土木学会論文集
Online ISSN : 2436-6021
特集号: 土木学会論文集
81 巻, 22 号
特集号(土木情報学)
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
特集号(土木情報学)論文
  • 風間 小次郎, 須﨑 純一, 小林 知生, 大庭 哲治, 石井 順恵, Marek Ososinski
    2025 年 81 巻 22 号 論文ID: 24-22001
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
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     建設現場でのクレーンの操縦自動化において,安全な吊荷運搬経路を決定するためにクレーン周辺の三次元地図が求められる.三次元地図作成のため,安価な計測機器である単眼カメラから取得された動画像を用いて視差画像を生成する手法が提唱されている.しかし,生成された視差画像間で同一地点の視差や同じ2地点の視差差が異なるという状況が発生し,これは単純な視差画像の合成ができないことを意味する.本研究では,視差画像間で基準面が異なる場合に異なる視差が計算される状況を理論的に整理し,視差画像の合成を解決する手法を提案する.シミュレーション及び実動画像に適用した結果,基準面を適切に検知し,合成に必要なパラメータを推定し,良好な視差合成画像が得られることが判明した.

  • 林 楓華, 山本 義幸
    2025 年 81 巻 22 号 論文ID: 24-22002
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル 認証あり

     本研究では,利用可能な学習データが小規模データセットという不利な条件下での特定オブジェクトの色彩変換モデルの学習法について,景観分野での活用を念頭に検討したものである.これに関してアンケート調査を並行して行い,特定オブジェクト領域に関わる損失関数での重み付けによる学習効果,および有効なモデルパラメータを有す学習段階の特定手法について,現地で取得した歩道橋画像の小規模データセットと色彩変換モデルとしてCycleGANを使用して検討した.結果として,損失関数の重み付けによって良好な変換性能を有すモデルパラメータの生成機能を確認するとともに,有効なモデルパラメータを特定するにあたって,画像の類似度指標のSSIMと変化点検出法のCUSUM法の利用が有効であることを明らかにした.

  • 小林 桃子, 中村 健, Myagmardulam Bilguunmaa , 高橋 一義
    2025 年 81 巻 22 号 論文ID: 24-22003
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル 認証あり

     冬期の道路交通を確保する除雪作業はICTの導入が進んでいるものの,除雪パトロールにおける積雪深計測の重要性にもかかわらず,これらの効率化は十分に進んでいない.本稿では,著者らが開発した低コストMMS(Mobile Mapping System)を用いて,道路面上に設置した積雪深が異なる3つの積雪区画(A:3cm以下,B:6~8cm,C:10cm以上)を判別する実験を実施した.差分DSM法および路面位置推定法を用いて計測積雪深を算出した結果,両手法ともに設置した積雪区画間の積雪深の差を判別できることを確認した.また,実験結果の統計解析の結果,計測積雪深の差は2cm以上であれば統計的に有意な差異を検出可能であることが示された.これらより,本装置による道路積雪深計測の有効性が示唆された.

  • 丸山 結貴弥, 田内 裕人, 江種 伸之
    2025 年 81 巻 22 号 論文ID: 24-22004
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
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     本研究では,活断層型地震で発生する災害廃棄物の発生状況を,被災後できる限り早期に推定するシステムを提案した.本システムではまず,震度情報を気象庁のWebサイトから自動収集し,日本全国の住宅と重ね合わせて震度情報を付与した後,全壊・半壊に至る確率を期待値として算定する.次いで,算定した期待値に,可燃物や木,家電といった廃棄物組成ごとの原単位をかけ,災害廃棄物発生量を予測するものである.利用にGIS技術やオンラインでのデータ収集技術は不要で,災害発生から30分ほどで,被災市町村の発生量・組成・空間分布が推計可能である.提案システムを令和6年能登半島地震に適用したところ,コンクリートがらや不燃物の予測精度に誤差があると推察されたものの,災害廃棄物の総量や空間分布を精度よく予測できることが示された.

