一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第54回大会
選択された号の論文の401件中101~150を表示しています
  • 渡辺 澄子, 村田 温子, 増田 智恵
    p. 101
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    中学、高校生の生活構造とその変容を明らかにすることを目的として、2001年11∼12月、三重県下の中学26校、高校23校にてクラス単位の自記式集合調査を行った。有効回答数は2,256名である。調査内容は、「生活時間」「生活空間」「生活意識」の概念から17変数を設定した。分析方法は単純集計、クロス集計およびクラスター分析を行った。その結果、生活時間や放課後の過ごし方、衣食住の個々のライフスタイル間には中学生と高校生の間に変容がみられるが、生活信条や規範意識などの意識項目や人間関係項目には中学生と高校生の間にあまり差が見られなかった。意識形成の要因が生育環境等に起因するのではないかと推察される。
  • 八幡(谷口) 彩子
    p. 102
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    (目的)『家内心得草』(附録)とその原典資料How I Managed My Houseの比較検討を通して、同書翻訳刊行の意図について考察する。(方法)資料として、穂積清軒抄訳『家内心得草 一名保家法』(附録)青山堂、明治9(1876)年、Warren, Comfort for Small Incomes; or, How I Managed My House, John E. Potter and Company, Philadelphia, (?)を用いた。(結果)1)『家内心得草』(附録)の原典は、Warren, How I managed My House on Two Hundred Pounds a Yearである。2)原著者は英人女性という以外不明であるが経験を積んだ主婦と予想される。3)原典は英米でよく売れていることが記されている。4)原典は7章とまとめからなる(本文のページ数88)が『家内心得草』(附録)に抄訳されたのは第1章10ページである。
  • 吉澤 千夏, 大瀧 ミドリ, 松村 京子
    p. 103
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は3歳児の持つ食に関するスクリプトの構造とその特徴及びスクリプトの構造化に関する母親の関わりについて明らかにすることを目的としている。対象者は3歳児とその母親44組である。玩具を設置した観察室での自由遊びをVTRに録画し、ままごと遊び場面を抽出し分析対象とした。分析には、吉澤ら(2001)が作成したスクリプトの構成要素であるスロットをチェックするカテゴリーを用いた。カテゴリーの分類にあたっては、映像をコンピュータに取り込み、5秒毎にファイルを作成し、各ファイル画面における発話·行為の発生頻度をチェックした。3歳児のままごと遊びにおけるスクリプトは、多くのスロット間において、時系列的関連付けがなされていることが明らかになった。
  • —小学校における性の学習を通して—
    林 一真, 草野 篤子
    p. 104
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    性情報が氾濫する現代社会において、子どもが自らの性に向き合い、主体的に性に関わり人間としてより良い生活をおくり行動できるよう授業展開を考えていく必要がある。「セクシュアリティ」、「マイノリティ」、「人権」、「児童の権利に関する条約」、「学習指導要領」を基礎的研究とし、現在小学校で行われている性教育の授業実践を通して、性教育の現代的必要性や今後の展望を考える。結果として、性教育で扱う学習材は、人間理解の様々な内容に派生し、人を尊重する正しい人間理解の基本は、科学的な知識であることが明らかとなった。生きる力をはぐくむ性教育は、画一的な方法論に基づいては成り立たない。今後の性教育は、学習材をもとに、人間理解の様々な内容に派生していかなければならない。
  • 南 元子
    p. 105
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    教育の場で「芝居じみた遊び」をすることに否定的であった明治時代、和田実は初めて、演劇教育の意義を認め、その必要性を説いた人物である。和田の教育論は「遊戯論」に特徴があり、「模倣的遊戯」という言葉を使い、保育における教育的価値を訴えた。ただこれは、当時人気を博した「お伽芝居」とは区別される。「お伽芝居」は、脚本を子どもが演じるものであるが、「模倣的遊戯」は、読み聞かせてもらった物語や、遊びの中で体験した感情や感覚を子ども自ら再表現することであり、あくまでも子ども主体の脚本の無い即興的な劇遊びであることを、和田は強調した。
  • 吉川 晴美, 鈴木 百合子
    p. 106
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    目的:本学では15年間に渡り地域に開いた親子参加型の保育活動を授業として行うといった画期的な試みを実施してきた。今回はまず子育て·発達支援のあり方や方法について親の参加動機から明らかにする。方法:母親(189名)により記述された参加動機の内容を分析、考察する。結果と考察:87∼91年群(A群)、92∼96年(B群)、97∼01年(C群)の各々について共通性、差異性、個別性から検討する。A群とC群の共通性:子に関連する動機が基になりなかでも子の対人関係について多くみられる。差異性:今日(C群)では子-自己(発達等)についての内容が減り、親-もの(情報、学習等)についての内容が増えている傾向(P<.01)がみられる。周りとの豊かな関係性を育む状況づくり、支援が必要とされている。
  • 岡芹 愛子
    p. 107
