農研機構研究報告
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2022 巻, 11 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
表紙・目次・編集委員会・奥付
原著論文
  • 西中 未央, 藏之内 利和, 片山 健二, 高田 明子, 藤田 敏郎
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 2022 巻 11 号 p. 1-13
    発行日: 2022/07/29
    公開日: 2022/07/29
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    蒸切干(干しいも)は,サツマイモを蒸して乾燥させた農産物加工品で,重要な地域特産物となっている.現在蒸切干に用いられている品種の多くは黄肉であり,色調に区別性のある品種が求められているが,橙肉の既存品種「ヒタチレッド」は,いもの形状や栽培特性に問題があり,これらの欠点を改良した品種の育成が望まれていた.そこで,蒸切干の色調が淡橙色で従来の黄色とは異なる蒸切干加工用品種「ほしあかね」を育成した.「ほしあかね」は既存の橙肉品種「ヒタチレッド」で問題となっているいもの裂開や形状の乱れが少なく,苗床での萌芽性やサツマイモネコブセンチュウ抵抗性が「ヒタチレッド」よりも優れる.「ほしあかね」は淡橙色で透明感のある蒸切干に加工でき,蒸切干の食味は,ねっとりした食感と甘味の強さで人気の高い「べにはるか」並に優れる.

  • 八重垣 英明, 末貞 佑子, 山口 正己, 澤村 豊, 土師 岳, 安達 栄介, 山根 崇嘉, 鈴木 勝征, 内田 誠
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 2022 巻 11 号 p. 15-21
    発行日: 2022/07/29
    公開日: 2022/07/29
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    ‘ひめまるこ’は2002 年に‘紅国見’に‘ ひめこなつ’を交雑し,育成した実生から選抜した極早生の白肉モモ品種である.2010 年からモモ第9 回系統適応性検定試験に,モモ筑波126 号として供試し, 2019 年2 月の平成30 年度果樹系統適応性検定試験成績検討会( 落葉果樹) で新品種候補にふさわしいとの合意が得られ,2021 年8 月5 日に登録番号 28555 号として種苗法に基づき品種登録された.‘ひめまるこ’は花粉を有し自家和合性である.開花期は,育成地で は4 月5 日頃で‘ちよひめ’と同時期である.収穫期は育成地では6 月7 日頃で,‘ちよひめ’より9 日程度早い極早生品種である.粘核で、果肉色は乳白色で,肉質溶性は溶質である.系統適応性検定試験の結果,樹勢は中程度で,花芽の着生は多く,生理落果は少ない.果形は扁円から円で,果実重は146 g 程度である.果皮の赤い着色は多く,裂果の発生は極めて少ない.果点を中心とした果皮の荒れが場所や年次によりやや認められる.肉質の粗密は中程度である.果汁の糖度は13.0%,酸度はpH4.8 前後で,渋味は少なく,食味は良好である.

  • 坂上 清一, 小花和 宏之, 吉利 怜奈, 八木 隆徳, 渡辺 也恭
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 2022 巻 11 号 p. 23-29
    発行日: 2022/07/29
    公開日: 2022/07/29
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    農場の3 次元モデルから草地圃場のみを選択するための処理について低コストな代替法を報告する.前報(坂上ら 2021)と同様,モデル構築用ソフトウェアに備わっている点群分類機能と数値地形モデルの利用を前提とし,プログラム 言語Python によって選択処理をコンピューターへ実装する.モデル構築用ソフトウェアWebODM を利用し,森林と建築物の大部分を除いた数値地形モデルを構築する.Python スクリプトを作成し,数値地形モデルの傾斜属性の利用による森林部分に残存するノイズの完全な除去,および,作業道路の色情報の利用による解析対象外の圃場等の除去を実施する.本法が低コストなのは,同じモデル構築に必要となる50 万円程度の商用ソフトウェアと比較し,WebODM が無料ないし57米ドルと低額でコンピューターにインストールできるからである.WebODMとPythonスクリプトを組み合わせれば,商用のモデル構築用ソフトウェアが高額ゆえに導入できなかったユーザーが,草地圃場選択法を利用可能となることが期待される.

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