松江市立病院医学雑誌
Online ISSN : 2434-8368
Print ISSN : 1343-0866
6 巻, 1 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • 大竹 徹, 細田 眞司, 今岡 雅史
    2002 年 6 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2002年
    公開日: 2019/12/17
    ジャーナル オープンアクセス
    当院他科から当科へ院内紹介のあった入院患者130名(平均63.3歳)について,院内コンサルテーションの実態をカルテにより調査し,心理的要因が身体疾患に与える影響についても評価した.心理的要因が身体疾患に影響を与えた者93名,身体疾患に影響のなかった者37名であった.身体疾患としては消化器疾患が,基礎精神疾患としてはアルコール依存症が最も多かった.心理的要因が身体疾患に影響を与えた割合を基礎精神疾患別にみると,アルコール依存症92.6%,痴呆88.9%,分裂病性障害53.3%,不安障害43.7%,気分障害38.9%であった.実際に問題となった精神症状としては,譫妄が37名と最多で,振戦譫妄が,夜間譫妄,手術に関した譫妄がほぼ同数認められ,その内約6割が75歳以上と高齢傾向にあった.平均入院日数を比べると,身体疾患に影響を与えた群は,影響のなかった,病院全体(10歳未満を除く)に対し,長い傾向にあることが認められた.又,問題の発生から紹介迄の期間が短い程,入院期間が短縮されることも示された
  • Keming Zhang, Takeshi Notsu, Yasuki Matsui, Nagahisa Tonomoto, Yasushi ...
    2002 年 6 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2002年
    公開日: 2019/12/17
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    中国寧夏回族自治区銀川市の第1人民病院で1994年5月から2001年5月迄に大動脈窓部へ浸潤した進行肺癌症5症例を積極的に手術した.これらの肺門型肺癌に対する経心膜肺全摘術の経験を振り返ってみた.全例が人工心肺による補助を必要としなかった.術後合併症は2症例に見られ,その内1例は急性肺水腫で死亡し,残り1例は感染を起こし,回復に1ヵ月を要した.4例が手術より生還し,術後11,13,28そして38ヵ月生存した.1例では本手術を用いても完全切除には至らなかった.本手術法は切除率,生活の質,更には生存率を改善するものであるかもしれない
  • 竹花 務, 近藤 康光, 遠藤 宏治
    2002 年 6 巻 1 号 p. 13-21
    発行日: 2002年
    公開日: 2019/12/17
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    1996~2001年に,43例の遊離皮弁,遊離骨移植を行った.その内訳は,遊離皮弁34例,遊離骨移植9例で,四肢再建38例,頭頸部再建5例であった.生着率は,95%(2例壊死)であり非常に良好な成績であった.完全壊死の2例は遊離皮弁の症例(腹直筋皮弁例,全外側大腿皮弁例)で,完全壊死の原因は吻合部における動脈血栓,静脈血栓であった.吻合部血栓に対する処置が遅れた為に救済できなかった例であった
  • 西 健, 倉吉 和夫, 河野 菊弘, 吉岡 宏, 金山 博友, 井上 淳
    2002 年 6 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 2002年
    公開日: 2019/12/17
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    1996~2001年の大腸癌手術症例301例中,イレウス合併症例42例(男24,女18,平均67.7±10.5歳)を対象とし,初診後24時間以内に手術を施行した緊急症例19例とそれ以後に手術した待期症例23例について比較検討した.占拠部位は直腸に多くみられたが,イレウス発生率としては横行結腸に高率であった.肉眼分類は2型,壁深達度はss,a1以上,組織型は中分化腺癌が多く,stage分類はstage IVの症例が42.9%を占めた.手術に関しては原発巣切除が85.7%の症例で施行されており,術式では緊急症例の73.7%,待期症例の65.2%が一期的切除+吻合であった.術後合併症は創感染が最も多かったが,いずれの検討においても緊急症例,待期症例の間に有意差は認められなかった.術後合併症による死亡は,80歳と94歳の高齢者2例であり,いずれも術前より重篤な合併症があった