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    近年、我が国では少子化の進行が問題視され、進行の一因として、有配偶女性における就業者数の増加が指摘されている。一方、女子労働力率がM字型を成す日本に対し、フランスでは逆U字型であるが、合計特殊出生率が我が国より高率を示し続けている。その背景に母親学校における預かり保育や休日保育の実施があるのではないかと考え、パリ大学区所管公立学校の2000/2001年度の制度を対象に分析した。その結果、下記の点が日本の少子化対策に対し示唆を与えるものと思われる。(1)3∼5歳児では実質上待機児童問題は存在しない。(2)平日は家庭の状況を考慮した保育時間である。(3)保育料に関しては、家庭の収入の多少に関係なく利用できるよう配慮されている。(4)「保育に欠ける」とされない幼児も利用可能である。
  • 園田 純子, 堀 康二
    p. 108
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    生活習慣病の誘発要因を軽減化すると見直されている食物繊維について、日本および韓国の大学生がどのような意識をもっているかを調査した。日本·韓国の大学生は、ともに食物繊維という言葉の認識度が高かったが、不溶性食物繊維と可溶性食物繊維に対する認識度は高くなく、特に日本で低かった。両国ともに食物繊維から連想する食品として野菜類をあげるものが多く、海藻類やキノコ類、果物をあげたのは、わずかであった。海藻類やキノコ類の嗜好性および摂取頻度は両国とも高かった。食物繊維を健康食品により摂取しようと考えるものは両国ともに少なかった。日本および韓国において嗜好性も摂取頻度も比較的高い海藻類·キノコ類の、可溶性食物繊維源としての重要性を再認識することが望まれる。
  • 広井 勝
    p. 109
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    きのこは自然食品としてその機能性が注目されている。そこで、きのこの嗜好性とイメージについて、女子学生を対象にアンケート調査を行った。きのこが好き、どちらかというと好きという回答が90.2%を占めていた。好きなきのこはシイタケ、エノキタケをあげる人が多かった。好きな理由は歯ごたえ、味が上位を占めていた。嫌いな理由は臭い、形、色など外観的判断で口にしない人が多い。きのこをよく食べる理由は、味覚の点と健康面、調理の容易さをあげる人が多かった。調理法としては、炒めるが最も多く、次いで汁物、炊き込む、煮るであった。きのこのイメージとしては、低カロリー食品、健康食品、ガン予防などよいイメージが多かった。好ましくないと答えた人は有毒、虫がいるなど暗いイメージを持っていた。
  • 久保田 紀久枝, 豊本 光世, 森光 康次郎
    p. 110
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    油脂を加熱した際に生成されるアルデヒド類は香りに影響を与え、アセトアルデヒド、アクロレインなど低沸点アルデヒドは体に悪影響を及ぼす環境汚染因子としても注目されている。本研究では、豚肉の脂身、牛肉の脂身、コーンオイルを試料とし、それぞれ100、120、150℃にて30分間加熱した際に生成されたC2∼C6直鎖アルデヒドやアクロレインの組成および生成量を測定し、加熱温度や油脂の種類の影響を調べた。ヘッドスペースガス中のアルデヒド類をDNPHカートリッジにより捕集し、HPLCを用いて定量した。アクロレインやヘキサナール量など、油脂により、また、加熱温度により低沸点アルデヒドの組成に大きな違いがあった。スパイスを添加した場合の影響についても検討した。
  • 田尾 早奈英, 田中 伸子
    p. 111
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    魚油に多く含まれる不飽和脂肪酸は化学的に不安定な性質のため、食べられる状態に至るまでには劣化が進行すると推察される。また調理操作の基本である加熱に注目した場合, 電子レンジはその機能性と簡便さゆえ使用頻度が高い。そこで、不飽和脂肪酸を多く含み大衆魚であるイワシを用いて、電子レンジ加熱による脂質の劣化について検討した。加熱条件毎にイワシ3尾をまるごと使用し、加熱·細断後、クロロホルム:メタノール混液で抽出した。定法により過酸化物価、カルボニル価、酸価を測定し、生イワシの測定値を基準に比較検討した。電子レンジ加熱は従来のガス加熱に比べ、POV、COVに増加傾向が見られたが、AVは大きな変動がないなどの結果が得られ、劣化の進行状況の差異が明らかであった。
  • 村上 和雄, 成田 素子, 和田 裕子
    p. 112
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    緑茶中に含まれるカテキン類は抗酸化作用, 抗変異原生, 抗菌作用, 抗高血圧などの生理活性をもち、最近は内分泌攪乱化学物質の作用を防ぐとの報告がある。本研究では、フェノール類に対し高い感度を示す電気化学検出器を装備した逆相クロマトグラフィーによるカテキン類5種の分析法を確立し、種々の茶葉中のカテキンの定量に応用にした。17%アセトニトリル-83%水(NaNO3, pH3.1), 流量0.8ml/分, 検出器の設定電位0.7Vのとき、5種のカテキン類の分離がよく、シャープなピークが得られた。最小検出量は300pgであった。得られた条件で、日本茶, ジャスミン茶, 紅茶, ほうじ茶, 中国茶中のカテキン類の測定に応用した。
  • 加藤 みゆき, 結城 晶子, 木下 朋美, 大森 正司
    p. 113
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    ミャンマーにおける竹筒茶の成分について分析した結果、ポリフェノール類が13%存在していた。これはアッサム種の含有量と一致していた。しかしカテキン類は少なかった。糖含有量もシュークロースなどが多く存在していた。香気成分については、加熱香気生成物のピラジン類が存在していた。低沸点化合物より高沸点化合物が多く存在していた。
  • 望月 てる代, 上田 愛子, 石永 正隆, 吉田 桂子
    p. 114
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    多数のフラボノイドを同時に分離·測定するため、逆相カラムを用いたHPLCの移動相、グラディエント等の分析条件について検討を行った。18種のフラボノイド(ダイジン、ダイゼイン、ゲニスチン、ゲニステイン、グリシチン、グリシテイン、ルチン、ケルセチン、ミリセチン、ルテオリン、ケンフェロール、アピゲニン、フィセチン、ナリンギン、ナリンゲニン、ヘスペリジン、ヘスペレチン、フラボン)は、酢酸を含む水、メタノール、アセトニトリルの3液グラディエントシステムにより、完全に分離することができた。この分析方法は、食事試料中のフラボノイドの分離·定量に応用できることが認められた。
