日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
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  • 西村 弥和, 杉村 龍也, 今川 智香子, 蟹江  史明, 小林 宏美, 八木 隆太
    セッションID: 2C-17
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
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    ここでは、MSWが行う外国人患者への支援の中でもとくに医療費の問題について取り上げ、外国人患者の医療費問題の実態をふまえ考察する。 豊田市は全国でも有数な外国人居住者が多い地域であり、当院の外国人患者数も年々増加している。平成18年度は2.1%、平成19年度は2.3%、平成20年度は3.3%である。医療社会事業室の相談も、外国人患者の相談数は増加の傾向にある。 平成20年度は、新規と継続の取り扱い総件数2856件で、そのうち新規取扱対応件数は884件である。うち外国人患者の新規相談は27件(月平均2.3件)になる。平成21年度は、新規と継続の取り扱い総件数2415件で、そのうち新規取扱対応件数は1002件である。うち外国人の新規相談は38件(月平均3.1件)である。さらに、平成21年度において外国人の相談内訳を調べると、医療費相談が75%を占めている。その他は退院について、社会保障制度の利用紹介などがあげられている。さらに、その医療費相談の内訳をみてみると、医療保険未加入に関するもの30~40%を占めている。 医療機関にとって、医療費未収は大きな問題である。当院での外国人患者の医療費未収の状況について医事課の未収データを調べると、1年以上医療費の支払いが無い人の割合は約20.7%にも及ぶ。 医療保険未加入患者の状況はさまざまであるが、社会保険がある会社には勤めているが、会社側は社会保険に加入させていない状況も多い。社会保険に加入させてもらえない人の中には、自身の判断で国民健康保険に加入する人もいるが、入っておらず未加入となっているケースも目立つ。  医療社会事業室の相談ケースを細かくみていき、外国人患者の経済的問題について検討する。その問題が生じる社会背景や原因などから、医療費未収のリスク要因などを検討し、今後の外国人医療に役立たせることができるように考察する。
  • 澁谷 直美, 大浦 栄次
    セッションID: 2C-18
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
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    【はじめに】現在の特定健診は、40歳以上の者を対象にメタボリック症候群および予備軍を抽出し、特定保健指導等により心イベントなどを防ごうとするものである。しかし、実際の健診現場ではメタボリック非該当者や40歳未満の者にも心イベントを起こしている者を日常的に経験する。今回、健診受診者で心イベントを起こした者の過去10年間の健診データと心イベントの関係、および今後の健康相談のあり方について検討したので、以下に報告する。
    【対象・方法】平成22年度に厚生連高岡・滑川健康管理センターの施設健診受診者で、問診にて心筋梗塞・狭心症の既往があると答えた299名のうち、心イベント前のデータが10年以上確認できる76名(男48名、女28名)について、データの変動やイベント直近のデータ等から保健相談のあり方を検討した。過去のデータは腹囲未測定のためBMIのみで肥満基準とした。
    【結果・考察】心イベント時の年齢は、男は50歳代が最も多く26名、次いで60歳代10名、40歳代以下4名であった。女は60歳代が最も多く14名、次いで50歳代10名であった。イベント発症時のBMI25以上の肥満者は27名(56.3%)、女14名(50.0%)であった。
    男50歳代で心イベントのあった26名を特定保健指導の基準で階層化すると、積極的支援群9名、動機づけ支援群3名、計12名(46.2%)であり、残り14名(53.8%)は特定保健指導非該当であった。また、26名中、13名(50.0%)は非肥満者であり、うち血圧、血糖、脂質のいずれか2項目以上該当した者が6名、1項目該当者5名であった。
    このように、実際に心イベントを起こした者の多くが、現在の特定保健指導非該当となっており、このような者の特徴を明らかにし、イベント前の生活習慣改善の方途を明らかにする必要があると考えられた。
  • ~受診者の負担軽減を目指して~
    北口 一也, 西谷内 琢也, 和田 智文, 山田 泰司, 加藤 裕二, 金澤 睦, 平塚 正幸, 今村 哲理, 櫻庭 光夫
    セッションID: 2C-19
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
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           胃X線検査における飲水制限緩和の検討
             ~受診者の負担軽減を目指して~

     
      ≪はじめに≫
    胃X線検診では、残渣による偽陽性・偽陰性の発生を最小限に抑えるため、前処置として検診前日からの絶飲食が一般的に行われており、当院でも検診前日の21時以降を絶飲食としている。しかし、前日からの長時間にわたる絶飲食は、受診者の空腹感や喉の渇きなどの生理的負担が大きいことが予想される。そこで、超音波検査など他のモダリティに影響を与えず、画質を担保したまま受診者の負担軽減を図ることを目的に、就寝までの飲水制限の緩和および検診開始時間の3時間以上前に約200mlを飲水してもらう飲水コントロール群と現状の非コントロール群との画像評価を行い、比較検討したので報告する。

    ≪方法≫
    飲水コントロール群339名(内訳:男218名、女121名、平均年齢54.7歳)と非コントロール群333名(内訳:男200名、女133名、平均年齢51.8歳)を対象に、胃X線基準フィルムを参考に辺縁、粘膜面の描出度合(過形成・非過形成)、凝集、十二指腸への流出度合を胃がん検診専門技師2名で画像評価を行った。尚、評価体位は共通して背臥位二重造影正面位にて行った。
    超音波所見は、飲水が原因と思われる特異な胆嚢壁の全周性肥厚および膵管拡張などの異常所見がないかを確認した。

    ≪結果・まとめ≫
    胃X線検査では、飲水群と非コントロール群の画像評価に有意差は見られなかった。超音波検査では、飲水による胆嚢壁の肥厚および膵管拡張などの特異な異常所見は見られなかった。以上の結果より、今回の検討は当初の目的が達成されることが示唆されたため、受診者へのサービス向上を図る上で新たなシステム構築ができた。  
  • 依田 芳起, 高山 一郎, 渡辺 一晃, 今村 直樹
    セッションID: 2C-20
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
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    【目的】人間ドックにおける心機能のオプション検査項目として導入しその検討結果を報告する。【対象】ドック受診者4672例 (2009年4月~12月) 性別: 男性 2354例、女性 2343例。年齢: 22~86歳、平均 58.6歳。22項目につき重回帰分析を実施。【結果】自然対数変換後のNT-proBNP値を従属変数として、計22項目につき重回帰分析を実施したところ、以下の10項目においてNT-proBNPとの強い関連(p<0.0001)が認められ、年齢、性別、心電図判定、LDL-C、不整脈、BMI、CRE、収縮期血圧、血糖値、心臓病 (関連の強い項目から順に)糖尿病、肺機能、脂質異常症 とも有意な関連(p<0.01)が認められた。各連続変数項目の数値を四分位毎に分割しオッズ比を求めたところ、以下の8項目が心疾患(心臓病/不整脈治療中)を予測する規定因子であり、うちNT-proBNPは最も強い関連を示した。NT-proBNP、年齢、CRE、収縮期血圧、HDL-C、血糖値、BMI、LDL-C (関連の強い項目から順に)【結論】_丸1_ 自然対数変換後のNT-proBNP値を従属変数として、計22項目につき重回帰分析を実施したところ、以下の10項目においてNT-proBNPとの強い関連は、年齢、性別、心電図判定、LDL-C、不整脈、BMI、CRE、収縮期血圧、血糖値、心臓病で認められた(p<0.0001)。_丸2_各連続変数項目の数値を四分位毎に分割しオッズ比を求めたところ、NT-proBNP、年齢、CRE、収縮期血圧、HDL-C、血糖値、BMI、LDL-Cの8項目が心疾患(心臓病/不整脈治療中)を予測する規定因子であり、うちNT-proBNPは最も強い関連を示した。
  • 堺澤 和泉, 小瀬川 和雄
    セッションID: 2C-21
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
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    人間ドック受診者を対象に、糖尿病の前段階である糖尿病型・糖尿病疑い症例について、動脈硬化予知因子である高感度CRP(hs-CRP) LDLコレステロール(LDL-C)/HDLコレステロール(HDL-C) 以下L/H  頚動脈の最大内膜中膜複合体厚(以下 max-IMT)を測定した。どの程度に早期動脈硬化の現状があるのか検討した。対象は H22年7月~H23年3月の8ヶ月間のドック受診者754例 (男性516例 女性238例)のうち糖尿病型・糖尿病疑い症例130例(男性104例 女性26例)。これはドック受信者の男性は17% 、女性は10%。対象者130例の内訳は男性80%女性20%。男性の方が女性より多かった。
    max-IMTの正常1.1mm以下の占める割合は男性27%女性23%とほぼ同程度であった。男性では加齢による相違は顕著であり、50歳未満のmax-IMT正常者が47%であったのに対し60歳~80歳12%であった。女性では年齢間の相違はなかった。
    動脈硬化の有意な所見といわれているL/H>2は男性では58%をしめた。年齢別にみると60歳以下では67%であったが60歳以上では47%であった。max-IMT肥厚度との関連では男性での相違はなかったが、女性ではmax-IMT2.0mm以上の症例では50%と高率になった。
    虚血性心疾患発症の独立した高リスク群といわれるhs-CRP>0.1mg/dlの占める割合は男性24%女性25%とほぼ同レベルで、男女ともにmax-IMT2mm以上の症例では 33%にのぼった。
    人間ドック受診者で糖尿病の診断・治療のなされていない40歳~80歳を対象に簡便にできる動脈硬化予知因子の検討を行ったが、早期動脈硬化の発症予測に有意義な所見がえられた。同じ糖尿病の前段階であっても、進展状況が異なるため、生活習慣の改善の啓蒙とともにこのような動脈硬化予知因子を複数組み合わせての厳重な追跡が重要であると考える。
  • 阿部 仁, 加藤 美保, 常田 佳江, 北田 紫穂, 丹伊田 卓, 岩間 寛, 山本 昌弘, 永井 信, 近藤 規央, 今村 哲理
    セッションID: 2C-22
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
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    【緒言】乳がん検診の目的は、がんの早期発見・早期治療により乳がん死亡率を減少させることであり、マンモグラフィによる乳がん検診は広く全国的に普及している。JA北海道厚生連放射線技師会では、平成15年度より『乳がん検診の精度向上に関する委員会』を会内に設置、乳がん検診実施6施設(旭川・帯広・札幌・遠軽・網走・倶知安)に委員を配置し精度向上に向けた活動を行っている。委員会の主な活動内容は、_丸1_乳がん検診成績の報告・_丸2_マンモグラフィ検診施設認定および撮影認定技師取得の推進・_丸3_各施設における精度管理状況の把握を目的とした実態調査などである。 今回、平成21年度乳がん検診成績および検診精度向上に向けた取り組みについて報告する。
    【対象および検討項目】平成21年度乳がん検診受信者数14,190名を対象とし、要精検率、精検受診率、発見乳がん数(率)、陽性反応的中度、乳がん症例に対する技師一次読影結果などについて調査した。
    【結果および考察】平成21年度乳がん検診成績は、要精検率6.0%、精検受診率86.0%、発見乳がん数19例、がん発見率0.13%、陽性反応的中度2.25%であった。各施設別に見ると、要精検率の病院間におけるばらつきが大きく、要精検率の高い施設で陽性反応的中度が低い傾向にあり、施設間における検診精度格差の是正が必要と考えられた。乳がん症例に対する技師一次読影では、発見乳癌19例中、技師読影にてカテゴリー3以上で指摘できたのは、11例(61%)であるが、7例(39%)はカテゴリー2以下であり読影力の低下が懸念された。今回の結果より、乳がん検診精度のベースとなるマンモグラフィ撮影と読影技術の底上げが急務と考え、平成23年4月に当委員会が主管となり『マンモグラフィ検査読影技術』と題する分科会形式の研修を実施した。今後も検診精度向上に向けた取り組みを行い、がん発見の向上に努めたい。