  • 田中 浩二, 西山 哲
    2025 年 81 巻 22 号 論文ID: 24-22005
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
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     港湾工事のプロセス全体で生産性を向上させるi-Construction2.0の取り組みが推進されており,面的に詳細な地形情報を取得できるマルチビーム測深の普及が期待されている.その一方で,これまでの有人船を用いた測量は簡便な作業での測深が困難であり,また熟練技術者が経験に基づいて実施しているデータ処理法では,シングルビーム測深に比べてデータ量の増加に伴う解析処理に要する労力が増加する課題がある.この課題解決を図るため,本研究では自律航行小型船舶によるマルチビーム測深とデータ処理の自動化の実用化を検証した.具体的には,自律航行小型船舶とCUBEアルゴリズム等の自動処理を組み合わせることで,測量作業およびデータ解析作業の労力を大きく削減し,施工管理の効率化を図りながらも高精度の水深値が取得できることを実証した.

  • 芝 寛, 米山 睦美, 竹田 宥一郎, 川村 孝太郎, 井口 重信
    2025 年 81 巻 22 号 論文ID: 24-22006
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
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     点群を構造物の完成形の計測に活用する目的で,実際の駅等で利用される素材による平板ターゲットを用いて,地上型レーザースキャナ(TLS)および動画からSfM/MVSにより生成した点群の奥行方向精度を検証した.TLS点群の検証では,素材,距離,角度,環境条件等のパラメータが奥行方向精度に与える影響を評価し,TLS機種や距離,レーザー光の照射方向となす角度が主要な要因であることが分かった.SfM/MVS点群の検証では,撮影デバイス,距離,カメラと被写体のなす角度が精度に与える影響を評価し,点群生成が良好な特徴点の多い素材は,距離が主要な要因であることが分かった.構造物完成形の計測を行う際には,これらを考慮して点群取得方法の選定や点群取得作業を行う必要があると考えられる.

  • 梅宮 咲恵, 窪田 諭, 安室 喜弘
    2025 年 81 巻 22 号 論文ID: 24-22007
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
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     共同溝の多くは高度経済成長期に建設され,適切な維持管理を行って長寿命化することが求められる.そのために必要な躯体の損傷情報は文書と写真による調書で管理されており,共同溝内部は似たような構造が多く,点検者は損傷位置を把握することが難しい.しかし,それを支援する情報システムは見あたらない.本研究では,共同溝点検時の損傷位置の精確な把握,および,損傷内容伝達の高度化と効率化を目的として,共同溝の損傷情報を3次元データを用いて点検者間で伝達するシステムを開発した.そこでは,共同溝を複数機器によって計測して構築した3次元データと2次元地図によって可視化し,損傷の位置と損傷名を3次元データによって,また損傷の状況を全方位画像によって示した.点検技術者による評価の結果,システムの有用性が示唆された.

  • 中祖 諒大, 樫山 和男, 大原 幸大, 琴浦 毅
    2025 年 81 巻 22 号 論文ID: 24-22008
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
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     本論文は,ロケーションベースとマーカーベースの2種類の重畳手法を選択することで,屋外のいかなる使用環境においてもシームレスに高精度な重畳が可能となるハイブリッドMR可視化システムの構築を行ったものである.MRデバイスとしてHoloLens 2を用い,GNSS受信機の受信状況が良好なオープンスカイ環境ではロケーションベース手法による位置合わせを行い,受信状況が不良な非オープンスカイ環境ではマーカーベース手法へ自動的に切り替えが可能なシステムの構築を行った.また,水中の構造物を自然かつ定量的に可視化するために開口部モデルの適用を行った.本システムの妥当性と有効性の検証として,道路橋の橋脚基部可視化への適用を行った.

  • 山本 雄平, 中原 匡哉, 姜 文渊, 神谷 大介, 小橋 幸貴, 今井 龍一
    2025 年 81 巻 22 号 論文ID: 24-22009
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
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     現行の自動車交通量調査では,調査断面を通過する自動車を人手により計数しているため,調査日や時間帯が限定される.近年,ビデオカメラで撮影した動画像から車種別に自動車の台数を自動で計数するサービスや手法が開発されているが,低照度の環境下においては適用が困難である.そこで,照度の影響を受けずに,自動車を3次元の点群データとして計測できるLiDARが注目されている.本研究では,廉価かつ計測範囲を網羅的に計測可能な非反復型のLiDARで計測した点群データから深層学習を用いて車種別の交通量を計数する手法を考案した.その結果,自動車の計数におけるF値は,4地点で0.930以上であり,小型車の分類におけるF値は,0.889以上であった.以上より,自動車交通量調査へ廉価なLiDARを適用できる可能性を示した.