  • 小河 拓也
    p. 115
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    兵庫県において育成した紫黒米「むらさきの舞」のアントシアニン系色素を飲料、加工食品に利用するため、原材料及び抽出液の色素成分の諸性質を調査した。結果、外観品質の色調及び色素量は30℃貯蔵12か月後においても大きな変化はなかった。色素の抽出効率は抽出液のpHが低くなるほど効率が高くなり、エタノール濃度40∼60%の抽出効率が最も高かった。色素抽出液は金属イオンによって変色が起こった。熱における変化は小さかった。また30℃貯蔵においては退色がみられた。
  • 福島 正子, 竹山 恵美子, 佐藤 理栄, 松本 孝
    p. 116
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    粘性多糖を多く含む食物繊維はAlと結合しやすいが, 食物繊維の機能性は加熱で影響を受けやすい。そこで食物繊維のAl結合能に及ぼす加熱の影響を, 分子量と官能基の面から検討した。試料は電子レンジとオートクレーブで加熱し, Prosky変法で水溶性, 不溶性食物繊維を分画抽出した。この食物繊維画分とAlの結合量を吸光光度法で測定するとともに, 分子量をゲルろ過, 官能基はIRで測定した。その結果, 食物繊維の一部では加熱でAl結合量の増加が認められた。モロヘイヤ·オクラでは, オートクレーブ加熱で酸性多糖の増加と著しい低分子化が認められた。また一部の水溶性食物繊維は加熱で, 1640cm-1付近の塩型カルボキシル基の増大と1730cm-1付近のピークの減少が認められた。
  • 古館 明洋
    p. 117
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    亜鉛を多く含む農産物としては豆類が知られる。これまでに、北海道網走地方特産の白花豆について、子実の亜鉛含量と土壌の0.1N塩酸可溶性亜鉛に正の相関がみられることを報告した。ここでは、大豆を対象に両者の関係を検討した。2001年10月上旬に津別町20ケ所で大豆20株とその畦間土壌を採取した。大豆の亜鉛含量は2384∼4480μg/100gの範囲にあり、その平均値は3463μg/100gであった。土壌の0.1N塩酸可溶性亜鉛は2.0∼14.5ppmの範囲(平均値6.6ppm)にあり、普通畑の土壌診断基準値2∼40ppmの範囲内であった。大豆の亜鉛含量と土壌の0.1N塩酸可溶性亜鉛には有意な正の相関がみられた。大豆の亜鉛含量は土壌の0.1N塩酸可溶性亜鉛に影響されるものと考えられた。
  • 水野 時子, 山田 幸二
    p. 118
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    大豆の水浸漬によるγ-アミノ酪酸(GABA)の変動を検討するため、大豆の種類、浸漬温度、および浸漬後の放置の有無について実験を行った。実験1として青大豆2種、黒大豆2種、黄大豆5種を用い、水(水温20℃、40℃)に1時間浸漬後、20℃の定温機に4時間放置した。実験2として、黄、黒、青大豆を水(水温3℃、20℃、40℃、60℃)に1時間浸漬後、大豆を等分し、一方を20℃の定温機に3時間放置した。大豆のGABA含量は2.7∼12.6mg/100g(Dry)で大豆の品種により差がみられ、特に黄、黒大豆に対し青大豆で少なかった。黄、黒、青大豆とも水浸漬によってGABAが特異的に増加し、水温40℃で最も顕著であった。さらに、水浸漬後放置することにより、黄、黒、青大豆とも、GABAは増加した。
  • 庄司 一郎
    p. 119
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    甘皮層粉の欠点を解消し, 有効利用を目的として, 甘皮層粉を複合酵素により分解し, 凍結乾燥品とした際の理化学性やそば麺に及ぼす影響について検討した。甘皮層粉は更科そば粉や薮系そば粉に比してタンパク質、脂質, ミネラル、食物繊維, ビタミン及びE含量が高く, 酵素処理により未処理粉よりもミネラル, 食物繊維, 直糖が増加した。甘皮層粉酵素処理粉は冷水時と高温時の膨潤度, 溶解度に差がなく, 膨らみやすく, 溶けやすい性質を示した。甘皮層粉添加そば切りの製麺適性試験からは半生及び冷凍タイプ麺は乾燥タイプに比して耐煮沸性が劣り、煮崩れしやすい傾向を示した。官能評価からは甘皮層粉を添加した乾麺更科系そばは冷凍薮系そばに比べ外観、食感及び風味での評価が高く有意に好まれた。
  • 安藤 真美, 三好 正満
    p. 120
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    イカ筋肉のコラーゲンについて, 電子顕微鏡によりその繊維構造を観察するとともに, 各種イカの未加熱の筋肉よりコラーゲンを抽出し, 加熱により溶解するコラーゲンと溶解しないコラーゲンについて比較を行い, 溶解性の違いの原因について考察した。組織観察の結果より, 筋肉中のいたるところにコラーゲン繊維の集合体が存在しており, それらは30分間の沸騰水加熱によっても繊維構造を失わなかった。熱可溶性および不溶性コラーゲンの比較では, 主なアミノ酸の組成はHypを含めてほとんど同じであった。しかし, 成熟コラーゲンの主要な分子間架橋であるピリジノリンは, 不溶性コラーゲンにおいて有意に多く含まれていた。以上の結果から, 耐熱性の大きいコラーゲンにはHyp含量よりもむしろピリジノリン含量が大きく影響している可能性が示唆された。
  • 高橋 智子, 川野 亜紀, 飯田 文子, 大越 ひろ
    p. 121
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    摂食機能に障害を持つ人の食事に適した食肉開発の基礎的研究として、豚肉を材料に用い、重曹溶液浸漬による軟化処理肉とデンプンを加えた再構成肉の力学的特性、食べ易さおよび咀嚼回数、咀嚼運動について検討を行った。いずれの試料肉の破断応力にも圧縮速度依存性が認められ、軟化処理肉の圧縮速度依存性と再構成肉の圧縮速度依存性は異なる傾向を示した。また、試料肉の破断応力が大きくなるに従い、咀嚼時にかたく食べにくくなると評価された。破断応力が最も小さい再構成肉の咀嚼回数は他の試料肉に比べ有意に少ないことが認められた。また、試料肉の破断応力が大きくなるに従い、1回目の咀嚼運動より得られた閉口相時間は長くなり、また閉口速度は遅くなる傾向を示した。