  • 過去3年間の受診動向から
    衛藤 恭子, 佐藤 いづみ, 井上 裕美子, 曽我 佳代
    セッションID: 2C-23
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
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    施設乳がん検診における保健師の役割について           ~過去3年間の受診動向から 大分県厚生連健康管理センター    衛藤恭子、佐藤いづみ、井上裕美子、曽我佳代 <はじめに>当施設では平成元年から視触診に加え乳房超音波検査(以下US)を開始し、平成11年度からはマンモグラフィ検査(以下MMG)も導入している。今回、過去3年間の受診動向を振り返り、施設乳がん検診に携わる保健師としての役割を検討したのでここに報告する。 <方法>平成19年度から3年間の_丸1_乳がん検診受診状況_丸2_精検受診率_丸3_乳がん発見率を全体・職域・住民検診に分けての比較、及び過去3年間の受診の有無(以下連続・非連続)による比較、_丸4_自己触診実施率をみた。 <結果>_丸1_3年間の乳がん検診総受診者は41555名、職域検診47.2%、住民検診52.8%であった。非連続受診者は全体で18.4%、職域検診23.4%、住民検診14.0%であった。また、USとMMG両方受診者は全体で7.5%、職域検診8.3%、住民検診6.8%であった。_丸2_精検受診率は全体で90.3%、職域検診88.0%、住民検診93.4%であった。_丸3_乳がん発見率は全体で0.15%、職域検診0.13%、住民検診0.16%であった。また、連続0.14%、非連続0.31%であった。USのみ0.14%、MMGのみ0.16%、USとMMG両方は0.42%であった。_丸4_自己触診を毎月あるいは時々している人は全体の63.8%であった。また、自己触診法を知らない人は乳がん検診初回者で32.8%、非初回者で4.1%であった。 <考察及びまとめ>今回の調査で、職域検診受診者の精検受診率が低い傾向にあったことから、フォローの充実を図る必要性を感じた。さらに、当センターでは理想的な乳がん検診として、定期的かつUS・MMGを併用した検査受診をすすめてきたが、今回、乳がん発見率においてその有効性が確認できた。しかし、その受診状況はまだ十分とは言えず、市町村・事業所などと連携を図りながら、今後も自己触診法の指導も含めて理想的な乳がん検診の啓発に努めたい。
  • 古賀 聖典, 南 慶子, 戸高 奈津美, 川本 晃司
    セッションID: 2C-24
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
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    【目的】当院の眼科に勤務する視能訓練士(以下ORT)と健康管理センターに勤務する保健師が,山口県柳井市保健センターでの3歳児集団健診および当院小児科での3歳児健診に介入することによる視機能異常検出に対する有用性について検討を行った。
    【対象と方法】対象は平成21年7月から平成22年3月末までに柳井市保健センターで実施される3歳児集団健診と当院小児科で3歳児健診を行いORTによる眼科健診を希望した63名の児とした。方法は,柳井市保健センターでの3歳児健診では当日保護者が提出した問診票を用いて,保健師が再度保護者へ児の眼についての詳細な問診を行い,家庭にて視力検査ができなかった児および家庭での検査で視力が0.5未満であった児に対しては,ORTが2.5mの視力検査を行った。当院小児科で3歳児健診を受けた児に対しては,保護者の希望があればORTが小児科外来で2.5mでの視力検査,レフトラクトメーターによる屈折検査,眼位検査,両眼視機能検査を行った。眼科的検査終了後,保護者へ3歳児眼科健診の意義や希望について,アンケートを実施した。
    【結果】柳井市保健センターおよび当院での3歳児眼科健診を受診した3歳児のうち10名(15.9%)が二次健診受診の対象となった。二次健診で眼科を受診した児の行った検査では,遠視が3名,不同視弱視が1名,再検査が1名であった。アンケートからは視機能検査の専門職であるORT介入による3歳児眼科健診に対して高い評価が得られ,半数以上の保護者が家庭で行う視力検査に不安を持っているという結果が得られた。
    【結論】柳井市3歳児健康診査において,ORTを介入させた視力スクリーニングを実施したことにより,眼科医やORT以外では検出が極めて困難で,放置すると将来的に弱視へ至る可能性の高い眼科疾患を適切に検出することができた。
  • 早期手術の有効性について
    河野 宗平, 佐多 和仁, 緒方 研吾, 小川 崇, 早川 高志, 貝沼 慎吾, 山本 敦史, 中北 吉厚
    セッションID: 2D-1
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
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    〈はじめに〉2007年以降、大腿骨近位部骨折の手術は緊急または準緊急手術として扱い、可能な限り3日以内に手術を行っている。待機手術として扱っていた2006年以前の症例と比較し早期手術の意義を検討した。 〈対象〉ここ2年間の65歳以上の大腿骨転子部骨折のうち、自宅生活中に受傷し、受傷前の歩行能力が自立もしくは杖歩行であった40例を対象とし入院後当日および3日以内に手術を行った通常手術群20例(平均待機期間2.7日)、2006年における入院後7~10日に行った待機手術群20例(平均待機期間7.8日)の2群に分けた。 〈方法〉入院診療録より、入院日数、入院中の併発症、術後リハビリテーションの経過、退院時歩行能、入院費用を調査した。 〈結果〉 1. 平均入院日数:通常手術群は24.9日、待機手術群は50.8日であった。 (Mann-Whitney U検定、p<0.001)   2. 入院中併発症:入院中に併発症を認めたのは、通常手術群で20例中3例、   待機手術群で20例中7例であった。(χ²検定、p<0.001) 3. リハビリの経過:歩行訓練メニューの術後平均開始日は、通常手術群は、立位訓練   2.7日、平行棒歩行3.4日、歩行器歩行10.8日、杖歩行17.6日であった。   待機手術群は、立位訓練2.8日、平行棒歩行3.3日、歩行器歩行19.5日、   杖歩行26.3 日であった。 (Mann-Whitney U検定、立位p=0.9、平行棒p=0.9、歩行器p<0.001、杖p<0.001)  4. 退院時歩行能:通常手術群は、受傷前と同レベルの歩行能で退院が65%、1ランク低下が25%、2ランク低下が10%、待機手術群は同レベル50%、1ランク低下が35%            2ランク低下が15%だった。(χ²検定、p=0.03)       5. 入院費用:通常手術群は平均119.5万円、待機手術群は平均152.1万円であった。 〈考察〉待機手術群は通常手術群と比べ優位にリハビリの遅れ、歩行能力の低下があり、それに伴う入院期間の延長を認めた。待機期間中に肺炎、脳梗塞等の併発症、認知症の悪化を認めた症例が多く原因の一つと考えられ、入院期間の短縮、入院費用の抑制のためにも早期に治療を行う必要があると考える。
  • 岩田 崇裕, 大橋 稔, 酒井 浩志
    セッションID: 2D-2
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】大腿骨近位部不顕性骨折を疑った際、ガイドラインではMRIが推奨されている。しかし早期の診断と治療方針決定が望まれる場面が多い一方、MRI検査が混雑を極めスムーズな依頼が難しいことも多い。そうした状況下で撮影シークエンスに優先順位をつけ効率化を図ることは重要である。今回、いずれのシークエンスが骨折描出能に優れているか調査した。 【方法】2003年1月~2010年6月の間に股関節痛を主訴に、大腿骨頚部・転子部骨折にて疑いも含めて入院となった684例を対象とした。そのうち大腿骨近位部不顕性骨折を疑ったものの単純X線写真にて明らかな骨折線を認めず1.0T MRIによる撮像を行っていた62例に対し、年齢・骨折型・MRI冠状断におけるT1強調像、T2強調像、STIR像での骨折描出能(感度)につき調査した。MRI骨折判定は病名を伏せて行った。 【結果】62例中54例が大腿骨近位部不顕性骨折であった。平均年齢は79.9歳、男性15例、女性39例であった。両股T1強調冠状断像のみを利用した骨折判定では54例全例で骨折ありと判定された(感度100%)。一方、T2強調冠状断像のみの判定では骨折線の判定困難な症例が7例みられた(感度86.5%)。STIR像のみの判定では全7例で骨折ありと判定できたが1例で髄内浮腫は認めるものの骨折線の描出は不明瞭であった。 【考察・結論】不顕性骨折においてCTの骨折線描出力は低く、骨シンチグラムは陽性所見を呈するまで72時間を要することからMRIが推奨されているが、今回の調査により両股T1強調冠状断像が最優先されることが分かった。また冠状断像は健側と比較できることも利点である。転倒後の股関節痛、荷重困難、他動回旋時痛、大転子部叩打痛といった所見を見逃すことなくMRI撮像シークエンスの優先順位を把握することで、早期診断と合理的な検査体系が可能になると思われた。
  • 國井 知典, 魚住 弘明, 三浦 啓己, 斎藤 揚三, 伊東 健太郎
    セッションID: 2D-3
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
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    【はじめに】 当院の医療圏である秋田県南は典型的な農村地域であると同時に本邦有数の豪雪地帯でもある。さらに、人口の高齢化がすすんでいる当地域において、大腿骨近位部骨折はQOL・ADLの低下をきたしうる、社会的にみても極めて重要な課題である。 【目的】 当院での大腿骨近位部骨折患者の入院前の生活環境、ADLと退院後を調査することで当医療圏での特徴を検討し報告する。 【対象と方法】 2008年4月から2011年3月までの3年間における、大腿骨近位部骨折を転子部と頚部骨折の225例を対象とした。平均年齢は転子部81.5歳、頚部76歳であり男性48人 女177人。骨折部位は転子部130人、頚部95人であった。受傷月、手術待機期間、受傷前居宅、退院後居宅、受傷場所、術前歩行状態、退院時歩行状態、最終観察時歩行状態、入院期間について後ろ向きに調査した。日本整形外科学会骨粗鬆症委員会での治療状況調査(以下、全国調査)と比較できる項目についても検討した。 【結果】 受傷月別患者数は4・5月に多くみられた(全国調査:1・10月)。入院から手術までの待機日数は平均7.2日であった(全国調査:4.8日)。受傷場所、入院期間、男女比などは全国調査と比較し有意差がなかった。 退院時、1本杖歩行以上可能な症例は手術症例の58%であり、受傷前のADLが高い症例であった。車イスでの退院となる症例の多くは認知症などでリハビリの適応がない症例や、受傷前のADLが低い症例であり、約75%で施設へ退院となっていた。 【考察】 当医療圏では医療機関、リハビリ専門病院が少なく急性期、回復期、維持期を各医療機関が分担する地域連携は難しいのが現状である。
  • 柴田 俊一, 谷川 浩隆, 最上 祐二, 狩野 修司, 王子 嘉人, 大場 悠己
    セッションID: 2D-4
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
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    外傷で入院となった患者の中に食事がとれないため治療に難渋するケースを目にすることが近年増加していると感じている。2009年4月からの1年間に大腿骨近位部骨折の診断で手術を実施した71症例について術後の摂食機能の変化を中心に全身状態を検討した。年齢は56歳から99歳までの平均年齢81.6歳で、男性20例、女性51例であった。血清アルブミン値は術後一過性に低下し、食事開始となってから感染や摂食障害などの阻害要素が無ければ術後3週頃には上昇に転じてくるが、3週経過しても術後1週の数値を超えることができなかった症例が7例あり、この7例について検討を行った。7例はいずれも術後に食事摂取量が不十分となり、術後に全身状態回復の遅延を生じ、術後リハビリプログラムの遅延へとつながった。7例のうち75歳以上は6例、入院時に尿路感染を認めたものは4例、脳血管障害、神経疾患の既往は6例、術後せん妄は5例、肺炎が2例で見られ、死亡退院は1例であった。平均入院期間は全体では41日に対し、7例では51日であった。入院後に一時的に摂食の障害を生じてNSTや言語聴覚士の介入を必要とした症例は全体のうち5例あったが、そのうちアルブミン値の改善がなかったものは1例であった。高齢者では術後にせん妄や嚥下困難などから摂食不良となり、低栄養が生じるとADLの低下が起こり入院期間が延長となる。このため外傷患者の食事摂取能の低下は大きな課題の1つであり早期から摂食への介入が必要であると思われた。