  • 田中 雄二, 漆原 誠, 小玉 永生, 頭本 一朗
    2002 年 6 巻 1 号 p. 29-32
    発行日: 2002年
    公開日: 2019/12/17
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    平成12年1年間の時間外に受診した小児科患者3080人を対象として検討した.その結果,総患者数13285人中の23%で,このうち,93%は松江市か八束郡に在住する小児で,56%は発熱を主訴としていた.又,約80%が6歳以下の乳幼児であった.同じ休診日でも大学の小児科医師の診察がある時は,ない時に比べて約2倍の受診者数で,時間外診療でも保護者は小児科専門医による十分な医療を望んでいると考えられた
  • 恩田 修治, 井後 雅之
    2002 年 6 巻 1 号 p. 33-36
    発行日: 2002年
    公開日: 2019/12/17
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    介護老人保健施設28施設に勤務するリハビリテーション(リハビリ)スタッフに対して,スタッフ数,施設の規模,業務の問題点,についてのアンケート調査を行った.回答は19施設から得られた.その結果,病院からの紹介を受ける際に様々な問題点が指摘された.又,介護保険発足以後施設において利用者の障害重度化や長期入所化等が増加する現状には,入院待機により入院長期化として病院へも影響を及ぼすことが予想される.その為に維持期のリハビリを受け持つ施設に対して急性期・回復期を担う当院のリハビリの役割りは,1)機能障害の改善,障害に対する適応能力の開発,2)社会的不利に対する対応,3)本人・家族への説明と同意に基づいた目標設定によるリハビリ提供,4)障害の心理的受容,5)紹介時のリハビリ診療情報提供,の5点にあると考えられる
  • 実重 英明, 生田 浩司, 石原 修二
    2002 年 6 巻 1 号 p. 37-40
    発行日: 2002年
    公開日: 2019/12/17
    ジャーナル オープンアクセス
    ポータブルX線撮影に関する不安を軽減することを目的に,周辺の散乱線量を人体型ファントムを用いて測定した.測定結果は人体型ファントムから200cm離れた距離では自然放射線と比較しても十分小さい線量であるという結果であった.又,防護エプロンを着用すれば50cmの距離で200cmと同等以下の線量であった
  • 持田 裕子, 内田 恭子, 奥名 晴美, 岸本 由理
    2002 年 6 巻 1 号 p. 41-44
    発行日: 2002年
    公開日: 2019/12/17
    ジャーナル オープンアクセス
    6床室に入院し,1週間以上経過した39名(男34名,女5名)を対象に,入院生活の中で患者の生活リズムや精神活動に影響を与えていると思われる環境因子についてアンケート調査を行った.入院時の入室理由は「個室希望」の2名以外(37名,95%)は特に不満なく入院していたが,アンケートの時点では「個室希望」11名(28%),「2~4床希望」8名(21%),「今の6床室のままでよい」20名(51%)であった.生活環境におけるストレス要因は排泄の臭い,咳・いびきが多く,特に個室希望者に高率であった.又,同室者から受けるストレス要因より,自分が同室者に与えているかもしれないストレス要因への気遣いが大きいことが示された
  • 木佐 ゆかり, 吉田 美紀, 金井 真理子, 石原 智穂, 井田 都子
    2002 年 6 巻 1 号 p. 45-48
    発行日: 2002年
    公開日: 2019/12/17
