セメント・コンクリート論文集
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66 巻, 1 号
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コンクリートの物性
  • 山田 和夫, 関 俊力, 小野 晃, 神谷 隆
    2012 年 66 巻 1 号 p. 367-374
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    本研究では、新旧接合面近傍のアンカー筋に鋼管シアキーを固定して断面積を増大させた高性能アンカーの提案とそのせん断抵抗性能を実験的に検討した。その結果、補強部の浮き上がり量は、鋼管シアキーの外径と埋込み深さの増大に従って増大すること、新旧接合部のせん断耐力は、鋼管シアキーの外径と埋込み深さの増大とともに増大すること、既存部モルタルの支圧強度によって決まる新旧接合部のせん断耐力は、本解析モデルによって合理的に説明できること、高性能アンカーのせん断抵抗性能を確保するためには、式(1)に必要せん断耐力を代入して求まる埋込み深さ(l/2)以上の鋼管シアキーを用いる必要があること、などが明らかとなった。
  • 西田 豊一, 髙尾 昇, 田中 幸生, 中西 陽一郎
    2012 年 66 巻 1 号 p. 375-381
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    温室効果ガスとしての二酸化炭素の排出量削減を目的に、高炉セメントの一部を石灰石微粉末で置換した混合セメントを開発した。材齢28日における圧縮強度を同一としたコンクリートで比較した結果、石灰石微粉末で置換した混合セメントは単位結合材量が増加するものの、クリンカー量を低減でき、その結果、セメントに起因する二酸化炭素排出量を高炉セメントB種に比べて最大で14%削減できた。また、コンクリートの各種耐久性能は高炉セメントB種と同等であり、高い実用性を有した。
耐久性
  • 新枦 雄介, 古川 洋介, 後藤 卓, 名和 豊春
    2012 年 66 巻 1 号 p. 382-389
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    本研究はセメント硬化体の処女乾燥・再吸着時の乾燥収縮量を予測するために円筒形細孔のみが存在するシリカ系材料Vycor glassにおいてSchillerらが構築した熱力学的アプローチに基づくモデルを改良し、細孔径分布を持つセメント硬化体に適用することで、セメント硬化体の乾燥収縮モデルの構築を目指した。結果として、本質的な水分移動を評価し、より単純な細孔系分布を有する、炭酸化した硬化セメントペーストの乾燥収縮ひずみ量のヒステリシスループを再現することができたが、非炭酸化の試料については乖離が確認され、他の要因の存在が示唆された。
  • 合田 義, 岩浅 瑛大, 名和 豊春
    2012 年 66 巻 1 号 p. 390-397
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    高炉スラグを添加したセメント硬化体中において塩化物イオンの拡散が抑制されることは知られているが、従来のFickの第2法則ではその拡散を正確に予測することが難しい。本研究では、高炉スラグを添加した時のC-S-Hの性状の変化に注目し、セメント硬化体中の塩化物イオンの物理吸着に及ぼす高炉スラグ添加の影響を、C-S-H表面における反応基であるSiOH基と表面錯体を生成する反応の平衡定数の変化として定量化することを試みた。また、表面錯体モデルを相平衡モデル、多種イオン拡散モデルと連成することにより、高炉スラグ添加セメント硬化体中の塩化物イオンの拡散を定量的に予測できる数理モデルを構築した。
  • 石中 正人, 二宮 祐希, 中山 英明, 鳴瀬 浩康
    2012 年 66 巻 1 号 p. 398-405
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    シリカフュームを混和した超高強度コンクリートの内在塩化物による鉄筋腐食抵抗性をひび割れの有無を含めて促進試験で評価した。その結果、水結合材比が12%の超高強度コンクリートでは、防せい剤を用いた水結合材比が60%のコンクリートと同等以上の防せい性能を有した。また、幅0.6mm以下のひび割れが生じていても、防せい剤を用いた水結合材比が55%のコンクリートと同等の鉄筋腐食抵抗性を有した。シリカフュームを混和した超高強度コンクリートが一般的な強度のコンクリートよりも鉄筋腐食抵抗性が優れるのは、透水性、透気性および塩化物イオンの浸透性など、鉄筋の腐食要因物質の透過性が極めて低く、腐食の進行を抑制するためと考えられる。
  • 伊藤 七恵, 佐藤 嘉昭, 大谷 俊浩, 上田 賢司
    2012 年 66 巻 1 号 p. 406-413
