメトリックスタディを実施し,砕石の形状に関するパラメータがマウンドの変形に与える影響について検討した.
  • 森口 周二, 蛭間 雄大, 高瀬 慎介, 寺田 賢二郎
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_587-I_594
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    本研究では,乾燥砂を用いた既存の模型流動実験を対象として,その再現解析を実施することにより,DEMにより土砂流動を表現する際の粒子のサイズと形状の影響について整理した.その結果,非球形粒子は球形粒子に比べて土砂の流動特性を精度よく表現し,非球形粒子を用いることである程度大きな粒径でも流動特性を表現することが可能であることを確認した.また,粒状体の流動挙動を再現するために,粒子形状を表現することは重要ではあるものの,その形状表現精度はそれほど解に敏感ではないことを確認した.
  • 岩崎 佳介, 木本 和志
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_595-I_604
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    本研究は,不飽和砂を気-液-固相の三相周期多孔質媒体としてモデル化してマクロ熱伝導率を求め,飽和度と固相粒子の充填構造の違いが不飽和砂の熱伝導性に与える影響を数値解析により調べたものである.ここでは,3種類の充填構造について,間隙部に設けた液相領域の位置と大きさを変化させて熱伝導解析を行うことで,マクロ熱伝導率を飽和度の関数として求めた.その結果,充填構造の違いは,熱伝導率の絶対値に与える影響が大きいこと,液相領域の間隙内位置と量は,飽和度と熱伝導率の関係を大きく変化させることが明らかとなった.また,本研究で提案したモデルにより,既往の研究で知られている,熱伝導率と飽和度の関係を表す代表的な3種類の曲線形が,数値解析により再現可能であることが示された.
  • 杉山 友理, 戎 健次, 飯塚 敦, 河井 克之, 佐々木 陽亮
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_605-I_612
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    プレート境界すべり面(デコルマ帯)で起きる地震発生要因の一つがスメクタイトからイライトの変化であり,この変質による力学挙動を理解することが地震研究において必要とされている.しかしながら,巨大地震の発生に重要な役割を果たすとされているデコルマ帯の実態と力学挙動に関する研究はほとんどなされていない.本研究では,この未解決の問題であるデコルマ帯について,力学的観点からアプローチすることを目的とする.ここでは,変質により生じる変化として,スメクタイトがイライト化に伴って脱水することの影響及び,スメクタイトとイライトの力学特性の変化による影響について考慮した.その結果,スメクタイトの脱水によりデコルマ帯の強度が増加することが分かった.
  • 大井 邦昭, 林 建二郎, 多田 毅, 宮田 喜壽
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_613-I_620
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    巨大津波による海岸構造物の被災形態のひとつとして,海岸堤防を越えた流れによる海岸堤防陸側の背後地,法尻,斜面が洗掘され,これが堤体全体に進行して破堤に至るケースが多く報告されており,今後は設計外力を超過したレベル2津波に対して大きな被害を受けずに機能を容易に復旧可能な“粘り強い”構造を付与することが提唱されている.
    本研究では,海岸堤防に粘り強さを付与するために陸側斜面に設置されたコンクリートブロックの安定性に関する一連の研究の一環として,ブロックに作用する流体力特性の明らかにするために,水理模型実験とCADMAS-SURF/3Dによる流れの数値計算を実施した.ブロックに作用する流体力によるブロックの転倒モ-メントの発生メカニズムを定量的に明らかにしている.
  • 吉川 高広, 野田 利弘, 加藤 健太, 小高 猛司, 李 圭太, 高稲 敏浩
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_621-I_632
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    本論文では,空気~水~土骨格連成有限変形解析コードを用いて,実在する砂質土・粘性土互層地盤上の大規模河川堤防の浸透・地震時挙動の評価を行った.まず,河川水位の差に注目した浸透と地震の複合時の解析を実施し,河川水位が高いほど堤内地への被害が大きくなることを示した.次に,基礎地盤の砂質土層が礫質土相当の透水性を有する場合を想定して,非定常浸透と地震時の応答を解析した.非定常浸透時には,砂質土層上部に難透水性の粘性土層があるために,河川から砂質土層に大量の水が供給されて,河川水位上昇後8時間経過時点からパイピング破壊に繋がり得るヒービングが発生することを示した.地震時には,礫質土相当の透水性であれば地震中に間隙水の移動が十分に生じて,難透水性の粘性土層で覆われた礫質土層上部に集水するため,礫質土相当の透水性であっても液状化が生じることを示した.