  • 西澤 千惠子, 北野 亜紀, 鈴木 美弥, 小長井 ちづる, グュエン ヴァン·チュエン
    p. 122
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    コーヒーは牛乳やクリームなどと混合され、飲料されることが多い。そこでコーヒーに牛乳、クリーム、砂糖などを添加した時に、コーヒーの有する抗変異原性、抗酸化性およびラジカル消去作用が変化するかどうかを検討した。その結果コーヒーおよび牛乳を原料とする添加物はこれだけで抗変異原性、抗酸化性およびラジカル消去能を示した。またコーヒーにこれらの添加物を加えると、抗変異原性およびラジカル消去能は大きくなり、抗酸化性はコーヒーとの中間の値を示した。これらの性質はコーヒー中のクロロゲン酸と乳製品中のカゼインが関係していると思われ、混合してもクロロゲン酸やカゼインは妨害されることなくそれぞれの性質を発現しているものと推察された。
  • 磯部 由香, 森岡 めぐみ, 成田 美代
    p. 123
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    三重県産「赤混黒米」中のアントシアニン系色素の同定を行うとともに、加工上重要な項目である色素の安定性および機能性の中から抗変異原性についても検討を行った。本色素に含まれるアントシアニン系色素の主成分はシアニジン-3-グルコシドであった。本色素溶液の色調は酸性下では比較的安定だが、pHを上昇させるとともにa値は減少し、b値は増加し、安定性は低下する傾向にあった。100℃60分間の加熱により、a値は約60%に減少した。金属イオンの影響としてはAl3+、Zn2+、Fe2+の添加により大きく色調が変化し、その変化は金属イオンによって異なっていた。本色素溶液はTrp-P-2のSOS反応を高く抑制し、抗変異原性を有することが示唆された。
  • 杉山 文美, 山口 智子, 高村 仁知, 的場 輝佳
    p. 124
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では大豆タンパク質が有するラジカル捕捉活性を測定し、ラジカル捕捉活性に寄与する成分について検討した。試料として脱脂大豆粉、および大豆タンパク質(7S画分、11S画分、脂質含有タンパク質群)を用いた。ラジカル捕捉活性は、DPPH-HPLC法と、2’-デオキシグアノシン酸化法を用いて測定し、イソフラボンはHPLCにより分別·定量を行った。また、加熱調理を加えた場合の影響についても検討した。ラジカル捕捉活性は両測定法ともに7S画分が最も高い活性を示した。脂質含有タンパク質群は、DPPH-HPLC法では活性がみられなかったが、2’-デオキシグアノシン酸化法では高い活性がみられた。脂質含有タンパク質群の総イソフラボン量は脱脂大豆粉の3分の1であった。
  • 石渡 仁子, 高村 仁知, 的場 輝佳
    p. 125
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では渋柿から干柿を製造する過程におけるラジカル捕捉活性および活性成分であるポリフェノール, アスコルビン酸の変化について検討した。干柿は手作りし, 皮をむかないで追熟して甘くした熟柿, 市販の干柿や醂柿(さわしがき)についても測定した。ラジカル捕捉活性はDPPH-HPLC法で, アスコルビン酸はDNP-HPLC法で, 総ポリフェノール量はFolin-Ciocalteu法で測定した。干柿のラジカル捕捉活性は渋がなくなるに従い, ラジカル捕捉活性が1/5∼1/10に減少した。市販の干柿も, 手作りの干柿や醂柿と同じレベルであった。熟柿は渋味をもたないにもかかわらず, 渋柿と変わらないラジカル捕捉活性を保持していた。干柿の製造過程において, アスコルビン酸は1週間後には1/3に減少した。総ポリフェノール量も同様に減少した。
  • 高橋 享子, 鎌田 陽子, 福田 典子, 服部 益治, 大室 和代
    p. 126
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、OMに対するマウスモノクローナル抗体(OMmAb)を従来法に基づいて作製し、認識部位の異なった2種の抗体より卵加工食品中のOM量を定量測定した。また、OMを認識する患者血清を用いてIgE結合能よりアレルゲン定量を行い、OMmAb結合能との相関性を検討した。OMに対するOMmAbの結合量は0.1-10μg/mlの範囲で、卵白溶液に対するプール血清の結合量は1-100μg/mlの範囲で定量測定が可能であった。次に、市販加工食品についてはOMmAb(2種)、患者プール血清のいずれの結合能においても、調理加工法や形状の異なる13種の市販卵加工食品中で蒸しケーキのOM量が最も高い値を示した。また、2種のOMmAb、患者プール血清による免疫結合量からのOM量には相関性が認められた。
  • 岡田 瑞恵, 岡田 悦政
    p. 127
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    生体へ取り込まれた環境中の化学物質が内分泌系に影響を及ぼすことが問題になっている。本来結合すべきでない物質が細胞レセプターに結合することにより多くの影響が懸念されている。しかし、未だそれらの影響、機構は明らかではない。そこで、食用植物メタノール抽出成分により、環境ホルモンの一つであるビスフェノールAが細胞レセプターに結合することを抑制する目的で、エストロジェンレセプターに対するビスフェノールAの結合抑制をスクリーニングした。食用植物43種、52Sampleについて、エストロジェンレセプターへのビスフェノールA結合抑制の結果、抑制率50%以上が1種、30%以上が1種、20%以上が5種となった。Sampleを系に先に加えた場合、Sample間に差が見られなかった。
  • 松尾 眞砂子
    p. 128