  • 鈴木 康司, 田野 敦寛, 斎藤 龍佑, 青山 広道, 南家 秀樹, 河内 貞臣
    セッションID: 2D-5
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    (はじめに)近年MRIの普及とともに不顕性骨折が広く認知されるようになってきた。恥坐骨骨折は大腿骨頚部骨折と鑑別が困難な場合があり、その鑑別診断は重要である。今回不顕性恥坐骨骨折の診断上の注意点につき報告する。
    (対象と方法)2010年4月から2011年3月までに当院で加療した不顕性恥坐骨骨折8例。男性1例、女性7例。平均年齢79歳(43-93歳)。転倒外傷の有無、初診時歩行能力(歩行不能、つかまり立、伝い歩き)、恥坐骨骨折の診断に至った画像および所見(時期を変えてのX線、MRI、CT)を調べた。
    (結果)転倒歴は6例であった。2例は転倒歴なく脆弱性骨折であった。初診時歩行能力は歩行不能2例、つかまり立ち2例、伝い歩き4例であった。診断確定に至った画像所見は2例では時期を変えてのX線で骨折線が判明した。5例ではMRIで診断、ペースメーカー内臓または銃弾内蔵のためMRI撮像不可能な2例ではCTで診断確定した。
    (考察)不顕性恥坐骨骨折は外傷歴なく発症することもあり、身体所見上からは大腿骨近位部骨折の鑑別が困難な場合がある。MRIが診断に有用だが、ペースメーカー内臓などの諸事情によりMRI施行不可能な場合があり、時期を変えてのX線、CTも確定診断上有用と考える。
  • 坪井 声示, 塩浦 朋根, 田村 幸久, 岩貞 勢生, 玉内 登志雄
    セッションID: 2D-6
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
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    【緒言】生物学的製剤の使用が2003年に日本でも開始された。従来の消炎鎮痛剤(NSAIDs)、副腎皮質ホルモンでは得られなかった骨破壊抑制効果が報告され、リウマチ治療が飛躍的に変化した。一方免疫療法にともなう感染症も危惧されている。当院では、年間50-110件と多くの関節リウマチ手術が行われており、手術適応、周術期の薬物管理など手術面から生物学的製剤の影響を検討した。 【症例】対象RA手術は1996,1997年度(前期)の227関節(平均年齢61歳)、2009,2010年度(後期)の106関節(平均年齢63歳)である。調査項目:脊椎手術、人工膝関節(TKA)、人工股関節(THA)、人工足趾などの下肢手術、人工肘関節(TEA)、手指、手関節の上肢手術、滑膜切除術の施行数、SSI分類による手術後早期感染の有無、リウマチ治療薬を調査した。 【結果】前期、後期の手術割合は、THAが、33関節(15%)、7関節(7%)、TKAが、128関節(56%)、25関節(45%)、上肢手術が、21関節(9%)、24関節(23%)、滑膜切除術が、18関節(8%)、1関節(1%)であった。SSIは、創治癒遅延が後期で11関節(10%)にみられたが、深部感染は前期、後期とも0関節(0%)であった。使用薬物は、MTXが、前期20%、後期56%、生物学的製剤は前期0%、後期18%であった。 【考案】総手術件数の減少は、生物学製剤やMTXの普及の他にスタッフ異動の影響も上げられるが、手術内容別の比率からは、MTXの普及で疼痛管理が良くなった結果、疼痛軽減を目的とした滑膜切除術の適応が減ったと推測される。進行性の関節障害がコントロール可能になり、既に障害のある上肢関節の手術が増加したと考えられる。今後は、生物学的製剤の効果によりリウマチ外科分野では手術数が減少する可能性があるが、反面手指手術のニーヅ増加がみられること、オーバーユーズによる変形の進行予防指導、創治癒遅延など周術期の管理が重要であると考えられる。
  • 平田 浩二, 藤田 桂史, 片山 亘, 佐藤 允之, 高橋 利英, 亀崎 高夫, 木全 啓, 前田 裕史
    セッションID: 2D-7
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
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    精神症状を呈した感染性心内膜炎の1例 平田浩二¹⁾、藤田桂史¹⁾、片山 亘¹⁾、佐藤允之¹⁾、高橋利英¹⁾、亀崎高夫¹⁾、木全 啓²⁾、前田裕史²⁾ 茨城西南医療センター病院 脳神経外科¹⁾、循環器内科²⁾ 【症例】81歳 男性 【主訴】行動異常、会話困難 【既往歴】腰部脊柱管狭窄症(2年前に腰椎部分椎弓切除術施行) 【家族歴】特記なし。 【現病歴】約1ヶ月前から頭痛、めまい、物忘れを自覚し当科初診となった。意識清明で巣症状を認めず、頭部CTでも異常は認めなかったため経過観察となった。しかし不可解な行動、自発性低下、不適切な発語が顕著となり10日後に再受診となった。 【来院時所見】  神経学的検査:JCSI-2、HDS-R10/30pts.と認知機能障害を認めた。  画像所見検査:CT:右大脳皮質下に多発性の小出血を認めた。         MRI(DWI):左小脳、両側大脳皮質及び深部白質に梗塞巣と考えられる高輝度病変を認めた。  血液検査:WBC14100/μl、CRP11.02mg/dlと炎症反応高値であった。 【経過】発熱はなかったが、上記検査所見から感染性心内膜を疑った。聴診すると拡張期心雑音を認め、経胸壁心エコーで大動脈弁に疣腫を認め感染性心内膜炎と診断、抗生剤投与を開始した。定期的にカテーテルによる脳血管造影を行ったが閉塞性病変や動脈瘤は認めなかった。大動脈弁閉鎖不全および疣腫に対し開心術(大動脈弁置換術)を勧めたが承諾を得られず抗生剤投与を継続しWBC7900/μl、CRP5.52mg/dlと炎症反応は改善傾向となった。神経学的にはJCSI-2、HDS-R12/30ptsとスケールでは明らかな改善は認めなかったが、行動異常や不適切な発語は見られなくなり、自発性も改善した。しかし、入院5週目に新たな脳梗塞による左片麻痺を生じリハビリテーションを行なっている。 【考察】急速に進行する精神症状を呈する患者では、感染性心内膜炎を鑑別に入れて対応すべきであり、聴診は速やかな診断治療の一助となる。
  • 秋 禎樹, 井上 繁雄, 寺島 圭一, 小木曽 英介
    セッションID: 2D-8
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
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    症例は36歳男性。4歳時に血友病A(重症型)と診断。平成22年10月8日、トラック運転中の交通事故で右顔面をハンドルで強打した。頭部CTにて頭蓋内に出血性病変は認めなかったものの、顔面腫脹が増大傾向にある事、および遅発性頭蓋内出血の可能性を考え経過観察入院となったが、症状悪化認めず退院となった。11月9日、間欠的な後頸部痛あり当科受診。頭部CTにて左慢性硬膜下血腫が認められた。来院時採血にて、APTT 115.5秒と著明な延長あり、第_VIII_因子製剤投与後、穿頭血腫除去術施行。術後より4日間、第_VIII_因子製剤を投与し、経過は良好であったため、術後7日目に退院した。しかし翌朝より、徐々に悪化する頭痛、歩行困難を自覚した。自宅を出る際はなんとか自力歩行できたが当科受診時にはGCS 8点、両側瞳孔径6.5mmであった。頭部CTにて前回の慢性硬膜下血腫と同部位に急性硬膜下血腫が認められ、同日、第_VIII_因子製剤投与後、開頭血腫除去術を施行した。その後、軽度の高次機能障害および視野障害は残したものの独歩退院となり、現在は外来にて経過観察している。 今回我々は、慢性硬膜下血腫の治療後に急性硬膜下血腫を発症した血友病A患者の症例を経験した。頭蓋内血腫を有する血友病A患者の治療と経過について、若干の文献的考察を交えて報告する。
  • 国塚 久法, 高久 英之, 大塚 聡郎, 國分 康平, 須田 良孝, 安田 恒男, 菊地 顕次
    セッションID: 2D-9
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    症例は66歳男性。扁桃腺摘出・虫垂炎の手術の既往があり高脂血症、心房細動で循環器科に通院していた。平成22年2月8日胸部不快、全身の脱力があり救急搬送された。心電図でVT波形がありDCを施行され洞調律に復し同日循環器科に入院した。2日後のAM10時、家族が清拭していた時に突然呼名反応が低下し失語、右片麻痺を来たし紹介となった。診察時はJCS3Aで失語、左への眼球の共同偏位、右片麻痺2/_V_がみられNIHSSは20点であった。(その後意識はJCS20-30にdownし右片麻痺1/_V_、NIHSSは22点に増悪した)CTではearly signはなかったがMRI(DWI)で左島皮質などに高輝度領域が描出され左中大脳動脈閉塞もしくは左内頚動脈閉塞による脳塞栓症の診断で発症より1:43後にrt-PA静注療法を施行しえた。しかし神経学的所見の改善はなく、また画像追跡では両側前頭葉皮質と左中大脳動脈領域の広範な脳梗塞が明瞭化し頭部MRAでは左内頚動脈の終末部までは描出があり今回は左内頚動脈の起始部の閉塞と考えられた。対側の前大脳動脈の低形成があり優位側の内頚動脈の起始部の閉塞であった為再開通は一部に留まり翌日のCTで両側の前頭葉、左大脳半球に広範な脳梗塞を来たし神経学的所見はその後さらに増悪し全身状態も徐々に悪化し救命は困難で2日後死亡退院となった。rt-PA静注療法について文献的考察を加えて報告する。
  • -秋田県農村医学会共同研究班研究から-
    菊地 顕次, 小島 壽志, 太田原 康成, 安田 恒男, 村石 健治, 桑原 直行, 須田 良孝, 佐々木 順孝, 伏見 進, 大塚 聡郎
    セッションID: 2D-10
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    【背景・目的】秋田県は以前から全国有数の脳卒中県として知られ、平成20年の最新統計によれば秋田県の脳卒中死亡率は161.1 で全国第1位となっている。急性期脳梗塞に対する有効的治療法としてアルテプラーゼ( rt-PA )が平成17年10月に国内で初めて保険承認されたのを機会に、全県的な視野からrt-PA 静注療法の実態・現状を把握し、治療成績を検討するとともに、現状での問題点について考察する。 【対象・方法】平成17年10月から平成23年3月までの間に秋田県厚生連9病院で、rt-PA 静注療法を行った発症3時間以内の急性期脳梗塞患者を後ろ向きに連続登録し、集計された146例を対象とした。性別は男性92例、女性54例で、平均年齢は72歳だった。 【結果】脳梗塞の臨床病型は心原性脳塞栓症100例、アテローム血栓性脳梗塞26例、ラクナ梗塞5例で、その他が15例だった。発症から投与までの平均時間は126分で、そのうち病院前搬送時間は54分だった。治療前の神経学的重症度はNIHSS で平均15.6 点で、意識レベルはJCS1桁が100例と最も多かった。治療成績に関連して、NIHSS が治療前後で10点以上改善、もしくは総点で0または1点まで改善した場合を「著効」、著効まで至らない改善例を「効果」と定義すると、「著効」+「効果」群は24時間後で60.6%、1か月後で76.9%、3か月後では77.2%だった。一方3か月後のADLは、治療前NIHSSが15点未満の場合mRS0~1は51%、15点以上25点未満が13%で、25点以上の重症例ではわずかに7%にすぎず、治療3か月後の予後と治療前のNIHSSとがよく相関していた。 【考察・結論】rt-PA静注療法は適正治療指針を遵守するかぎり、本研究においても安全で良好な治療成績が示された。今後の治療成績向上のために早期受診の啓蒙や病院前搬送・院内診療体制のさらなる整備が必要であると考えられた。
  • 沖井 則文
    セッションID: 2D-11
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】血小板凝集能検査による脳虚血性疾患のスクリーニング 【対象】平成22年1月1日~12月31日まで血小板凝集能検査を行った症例 のうち抗血小板剤を内服していない63例 【方法】 Born, OBrien法。測定機器:Aggregometer PAM-8T。 血小板凝集惹起剤:(MCM)ADP