  • Leonel AGUILAR, Lalith WIJERATHNE, Tsuyoshi ICHIMURA, Muneo HORI, Seiz ...
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_633-I_641
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    This paper presents a multi-agent based evacuation simulation software capable of simulating mass mixed mode evacuations of large areas including sub meter details of the environment. A mathematical framework is introduced in order to provide a framework for the specification and description of the software, enabling to compare the developed multi-agent system with other existing evacuation simulation tools and identify underlying differences and areas of improvement. Details of the high resolutions environment, including the modelling of dynamic changes like earthquake induced damages, etc. are briefly explained. Furthermore, the basic constituent functions of autonomous agents, which enable them to perceive their visible surrounding and interact with it and neighbouring agents, are also briefly explained. The mixed mode interactions are briefly presented along with its validation results. Demonstrative mass urban area mixed mode evacuation scenarios are presented in order to highlight the need of incorporating detailed models of environment and the complex agent functions and interactions. Most of these scenarios cannot be simulated with the simplified models without sacrificing accuracy or making broad assumptions.
  • 藤田 零, 吉田 秀典, 堀 宗朗, Wijerathne M. L. L.
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_643-I_654
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    東京大学地震研究所において開発した統合地震シミュレータ(Integrated Earthquake Simulator,IES)を用い,都市モデル(香川県高松市)に対して過去に観測された地震波を入力し,構造物応答解析を行った.さらに,その結果を基に地震による被災を想定した都市モデルの作成及び被害状況を可視化させるシステムを構築し,避難行動シミュレーションに適用させた.避難行動シミュレーションの結果,被害の有無,あるいは被害状況の違いによって避難行動,避難時間に変化が見られた.また,被害状況の可視化システムを導入したことで,被害状況を把握しやすくなり,被害状況と照らし合わせたシミュレーション結果の議論・評価をする上で有効であることが判明した.
  • 松丸 貴樹, 佐藤 武斗
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_655-I_666
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    本論文では,不飽和土の簡便な繰返し弾塑性構成式を組込んだ,土骨格-間隙水-間隙空気を対象とした動的な浸透-変形連成解析手法を用いて,盛土の堤体自身が液状化することで地震被害を受ける事象を対象とした数値解析を行った.まず,盛土堤体の液状化発生を模した模型振動台実験を対象とした解析を行ったところ,実験の盛土の挙動を再現することができ,手法の妥当性を検証するとともに,解析における不飽和状態の適切な考慮が重要であることが明らかとなった.次に,実際の鉄道盛土を想定した一連の解析を行ったところ,十分な締固めが行われていない液状化強度の低い既設盛土では堤体での液状化の発生に起因して,設計での盛土の許容沈下量を上回るような変形が生じる可能性があることがわかった.
  • 西村 隆義, 五十嵐 晃
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_667-I_674
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    直接基礎は,地震時に基礎の浮上りや支持地盤の塑性化により水平力が一定値以上に上昇しないような復元力特性が期待できる.また,見掛けの剛性の低下に伴う構造系の長周期化と,塑性化によるエネルギー吸収に起因する減衰性能が免震効果を発揮する上,その免震効果が入力地震動の強度の増加に伴い大きくなるような,耐震性能上有利な性質も予想される.そこで本論文では,直接基礎を有する構造の持つこうした免震効果を定量的に評価することを目的として,等価線形化法を用いた非線形振動特性解析を行い,動的応答倍率の入力振幅依存性に着目した検討を行った.その結果,直接基礎の有する免震効果とその入力振幅依存性が動的応答倍率の変化として評価できること,および非線形特性に起因する応答振幅の急変が,理論的に予測される動的応答倍率曲線の分岐に対応して生じると考えられることを確認した.