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】キノアは疑穀物で、種実は良質のタンパク質、脂肪、ミネラルが豊富で、しかもバランス良く含まれている。本研究ではキノアをテンペ菌で発酵させると機能性がさらに高まることを証明する。【方法·結果】キノアのテンペ菌発酵物(キノアテンペ)はキノアより1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジルラジカルとスーパーオキシドアニオンの消去力が強かった。4週齢のWister系雄にキノアとキノアテンペを50%含む飼料を17日間投与すると、キノアテンペ投与ラットは血清のα-トコフェロールレベルが低下せず、血清と肝臓のTBA値の上昇を抑制され、GSH-Px活性が上昇した。これらの結果は、キノアテンペが生体内で抗酸化力を発揮することを示唆していた。
  • 横井川 久己男
    p. 129
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    低温細菌は容易に加熱殺菌されるが、低温細菌の菌体外加水分解酵素は耐熱性が高く、低温細菌の殺菌後も食品の品質を低下させるため、低温細菌を食品中で増殖させないことが必要である。本研究では、低温細菌と常温細菌の香辛料に対する感受性の違いを検討した。代表的低温細菌の3株、常温細菌として大腸菌と枯草菌の2株を用い、栄養培地における各種香辛料の増殖抑制効果を調べた。全体として低温細菌は常温細菌に比べて、香辛料に対して高い感受性を示した。単独の香辛料を低濃度で用いて、全ての低温細菌の増殖を完全に抑制することは困難であったが、オールスパイス、ターメリック、ナツメグ、ローレルリーブスの抽出液を低濃度で混合することにより、3種の低温細菌の増殖はいずれも完全に抑制された。
  • 稲垣 明子, 坂田 隆
    p. 130
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    大腸内の細菌が難消化性のオリゴ糖などの難消化性糖類を分解して酢酸や酪酸などの短鎖脂肪酸や乳酸やこはく酸などの有機酸をつくる。これらの酸には大腸からの水の吸収に影響をあたえる。そこで、大腸内細菌がつくる有機酸が大腸からの水の吸収にあたえる影響を検討した。実験はブタ大腸粘膜の管腔側から各種有機酸(NaCl、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、こはく酸を作用させて、水と有機酸、Naの吸収を測定した。その結果、こはく酸は大腸からの水の吸収に影響を与えることが分かった。
  • 山本 由喜子, 酒井 陽子, 川本 栄子
    p. 131
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    タマネギの血圧上昇抑制効果が加熱によりどのように変化するかを調べ、またNO代謝へのタマネギ加熱の影響を検討した。雄性SDラット(6週齢)を4群に分け、1群には水を、3群にはL-NAME水溶液(50mg/kg BW)を飲料水として投与した。水投与群には5%セルロース飼料を与え、L-NAME投与群には5%セルロース飼料、5%生タマネギ飼料、または5%加熱タマネギ飼料をそれぞれ与え、3週間飼育した。L-NAME誘発高血圧ラットに対する生タマネギの血圧上昇抑制効果は、タマネギを100℃で60分間加熱することにより消失した。またL-NAME誘発高血圧ラットにおける生タマネギによる血中TBAR上昇抑制作用は加熱により見られなくなり、尿中NO代謝物の減少や血量NOS活性の低下を抑制する傾向も見られなくなった。
  • 湯浅(小島) 明子, 湯浅 勲
    p. 132
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    VEGFは血管内皮細胞の増殖刺激作用を有する増殖因子であり、これらの作用はVEGFレセプターであるFlt-1とKDR/Flk-1の存在に依存する。VEGFは様々な腫瘍細胞から産生され、そのレセプターは主に血管内皮細胞で発現していることから、腫瘍血管新生を誘導することが明らかにされている。本研究では培養ヒト肝ガン細胞(HepG2)を用いてガン細胞の増殖と血管新生におよぼす茶ポリフェノールの影響について検討した。その結果、茶ポリフェノールのうちEGCとEGCGはガン細胞増殖と血管新生を抑制し、EGCは血管新生のみを抑制して、ガン化の進展を防ぐことが示唆された。
  • 湯浅 勲, 湯浅(小島) 明子
    p. 133
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    アロエの肝臓におよぼす影響を調べるために、培養肝細胞傷害モデルを用いてアロエ粉末の抽出物およびクロロホルム、酢酸エチル、ブタノールの各抽出分画の肝傷害保護効果について検討した。アロエ抽出物は1,4-ナフトキノン(NQ)による肝細胞傷害を濃度依存的に抑制した。その抑制効果は酢酸エチル抽出分画において最も顕著であった。NQによる細胞傷害に先立ち細胞内グルタチオンおよびタンパク-SH量の低下が認められたが、それらの低下はアロエ抽出物の添加により濃度依存的に抑制された。その際ジエチルマレートにより細胞内グルタチオン量を低下させたところ、肝細胞傷害の抑制効果およびタンパク-SH量はほとんど影響されなかったことから、肝傷害抑制効果にはタンパク-SH量が関与することが示唆された。
  • 福渡 努, 斉藤 智恵, 佐々木 隆造, 柴田 克己
    p. 134
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    焙煎したコーヒー豆はニコチン酸を多く含むことから, インスタントコーヒーのナイアシン活性を測定した. ナイアシン欠-トリプトファン制限食にインスタントコーヒー粉末をそれぞれ1%, 3%添加した食餌を3週齢雄Wistar系ラットに与え, 対照群にはナイアシン欠-トリプトファン制限食にニコチン酸をそれぞれ0%, 0.001%, 0.003%添加した食餌を与えた. インスタントコーヒー摂取により, 顕著な体重増加と血中及び肝臓中NAD含量の増加が認められ, 尿中のニコチンアミド及びその異化代謝産物量も顕著に増大した. 1%コーヒー食は0.001%ニコチン酸食よりも含有ナイアシン当量が少ないにも関わらず, 1%コーヒー食群の尿中異化代謝産物量は0.001%ニコチン酸添加食群よりも高い値を示した.
