佐賀県において,斑点米を発生させるカメムシ類の,水稲およびイネ科植物での生息状況を調べた。
1. 水稲における斑点米を発生させるカメムシ類の優占種は,クモヘリカメムシであり,イネ科植物においても同様であった。カメムシ類は,水稲よりイネ科植物に依存性が強い傾向がみられ,クモヘリカメムシについては,エノコログサ類,ノビエで生息数が多かった。
2. クモヘリカメムシの越冬成虫は,6月下旬からイネ科植物へ飛来し,第一世代幼虫の出現時期は,7月中~下旬以降であった。この幼虫の出現時期は,発育零点と有効積算温度による予測値とほぼ一致した。
3. 以上より,本県における斑点米を発生させるカメムシ類の発生予察は,クモヘリカメムシに重点をおき,種子が結実したエノコログサ等を指標植物としたすくい取り調査を行うとともに,幼虫の齢構成調査,有効積算温度の利用を組み合わせて行えば,予察精度が向上すると思われた。
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