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    本研究では、未燃カーボンを焼成除去して強熱減量を1%以下に抑えた改質フライアッシュ(以下、CfFA)を用い、ポゾラン反応の進行がコンクリートの炭酸化に及ぼす影響を検討するために、水中養生期間を変えた供試体で促進中性化試験を行った。その結果、CfFAコンクリートの圧縮強度は、CfFAの比表面積、セメント水比および材齢で表わされる強度寄与率から求めることができること、中性化速度係数は28日間水中養生をした場合、同一強度であればCfFA混入率に関わらずプレーンコンクリートと同等であるが、1年間水中養生をしたものは、ポゾラン反応が充分に進んでいるにも関わらず、28日間水中養生に比べて大きな変化がみられないことを示した。
  • 小川 彰一, 野崎 隆人, 山田 一夫, 坂井 悦郎
    2012 年 66 巻 1 号 p. 414-421
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    フライアッシュ(FA)混合セメントの耐硫酸塩性を、硫酸ナトリウム溶液への最長6年の浸漬による体積変化と、水和物の分析およびSの浸透量で評価した。材齢2年以後の長期材齢ではFAの種類によって、あるいは、SO3量増加または石灰石微粉末(Lsp)添加によって膨張に違いが認められた。FAの添加はSO42-の浸透を抑制し、SO3量増加またはLsp添加は、供試体内部のモノサルフェートを減少させて外部からのSO42-浸透によるエトリンガイトの生成を抑制した。ガラス中のAl2O3量の少ないFAでは、SO3増加およびLsp添加によっても内部膨張を生じることなく、材齢6年の浸漬でも膨張しない優れた耐硫酸塩性を示した。
  • 子田 康弘, 佐久間 正明, 岩城 一郎
    2012 年 66 巻 1 号 p. 422-428
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    凍結防止剤としてNaClが散布されるとコンクリートのスケーリングを促進することが知られている。一方、実コンクリート構造物は内在塩あるいは外来塩が蓄積された状態で凍結融解作用を受けることが考えられるが、この種の条件下におけるコンクリートのスケーリング抵抗性については未解明な点が多い。そこで本研究では、凍結融解試験に先立ち内在塩あるいは外来塩を蓄積させた供試体を準備し、試験面表層の塩分濃度がスケーリングに及ぼす影響を評価した。その結果、スケーリングは、凍結防止剤を含む水による凍結融解作用によって、Non-AEコンクリートでかつ内在塩が蓄積する場合と、高濃度の外来塩が蓄積する場合に、塩分が蓄積しない場合に比べ顕在化することを明らかにした。
  • 古賀 裕久, 河野 広隆, 渡辺 博志
    2012 年 66 巻 1 号 p. 429-436
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    コンクリート構造物の耐久性という観点でコンクリートの品質を評価できる可能性がある試験方法として、吸水性状について検討した。過去に行われた152件の実構造物の調査結果を再整理し、塩化物イオンの見かけの拡散係数や中性化速度係数と吸水性状を比較した。その結果、コンクリートの吸水性状と塩化物イオンの見かけの拡散係数の間に関係が認められ、圧縮強度のみで品質を評価するよりも、コンクリートの耐久性をより適切に評価できる可能性があることが明らかになった。一方、中性化速度係数には、構造物のおかれた地域の気候の影響が大きかった。
  • 杉山 友明, 田原 和人, 盛岡 実, 坂井 悦郎
    2012 年 66 巻 1 号 p. 437-443
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    シリカフュームとポリカルボン酸系高性能減水剤を組み合わせて低水粉体比とし、高炉スラグを混和したアルミナセメント硬化体の耐硫酸性に及ぼす水粉体比の影響を検討した。水粉体比を0.2以下とすると表層の剥離を伴う著しい劣化を生じるが、水粉体比0.3程度の場合に最も優れた耐硫酸性を有し、水粉体比には最適値があることを見出した。水粉体比が0.2以下では、生成物が3CaO・Al2O3・6H2Oであることと未反応のCaO・Al2O3が多量に残存しており、これらと硫酸との反応により二水セッコウが生成する場合には、それぞれ1.91倍と2.63倍に体積が膨張するため表層の剥離が生じると推察した。
  • 中村 兆治, 酒井 雄也, 岸 利治
    2012 年 66 巻 1 号 p. 444-451
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    コンクリート構造物の耐久性能評価において、空隙中での液状水挙動を把握することは、水分が要因となる劣化進行を精密に予測する上で重要である。本研究では、コンクリートの化学的性質を表す指標として見かけの接触角に、物理的性質としてしきい細孔径に着目し、化学的性質と物理的性質の両方の観点から、配合や養生がコンクリート中の液状水挙動に与える影響を検討した。その結果、混和材の有無による化学的性質の差異が毛管張力に与える影響はわずかであり、圧力勾配を駆動力とする流速を伴った液状水挙動において、空隙構造という物理的性質が支配的である可能性を示した。