    被験者の血液を遠心分離し、血小板数30×104/μlのPRP(多血小板血漿)を作成する。0.5, 1, 2, 4μM/l各濃度に希釈したADPにPRPを加える。各濃度において経時的に凝集の程度を評価する。凝集の程度により血小板凝集能亢進から低下の順に3, 2, 1, 0, -1, -2の6群に分類した。 虚血性変化の有無は頭部CTあるいはMRI検査にて確認した。 【結果】3群は7例で全例とも虚血性変化を有していた。2群は16例で 7/16例が虚血性変化有、9/16例が虚血性変化無であった。以後同様に 1群は8/17例が有、9/17例が無。0群は12/17例が有、5/17例が無、-1群は4/5例が有、1/5例が無、-2群は1例のみで無であった。一方、虚血性変化による分類では虚血性変化有は40例で内訳は3群が7例、2群が9例、1群が8例、0群が12例、-1群が4例、-2群は無かった。虚血性変化無は23例で3群は無く、2群が7例、1群が9例、0群が5例、-1群が1例、-2群が1例であった。 【考察】血小板凝集能3群は全例虚血性変化を認めており、この群は厳重なる留意、あるいは治療が必要であると考えた。また-2群は1例であるが虚血性変化は無く、加療の必要は無いと考えた。血小板凝集能は50点と比較的安価であり、脳虚血性疾患のスクリーニングとして考慮に値すると考えた。
  • 星野 有
    セッションID: 2D-12
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】抗凝固療法中に合併した頭蓋内出血性疾患のため緊急手術を施行した患者において、血液凝固第IX因子複合体(以下PCC)の有用性について検討したので報告する。【対象および方法】平成20年3月から平成22年4月までに、抗凝固療法中の患者で頭蓋内出血性疾患のため緊急手術が必要となった4症例を対象とした。内訳は、男性3例、女性1例、年齢は54歳から84歳であった。来院時のPT-INRは1.98~3.38と高値を示し、PCC 500単位とビタミンK10mgを静脈内に投与した。15分後に同値の改善を確認、1例の大脳皮質下出血と1例の小脳出血では全身麻酔下での開頭術を、2例の慢性硬膜下血腫で局所麻酔下に穿頭術を施行した。緊急手術の適応は、脳ヘルニア徴候1例、意識障害増悪が2例、片麻痺増悪が1例であった。この4例における手術方法、手術時間、術後出血について検討した。【結果】4例とも通常の手術を行い、手術時間は同時期の同様の手術と比較して時間の延長はみられなかった。全例で術後出血や再出血・再貯留はみられず、再手術は施行していない。【考察】従来、抗凝固療法中の頭蓋内出血症例では、ビタミンKと新鮮凍結血漿の投与が行なわれてきたが、緊急手術を要する疾患、特に急性硬膜下血腫では、両者を投与しつつ手術を開始していた。この際、手術範囲を最小限とする工夫をしても手術時間の延長や術後出血をきたすこともあった。近年の脳卒中治療ガイドラインでは、このような症例においてPCCの投与が推奨されており、その有効性が多く報告されている。今回、救命手術を要した1例を含む4例の緊急手術に際して、手術方法の変更、手術時間の延長、術後出血の合併がいずれも認められなかった点からPCCの有用性が示唆されたと考える。【結語】抗凝固療法中の頭蓋内出血性疾患の緊急手術において、PCCの有用性が示されたと思われる。
  • 椎貝 達夫, 平沢 博, 坂東 梨恵, 熊本 初美, 椎貝 冨士子, 篠原 芳江, 池田 直子, 丸田 利奈
    セッションID: 2D-13
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】1987年から椎貝を中心に開始されたCKD保存療法は、以下の結果をもたらしている。1.2005年からの「D3-30プロジェクト」により、取手市住民からの透析導入数を3年間で39%減少させた。2.通院する非糖尿病性腎症241人中102人(42.3%)が2011年に尿蛋白排泄量0.3g/日未満に到達した(表)。しかしこの保存療法は全国的にむしろ後退している。そこで普及策について考えた。 【保存療法の普及策】1.システム構築はコンピュータの発達で、どこの検査ラボが関与していても容易になった。2.採算性は椎貝クリニックが無事に運営されていることが証明している。3.腎臓病手帳、血圧記入用紙、蓄尿キット等は現在でも高価ではないが、普及が進めばスケールメリットにより安価になる。 【結論】CKD保存療法が優れていることは、図表より明らかである。問題はいかに普及させるかで、システム構築はコンピュータの発達で解消した。採算性があることは当クリニックの実績が証明している。より良い保存療法を求める「CKD難民」は増加しており、厚生連病院の中に受入れ先として手を挙げる病院が現われるよう、お願いしたい。
  • 永井 司, 伊藤 康久
    セッションID: 2D-14
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    Malnutrition Inflammation Score(MIS) および Geriatric Nutritional Risk Index(GNRI)は透析患者における主要な栄養スクリーニングツールであるが、予後予測指標としての有用性も指摘されている。今回われわれは、血液透析患者65例(男/女=43/22、年齢63±13歳、透析期間58±47ヶ月)を対象にMISおよびGNRIを測定し、栄養指標、QOLおよび予後との関連性を検討したので報告する。栄養評価には、Alb,CRP,TIBC,T-chol.,蛋白異化率(PCR),上腕周囲長(AC)および体格指数(BMI)を用い、QOL評価にはSF-36を用いた。予後との関連性は、MIS/GNRI評価後1年間の入院のリスク(入院回数と入院期間)を比較した。MIS評価では21例(32%)、GNRI評価では37名(57%)が栄養障害リスクありと判定され、両者の判定合致率は69%であった。MIS、GNRIともに栄養障害リスクあり群のAlbとACが有意に低値であり、QOLスコアも低下していた。観察期間中18例が入院し、うち2例が死亡した。入院に対する相対危険度はMISリスクでは1.33、GNRIリスクでは1.51であった。患者・月あたりの入院回数は、MISリスク(+)/(-)=2.04、GNRIリスク(+)/(-)=1.74であり、入院期間はMISリスク(+)/(-)=2.96、GNRIリスク(+)/(-)=2.28であった。MISおよびGNRIは透析患者における栄養評価指標となるばかりでなく、予後予測指標としても有用なツールとなりうると考えられた。
  • 宇野 裕巳, 斎藤 昭弘, 河田 幸道, 森 良雄
    セッションID: 2D-15
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】PSA値異常または直腸診(DRE)異常の際、確定診断のため超音波ガイド下前立腺針生検が施行される。生検経路には経直腸式(TR)と経会陰式(TP)があり、通常どちらかの経路が選択されるが両者ともsampling困難な領域がある。Kawakamiらは2006年にTPとTRを組み合わせた立体生検による癌検出率がいずれの単一経路より有意に優れていることを報告した。当施設では従来TR生検を施行してきたが、2010年12月より立体生検を取り入れたのでその成績を報告する。 【対象・方法】対象はPSA値>4 ng/mL又はDRE異常のため2010年12月~2011年5月の間に立体生検を行った37例(初回生検16例、再生検21例)。年齢(中央値)68歳 、PSA値(中央値)8.67ng/mL、PSA値 4.01~10.0 ng/mLは20例(54%)だった。生検方法はサドルブロック下、超音波ガイド下にTP10~14本、TR8本、計18~22本採取した。生検前MRIで異常部位を認めた際適宜追加生検を行った。 【成績】(1)癌陽性率は全症例で43.2%(16/37)、PSA値4.01~10.0 ng/mLで45%(9/20)、10.01 ng/mL以上で40%(6/15)だった。(2)初回生検における癌陽性率は25%(4/16)、再生検では57.1%(12/21)だった。(3)癌症例16例の生検陽性領域は、TPのみ陽性は9例、TRのみ陽性は1例、TP・TR共に陽性は6例だった。(4)臨床的重要癌の定義を陽性本数2本以下、グリソンスコア6以下とすると、16例中11例が臨床的重要癌で、残りの5例はactive surveillance可能な症例だった。 【結論】立体前立腺生検の癌陽性率は特に再生検症例でTPまたはTR単一経路の場合と比較して高い。初回生検が陰性でもその半数以上は癌陽性と考え、立体生検などの生検方法を検討すべきである。
  • メンテナンス療法は有効である
    岡村 武彦, 秋田 英俊, 小林 隆宏, 安藤  亮介, 中根  明宏
    セッションID: 2D-16
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
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    【目的】BCG膀胱内注入療法は、筋層非浸潤性膀胱癌に対して再発予防を中心に最も有効とされている。しかし、再発例も少なからずみられ、海外ではハイリスク症例に対しての追加治療としてメンテナンス療法が推奨されており、本邦でも徐々に普及しつつある。今回我々は、筋層非浸潤性膀胱癌に対してのBCG膀胱内注入療法施行例について、メンテナンス療法施行例と非施行例の比較検討をレトロスペクティブに行った。【対象と方法】対象は3年以上経過観察出来た筋層非浸潤性膀胱癌症例で、メンテナンス療法施行群48例(A群)と、メンテナンス療法非施行群27例(B群)である。BCG 80mgを再発予防として6回から8回行い、A群はその後1カ月1回で6回以上BCGが追加施行出来た症例、B群は追加治療なしの対象群として、2群間での解析を行った。【結果】75例全体の3年・5年非再発率は各々77.3%・71.4%、A群、B群の5年非再発率はそれぞれ83.0%:51.9%で、2群間に有意な差を認めた(P=0.006)。層別化分析の結果では、メンテナンス施行群において、年齢(P=0.023)、深達度(P=0.005)で有意差を認めた。単変量解析ではメンテナンス療法の有無で有意差を認め(P=0.009)、多変量解析ではメンテナンス療法の有無(P=0.002)と深達度(P=0.015)で有意差が認められた。【考察】筋層非浸潤性膀胱癌再発予防治療としてのBCG膀胱内注入療法において、メンテナンス療法の有用性が示された。しかし、T1でのメンテナンス療法の有効性の低下が明らかとなり、これらの結果を考慮したうえで、さらに継続期間、投与間隔などについてのプロスペクティブな検討が必要と思われる。
  • 永美 大志, 前島 文夫, 西垣 良夫, 夏川 周介
    セッションID: 2D-17
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    <はじめに>
    農薬は第二次大戦後急速に使用量が増加し、農薬中毒が農村医学の主たる課題になって久しい。本学会はこの課題に長年取り組んできており、2004年発足させた特別研究プロジェクトにおいても部会の一つとして取り上げた。農薬中毒部会では全国の関連医療施設の協力のもと臨床例調査を行なってきたので、2007-09年分について報告する。
    <方法>
    日本農村医学会関連施設 122施設に対して、「農薬中毒報告用紙」を毎年4月郵送し、前年度初診分の臨床例を報告いただき、原因農薬、曝露の状況、診断名、転帰などについて検討した。
    <結果>
    2007-09年の調査結果は、以下のとおりであった。
    (1) 農薬中毒の症例が、48施設から212例報告された。
    (2) 性別では、男が54%とやや多く、世代別では、60才代(23%)、70才代(22%)が最も多かった。
    (3) 農薬中毒(障害)発症に関わる農薬曝露状況は、自殺が76%であり、散布中等(15%)、誤飲誤食(4%)が続いていた。
    (4) 月別に見ると、5月、8月が各12%で最も多く、9月が11%で続いていた。
    (5) 診断名としては、急性中毒(89%)が多く、皮膚障害(3%)、眼障害(2%)もあった。
    (6) 臨床例の原因農薬は、有機リン系殺虫剤(31%)が最も多く、アミノ酸系除草剤(17%)、ビピリジリウム系除草剤(10%)などが続いていた。
    (7) 成分別にみると、グリホサート(15%)が多く、スミチオン(12%)、パラコート(9%)が続いていた。
    (8) 死亡例が34例報告された。うち15例が、パラコート剤によるものであり、9例が有機リン剤によるものであった。
    <考察>
    パラコート剤は、致死率、死亡数において、他の農薬成分を大きく引き離していた。本剤の流通規制の強化の必要性を改めて認識させる結果であった。
    <謝辞>
    本調査は全国の医療機関の方々の協力のもとに実施された。ここに深謝する。
  • 中田 由夫, 橋本 幸一, 原田 義則
    セッションID: 2D-18