  • 小城 勝相
    p. 135
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    食品中のビタミンC(C)は貯蔵や調理で容易にデヒドロアスコルビン酸(DHA)に酸化される。今回、我々が開発した特異的·高感度測定法を用いて、経口投与したDHAの生理活性を評価した。遺伝的にCを合成できないODSラット(雄、6週齢)を5群に分け、それぞれに異なる濃度のCを含む水を与えた。3週間後12臓器のC、DHA、2,3-ジケトグロン酸(DKG)を測定した。0.1%DHAで飼育した群のC濃度は、0.1%C群もしくは0.03%-C群に比べて有意に低かった。全臓器で有意差が無かったのは0.01%-C群であったことから、経口投与のDHAのC活性はCの10%であることが分かった。以上より、食品中のCは、DHAとCを区別して測定する必要性がある。
  • 河野 節子, 大森 幸子
    p. 136
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    in vivo並びにin vitroで、即ち尾部懸垂卵巣摘除ラットモデルと骨芽細胞株を用いて、ビタミンD3受容体(VDR)並びにオステオカルシン(OC)遺伝子の発現に及ぼすエストロゲン(E2)とビタミンD3(VD3)の影響を検討した。骨芽細胞株にVD3(−)E2(−)、VD3(+)E2(−)、VD3(−)E2(+)、VD3(+)E2(+)の4群として培養し、12時間後にRNAを抽出、VDR、OCmRNAを定量した。in vivo並びにin vitroの結果から、骨のVDRmRNAの発現はE2により増加し、この作用にはVD3作用が必要であることが示唆された。一方、OCmRNAはin vitroではVD3存在下でE2により増加したが、in vivoでは減少した。このOVX-E2群でのOCmRNAの低下にはグルココルチコイド分泌の増加が関与している事が示唆された。
  • 得丸 定子, 小城 勝相
    p. 137
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、光化学的に発生させた·OHがアポトーシスを引き起こすことを示した。方法は、UV(366 nm)照射で選択的に·OHを生じる光フェントン反応試薬NP-IIIを、HL-60細胞培地に添加、UVを照射後、細胞を測定に供した。結果として、アポトーシスの割合はNP-III添加のみの対照群では24.5%、NP-III添加のUV照射群(NP+UV)では60.8%で、対照群より有意に高値を示し、DNAラダーも明確に観察された。caspase-3活性はNP+UV群では照射4h後に有意に増加した。procaspase-3はUV照射2h後には消失し、対照群は残存していた。以上より、·OHはHL-60細胞でのcaspase-3活性化を伴うアポトーシスを起こすことが初めて確認された。
  • 山下 広美, 伊月 あい, 金行 孝雄, 木本 眞順美, 比江森 美樹, 辻 英明
    p. 138
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    絶食時、脂肪酸はβ酸化を受けケトン体に変換されると考えられてきたが我々の研究でアセチル-CoA加水分解酵素を介して酢酸も生成されることが見いだされた。本酵素の作用による酢酸生成の制御を検討するため本酵素を単離精製しその酵素学的な特性及び諸臓器における分布について調べた。ラット肝臓より単離したミトコンドリアを可溶化後カラムクロマトグラフィーにより単一のタンパク質を精製した。本酵素をN末端アミノ酸配列分析に供した結果3-ケトアシル-CoAチオラーゼと一致し、本酵素が2つの活性を持ちそれぞれの基質はお互いの拮抗阻害剤として作用することが明らかになった。さらに本酵素に対するポリクローナル抗体を用いた実験により本酵素が肝臓と心臓に多く発現していることが明らかになった。
  • 藤原 葉子, 堤 智恵子, 倉林 聡美, 澤田 留美, 脊山 洋右, 安田 文, 金子 和代
    p. 139
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    オリーブ油を常食とする地中海沿岸地域では冠動脈疾患の罹患率が低いことから、オリーブ油の栄養学的研究が進み、一価不飽和脂肪酸のコレステロール低下作用やLDLの酸化抑制効果が示唆されている。近年ではオレイン酸含量を高める品種改良が盛んで、様々な高オレイン酸種の油が利用できる。本研究では、コレステロール代謝における油種の影響について高オレインヒマワリ油(HO)と高リノールサフラワー油(HL)を用いて検討した。方法は、4週齢の雄性モルモットを一週間予備飼育後、0.4%コレステロール負荷飼料に15%試験油を添加して4週間飼育した。その結果、血中総コレステロール値は、HO、HL群ともにパーム油群と比較して有意に低値を示したが、HDL-コレステロールは、HL群でのみ低下傾向が見られた。
  • 阿部 稚里, 池田 彩子, 山下 かなへ
    p. 140
