新分類に基づく沖縄産マンゴー炭疽病菌種複合体の種構成と菌種の諸性質は明らかではない.そこで,沖縄県全域の罹病果実から採集した炭疽病菌83菌株について,単一または複数領域の塩基配列による分子系統解析を行うとともに,菌種の形態,病原性と薬剤感受性を調査した.分子系統解析では
C. gloeosporioides(
C.g)種複合体菌株で
C. fructicola,
C. asianum,
C. siamense他8種,
C. acutatum(
C.a)種複合体菌株でマンゴーの病原として国内外で初確認となる
C. fioriniae,
C. miaolienseを含む3種の計11種が同定され,2クレードを形成した6菌株は新種の可能性が示唆された.全体の種構成の割合は
C. fructicolaが42.2%と最も高く,次いで
C. asianumが16.9%であった.
C.g種複合体9種間で分生子と付着器に形態的差異はなかったが,
C.a種複合体4種間では
C. fioriniaeは分生子が紡錘形で他種よりも付着器が大きく,PDA培地裏面が赤みを帯びる点で形態による識別が可能であった.マンゴー果実への病原性では
C.g種複合体9種間で
Colletotrichum sp. Clade Qが他種と比べて有意に病斑が大きく,優占種の
C. fructicolaの病斑は小さかった.
C.a種複合体4種間の病原性はほぼ同等であった.登録6殺菌剤のMIC値を調べた結果,全菌種(菌株)でアゾキシストロビンとクレソキシムメチル水和剤が共通してMIC値が低かった.一方,キャプタンとマンゼブ水和剤のように菌種間でMIC値に差異を示す剤も確認された.
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