  • 嶋口 儀之, 鈴木 森晶, 澤田 敏幸, 田端 宜昌
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_675-I_682
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    鋼製橋脚は都市内高速道路などに多用されているが,これらの構造物は震災後の緊急輸送道路として位置づけられており,発災後の速やかな機能確保が求められる.高速道路の早期の機能確保および大規模な余震等への対策のためには,発災後の初動点検において迅速に被災度判定を行うことが非常に重要である.本研究では,耐震補強された矩形断面鋼製橋脚を対象として,震災後の初動点検における判定基準,点検着目部位および点検方法の策定のための基礎的データを得ることを目的として,縮小モデルを用いた静的繰り返し載荷を行った.耐震補強後の橋脚の基本的な耐震性能を確認し,損傷発生部位および変形量などを計測することで,損傷状況と残留耐力の関係について示した.
  • Ahmed M. ABDELRAZEK, Ichiro KIMURA, Yasuyuki SHIMIZU
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_683-I_690
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    In this study, smoothed particle hydrodynamics (SPH) method is applied to simulate gravity granular flow past forward-facing and rearward-facing pyramids (tetrahedral) wedge. These types of obstacles used as a typical defense structure to divert the flow and guide the avalanches to pass the protected buildings and areas. The elastic-perfectly plastic model with the implementation of Mohr-Coulomb failure criterion is applied to simulate the material behavior. The numerical results are then compared with experimental data, and numerical results obtained from quasi-two-dimensional flows model. The results obtained from these comparisons show that the SPH method is capable to describe the behavior of the flow around such obstacles and can capture the formation of shock waves, dead zones, and granular vacuum.
  • 井上 一哉, 藤原 隆之, 倉澤 智樹, 田中 勉
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_691-I_702
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    本研究では,同一の不均質度を有する2種類の透水係数分布を対象として中規模溶質輸送実験を実施した.また,画像解析と空間モーメント法を応用することで不均質場における溶質輸送のマクロ分散性の空間変動を推定した.その結果,マクロ縦分散長は局所的不均質性の影響を受けて変動し,マクロ横分散長は溶質の初期位置に関わらず減少傾向を示した.また,溶質の初期位置が異なる複数の溶質挙動をアンサンブル評価することで対象場全体のマクロ分散として表す方法を考案し,マクロ縦分散長に関して,良好な結果を得た.さらに,不均質場の溶質輸送経路を追跡することで,局所的不均質度について評価する方法を提示し,不均質度に対するマクロ分散長のスケール依存特性が確認された.
  • 横嶋 哲, 河原 能久
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_703-I_711
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    キャノピー流れの予測手法である抗力モデルは抗力係数CDの与え方に課題を抱える.前報(土木学会論文集B1 71(4) I_1051 2015)では,対象流れの幾何学的最小ユニットを対象として個々のキャノピー要素周りの流動を再現し,全ての要素に一様な基準速度を当てはめて抗力係数分布CD;globalを見積もった.本報では個々の要素への接近流速を考慮した抗力係数分布CD;localを求めた.樹木群模型を過ぎる開水路流れに抗力モデルを組み込んだ3次元LESを適用した結果,CD;localCD;globalともに課題が認められ,流れの再現性は十分とは言えない.モデル精度の向上には,キャノピー要素の抵抗特性の非定常性の影響と,抗力モデルの数式表現自体を精査する必要が認識された.
  • 横嶋 哲, 安田 昌平, 宮原 高志
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_713-I_718
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    乱流環境中を遊泳する水生微生物の捕食頻度の推定モデルを新たに提案した.レイノルズ数,および捕食者の遊泳・捕食能量を系統的に変化させた数値実験を行い,乱流環境中での微生物の遭遇/捕食頻度を計測した.この数値実験結果から導かれるスケーリング則に基づく遭遇/捕食頻度の推定モデルは簡単な代数演算のみで評価できる.得られたモデルを馬場ら(土木学会論文集B1 69(4) 2013)の数値実験に適用し,その捕食頻度を良好に再現できることを確認した.
