日本語の研究
Online ISSN : 2189-5732
Print ISSN : 1349-5119
20 巻, 2 号
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特集1 2022年・2023年における日本語学界の展望 (1)
特集2 2020年・2021年における日本語学界の展望 (4)
 
  • ──中世の語順変更を中心に──
    小原 真佳
    2024 年20 巻2 号 p. 122-139
    発行日: 2024/08/01
    公開日: 2025/02/01
    ジャーナル フリー

    本稿では,中古と中世のゾの係り結びを比較し,①中世ではゾが格成分(時・場所・主体)に承接する割合が減少する,②中古・中世共にゾは述語直前に生起することが多く,その傾向が時代が下るにつれて強くなる,③中古以前には行われていた語順の変更が中世では行われにくくなるという3点の変化を示した。

    さらに,焦点となる要素が代替集合(alternative set)を想定するかという点から,焦点を2つに区分し,上記の3つの変化が,ゾの係り結びの焦点化機能の変化によるものであることを指摘した。中世のゾの係り結びの中心的な用法は,中古以前に多く見られた語順変更を伴うものから離れ,述語の直前に現れる,代替集合を想定しない焦点にゾを付加するものと,文中の位置に関係なく,代替集合を想定する焦点にゾを付加するものへと移行したと考えられる。

  • 工藤 真子
    2024 年20 巻2 号 p. 140-157
    発行日: 2024/08/01
    公開日: 2025/02/01
    ジャーナル フリー

    本稿では,秋田方言のオノマトペの2音節語基(C1V1C2V2,V1C2V2,C1V1V2)派生オノマトペにおける語基音の組み合わせC1-C2,V1-V2,C1-V1,C2-V2それぞれについて整理し,その特徴を洗い出した。結論として,以下のような点が方言オノマトペを特徴づけている可能性が明らかになった。①方言特有の単音が使用される点,②一般語彙に現れる方言的特徴がオノマトペにおいても観察される点,③子音について濁音を構成する単音や共鳴音が多く用いられる点,④母音について[a]音が好んで用いられる点,⑤方言特有の単音の中に,あまり多く用いられない単音やオノマトペ語基中に使用されない単音が存在する点。また,本稿では語基音の組み合わせについて語基のCVCV構造に注目した分析を行うことで,一方言の語基音の特徴を洗い出す枠組みを作成した。

〔書評〕
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