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    βアミロイド誘発性の学習障害を、ゴマ摂取によって改善する可能性について検討した。4週齢のWistar系雄ラットを、α-Toc(50mg/kg)添加飼料群(α-Toc群)、α-Toc(50mg/kg)およびゴマ(200g/kg)添加飼料群(α-Toc+ゴマ群)の2群にわけて飼育した。14週齢でβアミロイド注入手術を行い、15週齢で放射状迷路試験を行った。大脳、小脳、脳幹および海馬中α-Toc濃度は、α-Toc+ゴマ群で有意に上昇し、大脳中TBARS濃度は、有意に減少した。一方、放射状迷路試験では有意差は見られなかった。以上の結果から、ゴマ摂取時に脳中α-Toc濃度が上昇し、TBARS濃度が減少することが確認されたが、学習能力に及ぼす影響については明らかにできなかった。
  • 岡崎 由佳子, 片山 徹之
    p. 141
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、DDT摂取ラットの代謝変動に及ぼす食餌炭水化物及びミオイノシトールの影響について検討した。肝臓の脂質含量、脂肪酸合成関連酵素活性、TBA値、薬物代謝酵素活性は、DDTにより顕著に増加した。ショ糖摂取群は、DDTによる肝臓の総脂質と中性脂肪及びコレステロール、脂肪酸合成関連酵素活性、TBA値、チトクロームP-450含量の増加を促進させた。食餌ミオイノシトールは、DDTによる肝臓の総脂質及びコレステロール、脂肪酸合成関連酵素活性の上昇を抑制し、ミオイノシトール添加のスターチ摂取群は、DDTによる薬物代謝酵素活性の上昇を促進させた。以上の結果より、DDT摂取下では食事からのスターチ及びミオイノシトールの供給が重要になるのではないかと推察した。
  • 山田 愛, 吉岡 慶子, 関 あずさ, 和田 俊
    p. 142
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    イカ甲羅抽出カルシウムおよびカツオ内臓エキスビタミンDをラットへ投与し、大腿骨の形態観察、骨中無機質含量および骨密度の計測を行い、イカ甲羅抽出カルシウムとカツオ内臓エキスビタミンDの骨形成促進効果を検討した。大腿骨形態観察ではイカ甲羅抽出カルシウムおよびビタミンD投与群で、骨質が厚く、染色性も良好であった。カルシウム単独投与群でもほぼ同様の骨組織の状況で骨芽細胞が多く観察され、イカ甲羅抽出カルシウムの骨形成促進効果がみられた。ラット大腿骨カルシウム量、無機リン量および骨密度はこれらの所見を反映し、骨形成に対してイカ甲羅抽出カルシウムの有効性が示唆された。
  • 笹田 陽子
    p. 143
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    (目的)青年期女子の生活習慣·食習慣はこれからの健康に大きな影響を与える。特に骨は20歳くらいまでに完成し、その骨量は20歳代から30歳代で最大を示す。骨量と食生活の関連を明らかにし、食教育の基礎資料を得ることを目的に本調査を実施した。(方法)本学女子学生を対象に骨密度および骨密度に関するアンケート調査、食物摂取調査(記述および面接法)、食生活状況調査(留め置き法)を実施した。(結果)調査対象者のBMIは21.0±2.91で、その音響的骨評価(OSI)は、2.73±0.29で、同年代と比較し100.5±2.91%で、異常なしが66人81.5%で、栄養摂取状況は、Ca(437±238.1mg)、鉄(6.6±3.80mg)の不足は顕著で、Ca所要量を認知している者は44.4%であった。
  • 麻見 直美, 江澤 郁子
    p. 144
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    骨粗鬆症の予防/治療に摂取Ca量がどのように影響するか、卵巣摘出骨粗鬆症モデルラットを用い検討した。(1)6週齢SD系雌ラットに卵巣摘出術を施し、0.3%Ca食、0.8%Ca食、1.2%Ca食で飼育した。(2)6週齢SD系雌ラットに卵巣摘出術を施し、0.01%Ca食で飼育し骨粗鬆症モデルとし、前述の3種類の飼料でそれぞれ飼育した。骨密度において、(1)(2)ともに0.3%Ca群に比べ0.8%Ca群·1.2%Ca群は高値を示した。(1)では0.8%Ca群に比し1.2%Ca群が有意な高値を示したが、(2)では0.8%群と1.2%群に差はみられなかった。Ca吸収量は、(1)(2)ともにCa摂取量の増加に伴い増加した。以上より、充分なCa摂取は骨代謝に必須であるが、とくに摂取Ca量を増やし骨量減少を抑制することが、極めて重要であることが示唆された。
  • 赤澤 典子
    p. 145
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は鉄欠乏動物を作成し、血清のテストステロン量や精巣の組織学的変化を観察し、鉄欠乏のそれらに及ぼす影響について検討した。鉄欠乏区では、対照区に比べ血清ヘモグロビン量、ヘマトクリット値や血清, 肝臓、脾臓中の鉄量は明らかに低値を示し、脾臓や心臓の肥大が認められ、明らかに鉄欠乏の状態を示した。これらのラットの精巣のライディヒ細胞は萎縮が見られ、血清のテストステロン量の低下が認められた。また鉄欠乏区では血清中の過酸化脂質(TBA値)は高値を示し、血清トリグリセリド, コレステロール量も著しく高い値を示した。鉄欠乏動物では性ホルモン分泌機能が低下することが認められ、それは鉄欠乏による酸化促進が影響していることが伺えた。