  • 横嶋 哲, 高島 立, 宮原 高志
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_719-I_730
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    静水中を多数の砂粒子が一様に沈降する系に対する粒子形状の影響を2次元数値実験によって検討した.粒子径を約1mm,形状を楕円とし,体積を保ちつつアスペクト比αを1:0; 1:5; 2:0と変化させた.比較のため,単一の粒子が沈降する場合も併せて検討した.数値実験結果からは粒子形状の影響は沈降開始直後の過渡状態においても最終沈降状態においても,そして単一粒子の場合にも多数の粒子が一様に沈降する系においても,観察された.沈降開始直後には,α=1の真円粒子はその重心周りの回転に対する形状不変性のため,楕円粒子と比べて非常に高速で特異な沈降挙動を示す.また,終末沈降速度utはアスペクト比αが増すと低下すること,多数の粒子が一様に沈降する場合のuaの集団平均値は単一粒子と比べてやや低下することも明らかになった.
  • 白井 秀和, 細田 尚, 小林 大輝
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_731-I_738
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    本研究は,底面の上昇により発生する波動現象を対象とし,底面の時間的な変動に伴い付加される項を考慮したBoussinesq方程式に基づく線形解を導出することで,Boussinesq方程式における底面の時間的な変動を表す項が波形に与える効果について検討したものである.まず,実現象に近い形での底面の変動により発生する波動現象の特性を把握するために鉛直2次元の数値モデルを用いた解析を行った.つぎに,同様の現象を対象として,底面の時間変動により付加される項を考慮したBoussinesq方程式から線形解を導出した.その際,静水圧を仮定して得られる線形解,鉛直加速度項に関わる項,底面変動に関わる項に分けて示した.得られた理論解は,鉛直2次元の数値モデルによる解析の結果と比較することで,その理論解の妥当性を検証した.さらに,Boussinesq方程式に含まれる鉛直加速度項や底面の時間的な変動に伴い現れる項に着目し,その効果について検討した.その結果,時間に関して非線形的に底面が上昇する場合(時間に関して2次で上昇する場合)において,底面の時間変動項の効果が表れ,特に底面の上昇が速い場合には,その効果が大きくなることが確認された.
  • 井上 卓也, 長谷川 和義, 渡部 靖憲, 船木 淳悟
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_739-I_746
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    急流河川では,三角状水面波列と呼ばれる恐竜の背のような巨大な水面波列が,洪水時に発生する場合がある.この水面波列は河床の局所洗掘を引き起こし,結果として護床・護岸の安定性に影響を与える可能性がある.この波は反砂堆上の水面波の一種と考えられているが,その発生条件や特性についてはまだ分かっていない部分が多い.そこで本研究では,水面波列の発生条件と横断方向のモード数を把握するための基礎的な実験を行った.実験結果,水面波列の発生条件はフルード数と無次元掃流力に依存し,モード数は川幅水深比に依存することが確認された.
  • 菊池 裕太, 青木 宗之, 福井 吉孝
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_747-I_756
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    本研究は,水制がある場での流れと魚の遊泳行動を明確にすることを目的とし,実験を行った.
    流速,渦度に着目した結果,1)水刎ねによる蛇行流れ,2)水制下流側での10(cm/s)以下の流速,が形成され,3)河床の洗掘,堆積箇所と渦度の関連性は低い,という結果を得た.
    また,魚は,20(cm/s)以下の流速および渦度の比較的大きい水制下流側に定位した.一方で,魚は,30~50(cm/s)程度の流速および渦度が小さい箇所で遡上した.そのため,魚の遊泳行動は渦度に関連性があると考えられる.
    数値解析では,水制によって水刎ねされた蛇行流れおよび渦度の形成は概ね再現できたが,その大きさを再現することができなかったため,水制周辺の詳細な水理条件を考慮した運動方程式の提案を行い,再現精度の向上に努める必要がある.