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    【緒言】肥満の解消が様々な健康利益をもたらすことは良く知られているが、減量プログラムの構成要素である集団型減量支援の長期的有効性については明らかではない。【目的および方法】本研究では、JA茨城県厚生連の協力を得て、減量介入を伴うランダム化比較試験を実施した。対象は、重篤な疾患を有さないが肥満等の軽微なリスクを持つ125人(女性92人、男性33人)であり、対照群(動機付け支援+教材提供)、介入群(動機付け支援+教材提供+集団型減量支援)の2群にランダムに割り付け、6ヵ月間、減量介入した後、1年後にあたる18ヵ月目に追跡調査した。本報告では、特にメタボリックシンドローム構成因子に対する効果の残存性を検討した。【結果および考察】ITT解析による6ヵ月間の体重減少量は対照群4.7±4.0 kg、介入群7.7±4.1 kgであり、集団型減量支援の有効性が認められた(p<0.001)。18ヵ月目における体重減少量は対照群3.2±4.4 kg、介入群4.7±4.2 kgと効果は薄まっていた(p=0.057)。メタボリックシンドローム該当者数は、6ヵ月目では対照群で20人から6人、介入群で8人から0人に減少しており、18ヵ月目においては対照群で18人、介入群で2人に増加した。また、メタボリックシンドローム構成因子保有数は、6ヵ月目では対照群で2.1個から1.4個、介入群で1.7個から0.7個に減少したが、18ヵ月目では対照群で1.8個、介入群で1.2個に増加した。各群の構成因子保有状況の変化を比較すると、6ヵ月目では腹部肥満の改善度が介入群で有意に大きかったが、18ヵ月目では、いずれの項目についても両群の有意差は認められなかった。以上の結果から、減量期間中の集団型減量支援は、メタボリックシンドローム構成因子に対し、短期的に改善効果を高めるが、減量後1年間でその効果は認められなくなることが示唆された。
  • - 「いきいき生活支援」アンケート調査結果からの考察 -
    杉浦 正士, 早川 富博
    セッションID: 2D-19
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
     足助地域など豊田市の中山間地域においては、市街地と比較して人口の減少と高齢化が顕著であり過疎化が急速に進行している。また、平成17年に旧東加茂郡と旧豊田市が合併したことにより、それまで地域の実情に即して実施されてきた各種の公共サービスが全市の均衡の中で縮減されてきた。
     このような状況の中、平成22年度経済産業省「医療・介護等関連分野における規制改革・産業創出調査研究事業」の採択を受け「いきいき生活支援」アンケート調査を実施したところ、高齢者を中心とした中山間地域の生活状況について有用な知見が得られたので報告する。
    【対象および方法】
    対  象:豊田市中山間地域および設楽町の全戸 9,296戸
    回答者 :19歳以上としたが3名以上の該当者がいる場合は高齢者から3名回答とした
    実施期間:平成22年9月15日から10月31日
    調査内容:地域での生活状況を中心に60問
    配布方法:各地区区長会を通じて全戸に3部の調査用紙配布
    回収方法:返信用封筒にて当院へ郵送
    【結果および考察】
     配布した9,296戸に対し5,038世帯から11,192名の回答が寄せられた。多くの結果が得られたが、地域状況を表す主な結果は以下のようであった。
     1.独居および老夫婦世帯が非常に多く50%を超える地域もある
     2.不便ではあるが住み続けたいと希望する高齢者が多い
     3.地域交通が他の市町村と比較すると充実しているが利用は少ない
     4.高齢者の自家用車運転が多く、85歳以上でも手放せない
     5.高齢者の外出機会は少なく、とくに幹線道路から離れた地域では少ない
     6.イノシシなど獣害が多い
     以上のように中山間地域での生活は都市部と比較すると多くの特色がある。特に外出機会は手段が少ないこともあって非常に少なくなっている。
    【まとめ】
     中山間地域での生活は都市部と比較すると多くの課題のあることが明らかとなった。今後は、地域唯一の総合病院である当院が医療・保健・福祉のみでなく医療周辺の生活支援についても積極的に貢献していくことが重要と考える。
  • 前田 晃男, 林 基志, 高田 淳, 岩下 雅秀, 田上 真, 畠山 啓朗, 林 隆夫, 西脇 伸二, 齋藤 公志郎
    セッションID: 2D-20
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
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    【緒言】成人用肺炎球菌ワクチン(PPV23)は、高齢者の肺炎球菌性肺炎およびすべての原因による肺炎の発症率を有意に低下させ(Maruyama T, et al. BMJ 2010)、肺炎による入院患者の死亡率を有意に改善する(Fisman DN, et al. Clin Infect Dis. 2006)ことが報告されている。岐阜県養老町では、町民の健康増進の一環として肺炎球菌ワクチンの接種率向上を目指して、平成19年11月より成人用肺炎球菌ワクチン接種に対する公費助成を行っている。公費助成開始後、肺炎球菌ワクチンの出荷量が急増し、平成19~22年度の公費助成での累積接種率(75歳以上町民)は18.3%に及んだ。今回我々は公費助成開始前後での肺炎入院率、肺炎死亡数等のワクチン接種によるアウトカムについて検討を行った。【公費助成制度の内容】満75歳以上の養老町民で肺炎球菌ワクチンの接種を希望し、所定の申込を行った者に3000円の補助を行う。接種期間:各年度11月1日から3月31日。接種場所:町内医療機関。【結果】_★丸1_75歳以上で、当院に肺炎で入院した地域別の患者比率を公費助成開始前後で比較すると、養老町民の入院比率は75.2%→65.8%と減少(P=0.007)していたが、近隣の大垣市民の入院比率は17.3%→22.1%、海津市民の入院比率は7.5%→12.1%と増加傾向を示していた。_★丸2_肺炎死亡者数を公費助成開始前後2年間で比較すると、養老町では67人→50人と減少(P=0.042)していたが、近隣の大垣市では213人→241人、海津市では70人→78人と増加傾向を示していた。_★丸3_肺炎入院患者数の減少から計算される医療費削減効果は、平成21年度1年間で891万円(ワクチンの公費補助費合計:102万円)と推定された。以上の様に肺炎球菌ワクチン接種の公費助成制度が一定の効果を示すと考えられたため、更なる接種率向上を目的として、申込手続きを簡素化するとともに接種期間を限定せず、通年的に接種可能とした。また、養老町の実績が評価され、平成22年度より近隣の8自治体でも公費助成制度が開始されている。
  • 統計学的逐次近似法を応用した画像再構成法(ASIR)の有用性
    藤井 隆, 久留島 秀治, 政田 賢治, 佐倉 拓朗, 荘川 知己, 前田 幸治, 辻山 修司, 藤川 光一, 山口 裕之, 重田 祐輔
    セッションID: 2E-01
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
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    【背景と目的】心臓CTによる冠動脈小径ステント(2.5mm以下)の内腔評価は未だ困難である。ステント内腔描出能は再構成関数に高分解能関数を用いることで空間分解能が改善されるが、ノイズ増加をきたす。ノイズ量を押さえ空間分解能の向上した画像を得るには撮影線量の増加が必要とされ高分解能関数の使用が困難であった。ノイズ低減が可能な統計学的逐次近似法を応用した画像再構成方法(ASiR)と高分解能関数を併用したステント内腔評価能を基礎的、臨床的に検討した。
    【方法】5種類の2.5mmステントの自作phantomを64列MDCT;LightSpeed VCT VISIONで撮像し、
    1)Standard 関数、2)Detail 関数、3)ASiR 30%併用でDetail関数、4)ASiR 60%併用でBone関数の4種の再構成画像で、ステント内径をFull Width of Half Maximum(FWHM)で、ノイズは水ファントムを用い計測した。
    臨床評価は基礎実験の結果を踏まえ3)の条件下で施行した。
    【結果】FWHM値は、1)0.95±0.06mm,2)1.06±0.02mm,3)1.09±0.05mm,4)1.44±0.06mm(平均±標準誤差)で、1)に比し2)~4)において有意な増加を認めた( 2),3);p<0.05,4);p<0.001 )。
    画像ノイズは1)21.4±1.4HU,2)26.6±1.6HU,3)21.0±1.4HU,4)41.0±4.5HUで、3)は4)と比較し有意に低下(p<0.001)、4)は、1),3)と比較し有意に増加した(p<0.001)。臨床的にはASiR 30%併用でDetail関数を使用した再構成法ではステント内腔視認性が0%に近い数値から38.7%に向上した。
    【考案】高分解能関数とASiRの併用が小径ステント内腔描出能の向上に有用であった。
  • 齋藤 富善, 大和田 卓史, 泉田 次郎, 斎藤 恒儀, 前原 和平, 本庄 浩, 浦部 真平
    セッションID: 2E-02
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
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    大動脈の解離を伴わない孤立性上腸間膜動脈解離は報告症例が少ないため臨床経過も不明で治療方針も確立されていない。一旦、腸管虚血による下血が認められれば外科的腸管切除もしくは血管治療が必要であるが、腸管虚血を認めない場合には保存的治療で軽快する症例も多い。当院において2008年5月から2010年12月までに12例の孤立性上腸間膜動脈解離を経験した。すべて男性で、平均年齢は66歳であった。腹痛を伴ったのは7例で無症候性は5例であった。12例中9例に喫煙、8例に高血圧を認めた。症候性7例のうち1例で腸管虚血のため経皮的ステント留置術を行ったが、残り6例は保存的に加療できた。孤立性上腸間膜動脈解離は腹痛の鑑別疾患として重要であり、造影CTなど画像診断が進歩しており今後とも診療する機会が増えてくると予想される。比較的予後は良好で日常診療で見逃している可能性もあり、造影CT像を注意深く読影することが大切である。
  • 国居 由香, 古谷 隆和, 佐竹 真明, 小沢 博和, 小西 知己, 安永 満, 河村 武郎
    セッションID: 2E-03
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
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    【はじめに】上腸間膜動脈(以下SMA)塞栓症は、外科的血行再建や小腸大量切除を要する死亡率の高い疾患である。近年、interventional radiologyの導入により、手術を回避できる例が報告されている。今回我々は、発症から約12時間経過したSMA塞栓症に対して、カテーテルによる血栓吸引療法を施行し良好な結果を得たので報告する。【症例】61歳、女性。既往症に心房細動がある。朝8時半頃より腹痛、下痢、嘔吐を自覚し近医を受診した。内服薬を処方され帰宅したが、腹痛が軽快しないため18時10分当院紹介受診となった。腹部は平坦、軟で筋性防御は認めなかった。心電図にて房細動を認めた。血液検査ではGOT、LDHは軽度上昇していたがCPKは正常範囲内であった。造影CTにてSMAは中結腸動脈分枝部より末梢で約6_cm_にわたって完全閉塞していた。以上より、発症から約12時間経過した心原性SMA塞栓症と診断した。しかし明らかな腸管壊死所見は認められなかったため、経カテーテル的血栓吸引療法を施行することとした。【血栓吸引療法】ガイディングカテーテルをSMAに挿入留置後、スロンバスターカテーテルを使用し血栓を吸引除去した。血栓除去が不十分な部位にはバルーン拡張を追加し、SMA本幹を確保することに成功した。造影後期相で、腸管への血流は十分であると診断した。治療後腹痛は速やかに消失した。術後抗凝固療法を施行し、腹部症状出現することなく軽快退院となった。【考察】SMA塞栓症に対する血栓吸引療法は、発症後10時間以内に開始することが望ましいとの報告が多い。本症例は中結腸動脈を介した側副血行路が維持された分節的閉塞であったため、発症後10時間以上経過していたにもかかわらず腸管壊死に至らず、経カテーテル的治療のみで治療できたと考えられる。【結語】発症から長時間経過した症例でも、腸管壊死の有無を慎重に判断し、経カテーテル的血栓吸引除去療法を行うことで、開腹手術を回避できる可能性がある。
  • 久我 貴之, 岡 一斉, 藤井 雅和, 山下 晃正, 藤井 康宏
    セッションID: 2E-04
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
