コスト超過や納期遅延を起こすプロジェクトが後を絶たない状況の中,赤字プロジェクトは企業の業績低迷に大きな影響を与えており,多くのSI企業ではプロジェクトマネジメントの立て直しが急務となっている.赤字プロジェクト撲滅の一つの施策として,我々は過去と同じ失敗を防ぐことを目的としたプロジェクトマネジメントにおける失敗知識活用に取り組んでいる.本稿では,過去の失敗を知識創造に繋げる「失敗学」の概念に基づき,リスク対応プロセス情報(イベント→リスク→判断→行動→結果→反省)を定義し,プロジェクトマネジメントプロセスにおける活用方法を提案する.本提案は,定期報告からリスク対応プロセス情報を抽出し,過去の類似事例を用いて失敗の予兆を捉え,プロジェクトメンバに対策を熟慮させる仕組みを持つことを特徴とする.この仕組みを実現することにより,過去と同じ原因による大失敗の防止を支援することができると考える.
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