日本語の研究
Online ISSN : 2189-5732
Print ISSN : 1349-5119
16 巻, 3 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
渡辺実先生追悼特集
 
  • 松本 昂大
    2020 年16 巻3 号 p. 17-34
    発行日: 2020/12/01
    公開日: 2021/06/01
    ジャーナル フリー

    本稿では,中古和文における移動が行われる場所の格標示の違いに注目し,移動が行われる場所を経路と移動領域に分類した。そのうえで,経路と移動領域を承けるかどうかによって,移動が行われる場所を承ける移動動詞を分類し,それらの場所格標示の方法を明らかにした。その結果,経路の格標示は主に「を」が,移動領域の格標示は主に「に」が担っていたということが明らかになった。経路のみ承ける動詞は経路の共起率の高低によって,経路を必須補語とする動詞とそうではない動詞の2種に分けられる。また,中世には,「に」が担っていた移動領域の格標示を次第に「を」が担うようになるという展開を示した。移動領域を承ける動詞には,移動領域の格標示が「を」に変わっていく動詞と中世も「に」が担いつづける動詞があり,前者は移動の様態を表す動詞で,後者は着点を自ら決定しない統御不能な移動動詞であった。

《資料・情報》
feedback
Top