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    [目的]静脈血栓塞栓症(VTE)は術後の重篤な合併症である一方、術後と関連しない飛行機搭乗、災害時等発症もある。深部静脈血栓症発症時における下大静脈フィルター留置術(IVC-F)は致死的肺血栓塞栓症の予防法の一つである。IVC-Fを必要としたVTEの臨床病態について検討。[対象と方法]対象は2007年1月から2011年3月までにVTEと診断され、IVC-Fを施行された14例。男性6例、女性8例。年齢は48-90歳。対象例において、誘因、DVTの部位、PTE合併の有無、凝固線溶系血液検査、血栓溶解剤使用の有無、手術、使用フィルター、維持療法および予後等について検討。[結果]入院例6例、外来例8例。誘因は術後3例、悪性腫瘍例3例、膠原病類似疾患2例、腎盂腎炎・先天性アンチトロンビンIII低下・血管形成異常が各1例、原因不明3例。部位は左10例、右4例。PTE合併例は5例。血栓溶解剤(tPA)使用は8例。IVC-Fに関して、鼠径アプローチ13例、鎖骨上アプローチ1例。手術時間は18-42分。術中合併症無し。術後合併症は穿刺部血腫2例。使用されたフィルターは永久型10例、一時型5例(1例は一時型から永久型移行)。一時型の抜去および永久型への変更は3-5日目。術後の維持療法はすべてヘパリンーワーファリン療法でPT-INR値を1.5-2.5に維持。術後フォローはDダイマー値、エコー、CTを施行。予後は悪性腫瘍2例で癌死。[まとめ]IVC-F後の肺塞栓症の発生率は0.5-6.0%、致死的肺塞栓症の発生率は0.3-1.9%とされている。永久型における長期予後の報告は少なく永久型は制限され、一時型は拡大傾向にある。自験例では一時型は既往歴患者の術前、若年者、低リスク患者に、永久型高齢者、高リスク患者、進行癌患者に使用された。臨床的病態とIVC-Fの役割について文献的考察を加える。
  • 河郷 亮, 平田 健, 上田 晃志郎, 尼崎 陽太郎, 井口 智浩, 瀬山 厚司, 守田 知明
    セッションID: 2E-05
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】Zenker憩室は咽頭食道移行部後壁の解剖学的脆弱部(Killian三角)から発生する圧出性憩室である。同疾患に対する手術治療例は、欧米では数多く報告されているが、本邦においては稀である。今回我々は、嚥下困難を呈したZenker憩室症例に対して手術を施行し、良好な結果を得たので報告する。【症例】88歳、女性。主訴は嚥下困難。特別養護老人ホームに入所中、介護者が嚥下困難に気付き、近医を受診した。CT検査にて上部食道の右後方に突出する憩室を認め、内部に食物残渣が多量に貯留していた。内視鏡検査では咽頭食道後壁に憩室を認め、内部に貯留した食物残渣の除去を試みられたが、困難であった。Zenker憩室内部に多量の食物残渣が貯留し食道を圧迫、嚥下困難症状が出現したと考えられた。QOL改善目的に、手術を施行することとした。【手術】全身麻酔下、右側胸鎖乳突筋前方に斜切開を加え、頚部食道にアプローチした。甲状腺右葉外側の剥離を進めていくと頚部食道右後方に、柔らかい腫瘤が認められた。さらに剥離を進めると、咽頭食道後壁から発生する約3cm大の憩室が同定された。憩室は咽頭収縮筋の尾側及び輪状咽頭筋の頭側から発生しており、Zenker憩室と診断した。輪状咽頭筋と食道筋層の一部を切開した。憩室頂部を切開し内腔側から確認しつつ、食道内腔狭窄を来さないよう十分注意し、自動縫合器を用いて憩室基部を切離した。【術後経過】術後経過は良好で、普通食全粥摂取後も嚥下困難症状の出現はなかった。術後九日目に退院となった。【まとめ】本疾患は無症状のことが多く、その場合は経過観察が一般的である。一方、高齢者の嚥下困難や誤嚥は頻度の高い症状であるが、原因が同定されないことも多い。本症例は、高齢者における嚥下困難症状の原因がZenker憩室であった、大変珍しいケースである。症状改善のために行った手術は、比較的低侵襲で極めて効果的であった。本疾患の診断と治療について、文献的考察を加え報告する。
  • 佐藤 秀昭
    セッションID: 2E-06
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    Helicobacter pylori(H.P)除菌に関するアンケート調査報告 JA東京厚生連健康管理センター 佐藤 秀昭 【目的】 H.p感染が胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍の重要な原因であることが明らかとなり最近では胃がん発症との強い関連性も指摘され、予防医学上重要な感染症の一つである。前回本学会で職業との関連について報告した。ピロリ菌感染は幼少時に感染し、ほぼ一生持続感染し、成人になってから感染しにくいとされている。今回小児期に過ごした生家の職業について主にアンケート調査を行った。 【対象および方法】当院で感染を指摘された100名について職業・生家・除菌実施機関・除菌動機・胃がんの家族歴・既往歴等について面接調査した。職業では事務職32%・農業従事者25%・主婦13%、生家は農家61%・農家以外38%・除菌実施機関は当院51%・開業医29%・病院20%、除菌動機は「医師の説明を受けて除菌を決めた」59%・「自覚症状による」19%・「家族に胃がんがいるので心配」10%・「マスメディアで知った」8%・「知人・家族に勧められ」4%、胃がんの家族歴は22%であり、既往歴は「特にない」40%、「胃潰瘍」24%・「十二指腸潰瘍」23%・「胃ポリープ」9%・「胃がん術後」2%であった。 【まとめ】H.p除菌は消化性潰瘍の治癒だけでなく、H.p感染疾患の予防・感染経路の抑制するため小児期に過ごした生家も問診上重要と考えられる。
  • 堀 友紀子, 大河内 昌弘, 蒲澤 康晃, 石井 健司, 渋谷 浩一, 諸戸 博, 前田 美津代, 土井 昭夫, 瀬下 智子, 山田 滝彦
    セッションID: 2E-07
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】ヘリコバクターピロリ菌(以下、ピロリ菌)は、胃・十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎、胃癌、胃リンパ腫、胃過形成ポリープの発症と密接に関連しており、近年、ピロリ菌の除菌治療が積極的に行われている。しかし、一方で、抗生剤に対する耐性菌の増加により、ピロリ菌除菌の成功率が徐々に下がっており、最近の報告では70-80%程度の報告が多くなっている。 そこで、今回、我々は、当院での最近1年間のピロリ菌の除菌治療成績について検討した。【方法】2010年4/1から5/31までの1年間の間に当院で、胃カメラ時の病理検査で、ピロリ菌感染が確認され、除菌治療が行われた115名を対象とし、対象疾患の割合、1次・2次・3次成功率、治療中断率、および、除菌治療後の判定方法について検討した。1次除菌については、当院のプロトコールにあるランソプラゾール60mg+アモキシシリン1500mg+クラリスロマイシン400mgを、2次除菌についてもプロトコールのラベプラゾール20mg+アモキシシリン1500mg+メトロニダゾール500mgが全例に施行されたが、3次除菌については、主治医の治療方法に任された。【結果】除菌治療の内訳は、全115名の内、胃潰瘍49例(42.6%)、十二指腸潰瘍22例(19.1%)、萎縮性胃炎38例(33.0%)、胃癌治療後3例(2.6%)、胃過形成ポリープ3例(2.6%)であった。除菌成功率は、1次82.6%(95/115)、2次64.7%(11/17)、3次50%(2/4)であった。治療中断は、3.5%(4/115)であった。1次除菌の判定方法は、尿素呼気試験(UBT)36.5%、便中ピロリ菌抗原検査(便ピロリ)63.5%、2次除菌は、UBT23.5%、便ピロリ76.5%、3次除菌は、UBT25.0%、便ピロリ75.0%で、主治医により判定方法が大きく異なっていた。【結論】除菌治療の対象として、当院では、胃・十二指腸潰瘍に比べ、胃癌治療後の除菌治療が少ない事が明らかとなった。また、最近の諸家の報告例と同様に、当院でもピロリ菌の除菌成功率が低い状態にあり、3次除菌の成功率は、特に低かった。当院では、除菌判定方法、3次除菌方法が主治医の判断に任されており、これら結果を考慮した新しいプロトコール作りが必要と思われた。
  • 西脇 伸二, 岩下 雅秀, 林 基志, 高田 淳, 田上 真, 畠山 啓朗, 林 隆夫, 前田 晃男, 齋藤 公志郎
    セッションID: 2E-08
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    はじめに:経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)の増加につれ、胃瘻カテーテルの交換件数も増加しつつある。しかしカテーテル交換に伴う重篤な合併症の報告もあり、より安全な交換方法が検討されている。今回我々は2000年以降に当院でカテーテル交換を行った症例について検討し、合併症の分析とその防止策について検討した。 対象と方法:当院において2000年3月より2011年5月までに胃瘻カテーテル交換を行った352症例(平均年齢80.7±8.7歳、男:女=112 : 240)について、交換方法、胃内再留置の確認方法、合併症の種類とその対策について検討を行った。 結果:上記期間にのべ1281回のカテーテル交換を行った。交換カテーテルの内訳はバンパー型1266回、バルーン型15回であった。交換方法は経皮的交換が1275回、内視鏡的な交換が6回であった。カテーテルの胃内再留置の確認法はX線が1206回、内視鏡が43回、スカイブルー法が32回であった。合併症は16例(1.2%)に認められ、その内訳は瘻孔損傷11例(8.5%)、出血4例(0.3%)、チューブ破損1例(0.1%)であった。瘻孔損傷症例はガイドワイヤー法3例、経瘻孔内視鏡法8例により全例修復し、カテーテルの再留置に成功した。出血例はいずれも抗凝固剤または抗血小板剤が投与されており、2例は内視鏡的止血術、2例はバンパーの圧迫により止血した。 考案:カテーテル交換に伴う合併症の中では瘻孔損傷の頻度が高かったが、交換後栄養剤の投与前に診断し、瘻孔を修復することが必須である。その際、経瘻孔内視鏡は短時間に確実に修復することが可能であった。出血予防には抗凝固、抗血小板療法を中断することが推奨されるが、中断不可能な症例に対しては交換方法や使用するカテーテルに配慮する必要があると思われた。
  • 高橋 啓, 飯田 辰美, 岡田 将直, 水谷 憲威
    セッションID: 2E-09
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    最近になり増大傾向を示した膵内分泌腫瘍の一例 西美濃厚生病院 外科 高橋啓 飯田辰美 岡田将直 水谷憲威 症例:66歳女性。 既往:高脂血症および頚椎症で近医通院中。 主訴:尿潜血 現病歴:主訴により近医を受診した際に腹部CTを施行され、膵頭部に45mm大の腫瘤を指摘された。腫瘤の境界は明瞭で腫瘍マーカーの上昇もなく、自覚症状も認めないため経過観察となった。3ヶ月後の腹部CTで腫瘤は47mm大に増大傾向を認め、精査加療目的で当院を紹介受診した。 検査:腹部CTでは比較的均一な低吸収域で、造影では不均一な増強効果を認めた。MRIで腫瘤はT1強調像で低信号、T2強調像で高信号を呈した。EUSでは39mm大の低エコー腫瘍で血流は乏しかった。血液検査では明らかな異常を認めなかった。ICにより生検は施行せず切除術となった。 手術:膵頭十二指腸切除術を施行された。腹水、肝転移、腹膜播種は認めなかった。腫瘤は膵鈎部にあり、均一に軟で、胆管、膵臓など周囲組織に浸潤傾向を認めなかった。切除標本では腫瘍境界には薄い線維性皮膜を認め、一部浸潤傾向を認めた。Well differentiated endocrine tumor, uncertain behavior medullary type, INFα, ly0, v0, ne0, mpd(-), pN0(0/7)と診断した。 結語:膵内分泌腫瘍は比較的稀で、その術前診断が困難であるため手術時期の決定が難しいことが多い。本例のごとく径40mm程の大きさと画像上の増大傾向が認められれば、確定診断が無くとも切除が望ましいと考えられた。
  • 華井 頼子, 勝村 直樹, 森野 浩太郎, 山崎 健路, 尾辻 健太郎, 小木曽 英介, 小澤 範高
    セッションID: 2E-10