  • 真島 耕平, 川原 真一, 菊地 道生, 佐伯 竜彦
    2012 年 66 巻 1 号 p. 452-459
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    本研究では、普通ポルトランドセメントに対し、高炉スラグ微粉末およびシリカフュームを混和したセメント系硬化体の塩分浸透抵抗性を明らかにするため、塩化物イオン実効拡散係数を求めた。その結果、普通ポルトランドセメントのみを用いた配合と比較して、高炉スラグ微粉末とシリカフュームを併用した配合の塩化物イオン実効拡散係数は大きく低下した。塩化物イオン実効拡散係数の低下は、硬化体の空隙率だけでは説明できず、シリカフュームの混和によって空隙構造の屈曲度が増加したことも原因であると考えられた。また、屈曲度の増加は、水和物の大部分を占めるC-S-HのC/S比が低下し、C-S-Hの比表面積が増加したことが原因であることを明らかにした。
  • 橋本 勝文, 横田 弘
    2012 年 66 巻 1 号 p. 460-465
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    寒冷地においては、高炉セメントの利用普及が進んでいない。セメント産業における二酸化炭素排出の観点から、今後は寒冷地においても積極的に高炉セメントを始めとする混合セメントの利用推進を図る必要がある。本研究では、高炉スラグ微粉末の置換率が異なるセメント硬化体の凍結融解作用下における細孔構造および塩分浸透性状に及ぼす影響を把握することを目的とした。その結果、高炉スラグ微粉末を混入したセメント硬化体は凍結融解作用下においても長期的に組織の緻密化および塩化物イオンの高い固定化能力を有しており、寒冷地においても高炉スラグ微粉末の有効性を発揮できることが示された。
  • 濵田 秀則, 佐川 康貴, 池田 隆徳, 多田 昂平
    2012 年 66 巻 1 号 p. 466-471
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    本研究では、腐食発生限界塩化物イオン含有量近傍の塩分を含むモルタルにおいて、水セメント比および塩分量が異なる場合の自然電位、分極抵抗および分極曲線等の電気化学的特性値を実測した。その結果、自然電位はコンクリート中の塩化物イオン量の増加に対して線形的かつ連続的に低下する傾向を示し、鉄筋周囲の環境の変化に対応していることが確認された。分極抵抗およびアノード分極曲線より判定される不動態グレードは塩化物イオン量が0.3%~0.4%-cement近傍において大きく変化する傾向を示し、鉄筋表面の不動態皮膜の破壊が生じていることが確認された。このことから、不動態皮膜の破壊が開始するする塩分量は、現在腐食発生限界塩分量とされる0.4%-cementとほぼ同等か若干小さくなることが示された。
  • 福留 祐一, 武若 耕司, 山口 明伸, 前薗 祐也
    2012 年 66 巻 1 号 p. 472-478
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    塩害抵抗性向上を目的としてCaO・2Al2O3微粉末を混合したコンクリートについて、塩分浸透性の他、強度発現性、中性化等の基礎的特性を検討した。このうち、海洋暴露試験により検討した塩分浸透性については、塩化物イオンの固定化能力の向上ならびに、浸透抑制効果が確認された。また、普通コンクリートでは、その初期養生が短いと塩化物イオン固定化能力は大きく低下するが、CaO・2Al2O3微粉末を混合すると、養生期間に左右されず塩害抵抗性の高いことを確認した。また、中性化抵抗性については、普通コンクリートと同程度の性能が確保され、実構造物への適応は十分に可能であると考えられた。
  • 水口 和彦, 阿部 忠, 川口 哲生, 河野 克哉
    2012 年 66 巻 1 号 p. 479-484
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    本研究は、有機繊維を用いた超高強度繊維コンクリートの耐疲労性を評価するための基礎的実験である。実験では、まず静的載荷実験を行い、変形挙動および最大耐荷力に関する検討を行った。次に、静的載荷実験より得られた最大耐荷力を基準荷重として、荷重振幅を5種類設定して定点疲労試験を行い、耐疲労性に関する検討を行った。その結果、耐荷力比と載荷回数から得られるS-N曲線において、これらの関係には相関性が得られることを明らかにしたうえで、疲労寿命推定式を示した。さらに、有機繊維を使用した超高強度コンクリートにおいても十分に耐疲労性が評価できることを明らかにした。
  • 山田 猛, 菊地 道生, 斎藤 豪, 佐伯 竜彦
    2012 年 66 巻 1 号 p. 485-490
