日本語の研究
Online ISSN : 2189-5732
Print ISSN : 1349-5119
13 巻 , 4 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • ──コーパスから見える南モデル──
    中俣 尚己
    2017 年 13 巻 4 号 p. 1-17
    発行日: 2017/10/01
    公開日: 2018/04/01
    ジャーナル フリー

    この論文では、『現代日本語書き言葉均衡コーパス』を用い、接続助詞の前接語品詞の偏りを調査した。結果、B類接続助詞は前接語の動詞の割合が90%前後と高く、C類接続助詞は前接語の動詞の割合が60%前後と低いことがわかった。動詞の中をさらに詳しく調べると、B類の節では「いる」「ある」「見える」「違う」「テイル形」「ナイ形」といった状態を表す表現の割合がC類より少ないこともわかった。このような偏りが起こる原因としては、本研究でB類と分類した節は全て時制の区別を持たず、そのため既定的な命題は出現しえないからだと考えられる。また、「わけ」「はず」などの名詞由来の文末表現の前接語の動詞率はB類と等しく、「かもしれない」「だろう」「よ」などの名詞由来ではない文末表現の前接語の動詞率はC類と等しかった。

  • 笹井 香
    2017 年 13 巻 4 号 p. 18-34
    発行日: 2017/10/01
    公開日: 2018/04/01
    ジャーナル フリー

    「ばか者!」「恥知らず!」「嘘つき!」などの文は、先行研究において文として適切に位置づけられてきたとは言いがたい。本稿では、これらの文が、同じく体言を骨子とする文である感動文や呼び掛け文などとは異なる形式や機能をもつことを明らかにし、これらを新たに「レッテル貼り文」と位置づけることを試みた。レッテル貼り文は「性質、特徴、属性などを示す要素+人や物を示す要素」という構造をもつ名詞(=レッテル)から成り立つ体言骨子の文で、対象への価値評価にともなう怒りや呆れ、嘲り、蔑み、嫌悪、侮蔑などの情意を表出することを専らとする文、即ち悪態をつく文である。このような文は、その言語場において話し手が対象に下した価値評価が名詞の形式(=レッテル)で表され、文が構成されていると考えられる。このような文を発話することによって、対象に下した価値評価、即ちレッテルを貼り付けているのである。

  • 駒走 昭二
    2017 年 13 巻 4 号 p. 35-50
    発行日: 2017/10/01
    公開日: 2018/04/01
    ジャーナル フリー

    18世紀の薩隅方言が記されているゴンザ資料には、多数のカス型動詞の使用例が見られる。本稿では、それらの形態的特徴、表現価値を、派生元になったと考えられる動詞との関係性、対応するロシア語の意味、資料中における語形の齟齬等に着目することによって考察した。その結果、形態的には、ラ行の動詞に接続し「-ラカス」という形をとるものが最多であること、音節数が4音節のものが最多であることなどが明らかとなった。また、表現価値としては、基本的に他動性を有すること、他動詞よりも完全さや過度さを表示すること、また、動作主をより強く表出することなどが明らかとなった。

  • ──通時的視点から探る──
    松森 晶子
    2017 年 13 巻 4 号 p. 51-67
    発行日: 2017/10/01
    公開日: 2018/04/01
    ジャーナル フリー

    九州西南部二型体系には「一般複合法則」,あるいは「式保存の法則」と呼ばれる複合語のアクセント規則がある。これは複合語の型(式)が,その前部要素の型(式)を踏襲することによって決まる,という規則である。しかし近年,長崎県や佐賀県,および熊本県の天草諸島などの二型アクセント体系には,この複合語の規則に例外が生じ,特定の条件のもとでその体系内の2つの型が中和することが明らかになってきた。本稿では,この地域に観察される複合語の型の中和がなぜ,そしてどのようなプロセスを経て成立したのか,という点についての通時的考察を行う。さらにその考察を手がかりにしながら,九州西南部二型アクセントの祖体系を推定して提示する。

  • 富岡 宏太
    2017 年 13 巻 4 号 p. 84-68
    発行日: 2017/10/01
    公開日: 2018/04/01
    ジャーナル フリー

    本稿では、中古和文資料を対象に、助詞カシの意味を明らかにする。

    まず、カシの上接句の特徴を検討した。その結果、事実そのものも、事実であると確信しうるだけの根拠も他者と共有できない事柄(以下、非共有事項と呼ぶ)を表すものに限られることがわかった。次に、カシ自体が担う意味を擬似的不定化であると仮定した。ここまでの仮定は、終止形終止の例とカシの下接する例とにおける、助動詞の分布の違いを調査することにより、裏付けられる。

    カシの意味を擬似的不定化と考えると、他の活用形や、助詞ゾにカシが下接した例についても説明できる。さらに、先行研究との関係についても、説明が容易になる。

〔書評〕
日本語学会2017年度春季大会シンポジウム報告
feedback
Top