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    【症例】51歳女性。【現病歴】高血圧のため近医通院中であったが2010年12月中旬より左頚部に腫瘤が出現し同医受診。GIFは異常なく甲状腺腫瘍を疑われ2011年1月当院紹介。頚部USで左頚部~鎖骨上に2個のリンパ節腫脹を認めるも甲状腺には腫瘍を認めず。頚部~骨盤部CTにて頚部、左鎖骨上窩、肝門部、腹部大動脈周囲リンパ節腫大を認め、肝に転移と思われる腫瘤を認めた。FDG-PETでは左鎖骨下リンパ節、傍大動脈領域から右内腸骨領域のリンパ節、肝両葉に複数の結節状の集積を認めた。CT、PET上は悪性リンパ腫も疑われたが、腫瘍マーカーを測定したところ、CEA:24.9 ng/ml、CA19-9:161.8μg/ml、可溶性IL-2受容体:769U/mlと、CEA、CA19-9の上昇を認めた。頚部リンパ節生検はadenocarcinoma(mod.~por.)の所見であり、CFにて上行結腸に全周性の2型腫瘍を認めた。大腸の腫瘍からの生検では adenocarcinoma(KRAS:野性型)の所見であり、大腸がんおよびその多発転移と診断した。【経過】2月1日よりベバシズマブ+CapeOX療法開始した。7コースでCEA:1.8 ng/ml、CA19-9:24.8μg/mlと低下、画像上CRとなり現在も治療継続中である。治療中にオキザリプラチンによるblue liver症候群と思われる肝障害を認めたが、オキザリプラチンの投与量の減量と利尿剤投与により改善し、継続投与が可能であった。【結語】左鎖骨上窩リンパ節転移、大動脈周囲リンパ節転移から診断され、化学療法でCRが得られた大腸がん症例を経験したので報告した。
  • 林 修平, 松島 優子, 福島 幸司, 白井 正広, 今井 厚, 風間 暁男, 上条 謙, 相崎 一雄, 河野 悟, 高野 靖悟
    セッションID: 2E-11
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】脾嚢胞は他の実質臓器の嚢胞に比較して極めて稀である。今回我々は巨大脾嚢胞の1例を経験したので報告する。 【症例】35歳、女性、半年前より腹部腫瘤の自覚があり他院を受診。貧血を認め脾腫精査目的で当院紹介入院となった。当院での腹部超音波検査、腹部CT検査などの結果から巨大脾嚢胞が疑われ、脾臓摘出術が施行された。 【画像所見】腹部超音波検査にて正中~左側腹部にかけて脾臓に接するように18.4×15.8cm大の腫瘤性病変を認め、内部は混濁様エコーで充満していた。周囲との境界は明瞭であるが、脾臓との連続性は確認できなかった。腹部CTにおいては脾臓内に20×17×14cm大の腫瘤を認めた。内部はやや高い水濃度を示し、隔壁構造や壁在結節は見られず、巨大嚢胞が疑われた。その他腫瘤性病変やリンパ節腫大は見られなかった。 【肉眼所見】摘出された脾臓は22×13×7cm大で13.5×6.0cm大の内腔が平滑な嚢 胞性病変が認められた。嚢胞の内容物は茶褐色の液体で約2,670ml、脾重量は約1.4kgであった。 【細胞所見】嚢胞内溶液のpapanicolaou染色標本を作製したところ、血清背景に泡沫細胞や好酸球、好中球を認めたが上皮細胞はみられず、Class_I_であった。 【病理組織所見】嚢胞壁は肥厚した線維性の結合織と単層の上皮細胞から構成され、一部で周囲に圧排され菲薄化した既存の脾臓が見られた。 【まとめ】脾臓の嚢胞性病変は真性嚢胞と偽嚢胞からなる。真性嚢胞は上皮嚢胞と寄生虫性嚢胞からなり、上皮嚢胞は小児や若年者に多く、その大部分は30歳以下であるとされている。嚢胞壁は扁平上皮や円柱上皮を有し、必ずしも全面を被覆しない。 偽嚢胞は一般的に高齢者に観察され、外傷の既往を有することが多い。嚢胞壁には上皮細胞はなく、壁に石灰化を伴うことが多い。この中でも偽嚢胞が80%程度を占めるが本症例は上記の特徴からも真性嚢胞であると考えられた。
  • 笹村 司, 小林 大悟, 堀内 直美
    セッションID: 2F-1
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】右手デグロービング損傷を受傷した患者に対し,生活背景に着目してアプローチを展開し,結果機能改善と作業能力の向上が見られた.本症例の経過と受傷側手に対する意識の変化から,生活場面の活動がもつ治療的役割を考察し報告する. 【症例】50歳代,女性,右利き,パート社員(りんご加工業).就労中,機械に右手を巻き込まれて受傷した右手デグロービング損傷.受傷日に示指伸筋腱縫合,全層植皮術,人工真皮移植術施行.受傷後4週から作業療法開始. 【経過】作業療法開始時,手部の腫脹と手指の関節拘縮あり,可動性がほとんど得られていなかった.また,手を見ることに恐怖心を訴え,視線を向けることができなかった.QuickDASHは52.5点.術後6週で退院し外来通院へと移行.外来では生活背景に応じて動作の促しと関節可動域練習,模倣動作等のactivityを行なった.退院直後は家事動作等在宅での動作を促した.術後17週から車の運転を開始.術後20週からは趣味であった山菜取り等行なってもらい,より症例の活動範囲が拡大するよう促していった. 【結果】術後1年3ヶ月,趣味の活動は受傷前と同様に行い,内職も開始している.手指の関節可動域は示指から小指のMP伸展,小指のMP屈曲に制限が残存しているがQickDASHは13.8点まで改善した.本人の手を見ることに対する恐怖心もなくなっている様子であった. 【考察】本症例は身辺処理動作から家事動作,地域での余暇活動と徐々に活動範囲を拡大していく中で,手に対する意識の変化が起こり,「自由に使える手」を獲得し生活の質の向上が得られたものと考えられる.今回作業療法が,手術によって再建された機能と地域での対象者の生活とを繋いでいくことを経験した.今後更に対象者の活動等を治療的に分析していくことで,より地域での活動による治療効果を高めていくことが可能となっていくと考えられる.
  • 宮田 徹, 河端 将司, 太附 広明, 草場 洋平, 斎藤 裕
    セッションID: 2F-2
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】 後脛骨筋移行術(TPT)は下垂足や内反尖足に対して適応があり、足関節底屈制限や足部変形のリスクがあるものの、筋力や歩行に関して良好な術後成績が報告されている。しかし、理学療法を実施した症例の経時的変化は報告が少ない。今回、TPT施行した症例の理学療法を経験したので報告する。 【症例紹介】 62歳男性、約1年半前、中国出張中に現地の病院でL3/4拡大後方髄核摘出術、L4/5開窓術施行し、術後より右下垂足が出現した。帰国後、他院にて加療するも改善みられなかった。その後、当院受診し、足関節背屈機能再建目的にTPT施行となった。術前の徒手筋力検査(MMT)は右膝伸展4、足関節背屈0、母趾伸展1、母趾屈曲5、関節拘縮はなく、歩行は短下肢装具を使用していた。手術手技はWatkins-Barr変法が用いられた。 【経過】 術後2週でウォーキングキャストにて全荷重許可、術後5週でキャスト除去、関節可動域訓練開始となった。この時点で、MMTは足関節背屈1、自動背屈可動域は-15°であり、後脛骨筋に比べ足趾伸筋が優位に収縮していた。歩行は、踵接地期がなく下垂足を呈していた。これに対して足関節背屈時、後脛骨筋が優位に収縮するよう筋力増強訓練、歩行訓練を行った。術後3ヶ月で他動関節可動域は健側と同等になり、歩行では独歩が自立したが舟状骨部の疼痛を呈した。足部アーチサポートの使用で歩行時痛が軽減したため、アーチ保持機能改善を目的として足部内在筋の筋力増強訓練を追加した。術後7ヶ月でMMTは足関節背屈2、自動背屈可動域は5°であった。歩行では舟状骨部の疼痛は消失し、踵接地期が出現、下垂足も軽減し装具が不要となった。Watkinsの評価基準はfairであった。 【考察】 歩行時における舟状骨部の疼痛は、後脛骨筋機能不全によるアーチ保持機能低下が要因と推察され、アーチ保持機能改善を目的とした足部内在筋の筋力増強訓練が、疼痛消失に寄与したと考えられた。本症例はTPTにより下垂足が軽減して装具が不要となり、関節拘縮を生じることなく良好な経時的変化を認めた。
  • -FIMを用いて-
    森野 智恵, 林 佑香
    セッションID: 2F-3
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    亜急性期病棟におけるリハビリ室と病棟でのADLの相違点とその影響要因 ~FIMを用いて~ はじめに 病棟では、ADLに介助を必要とする患者が、リハビリ室では同じ動作を介助なしで行えている状況を目にすることが度々あり、リハビリスタッフとの情報共有が少なく病棟看護師が患者のADLを正しく認識できていないと感じた。リハビリ室と病棟でのADLをリハビリとして意識して関われているのかを再認識し、今後の看護に活かしていきたいと考え、取り組んだので報告する。 研究方法 機能回復を目的として入院している患者のリハビリを担当している理学療法士、患者に関わった看護師に対し、平日5日間それぞれの対象患者の日勤帯の移動、移乗のFIMを評価する。 結果 看護師とPTでのFIMの比較では、看護師の最も良い評価とPTの評価、最も悪い評価とPTの評価ともに、移乗および移動動作において有意差はなかった。これは、FIMを使用したことで病棟看護師が患者のADLを把握するよう意識したことが考えられる。また、看護師のその日の最も良いと悪いの評価では、日により有意差がみられた。理由として、病棟看護師は日々の患者のケアやナースコール対応に追われ、本来の役割である患者のADLに合わせた関わりができていないことが考えられる。また実際に患者は、リハビリ室で行うリハビリのみをリハビリと認識しており、病棟での動作は訓練と認識していないことが多いため、今後リハビリ室での訓練を病棟で「しているADL」として定着できるよう意識付けをしていく必要があると考える。 結論 1.PTと病棟看護師のFIMの比較では有意差はみられなかった。 2.看護師のその日最も良いFIMと最も悪いFIMに有意差がみられた。
  • 過去のデータ比較よりみえたこと
    林 伸幸, 熊崎 誠, 藤田 綾乃, 日下部 一鉄, 黒木 浩幸
    セッションID: 2F-4
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】利用者様のニーズや真の声に耳を傾けることにより、より良い訪問サービスを提供する事につながると考えた。利用者総数のうち意思表示できる方に対してアンケート調査をした。満足度・要望等をデータ分析して課題を抽出し、再度アンケート調査を行い比較検討した。継続調査より得たものを報告する。
    【結果】調査は1回目(21年1月)が56件、2回目(21年5月)が58件、3回目(22年11月)が55件の回答を得た。訪問頻度の満足度と訪問時間に対する満足度で向上がみられた。訪問の訓練・指導に関する満足度ではやや不満の意見が3人から減少した。訪問リハスタッフに相談したいことは1回目では自主トレと病気に関することが一番多く、2回目では福祉用具、3回目では住宅・福祉用具に関することが多かった。接遇応対に関する内容は著明な数値の変化はなかった。訪問リハビリ導入後生活上現れた変化については、歩行と立ち上がり動作に効果を感じている者が全体を通じて多かった。訪問に対する総合的な満足度については平均点を見ると1回目は7.48で2回目では7.67で、3回目では7.65であった。
    【考察・まとめ】訪問頻度や訪問時間・訪問指導の内容で満足度向上が見られたのは訪問頻度増加の働きかけと平成21年4月の介護報酬改定による訓練時間の増加が原因と考えられる。訪問スタッフに相談したいことは多岐にわたり傾向は掴めず、幅広い領域に対して対応できる能力が必要と考えられる。総合満足度の平均点は容易に上がらず7.5点台以上を継続して出すことが必要と感じた。今回得られた貴重な経験をもとに、より一層充実した訪問サービスを提供していきたい。
  • 伊藤 博志, 宮脇 光司, 安本 圭亮, 沖田 彩, 森川 大地, 兼行 孝
    セッションID: 2F-5
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    当院における透析液清浄度維持への取り組み

    JA山口厚生連 周東総合病院 臨床工学科
      ○伊藤博志 宮脇光司 安本圭亮 沖田彩 森川大地 兼行孝

    【目的】
     平成22年度診療報酬改定により透析液水質確保加算が新設され、透析液清浄化の重要性が高まってきている。今後、当院でも透析液水質管理の手順と検査・測定方法を見直し、より確実な清浄度を確保できるように取り組むこととなった。
    【対象・方法】
    当院人工透析センターの透析患者監視装置27台及び透析液供給装置、配管設備に対して透析液の清浄度の確保・維持のために測定方法などの検証を行った。
    ET活性値測定は、和光純薬工業社製 トキシノメーターミニを使用し、計画的に全コンソールを1年かけて測定するようにした。生菌培養検査は、以前サンプリング量が1mlのシート状培地で検査していたが、それでは透析液の清浄度の検証が不十分だと考え、100ml以上のサンプル量を確保できるメンブランフィルター法(以後MF法)を用いることとなった。MF法導入にあたって検査器具を2社から試用し、性能・簡便性を検討した。透析液供給配管の図面を確認し、配管の末端付近や構造上淀みが生じ易いと思われる部位を考慮し、ET・生菌測定の年間計画を立て配管の汚染が発生した場合、いち早く対応できるようにした。またコンソールのカプラの洗浄を定期的に実施する。

    【結果】