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    本研究では、環境条件がコンクリート構造物の中性化の進行に及ぼす影響を評価するため、薄板状の小型モルタル供試体を2つの橋梁に貼り付けて暴露し、実構造物の異なる部位における環境条件の影響を評価した。また、モルタルの配合および暴露期間が中性化環境の評価に及ぼす影響についても検討した。その結果、薄板モルタル供試体によって、実構造物における中性化の進行を部位毎に評価することが可能であることが確認できた。また、配合や暴露期間が変化しても評価精度には大きく影響しないことが分かった。
  • 田原 和人, 宮口 克一, 山口 明伸, 武若 耕司
    2012 年 66 巻 1 号 p. 491-498
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    粒度分布を制御し、10μm以下の微粒子を除去したCaO・2Al2O3を混和した普通ポルトランドセメントを水和させると、微粒子を除去しなかった系と比較して長さ変化率とフレッシュ性状が改善した。また、セメント水和物として3CaO・Al2O3・Ca(OH)2・12H2Oが生成した。微粒子を除去しなかった系と比較するとその生成量はほぼ同量であった。このセメント硬化体を塩水に浸漬すると、CaO・2Al2O3の混和量の増加に伴い塩化物イオン浸透深さが減少した。これは、フリーデル氏塩の生成による塩化物イオンの化学的な固定化作用により、塩化物イオンの浸透が抑制されたと考察した。
  • 広野 真一, 鳥居 和之
    2013 年 66 巻 1 号 p. 499-506
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    安山岩などの火山岩類は北陸地方の重要な骨材資源である。しかし、日本海からの季節風や凍結防止剤散布の影響などもあり、安山岩系骨材を使用したコンクリートにアルカリシリカ反応が顕在化している。地産地消による環境負荷低減と資源の有効利用に配慮した、北陸地方での抑制対策として、混合セメントの使用は必然的なものである。そこで本研究では、当該地域のフライアッシュと代表的な反応性骨材との組み合わせでの抑制効果の検証を行った。その結果、フライアッシュの使用によりモルタルの膨張を効果的に抑制でき、実用的かつ十分な抑制効果が示された。さらに、骨材の反応性の評価と微視的内部組織の判定には、偏光顕微鏡による観察が有効であることが確認できた。
  • 秋山 哲治, 鈴木 亮, 鈴木 達也, 濵田 秀則
    2012 年 66 巻 1 号 p. 507-514
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    表面の凹凸がなく平滑性を有する型枠材料では、一般の型枠と比べて表面気泡を低減させることができ、美観や耐久性に優れたコンクリートを形成できるとされる。本検討では、締固めが必要な通常のコンクリートを対象に、表面の平滑性や材質の異なる型枠材料を3種類用いて、硬化コンクリート表層の美観や耐久性について比較検討した。その結果、型枠表面の粗度が小さい型枠では、透水性型枠よりは効果が小さいものの、合板と比べて、表面気泡を低減でき、遮塩性の向上や乾燥収縮の抑制等の耐久性に関する指標について、改善または同等以上とする効果があることを確認した。
高強度・高流動コンクリート
  • 佐藤 正己, 梅村 靖弘, 小泉 公志郎
    2012 年 66 巻 1 号 p. 515-522
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    プレキャストコンクリート製造を模擬した熱養生履歴がシリカフューム(SF)を添加した超高強度セメント硬化体において、水和反応およびケイ酸構造へ与える影響について圧縮強度、粉末X線回折(XRD)/リートベルト法による水和反応解析、SFの反応率、トリメチルシリル(TMS)誘導体化法によるC-S-Hのケイ酸鎖の重合の観点から考察した。超高強度コンクリートで用いられるW/B=15%配合の水和反応は、最高温度90℃養生を行った場合、前置時間を凝結時間よりも長く設定する必要があり、SFおよびセメントの水和反応が材齢91日の20℃封緘養生と比較して促進し、C-S-Hのケイ酸鎖の重合が低下する事を確認した。
  • 高田 葵, 小出 貴夫, 草野 昌夫, 宮澤 聡
    2012 年 66 巻 1 号 p. 523-530
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    本研究では、設計基準強度100N/mm2以上の高強度PCaコンクリート部材の製造を目的としてシリカフュームを主材料とする無機系高強度混和材の開発を行った。高強度混和材を種類が異なるセメントに添加した場合のコンクリートの物性および耐久性を室内試験によって確認し、その後、高強度混和材を中庸熱ポルトランドセメントに対して10%添加したコンクリートの実機製造を行った。その結果、高強度混和材を添加したコンクリートは、フレッシュ性状が良好で、100N/mm2以上の圧縮強度および高い耐久性を有しており、さらに実機設備で製造できることを確認した。
  • 高橋 圭太, 丸屋 英二, 高橋 俊之
