日本語の研究
Online ISSN : 2189-5732
Print ISSN : 1349-5119
14 巻, 3 号
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特集:2016年・2017年における日本語学界の展望
 
  • 呉 寧真
    2018 年 14 巻 3 号 p. 109-125
    発行日: 2018/08/01
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル フリー

    中古和文の複合動詞の主体敬語の形には,Ⅰ敬語独立動詞+後項,Ⅱ前項+たまふ+後項,Ⅲ前項+敬語独立動詞,Ⅳ前項+後項+たまふ,Ⅴ敬語独立動詞+敬語独立動詞,Ⅵ敬語独立動詞+後項+たまふの6種類がみられる。本稿では,複合動詞が主体敬語の形になる場合に,動詞の敬意差の表し方によって,異なる形として現れることを述べる。複合動詞の敬語形は,ⅠⅢの敬語独立動詞を主に用いる動詞と,Ⅳの「たまふ」を主に用いる動詞に分かれ,敬語独立動詞が2種類以上ある動詞は敬語独立動詞を使う傾向があり,そうでない動詞は「たまふ」を使う傾向があることを示す。これは,2段階の敬語の形が必要であることの反映だと考えられる。また,両項敬語形は,複合する力が弱い複合動詞である。中古では限られた形だけで用いる。生産性のある形ではなく,中世には見当たらなくなる形であることから,中古の複合動詞は,複合する力が強くなりつつある段階にあることを示した。

〔書評〕
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