     ET活性値は以前と同じく透析用水、透析液共に測定感度以下(0.0005EU/ml以下)となり基準値を下回った。生菌培養検査はMF法導入によりサンプル量が増加したことで精度が上がり、より正確な生菌数を測定できるようになった。
    【結語】
     今現在はET・生菌による汚染はなく、透析液の清浄度は維持できていると考える。しかし機器・配管などが経年劣化してくれば汚染の危険性は高まると考えられるので、より一層の透析液清浄度維持への努力が必要と思われる。
  • -脊椎固定術200症例からの有用性の検討-
    笠原 崇司, 帯刀 寛師一, 樋口 正廣, 小林 庸晃, 荒井 陽平, 久保田 充稔, 最上 祐二
    セッションID: 2F-6
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    〔目的〕 当院の脊椎固定術に使用する自己血回収装置の有用性について、術中・術後の出血量、自己血回収装置で洗浄した濃縮血液量(以下回収式自己血輸血量)、血液検査データ(Hb)の推移、輸血の詳細・有無から検討した。  〔方法〕 2008年5月9日から2011年3月8日までの脊椎固定術症例(最短手術時間1時間、最長手術時間9時間30分、平均手術時間4時間50分)、男性90名(最少年齢18歳、最高年齢87歳)・女性110名(最少年齢17歳、最高年齢85歳)合計200名(平均年齢67.6歳)を対象とした。術後の自己血回収装置は、パットバック使用による帰室後1時間ごとに4時間まで操作・記録をした。術前採血の血液(以下貯血式自己血輸血)と輸血(同種血輸血)は術後1週間以内の使用の有無を調べた。 〔結果・考察〕 術中・術後の合計出血量平均682.9ml(最少出血量61ml、最大出血量4126ml)、回収式自己血輸血量平均353.6ml(最少輸血量0ml、最大輸血量1328ml)であった。Hbの平均値は術前12.9mg/dl、術後10.5mg/dl、術後1週間11.4mg/dlであった。術前から術後のHb減少率は19%であったが、術前から術後1週間のHb減少率は12%まで回復している。貯血式自己血輸血の適応件数は90件(49.5%)、術後の同種血輸血を必要とした症例は6件(3%)であった。術中・術後の自己血回収装置の使用と貯血式自己血輸血により、同種血輸血を必要としない脊椎固定術が可能であると考えられた。
  • 丸山 雅和, 黒田 恭介, 落合 諭輔, 仲嶋 寛子, 田村 勇輔, 國木 里見, 今泉 忠雄
    セッションID: 2F-7
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 ME機器の安全管理や資産管理において、機器管理ソフトを用いた中央管理が広がりを見せる中、管理上把握し得たデータの活用については未だ確固たるパラメーターや指標を見いだし、実質的に管理上活用するには至っていない現状がある。活用に至らない大きな要因の一つとして、基本情報として欠くことの出来ない機器の実動作時間を正確かつ継続的にモニタリング出来る中央管理システムが確立されていないためである。今回、ムトウテクノス社製、ME機器管理ソフトHOSMAから得られる情報とテルモ社製輸液ポンプTE-161のヒストリー機能からわかる実動作時間とを比較し、実動作時間に近似する値を算出しうる方法を検討したので報告する。 【方法】 HOSMA上でTE-161対象32台を3ヶ月間無作為に貸出返却し、対象32台の中から4台の機器を抽出しヒストリー機能から実動作時間を算出して、HOSMA上での貸出時間とを、対象期間内での総時間及び貸出日数別2群、あわせて3群で比較検証し、統計学的観点から対象32台の実動作時間の予測平均値を算出し、差異を検証した。 【結果】 抽出機器4台の実動作時間平均は37.7E+3(分)であり、同機器のHOSMA貸出時間平均の58.6%程度であった。また、対象32台の実動作時間平均値の95%信頼区間における予測値は35.3E+3(分)≦μ≦40.1E+3(分)であった。 【考察】 抽出機器4台の実動作時間平均は37.7E+3(分)は、実動作時間平均の予測値35.3E+3(分)≦μ≦40.1E+3(分)に当てはまることからHOSMA貸出時間から実動作時間を予測しうるものと思われた。
  • 高野 康二, 村山 茂, 田中 孝, 槙野 祐介, 沼田 陽介, 金澤 光泰, 小川 大輔, 菊地 浩之, 菅原 康博, 高島 賢治
    セッションID: 2F-8
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
    東日本大震災当日、当院では構造上の大きな被害はなかったが、大きな揺れと壁などへのひび割れ等を経験した。震災当初、院内のライフラインは正常に供給されていたが、高架水槽の配管損傷により、全館断水に陥り医療ガス設備の吸引が停止する事態が発生した。事態収拾に困惑した経験と、今後の医療ガス設備の在り方について検討したので報告する。
    【目的】
     災害にも対応できる医療ガス設備を検討する。
    【当院の設備の現状】
     医療ガスのバックアップ設備として酸素ガスはボンベ対応、空気もボンベ対応、笑気ガスは麻酔器のボンベで対応、窒素ガス(主に手術用ドリルで使用していた)はドリルが電動化されているので問題はない、吸引ポンプは2ヶ所設置し、配管の中央部にバルブを設置し常時閉の状態にして通常は別々に作動させている。どちらかが故障した場合はバルブを開けて片方のポンプで作動させるシステムを採用している。
    【問題点】
    水封式吸引ポンプを2ヶ所とも採用しているため、断水すると吸引機能が作動しなくなる。
    【一時的な対応策】
     ポータブル吸引器を準備したが、院内には4台しかなく絶対数が足りない事態であったが、配管損傷部分を応急処置した結果、給水が開始され3時間程度の機能停止で改善する。
    【恒久的な対応策】
     吸引ポンプには、一般的な水封式吸引ポンプと高真空が得られる油迴転式がある。水を必要としない油迴転式を採用すれば断水時にも正常作動する。
    【考察】
     災害時にも病院機能を維持させるためには医療ガス設備は重要な要素である。様々な状況を鑑み、バックアップ体制の整備が重要である。当院は病院増築工事に合わせ新規吸引ポンプは油迴転式を採用しバックアップ体制の整備に努めた。
    【結語】
     医療ガス設備にも災害に対応したバックアップ体制の整備が重要である。
  • 5Sの視点から考える
    濱田 幸子, 前田 奈津子, 清水 江里子, 角頼 久美子, 佐藤 美恵, 内藤 愛子
    セッションID: 2G-1
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    はじめに
    当院では全部署で1日1回、共通のチェックシートで救急カートの点検を行っている。しかし、急変の場面で物品の不足、使いにくい等の困った経験がある人が多いという声が聞かれたため、現在の点検・整備方法の問題点を把握する必要があると考え、主任対象のアンケートを行った。そこで出された問題点を5Sの視点でカテゴリー分析し、改善策を明らかにしたので、報告する。
    方法
    各部署の主任25名を対象とした自由記載によるアンケート調査
    結果
      項目   主な内容   件数
    整理   薬剤・物品の種類が多く、使用時点検時に困る
         急変時の使用する薬剤がないため、そのつど請求している 20
    整頓   物品が多く、取り出しにくい 5
    清掃   なし 0
    清潔   アンビューバックが臭く、清潔が保たれていない 3
    しつけ  期限切れのものがあった
         使用するときに物品が破損していた、不足していた
         引き出しの棚が壊れていた 点検方法に個人差がある 18
    その他 2
    考察
    今回のアンケート調査により、整理・しつけの部分で問題が多かった。部署や個人で、急変に遭遇する経験の違いにより、点検の必要性への認識に相違があることが考えられる。その結果、必要以上に物品が多く、点検に時間がかかり、また使用時点検不足で取り出しにくいなどの問題につながっていると思われる。今後は、誰もが確実、かつ短時間に点検・整備の出来るよう、薬品・物品の見直しを行っていくシステム作りが必要である。当院では年間を通して希望者を募り、救急蘇生委員会でACLSトレーニングをおこなっているが、そこで得た急変対応の知識や技術を現場ですぐに実践できる知識、技術へと向上させることが日々の救急用品点検整備業務を確実に出来ることにつながると思われる。
    結論
    1.確実に点検・整備が出来るようなシステムを作るためのマニュアルの見直しを行う
    2.救急蘇生委員会の研修で得た知識を救急用品の点検作業に活かせるよう連携を図っていく。
  • 吉廣 尚大, 中島 恵子, 竹内 邦夫, 吾郷 志津枝, 新宅 祐子, 寺澤 千佳子, 大田 博子
    セッションID: 2G-2
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】輸液ライン製品(以下、ライン)の適正使用を目指し、当院採用品を再検討するとともに、医療現場における使用状況を調査し、その適正使用のために輸液ライン一覧表(以下、一覧表)を作成したので報告する。【方法】病棟のライン使用状況を把握するために、病棟勤務の看護師(外科 28 名、腎臓内科 26 名、循環器内科 17 名、集中治療室 20 名)を対象にアンケートを行った。また、当院採用ラインの材質・フィルターの有無・ポンプ使用の可否を調査及び整理、当院採用注射剤のうちポリ塩化ビニル(以下、PVC)製品やフタル酸ジエチルヘキシル(以下、DEHP)含有製品を避けることが望ましい薬剤の一覧を作成した。【結果と考察】アンケート調査の結果、アミオダロンがPVCフリーの延長ラインで投与できていないことが明らかになった。脂肪乳剤についてはPVCフリー等対応策を認識している看護師は 50 %程度、アミオダロン、タクロリムス、アムホテリシン B リポソーム製剤に対して同様のルート選定の必要性を理解していない割合は 41 %、55 %、45 %であり、ラインを選択する際に統一した基準を設ける必要性が認められた。また、69 %の看護師は先輩から注射剤とラインの組み合わせを学んでいた。ラインの知識は40 %が口頭伝授で 42 %が病棟用マニュアルから得ていた。全回答数のうち 13 %は薬剤師からの情報提供を求めており、薬剤師にも豊富なライン知識の必要性が示唆された。そこで、薬剤師が各職種の意見をとりまとめてラインの選定を行った結果,院内で延長ラインをPVCフリーに統一し、ラインの採用数を 24 から 20 品目まで削減できた。一覧表にはラインの写真,材質,ポンプ使用の可否、適応薬剤の情報などを記載した。しかし,一覧表の使用状況の調査では,一覧表の認知率は 56 %であり,更に情報を淘汰し現場に即した一覧表に改訂することが今後の課題と考える。
  • 末永 知子, 河田 ゆり子, 笹川 晴美, 古川 清美, 梅澤 由美, 永山 あけみ
    セッションID: 2G-3
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    キーワード:急変対応、医療機器、常備場所 【はじめに】当院は神奈川県北に位置する急性期病院であり、緊急入院も多く、当該病棟外の患者の入院ケースも少なくない。他科患者の処置施行に必要な医療機器がどこにあるのか把握できていないスタッフがいる。そこでまず、急変時に絞り込み、急変時に必要な医療機器の常備場所が周知されているのか調査したので報告する。【研究目的】急性期病院に働く中堅以上の看護師が、急変時に必要な医療機器の常備場所を把握できているか、実態を調査する。【研究方法】病棟部門に勤務する、夜勤帯のリーダー看護師となる4年目以上の中堅常勤看護師121名を対象に、急変時に使用する12種類の医療機器の常備場所を把握できているか、無記名による質問形式でアンケート調査した。その結果を病棟別・キャリアラダー別(4年目から副師長までの4段階)に分析した。【結果】12種類の医療機器の常備場所の正解率を病棟別に比較したところ、正解率が38~85%と差が見られた。またHCU・CCUを有する病棟では71~85%であった。キャリアラダー別では、中堅に昇格したばかりの4年目看護師が57%と約半分の正解率であるのに対して、5年目以上の看護師は74~76%と差異は見られなかった。【考察】病棟の特殊性から、医療機器の常備場所の周知に差があり、急変時に対する危機管理の問題であるとも考えられる。キャリアラダー別では、4年目看護師はプリセプターの役割を担っているが、リーダー看護師としての能力が備わっていないことがわかる。また、5年目以上の看護師は、勤務場所・環境・教育背景によって危機管理能力に差があり、経験年数に関係ないと考えられる。【まとめ】急変時に迅速な対応が行えるように、病棟別・キャリアラダー別の差異を無くすために、誰が見ても対応できるような一覧表を作成し、急変時対応を訓練していく必要がある。
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