    2012 年 66 巻 1 号 p. 531-536
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    建設現場で打込み可能で、常温養生により早期に高強度が得られる超高強度繊維補強コンクリートの開発が望まれている。本検討では、このような特性を得る適正条件を調査するため、セメントの種類および水結合材比を変えて、モルタルのフレッシュ性状、圧縮強度および水和特性を評価した。その結果、モルタルの諸物性に及ぼす水結合材比の影響はセメントの種類によって異なり、常温で早期に高強度を発現させるためには、C3S量が多くかつC3A量が少ないセメントを使用することが重要であるとわかった。これは、自由水を比較的多く確保することで、セメントのC3Sやポゾラン質微粉末の反応が進行しやすいためであると考えられた。
繊維補強コンクリート
  • 十文字 拓也, 齋藤 俊克, 出村 克宣
    2012 年 66 巻 1 号 p. 537-544
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    本研究では、粗骨材最大寸法を20mmとし、長さ30及び40mmのビニロン短繊維を併用した繊維補強ポーラスコンクリートの圧縮及び曲げ強度、静弾性係数並びに曲げタフネスについて検討している。その結果、短繊維の併用効果は圧縮強度についてはほとんど認められないが、その静弾性係数、曲げ強度及び曲げタフネスについては、繊維混入率0.3又は1.0%とした場合、若干認められる。本研究の限りでは、繊維補強ポーラスコンクリートの力学的性質に及ぼす、粗骨材間を架橋するほどの長さを持つビニロン短繊維の併用効果は、使用する粗骨材の粒度組成、繊維混入率、空隙率の変化に伴う結合材としてのセメントモルタル量に複雑に影響されることが示唆される。
  • 水口 和彦, 阿部 忠, 木田 哲量, 室橋 竜太
    2012 年 66 巻 1 号 p. 545-551
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    本研究は、UFCパネルを従来のRC柱部材と合成したUFC・RC合成柱部材の実用化を図るために、帯鉄筋間隔の異なる4種類のUFC・RC合成柱部材および通常のRC柱部材供試体を作製し、それらに軸圧縮力載荷実験を行った。その結果、RC柱供試体では帯鉄筋間隔の違いにより破壊メカニズム、圧縮耐荷力に顕著な違いが認められた。UFC・RC合成柱部材では破壊メカニズムには帯鉄筋間隔の違いによる影響が見られたが、圧縮耐荷力には顕著な差異は認められなかった。また、圧縮耐荷力はUFC・RC合成構造とすることで通常のRC柱部材に比して1.30~1.56倍の耐荷力の向上が得られることが明らかとなった。
  • 吉田 理紗, 菊田 貴恒, 西脇 智哉, 三橋 博三
    2012 年 66 巻 1 号 p. 552-559
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    本研究は、物性の異なる合成繊維と鋼繊維の2種類の繊維を用いたハイブリッド型繊維補強セメント複合材料(HFRCC)について、一軸引張応力下における引張性状に及ぼす、繊維の複合効果を明らかにするために4種類の鋼繊維を用いて、それぞれ実験的検討を行った。1種類の繊維を混入した繊維補強セメント複合材料との比較から、繊維長30mm程度の鋼繊維を用いた場合には、合成繊維とハイブリッド化することで靭性を高められること、HFRCCの鋼繊維のみの混入率を増加させても、強度は向上するが靭性にはあまり影響がないこと、水結合材比を40%から20%に低くしマトリクス強度を高めると、HFRCCの強度は向上する一方で靭性は同程度を確保できることなどが明らかになった。
補修・補強
  • 阿部 忠, 木田 哲量, 勝呂 翔平, 伊藤 清志
    2012 年 66 巻 1 号 p. 560-567
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    本研究は、劣化したRC床版の一次補強としてSFRC上面増厚補強、二次補強にCFS下面接着補強した供試体と一次補強にCFS補強、二次補強にSFRC上面増厚補強した供試体を用いて輪荷重走行疲労実験を行い、各種劣化要因を適用した補強等価走行回数から耐疲労性を評価した。その結果、床版支間Lの1/400に達した時点で一次・二次補強を施すことでRC床版供試体の128倍の耐疲労性が得られた。したがって、RC床版の一次・二次補強においては床版のたわみが支間Lの1/400に達した時期に一次・二次補強対策を講じることにより、100年間の維持管理が可能となる。
  • 阿部 忠, 田中 敏嗣
    2012 年 66 巻 1 号 p. 568-575