  • 多田 毅, 荒井 昭浩, 宮田 喜壽
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_757-I_764
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    防潮堤の形状が津波越流時および越流直後において津波エネルギーを消散させる効果に及ぼす影響を水路実験で調べた.実験の結果について,せきを越流する流れに関する既往の研究をもとに考察した.海側を斜面,陸側を垂直とする構造形式がエネルギー消散効果が最も高いことを明らかにした.解析を通して一連の現象を理解を深めることと,将来的に設計支援で必要になる数値シュミレーション技術を確立することを目的に,数値シミュレーションによる実験結果の再現を試みた.数値解析は概ね実験結果を再現できたが,最もエネルギー減衰効果の高い斜面-垂直型についてはナップ流れの考慮に課題が残った.
  • Ryosuke TERAOKA, Yuji SUGIHARA, Takuya NAKAGAWA, Nobuhiro MATSUNAGA
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_765-I_772
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    Direct numerical simulations of the secondary flow and the gas transfer in an open-channel flow with the sidewalls are carried out to investigate the effects of Prandtl's second kind of secondary flow on the turbulence dynamics and the gas transfer at the water surface. Turbulent characteristics on the secondary flow such as the velocity-dip phenomena and counter-rotating vortex pairs near the upper and lower corners are verified to be reproducible in comparisons with existing experimental and numerical results. Turbulent structures visualized based on the second invariant of the velocity gradient tensor make it clear that swirling vortex tubes generate near not only the bed but also the sidewalls of the channel. The turbulence dynamics due to such vortex structures may play important roles in driving the surface velocity divergence. The numerical results don't agree quantitatively with the gas transfer velocity by a surface divergence model. It is concluded from the present results that the secondary flow in open channel influences significantly the gas transfer at the water surface.
  • 廣畑 幹人, 伊藤 義人
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_773-I_784
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    鋼構造部材のあて板溶接補修を想定し,一定引張荷重が作用する鋼部材に対し,あて板溶接を施した場合に生じる残留応力の特徴を明らかにするための実験および数値シミュレーションを実施した.作用荷重に加え,溶接後の収縮変形を拘束する効果が残留応力に影響を及ぼし,その影響の度合いは溶接部よりも母材部の方が大きくなることが分かった.一方,荷重作用下で溶接した部材の残留応力を緩和するため,セラミックヒーターを用いた応力除去焼鈍とそのシミュレーションを実施した.焼鈍中の加熱過程において溶接残留応力および作用荷重による応力は緩和されるが,その後の冷却過程で生じる収縮変形を拘束する効果で応力が再生した.しかし,溶接のままの応力状態に比べれば焼鈍後は溶接部の引張応力が30%程度に低減された.
  • 谷口 望, 藤原 良憲, 林 偉偉, 依田 照彦, 松尾 仁, 久保 武明
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_785-I_793
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    鉄道橋では合成桁が多く使用されている.これらの合成桁の設計では,鋼桁と床版以外の高欄やスラブ軌道などの付属構造物については,安全側の観点から剛性を考慮しないのが一般的である.しかし,従来の計測結果からこれらの付属構造物についても剛性への寄与が認められていることが報告されている.これらの剛性の寄与は,終局耐力時には失われる可能性があるため,設計の合理化にはつながらないと考えられてきた.したがって,これまでの研究ではこの剛性寄与の効果について詳細に検討することは行われてこなかった.しかし,近年,維持管理における健全度評価に,桁剛性の計測結果を用いることが多く,これらを厳密に評価する必要が出てきている.そこで本研究では,鉄道用連続合成桁の測定結果をもとに,橋梁の実剛性をより厳密に算定する方法を検討した.
  • 松本 理佐, 竹村 学, 石川 敏之, 河野 広隆, 平塚 慶達
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_795-I_803
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    近年,疲労き裂の簡易な補修法の一つとして,炭素繊維強化樹脂成形板の接着が注目されており,国内外で実鋼構造物に発生した疲労き裂の補修へ試験的に施工されている.炭素繊維強化樹脂成形板の接着によるき裂の進展抑制効果は,応力拡大係数によって評価できる.本研究では,片側の貫通き裂を有する鋼板の全面に両面からCFRP板を接着した場合のき裂進展遅延効果を明らかにするために,引張疲労試験を行った.さらに,CFRP板を接着した場合の応力拡大係数を有限要素解析で評価し,線形破壊力学に基づいて定式化した.最後に,応力拡大係数の理論式を用いてき裂進展解析を行い,疲労試験の結果を評価した.