  • 山本 雄平, 寺口 敏生, 中村 健二, 岡本 遼太, 池本 佳代, 川﨑 雅和, 今井 龍一
    2025 年 81 巻 22 号 論文ID: 24-22010
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
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     我が国では,ETC2.0プローブ情報を用いた路線単位での交通分析が一般的であり,車線単位での交通分析は殆ど見られない.既存研究では,車線単位の交通分析に向けてETC2.0プローブ情報の測位点を繋ぐポリラインをメッシュ上に重畳させ,機械学習を用いて個車の走行車線を推定している.しかし,ウィービング区間の曲線部ではポリラインがメッシュ上に重畳されず推定手法の適用が困難であった.本研究では,ウィービング区間の曲線部にも適用可能な個車の走行車線の推定手法を考案した.検証の結果,曲線部のポリラインの補正により,走行車線を推定できる可能性を明らかにした.さらに,メッシュの幅の拡張により,車線上ではない場所に測位されているETC2.0プローブ情報でも走行車線を推定できる可能性を明らかにした.

  • 西田 義人, 梅原 喜政, 坂本 一磨, 鳴尾 丈司, 田中 成典, 飛田 和輝, 松村 崚平, 田中 超, 岩本 達真, 平野 順俊, 大 ...
    2025 年 81 巻 22 号 論文ID: 24-22011
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
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     近年,街頭や商業施設に設置されている防犯カメラを用いて,歩行者の安全管理や顧客行動分析が進められている.しかし,撮影した動画から目視で人物追跡がなされているのが現状である.そのため,防犯カメラの増加に伴い人件費と労働量が増加することから,深層学習により自動で人物を特定する画像処理技術が注目されている.これに関連する多くの研究では,深層距離学習によりカメラ間で同一人物を同定することを目的としている.しかし,照合元に登録済みの人物を認識する前提であるため,未知の人物が登場した場合には識別できない.そこで,本研究では,深層学習で得た人物の特徴量の関係性を機械学習で捉え,既知の人物は同定し,未知の人物は新たに照合元に追加する手法を提案する.これにより,複数カメラ間における人物同定を可能とする.

  • 松下 孝星, 後久 華穂, 山本 義幸, 中村 豪, 中村 栄治
    2025 年 81 巻 22 号 論文ID: 24-22012
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル 認証あり

     本研究では,地上型レーザスキャナ(TLS)点群データからの軌道中心自動推定プロセスを「鉄道空間の建物・構造物等のレールに沿う配置特性」に着目し提案した.従来のMMSと異なり,TLSでは軌道領域の特定の手がかりとなる,軌道上を移動することに由来する軌跡情報が得られないという課題に対し,上記の着目点をベースに「局所点群の第一主成分を用いた軌道延長方向の推定」,「深層学習を用いた点群断面からのレール検出」,「頑健な軌道中心推定プロセスの開発」の解決法を設定した.本手法を現地観測した鉄道空間のTLS点群データで検証し,着目コンセプトである鉄道空間の配置特性の有効性についても確認した.この成果は,TLS点群データを用いた鉄道空間のデジタルモデルの自動生成に向けたボトルネックの解決に寄与するものである.

特集号(土木情報学)報告
  • 宮内 弘太, 高田 和幸
    2025 年 81 巻 22 号 論文ID: 24-22013
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル 認証あり

     近年わが国では,自動車による運転の誤操作や故意な危険運転等による交通事故の発生が深刻な社会問題となっている.運転操作が必要ない自動化運転の技術開発が行われている一方,未だ導入には時間を要することが想定され,運転操作を支援し,事故を未然に防ぐ予防安全技術の推進は今後も必要である.