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    本研究は、道路橋RC床版の補修・補強法としてUFCパネル上面接着補強法を提案し、実用性を評価するために輪荷重走行疲労実験を行った。実験には、RC床版供試体、SFRC上面増厚補強したRC床版供試体、UFCパネル上面接着補強したRC床版供試体を用いて比較検討した。その結果、UFCパネル上面接着補強床版はRC床版供試体の47.1倍、またSFRC上面増厚補強の2.2倍の補強効果が得られ、耐疲労性が評価された。たわみ・ひずみと等価走行回数の関係においても破壊時まで急激な増加は見られない。破壊状況は全ての供試体が押抜きせん断破壊となった。よって、UFCパネル上面接着補強法においては耐疲労性が評価され、道路橋RC床版の補強法として実用的であると考えられる。
  • 元 燦豪, 阿部 忠, 木田 哲量, 小森 篤也
    2012 年 66 巻 1 号 p. 576-583
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    本研究は、2タイプのRC床版供試体を用いてCFSおよびCFSS補強法における破壊メカニズムおよび耐疲労性を評価した。その結果、RC床版の等価走行回数に比して、CFS接着補強したRC床版供試体は実橋床版の1/2モデルとしたRC床版が18.7倍、3/5モデルとしたRC床版が20.6倍の補強効果が得られた。また、CFSS格子接着補強したRC床版の場合は、それぞれ21.1倍、25.3倍の補強効果が得られ、CFSおよびCFSS格子接着補強法は耐疲労性が評価される補強法である。次に、1/2モデルとしたCFS接着補強したRC床版と3/5モデルとしたCFS接着補強したRC床版のS-N曲線式との整合性が得られた。よって、CFS補強RC床版の寿命推定が可能となった。
  • 水越 睦視, 山本 光, 東山 浩士
    2012 年 66 巻 1 号 p. 584-591
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    高靭性ポリマーセメントモルタルを用いた吹付け施工により下面増厚補強したRCはりの補強効果とせん断耐力について実験的に検討した。RCはり供試体は道路橋のRC床版やRC桁への適用を想定し、RCはりの支点手前50mmの範囲は下面増厚を施していない。有効高さ、せん断スパン比、主鉄筋比、補強鉄筋比をパラメータとする下面増厚補強RCはりのせん断耐力実験を行い、補強効果を検証するとともに、せん断破壊過程から土木学会(二羽式)のせん断耐力式における有効高さの取り扱いを考察し、せん断耐力の評価法について検討した。
  • 片岡 弘安, 渕田 安浩, 人見 尚
    2012 年 66 巻 1 号 p. 592-599
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    塩ビパイプを利用する誘発目地工法により発生したひび割れからの漏水を抑える機能を持たせるために、塩ビパイプに止水ゴムを取り付ける方法がある。本研究では、塩ビパイプにあらかじめ吸水ポリマーをコーティングすることにより、止水機能を自動的に発揮させる手法を新たに考案し、その効果を確認した。ひび割れ誘発目地を挿入した試験体による室内試験および実大寸法の壁試験体において、漏水防止効果の検証試験を行った。その結果、ノニオン型吸水ポリマーをコーティングした塩ビパイプで良好な漏水防止効果が得られた。更に、塩ビパイプ周りでカルシウム化合物等のセメント由来鉱物の析出が確認され、長期的な漏水防止効果が期待される。
リサイクル
  • 福永 隆之, 大即 信明, 斎藤 豪, 前野 祐二
    2012 年 66 巻 1 号 p. 600-606
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    近年、焼却廃棄物を混和材として利用する研究が行われてきている。しかし、焼成温度が低い焼却廃棄物を混和材として使用する検討はされていない。一方、六価クロムなどの陰イオン有害物質の固定に関する研究は行われているが、これらは試薬として六価クロムを混入している試験であり、実際の廃棄物を混和した研究はほとんどされていない。そこで本研究では、六価クロムを多く含有している焼却廃棄物を混入したセメントペーストに高炉スラグ微粉末および無水石膏の混和率が六価クロム固定へ与える影響を検討した。その結果高炉スラグ微粉末と無水石膏を同時に混和することにより、六価クロムの固定能力は向上することが確認された。
  • 田端 辰伍, 宮里 心一, 網野 貴彦, 羽渕 貴士
    2012 年 66 巻 1 号 p. 607-614
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    近年、建設副産物として発生するコンクリート塊の増加や天然骨材の枯渇化などの背景を受け、再生骨材の用途拡大が期待されている。しかしながら、塩化物を含有した海洋コンクリート塊から製造した再生骨材をコンクリート用骨材として利用する検討は積極的には行われていない。そこで本研究では、骨材の製造時に環境負荷の少ない再生骨材Lに着目し、塩化物イオン含有率0.0~0.3%の再生細骨材を用いたコンクリートのフレッシュ性状、強度および鋼材腐食を検討した。その結果、再生細骨材中の塩化物イオンの多少は、スランプロス、空気量ロス、ブリーディング量、加圧ブリーディングおよび凝結時間に影響を及ぼさなかった。