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    咳嗽発作を主訴とした患児14名(男児5名,女児9名,1歳1ヵ月~12歳7ヵ月)を被験者とし,延べ37事例を対象に,就寝前に足浴を実施した.足浴の前後で呼吸器症状を比較すると咳嗽,喘鳴は足浴後で症状が有意に軽減することが明らかになった.血中酸素飽和度(SpO2)値は,28事例中15事例に上昇を認めたが有意差はなかった.付き添い者からの調査でも,熟睡感75%,呼吸状態,喘鳴,咳込みとも71.9%が「良い」又は「少し良い」と回答があり,足浴後に患児の症状が落ち着いたという評価が得られた.患児にとって緊張の連続である入院生活に遊び感覚を盛り込んだ足浴は,温水に親しみ楽しみながら行うことができた.その様子,表情から付き添い者も安心し,互いにリラックスすることができ,症状緩和への相乗効果として表れたのではないかと考える.看護者も足浴を通して患児,付き添い者とのコミュニケーションが深まり,互いの関係を築く良い看護場面となった
  • 三浦 裕和, 三浦 将彦, 奥村 剛清, 小林 淳子, 河野 通盛, 吉村 禎二, 山田 稔, 堀 郁子, 謝花 正信, 原田 祐治
    2002 年 6 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 2002年
    公開日: 2019/12/17
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    症例1:50歳男.主訴は右上腹部痛,貧血,嘔吐.肝臓下面に直径約10cmの腫瘤を認め,中心部が壊死しており腫瘍の内腔と十二指腸球部に交通があった.生検組織診断により胆嚢未分化癌と考えられ,抗癌剤の動注療法を施行したが4ヵ月後に死亡した.症例2:77歳男.主訴は微熱,食欲不振,右下腹部痛.多量の腹水と肝S8に直径5cmの石灰化を伴う腫瘤があり,肝下面にも胆嚢に接して直径8cmの腫瘤を認めた.各種腫瘍マーカーは陰性で,対症療法を行ったが2ヵ月後に死亡した.病理解剖所見では,肝門部,十二指腸及び結腸が腫瘍の浸潤のため一塊となっており,腹膜,肝臓にも転移を認めた.組織学的には胆嚢内腔に中分化型腺癌があり,その直下より肉腫様細胞が認められた
  • 奥村 剛清, 三浦 将彦, 三浦 裕和, 小林 淳子, 河野 通盛, 武村 次郎, 吉村 禎二, 山田 稔, 錦織 優, 林 隆則
    2002 年 6 巻 1 号 p. 55-58
    発行日: 2002年
    公開日: 2019/12/17
    ジャーナル オープンアクセス
    63歳女.小料理店に勤務していおり宍道湖で捕れた鯉の胃を生食し,38℃台の発熱,悪心,全身倦怠感が出現した.一時症状は軽快したが,37℃台の発熱,頭痛,嘔吐,全身倦怠感及び関節痛が出現した.結膜の充血,黄疸,及び全身の浮腫を認め,血液検査上は軽度の炎症反応と肝機能障害,腎不全を併発していた.肝機能障害は改善傾向となったが,臨床的にWeil病が疑われた.血清レプトスピラ抗体価が判明し,Weil病が80倍と有意に高く確定診断した.その後腎不全も改善し,退院した.血清レプトスピラ抗体価の再検では10倍以下と陰性化していた
  • 高井 宏司, 藤本 一夫
    2002 年 6 巻 1 号 p. 59-62
    発行日: 2002年
    公開日: 2019/12/17
    ジャーナル オープンアクセス
    38歳女.主訴は痙攣,意識障害,不穏状態.精神症状にて発症した為,当初ヘルペス脳炎と診断しアシクロビルを主として加療開始した.後日の血清及び髄液ウイルス学的検索よりインフルエンザ脳症と診断しアシクロビルを中止したが,投与中から症状の急速な改善を認め後遺症等残さず治癒した
  • 小田 直治, 塩見 洋作, 塩見 佳子
    2002 年 6 巻 1 号 p. 63-65
    発行日: 2002年
    公開日: 2019/12/17
    ジャーナル オープンアクセス
    6歳男児.就学時検診により発見された小児一側性高感度感音難聴で,歪成分耳音響放射は正常に反応があったが,純音聴力検査ではスケールアウト,聴性脳幹反応は無反応,画像検査では異常がなく,蝸牛神経に限局した微小な障害があるものと考えられた
  • 佃 典子, 阿武 雄一, 佐々木 亮, 青木 秀暢, 藤本 一夫, 堀 郁子, 原田 祐治
