1.水稲の籾枯性細菌病は籾の部分,特に頴の基部及び小穂軸が暗褐色に変色し,上部は淡褐色になつた後次第に蒼白色となり枯死する.罹病玄米は上部が緑色,下部が乳白色で基部及び中間部に褐色の帯が認められる.
2.本病は開花最盛期に最も罹病し易く,この時期の高温(30℃以上)と降水日数の多いことが発病を多くする.
3.潜伏期は高温の場合1~2日,通常3~4日である.
4.本病原菌は0,4~0.6×1.0~3.0μの両端鈍円の稈状菌で,普通孤立するが時には2個連鎖する.
5.本病原菌は石炭酸フクシン,メチレン青,クリスタル紫によく染色される.
6.本病原菌は馬鈴薯煎汁,稲葉煎汁及び両者の混合液によく発育し,肉汁の場合はやや発育が悪い.
7.本病原菌の発育温度は15~43℃であり,30~35℃附近が発育最適温度である.
8.本病原菌は70℃,10分で死滅するが,乾燥状態で20~30℃に放置した場合には58日を経過しても死滅しなかつた.
9.本病原菌の薬剤抵抗性を阻止円法によつて検討した結果,銅を含む薬剤にたいして比較的弱く,水銀,抗生物質の順に抵抗力が増加する傾向を示した.
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