1)ビニルハウス栽培のキュウリ,トマト,ナス,イチゴ計18圃場540菌株の12薬剤に対する耐性程度を検定し,生産地での薬剤耐性菌の発生状況および使用薬剤との関係を調べた。
2)本病に対する農家の使用薬剤は,キュウリではPr,TMかBe,Poが,トマトではIp,TMが,ナスではPr,GP,TMかBeが,イチゴではIpが主体であった。
3)高度耐性菌が高率に検出された薬剤は,Pr,TM,Be,Tp,Caで,低率の薬剤は,Ip,Vn,Po,Tr,Guであり,後者の薬剤では中度耐性菌が高率に検出された。しかし,GPとSuでは耐性菌がほとんど検出されなかった。
4)高度耐性菌のMICは,Ip,Pr,Vnでは3,200ppm以上の菌株もあったが,いずれの菌株も低~高濃度で菌そうの発育は極めて強く抑制された。TMとBeでは3,200ppm以上の菌株が多数あり,菌そうの発育はかなり良好であった。Tpでは3,200ppm以上の菌株がかなり存在し,Caでは3,200ppm以上の菌株は少なく,Poでは400ppm以上の菌は検出されなかった。
5)薬剤間の交差耐性は,IpとPrとVnの3薬剤間(ジカルボキシイミド系薬剤),TMとBeの2薬剤間(ベンズイミダゾール系薬剤)で認められ,他剤では認められなかった。よって従来の交差耐性が再確認され,現在までに新しい交差耐性はなかった。なお,Ip,Pr,Vnの3剤耐1生菌の中にはPrのMIC値が他より高い菌があり,薬剤問で菌の反応に差がみられた。
6)Ip,Pr,Vnのジカルボキシイミド系薬剤耐性菌は,本剤の使用回数が多い圃場ほど検出率が高かった。しかし,他剤の耐1生菌は,今回の栽培中に該当農薬を使用しない圃場からも検出された。
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