温州蜜柑腐敗病の発生機作を究明し,防除法を確立する目的で試験を行い次の如き結果を得た.
1)普通温州より早生温州に多く,特に衰弱樹に多い.又南西面傾斜地の果実に多く,直立枝に多い傾向が認められた.
2)木質部,根部を除いた健全な柑橘樹体内からは常にGloeosporiumを分離し得た.
3)Cloeosporium菌の胞子の飛散は降雨時に多く認められ,腐敗病の発病が増加するにつれて飛散胞子数も多くなる傾向が認められた.
4)早生温州成熟期の果実に潜在菌の接種を行つたが,無傷の場合は全く発病せず,有傷の場合は激しく発病した.
5)病斑進展は接種後3~5日頃迄は病斑部は油浸状を呈して拡大し,その後黒褐色に変りつゝ臭気を放つて7~10日頃には食味不良となつた.潜在菌を傷口部に接種することにより病斑進展は著しく助長された.
6)8月下旬~9月上旬以降の外傷は圃場に於ける腐敗病の発生を助長する.
7)撒布剤の防除効果は認められないが,袋掛処理は発病を軽減した.
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