不眠を訴える入院患者のうち入眠困難と中途覚醒の訴えの患者に焦点をあて足浴の効果について検討した.評価指標は,主観的睡眠感,心拍数,心拍変動解析 (高周波成分 (HF),低周波成分-高周波成分比 (LF/HF)),手首活動量計による睡眠覚醒に関する項目を用いた.
入眠困難を訴える患者 (男性4名,53.0±9.4歳) では,足浴を行った場合 (FB) は行わなかった場合 (CT) にくらべ,主観的睡眠感の総得点とその因子「入眠と睡眠維持」が有意 (
p <0.05) に高かった.さらに心拍数では,FBはCTにくらべ消灯後と入眠後に有意に低く (
p <0.05),交感神経活動を表すLF/HFは入眠後に有意に低かった (
p <0.05).つぎに,中途覚醒を訴える患者 (男性4名,57.8±10.3歳) では,心拍数ではFBはCTにくらべ消灯後と入眠後に有意に低かった (
p <0.05) が,LF/HFでは有意差はなかった.副交感神経活動を表すHFは,FBがCTにくらべ消灯後に有意に高かった (
p <0.05).
よって不眠に対する足浴の効果は,中途覚醒よりも入眠困難の訴えがある患者のほうがより効果的であると考えられた.
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