     本研究では,予防安全運転技術の開発のアプローチとして異常検知技術が有効であると考え,個々の運転者の異質性を考慮した異常検知の閾値の検討方法について提案を行った.異常検知には少なからずの誤検知を含み,誤検知による誤った制御や警告は,運転者へのストレスだけでなく,信頼性の低下につながるため,個々の運転者の許容度合いを踏まえた設定が重要である.本研究ではこれまでに著者らが提案した異常運転検知手法を対象に検証を行った.

  • 久保寺 貴彦, 石井 斐士
    2025 年 81 巻 22 号 論文ID: 24-22014
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル 認証あり

     現在のGISは,三次元建物モデルをオンラインで読み込めるようになっているが,モデルの多くがLOD 1の箱型モデルでありテクスチャは付与されていないのが現状である.本研究は,モデル形状をLOD 1の箱型からLOD 3の開口部までに高精度化させるため,建物の部材の寸法をTSの対辺測定とレーザー距離計により実測して,この実測値を利用して開口部のピロティ・柱・ベランダ・窓・屋上・外壁排気口までをGISによりモデル化した.また,高精度テクスチャをモデルに貼り付けるため,側面写真を貼り付けた.歪み補正する縦横比は,先の実測値より求めた.この結果,LOD 3の高精度テクスチャ付きモデルを作成できた.

  • 加藤 諒, 北川 悦司, 本間 亮平, 若泉 拓磨, 谷口 宙河, 東 優介
    2025 年 81 巻 22 号 論文ID: 24-22015
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル 認証あり

     マーカレスARは,特定のマーカを必要とせず屋内外で利用できるため,ナビゲーションや商品販促,建造物の維持管理,医療などの幅広い分野で役立てられている.特に,図面や点検台帳をはじめとするGISデータを現地でAR表現することのニーズは高い.著者らの先行研究では,SLAMを用いてリアルタイムに取得した平面の位置関係(距離や角度)からマーカを自動作成し,GISデータを対象にそのマーカを検索することでAR表現するシステムを開発した.しかし,AR表現後に計測者が移動すると,GISデータの重畳表示の位置にズレが生じる課題があることがわかった.そこで,本研究では,SLAMで新たに1つの平面を取得することで,リアルタイムに重畳表示の位置ズレを逐次補正する技術を開発した.実証実験の結果,重畳表示の位置ズレを逐次補正できることを確認した.

  • 髙橋 秀昌, 山口 裕哉, 岡本 直樹, 室井 和弘, 岩上 弘明, 佐田 達典
    2025 年 81 巻 22 号 論文ID: 24-22016
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル 認証あり

     ダイナミックマップはGNSSなどを搭載したMMSによって取得した3次元点群データにより作成された高精度3次元地図が基盤となっている.今後は交差点など車両旋回の多い一般道路での整備が予定されており,点群データの信頼性の低下が懸念されている.そこで本研究では直線部と旋回部での点群精度を比較するとともに,GNSSのうち,GPS,QZSS,GLONASS,Galileoの組合せがMMSで取得した3次元点群の精度に及ぼす影響を定量的に検証し,最も点群精度が安定するGNSSの組合せを求めた.その結果,直線部よりも旋回部で点群精度が低下することがわかった.衛星の組合せは,水平方向に関しては衛星の組合せによる差は少なかったが,高さ方向に関してはGalileoを併用した組合せが安定して高い精度を示した.

  • 森田 大成, 高徳 純也, 龍田 斉, 宮田 秀太, 川崎 聖
    2025 年 81 巻 22 号 論文ID: 24-22017
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル 認証あり

     近年の激甚化する災害への対策の必要性の高まりから,公開情報を活用して地方自治体が管理する土木構造物の維持管理の高度化と防災対策の強化を目的に,xROADの橋梁情報を主軸として,その他公共データをAPI連携可能とするプラットフォームを開発した.本システムのダッシュボードと絞り込み機能によって多数の橋梁群を対象としたマクロ的な分析,登録された3Dモデル等のデータ重畳描画機能によって個別橋梁に対するミクロ的な分析が可能である.本システムを令和6年能登半島地震における橋梁被害の現地調査と被害分析に活用した結果,迅速な橋梁の情報収集への有効性,複数データの重畳による橋梁被害分析の有用性を示した.また,道路リスク評価検証結果から,リスクアセスマネジメントへの活用が見込まれた.