  • Ahmed Attia M. DRAR, Takashi MATSUMOTO, Toshiro HAYASHIKAWA, Xingwen H ...
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_805-I_812
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    Many numerical and experimental studies have been conducted to predict the fatigue life of RC slabs under moving load. Most of these works study the modeling of fatigue behaviors of RC slabs reinforced with deformed bars. The current study presents an experimentally verified numerical method to simulate the fatigue behaviors of RC slabs reinforced with plain bars under moving load. This numerical method is based on the bridging stress degradation concept. The bond-slip effect between a reinforcing bar and surrounding concrete is taken into consideration under repetitive load. The fatigue behaviors of RC slabs under moving load can be simulated through this numerical method. This method is also able to capture the cracking pattern, displacement evolution and rebar strain. The numerical method shows a good agreement with the experiments under static and moving load.
  • 高本 龍直, 大谷 憂馬, 齊藤 中, 中畑 和之
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_813-I_822
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    土木構造部材の内部の損傷を評価することを意図して,長距離伝搬が可能なガイド波を用いた検査法がある.土木構造部材は材質や断面形状・大きさが現場毎に異なるため,伝搬可能なガイド波のモードや周波数が部材毎に異なる.検査に際して予めガイド波の伝搬特性を推定しておくことは肝要で,ここではガイド波の分散曲線を半解析的有限要素法(SAFE)を用いて数値的に求めることを試みる.また,ガイド波の伝搬を3次元的にシミュレーションする方法として動弾性有限積分法(EFIT)の適用を考える.これらの数値解析法の妥当性を検証するために,ここでは,ハンマーを用いてガイド波を発生させ,無線ネットワーク内に配置した加速度センサでガイド波を多点で受信する計測実験を行った.計測結果とSAFEによる分散曲線は良好な一致を示した.また,EFITによる波動伝搬解析は,I型部材中のガイド波の伝搬速度と偏向を良好に模擬できることを示した.
  • 蔵本 直弥, 全 邦釘
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_823-I_830
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    アスファルト舗装の劣化・損傷度を評価する際に,ひび割れは重要な判断基準の1つとなっている.しかし現状のひび割れ評価手法は,点検者が舗装撮影画像のひび割れをスケッチするというものであり,客観的な評価ができているとは言い難い.また道路画像は膨大な量であるため,スケッチには多大な労力を要しており,効率的でないという問題もある.そこで本研究では,機械学習と画像解析により,舗装の撮影画像からひび割れを自動的に検出する手法を構築した.具体的には,複数の画像フィルタを撮影画像に適用することによって着目画素の特徴ベクトルを算出し,そこから決定木を学習させひび割れ判別のためのアルゴリズムとするというものである.また,種類の異なる実際の舗装の撮影画像を用いた実験により,非常に精度よくひび割れを検出できることを示すことができた.
  • 西尾 吉史, 岩崎 正二, 出戸 秀明, 大西 弘志
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_831-I_840
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    溶融亜鉛めっきは,鋼構造物を錆から守り,長期防食が期待できる処理である.しかし,溶融亜鉛めっきを行う過程で,鋼部材に急激な温度変化が発生し,割れや変形が発生する場合がある.また,割れ発生の対策として,柱梁仕口部にめっき抜き孔を有するノンスカラップ工法が適用されることがある.しかし,そのような対策を講じたのにもかかわらず割れが発生した事例がある.
    そこで本研究では,柱梁仕口部を想定した部分的なモデルに対して,実際にめっき抜き孔の孔径および位置を変化させた実験体を用いて溶融亜鉛浸漬実験を行う.さらに,3次元熱伝導解析および弾塑性熱応力解析を用いて浸漬実験を再現し,割れの可能性を低減できるめっき抜き孔の孔径および位置を検討する.