  • 堀口 至, 白井 敦士, 渡邉 勝, 杉原 聡
    2012 年 66 巻 1 号 p. 615-621
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    高い発電効率を持つ石炭ガス化複合発電では、石炭灰がガラス状の石炭ガス化溶融スラグとして排出される。本研究は、石炭ガス化溶融スラグのコンクリート用細骨材への適用性について検討を行った。試験では、排出されたままの未処理スラグと磨砕処理を行った磨砕スラグの2種類を用いた。試験結果より、スラグを磨砕することで細骨材としての物理的性質は向上し、特にスラグ全体の粒度、粒形が改善されることが分かった。本研究で使用した2種類のスラグでは、置換率25%程度であればコンクリートの練上がり状態および強度特性に対して大きな影響は及ぼさなかったが、空気量はスラグの種類や置換率に関わらず、約1%の低い値を示した。
  • 山口 信, 村上 聖, 武田 浩二, 大木 龍太朗
    2012 年 66 巻 1 号 p. 622-628
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    本研究では、造船所において多量に排出される鉄溶接スラグの有効利用を目的に、それを骨材として用いたコンクリートの圧縮特性および有害物質溶出量、鉄溶接スラグ骨材コンクリートを適用したコンクリート二次製品の曲げ性能について実験的検討を行った。得られた主な知見は、以下の通りである。①粗骨材の70%を鉄溶接スラグに置換したコンクリートにおいて、目標値を満足する圧縮強度が得られ、尚且つその有害物質溶出量も土壌環境基準値以下であることが判った。②粗骨材の60~80%を鉄溶接スラグに置換したコンクリート二次製品は、ベースコンクリートを用いた場合と比較して遜色ない曲げ性能を有していることが実験的に確認された。
  • 石井 光裕, 出口 恒太, 堺 孝司, 阿部 信二
    2012 年 66 巻 1 号 p. 629-636
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    銅スラグをコンクリートへ利用した場合、ブリーディングが増大し、硬化コンクリートの強度・耐久性への影響が大きいため一般的な利用に至っていない。本研究では、ブリーディングの抑制および資源の有効利用の観点からフライアッシュの利用を試み、銅スラグとフライアッシュを併用したコンクリートのフレッシュおよび硬化特性に及ぼす影響について検討した。その結果、銅スラグ利用は、AE減水剤添加量や大きな細孔を増加させるが、フライアッシュの併用で、ブリーディングの減少、圧縮強度発現の向上、長さ変化率の減少等の効果が得られ、また、微粒分の多い岩種の利用や増粘剤使用は、強度発現の増加に寄与することなどが明らかになった。
  • 佐藤 佳之, 小山田 哲也, 羽原 俊祐, 今 雄希
    2012 年 66 巻 1 号 p. 637-644
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    下水汚泥焼却灰および戻りコンクリートの有効利用を目的として、両者を混合し路盤材として利用する手法を検討した。硬化前の戻りコンクリートに対し焼却灰をそのまま混合し、硬化後に破砕して作製した路盤材は、焼却灰の混合割合を増した場合、突固め時にオーバーコンパクションが発生して支持力が低下する。焼却灰に粉砕処理もしくはリンの低減処理を行ってから混合すれば、粉砕処理は路盤材の最適含水率の低下に、リンの低減処理は強度増加に寄与して締固め性が改善し、支持力の向上に極めて有効であることを示した。
その他
  • 伊波 咲子, 赤嶺 糸織, 山田 義智
    2012 年 66 巻 1 号 p. 645-652
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    本研究では、これまで筆者らが提案してきたセメントペーストの粘度式に「ずり時間依存性」の要素を加え、新たな粘度式として提案する。筆者らは、「ずり時間依存性」にはセメント粒子の凝集状態変化が関わっていると考え、凝集状態推移モデルからセメント粒子の凝集状態を定式化し、修正Roscoe式に組み込んだ。この提案粘度式は、セメント粒子の最密充填体積分率や粒形、凝集状態を考慮することができる。ここでは、提案式の有効性を確認するためにレオロジー試験を行い、提案式を用いて求めた応力緩和曲線および流動曲線を試験結果と比較検討した。その結果、提案式は応力緩和曲線、流動曲線ともに試験結果を再現できることが確認された。
  • 赤嶺 糸織, 伊波 咲子, 山田 義智, 細川 佳史
    2012 年 66 巻 1 号 p. 653-660