  • 佐田 達典, 山口 裕哉, 岡本 直樹, 室井 和弘, 岩上 弘明, 福井 巧海
    2025 年 81 巻 22 号 論文ID: 24-22018
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル 認証あり

     地下インフラの埋設工事において,先行埋設物の破損を未然に防ぐため,地中レーダを用いた地下埋設物の位置検出技術が必要とされている.地中レーダは表面から電磁波を地中に照射し,埋設管からの反射を利用して画像判読により埋設管の土被りを測定する.本研究では,誤差数cmで測位できるVRS用GNSS受信機と走行距離計DMIを備えた地中レーダにより,埋設管と空洞の位置が既知の試験ヤードでの測定を行い,管の材質,径と検知の可否,空洞の形状,寸法,深さと検知の可否を検討し,位置検出精度を求めた.その結果,VRS測位と走行距離計測に連動した埋設管と空洞の位置検出精度は水平較差で0.2m以内,鉛直較差で0.05m~0.2m程度となった.また,深度が大きくなるほど鉛直較差は大きくなった.

  • 佐田 達典, 山口 裕哉, 岡本 直樹, 室井 和弘, 岩上 弘明, 内藤 丈登
    2025 年 81 巻 22 号 論文ID: 24-22019
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル 認証あり

     SLAM(自己位置推定同時地図作成)技術を利用したリアルタイム空間把握手法のうち,センサにレーザ(Lidar)を用いるLidar SLAM技術による自己位置推定はGNSSやIMUを利用することなく,予め計測したベースマップのLidar点群と計測時のLidar点群をマッチングすることで行われる.しかし,自己位置推定の精度に影響を及ぼす要因については十分に検討されていない.特に計測車両の走行速度及び点群探索範囲の影響を検討した事例は少ない.本研究ではLidar SLAMによる自己位置推定において移動体の走行速度及び点群マッチング範囲の影響に焦点を当てた実験を行い,高精度GNSS/IMUによる測位結果と比較することにより,その影響を定量的に検討した.その結果,走行速度20km/h,40km/h,60km/hでは影響はほとんどないこと,点群マッチング範囲は近傍点を含めると大きく精度が低下することがわかった.

  • 飯塚 洸貴, 佐田 達典
    2025 年 81 巻 22 号 論文ID: 24-22020
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル 認証あり

     QZSSが提供するセンチメータ級測位補強サービス(CLAS)は未だに有効な解の点検方法が確立されていない.本研究では,ネットワーク型RTK法において作業規程の準則で規定された点検方法に準じた点検をCLASで行い,その有効性を検討した.CLASのFix解取得開始時刻から300秒までのデータを対象に平面直角座標X,Y,標高の既知点座標からの較差を箱ひげ図と点検正解率で比較評価した.その結果,作業規程の準則と同じ較差の許容値の場合の点検正解率はX座標で75%以上,Y座標で90%以上となったが,標高は70%に達しなかった.したがって本研究で検証した点検方法は水平方向(X座標, Y座標)では有効となる可能性があるが,標高の点検への適用は困難であることがわかった.

  • 加藤 創大, 山口 裕哉, 岡本 直樹, 室井 和弘, 岩上 弘明, 佐田 達典
    2025 年 81 巻 22 号 論文ID: 24-22021
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル 認証あり

     Mobile Mapping System(MMS)では,トンネルなどのGNSS電波を受信できない遮蔽環境下においては,Inertial Measurement Unit(IMU)を用いて位置情報を補いMMSの位置や姿勢を推定する.既存研究では衛星非受信空間での計測距離が長くなるほどIMUの影響による較差が増大するとされている.そこで本研究では衛星非受信区間であるトンネルで走行条件を変更しMMSによる移動計測を行い,検証点での位置誤差を評価し,経過時間と位置誤差増加度との関係を明らかにした.直進,中央部折り返し,終端部折り返しなどの10パターンという様々な走行条件で実施した結果,トンネル進入後60秒までは3次元較差で0.1m以内の計測性能を満たすことが確認された.

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