  • 金 哲佑, 林 厳, 鈴木 康夫, 橋本 国太郎, 杉浦 邦征, 日比 英輝
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_841-I_848
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    本研究では,FRP歩道橋の振動使用性を検証するため,加振実験から得た時系列データをもとに振動特性の推定を行う.また,気温変化が振動特性に及ぼす影響についても検討を行う.得られた加速度データに多次元ARモデルを適用し,推定された固有振動数からStabilization Diagram (SD)やStability Criteria (SC)を用いて,安定度の高い振動特性を抽出し,日常的使用に際しては使用性に問題がないことを確認した.また,気温変化により固有振動数が変化することを確認した.さらに,対象橋梁の固有振動解析の結果から,FRPのような軽量で高い強度を持つ材料を主材料とするトラス歩道橋の格点部補強による全体振動特性への影響が大きいことが分かった.格点部補強したFRP橋梁のFEモデル化には,補強による剛性の変化を正しく考慮する必要があることを示した.
  • 清水 優, 石川 敏之, 服部 篤史, 河野 広隆
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_849-I_857
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    経年劣化や設計荷重の変更によって耐荷力が不足した鋼部材に対して,当て板を接着して補強する方法が行われ始めている.さらに,施工事例は少ないが,緊張力を与えた当て板を鋼部材に接着することで鋼部材にプレストレスを導入する方法が一部で用いられている.一方,当て板に緊張力を与えて接着する場合には,緊張力の解放時に接着剤にせん断応力や垂直応力が作用するため,小さな荷重で当て板がはく離してしまう可能性がある.当て板に緊張力を与えて接着する際のはく離荷重を向上するため,当て板端部に非緊張部を設ける方法が提案されている.本研究では,当て板の端部を除く範囲に緊張力を与えられる装置を用いて当て板に部分的に緊張力を与え,プレストレス導入量やはく離荷重を検証した.その結果,当て板端部に非緊張部を設けた場合であっても,当て板接着中央部では当て板全体を緊張したときと同等のプレストレスが導入されることがわかった.また,非緊張部を設けた試験体と当て板全体を緊張した試験体では,非緊張部を設けた方がはく離荷重が大きくなった.さらに,接着剤に生じる主応力を用いてはく離荷重の向上効果を定量的に評価した.
  • 阿部 和久, 筧 拓哉, 紅露 一寛, QUINAY Pher Errol Balde
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_859-I_867
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    格子間隔の異なる周期列を積層した複合材層を有する,無限動弾性場の二次元波動透過解析法を構成した.特に上下の複合材層の格子間隔の比が有理数で与えられる場合を対象に,Floquet変換援用の下,当該問題を各周期層を構成する1ユニットの動的問題に帰着して解く方法を採った.また,周期層に平面波が入射する問題を例に,本手法による波動透過解析を試みた.両周期層のストップバンドを異なる周波数帯に設定することで,より広い周波数域における透過波動の遮蔽が可能となることを確認した.
  • 泉 明良, 澤田 豊, 三木 太貴, 河端 俊典
    2015 年 71 巻 2 号 p. I_869-I_877
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    農業用排水用パイプラインとして使用されるたわみ性管は,地震時の地盤のせん断変形により斜交方向に変形するが,その変形挙動は未だ解明されていない.本研究では,外径140mmと150mmのたわみ性管を対象に繰返し単純せん断実験および2次元DEM解析を実施し,地盤のせん断変形がたわみ性埋設管の変形挙動に与える影響について検討した.実験結果から,地盤のせん断変形時において,鉛直・水平方向のたわみ量よりも,斜交方向のたわみ量が卓越し,地盤密度が大きいほどその傾向は顕著になることが明らかとなった.DEM解析によって,せん断ひずみに対するたわみ量の関係を精度良く再現していることを示した.また,地盤のせん断変形時に,たわみ性埋設管の斜交方向に地盤の接触力が作用することによって,管が変形することが明らかとなった.
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