    2002 年 6 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 2002年
    公開日: 2019/12/17
    ジャーナル オープンアクセス
    52歳女.主訴は右上下肢の脱力.MRIでT1及びT2強調画像とも高吸収域を左被核後部に認め,陳旧性の脳出血が存在することは確定したが,診断の確定はできなかった.脳出血を繰り返したため開頭術により摘出した.摘出標本の所見にて,脳海綿状血管奇形と診断された.術後一過性に,極軽度の健忘性失語を呈したが,右不全片麻痺は急速に改善し独歩退院した
  • 殿本 詠久, 芦田 泰之, 松井 泰樹, 野津 長
    2002 年 6 巻 1 号 p. 73-75
    発行日: 2002年
    公開日: 2019/12/18
    ジャーナル オープンアクセス
    74歳男.主訴は狭心痛.冠動脈造影で三枝病変と判明し,左内胸動脈と大伏在静脈を用いて冠動脈バイパス術を施行した.経過良好であったが心嚢の異常肥厚に起因した心タンポナーデが判明したため手術を施行した.MRSA縦隔炎を併発し,デブリドメン及び洗浄ドレナージを施行した.ドレーン及び創部より大量出血を認めた.出血部位は静脈グラフトの大動脈吻合部より約3cm末梢であり,静脈グラフトの破裂が出血の原因であった.病室で開胸し縫合止血術を行ったが出血性ショックで死亡した
  • 浜本 順次, 殿本 美奈子, 原田 祐治, 清水 正紀
    2002 年 6 巻 1 号 p. 77-79
    発行日: 2002年
    公開日: 2019/12/18
    ジャーナル オープンアクセス
    31歳女.主訴は両眼の視力障害,眼痛,流涙.両眼の放射状角膜神経炎の所見を呈し,角膜擦過標本及びコンタクトレンズ保存液培養にてアカントアメーバが検出された.酸素透過性ハードコンタクトレンズ装用による両眼のアカントアメーバ角膜炎と診断された.フルコナゾール点眼,内服,角膜上皮擦過により視力は回復した
  • 野津 長, 張 克明, 松井 泰樹, 殿本 詠久, 芦田 泰之
    2002 年 6 巻 1 号 p. 81-84
    発行日: 2002年
    公開日: 2019/12/18
    ジャーナル オープンアクセス
    76歳男.主訴は左下腿安静時疼痛.術前動脈造影で膝窩動脈4cmの途絶とその末梢の血栓形成を認めた.閉塞性動脈硬化症の診断で血栓内膜除去を予定し,膝窩後方到達法で膝窩動脈に到達したところ,最大径39mmの動脈瘤を認め,切除後人工血管を移植した.術後17ヵ月現在閉塞所見は認めていない
  • 小西 龍也, 井川 克利, 野津 長, 原田 祐治
    2002 年 6 巻 1 号 p. 85-89
    発行日: 2002年
    公開日: 2019/12/18
    ジャーナル オープンアクセス
    58歳女.主訴は発熱,咳嗽,喀痰.右乳癌で部分的乳房切除術後,内分泌療法と残存乳房に対して計50Gyの放射線照射を受けた.照射終了5ヵ月後,発熱,咳嗽が出現し,胸部レントゲン上照射野に一致して浸潤影が出現しており,放射線肺臓炎と診断され,プレドニゾロン投与により改善した.しかしその後再び発熱出現し,照射野外に新たに浸潤影が出現していた.プレドニゾロンの投与により改善したが,又,別の部位に浸潤影が出現した.気管支肺胞洗浄では,総細胞数,リンパ球比率の増加とリンパ球サブセットではCD4/CD8比の低下を認め,経気管支肺生検では器質化肺炎像がみられ,Bronchiolitis obliterans organizing pneumoniaと診断された
  • 錦織 優, 河野 通盛, 山田 稔, 小西 龍也, 松井 泰樹, 堀 郁子, 謝花 正信, 原田 祐治, 安達 博信
    2002 年 6 巻 1 号 p. 91-96
    発行日: 2002年
    公開日: 2019/12/18
    ジャーナル オープンアクセス
    61歳女.隠岐出身.結核検診にて胸部レ線上縦隔腫瘤を指摘された.HTLV-1抗体は陽性であったが,EBウイルスRNAは陰性であった.精査の結果,ホジキン病nodular LP,臨床病期III2Aと診断された.ABVD療法5コースで完全緩解に至り,その後5年間無病生存中である
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