  • 田中 絵里香, 伊藤 千夏, 福原 桂, 金子 佳代子
    p. 146
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    超音波法による骨評価値と生活習慣や栄養素等摂取量がどのように関連しているかを明らかにすることを目的に、東京近郊に在住する高校生と大学生を対象として調査した。Aloka社製、超音波骨評価装置AOS-100を用い、踵骨部位の音速、透過指標、音響的骨評価値(OSI)をまた、身長、体重、バイオインピーダンス法(TBF-300、タニタ社製)による体脂肪率、握力を測定した。現在の運動習慣や減量の経験、食物摂取頻度調査等を質問紙法により調査し比較検討した。その結果、OSIは高校生、大学生とも女性よりも男性の方が有意に高かった。男性においては高校生よりも大学生の方がOSIが有意に高く、女性では、OSIと除脂肪体重、握力との間に有意な正の相関が見られた。
  • —牛乳の飲用状況と食生活との関連について—
    辻 ひろみ, 麻見 直美
    p. 147
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    [目的]若年女性の健康·食生活に関する意識の低下がみられることから、今後の栄養改善支援策の検討のために、下記の調査を行った。[対象·方法]18∼20歳の短期大学に通う女子学生496名を対象に、コンビニエンスストアでの食品の購入頻度·品目、食生活状況、家事役割の有無、身体状況等のアンケートを実施した。[結果]食事に気をつけるという者の中には、牛乳を毎日飲む者が多く、食事に気をつけていない者は牛乳をほとんど飲まない者が多くみられた。今回、自分の食事への興味や、「食」に関わる家事分担意識をもち食事作りをすることが、牛乳を毎日飲むという行動と関連していることが明らかになった。学童期に継続し、若年者への食生活改善目標にも、牛乳飲用習慣の定着が、重要であることが示唆された。
  • 上岡 薫, 寺島 みさほ, 丸山 智美, 熊沢 幸子, 戸谷 誠之, 鈴江 緑衣郎
    p. 148
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    目的:若い女性の誤った健康観からくるダイエット志向は依然強く、国民栄養調査の結果からも栄養摂取の問題が指摘されている。今回は、食物·栄養学専攻の女子短大生の食生活の問題点を明確にすることを目的とし、調査を行なった。方法:神奈川県立栄養短期大学2学年の19∼29才の女性127名を対象に、2001年6月の連続した平日の3日間を調査日とし、栄養素等摂取量調査、生活時間調査を行なった。結果:(1)エネルギー摂取量は1701kcal、たんぱく質は63.8g、脂質は50.9g。所要量と比較して不足しているのは、エネルギー、カルシウム、鉄、ビタミンCであった。(2)生活活動強度はIIが最も多かった。結論:栄養を学ぶ女子短大生においても栄養の摂取面では量、質ともに問題があることが明らかになった。
  • —BMIと体脂肪率の低値者群と標準群の比較—
    相川 りゑ子, 彦坂 令子, 近藤 恵久子, 八倉巻 和子
    p. 149
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    本学の女子大生18∼22歳345名について、食物摂取量調査、生活時間調査、自覚的症状調査、食物選択時の意識等のアンケート調査を行った。体脂肪率は(株)タニタ製生体インピーダンス式体内脂肪計で測定した。分析は、BMIと体脂肪率より群わけして行った。すなわち、BMI18.5未満·体脂肪率17%未満の者をA群(11名)、BMI18.5未満·体脂肪率17%以上24%未満の者をB群(63名)、BMI18.5以上25.0%未満·体脂肪率17%以上24%未満の者をC群(122名)、BMI18.5以上25.0未満·体脂肪率24%以上30%未満の者をD群(119名)として検討した。食物摂取状況には大差が認められなかったが、生理の周期は、1ケ月に1回の正常者がA群64%、B群81%、C·D群共に87%で、A群に不順な者が多く認められた。
  • 永井 清香, 川辺 里美, 塚田 三香子
    p. 150
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    高齢化が進行している今日、カルシウム不足を解消し骨粗鬆症を防ぐことが公衆衛生上の課題となっている。本研究では若年女子における牛乳摂取状況調査を行い、乳糖負荷試験を行うことで牛乳摂取習慣確立と乳糖不耐症との関連について調査した。年齢18∼21歳女子178名を対象に牛乳摂取に関する質問と1週間分の牛乳摂取回数および摂取量の調査を実施した。集団中85名を対象に乳糖負荷試験を実施し、症状と負荷前後の血糖値上昇により、不耐症者を判定した。不耐症者の割合は、症状の有無で20.3%、血糖値判定で82.4%であり、どちらの方法においても乳糖不耐症と牛乳摂取習慣との間に関連は見られなかった。以上から、牛乳摂取習慣の有無には乳糖不耐症関与の可能性は低いと考えられた。
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