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    本研究は、セメント粒子の凝集がセメントペーストの粘度変化に与える影響について検討を行うとともに、初期の水和反応がペーストの粘度変化に与える影響についても検討した。凝集状態の影響については、粒子画像による凝集状態の評価と、粘度変化の測定結果の関係について考察した。水和による影響については、まず、凝集による影響を取り除くため高性能AE減水剤を使用し、粒子が分散状態となる調合を検討した。次に、その調合において分散状態を維持しつつ、経過時間に伴う粘度変化を求め、その結果を水和反応の影響として評価した。さらに、X線回折によりエトリンガイトの測定を行い、水和の進行と粘度変化との関係についても検討した。
  • 山田 義智, 赤嶺 糸織, 伊波 咲子, 浦野 真次
    2012 年 66 巻 1 号 p. 661-668
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    本研究では、ペーストからモルタルさらにコンクリートへと展開する新たな粘度式を提案した。そして、この粘度式を用いて、ペースト、モルタル、コンクリートのレオロジー定数を調合(配合)から推定する手法を示した。ここで、提案手法で求めたペーストとモルタルのレオロジー定数の有効性については、既往の実験結果との関係を比較・検討することで確認した。一方、コンクリートのレオロジー定数の有効性については、提案手法で求めたレオロジー定数を入力値として有限要素法でスランプシミュレーションを行い、実測結果と比較することで確認を行った。
  • 後藤 卓, 名和 豊春
    2012 年 66 巻 1 号 p. 669-676
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    凝集系では、粒子はフラクタルに凝集し、生成した凝集体がせん断によって解砕、再凝集してもフラクタルな特徴を失わない。セメントペーストもまた、粘性発現に対する凝集の寄与が大きく、フラクタルな凝集体を仮定したレオロジーモデルの適用が期待される。本研究では、流体力と凝集体間の結合のつりあいに基づいて、せん断と凝集粒径の関係を導き、フラクタルな凝集体の構造変化の影響をモデル化した。導かれたモデルとレオロジーモデルを組み合わせることで、流動状態の凝集構造をより詳細に推定した。その結果、体積濃度とともにフラクタル次元が増加する傾向にあり、せん断速度によるフラクタル次元の変化は小さいことが示された。
  • 山口 信, 村上 聖, 武田 浩二, 大木 龍太朗
    2012 年 66 巻 1 号 p. 677-683
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    本研究では、高炉スラグ微粉末、二水石膏および水酸化カルシウムから成る3成分系結合材にポリエチレン短繊維を混入した高靱性エコバインダー(HTEB)に関して、その硬化体の靱性確保を目的とした調合の検討ならびにHTEBを適用したパネル・ボード部材の曲げ性能について実験的検討を行った。得られた主な知見は、以下の通りである。①HTEB硬化体の主に曲げ靱性を確保するための調合として、水酸化カルシウム水溶液濃度1.0%かつ繊維体積率1.0%を提示した。②HTEBのパネル・ボード部材への適用にあたり、その曲げ強度に及ぼす部材の寸法効果を補償する上で、竹筋による補強が有効であることが実験的に示された。
  • 山口 信, 武田 浩二, 池崎 智美, 村上 聖
    2012 年 66 巻 1 号 p. 684-691
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    高炉スラグ微粉末、二水石膏および水酸化カルシウムから成る3成分系エコバインダー(3EB)を適用したポーラスコンクリート(POC)に関して、主にその緑化基盤材としての用途を想定した基礎物性について実験的検討を行った。その結果として、①3EBを適用したPOCの圧縮強度は、骨材種類、結合材水比および空隙率が一定であれば、通常のセメントを用いた場合に比して大きくなる傾向にあること、②3EBのPOCへの適用は、脱アルカリ処理期間短縮に有効であること等が示された。また、緑化基盤用POCにおいてはその保水・蒸発性能を骨材に期待するのが良策であると判断され、3EBと適切な骨材とを併用することで良好な保水・蒸発性能を付与できることを示した。
  • 島袋 淳, 橋本 堅一, 田村 隆弘
    2013 年 66 巻 1 号 p. 692-698
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/12/02
    ジャーナル フリー
    カルシウム系固化材を用いたコンクリートの流動性を改善するため、単位水量に着目して流動性の改善を試みた。またカルシウム系コンクリートの圧縮強度・変形特性に及ぼす水固化材比の影響を検討した。その結果、単位水量の増加はカルシウム系コンクリートの流動性の改善につながった。また水固化材比が大きくなるとカルシウム系コンクリートの圧縮強度は低下し、カルシウム系コンクリートの圧縮強度は固化材水比、供試体密度、静弾性係数と相関性があることが明らかになった。
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