Dental Materials Journal
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4 巻, 2 号
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  • 修復物中心部と辺縁部との比較
    中井 宏之, 鈴木 一臣, 橋本 弘一
    1985 年4 巻2 号 p. 125-133,275
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    高銅型アマルガムの硬さに及ぼす水銀/アロイ比の影響を低銅型アマルガムと比較し,修復物中心と辺縁部の硬さについても検討した。製造者指示比よりも小さい比で作製された修復物の硬さはアロイの種類を問わず小さかった。一方,大きい比を用いた場合にも標準比よりも小さい硬さを示したが,低下の度合は単一組成型>添加材(In, Pd)を含む単一組成型>配合型(削片状,球状のいずれも)となり,単一組成型の一部が特に大きく低下した。
    高銅型アマルガム修復物の中心部の硬さは低銅型アマルガムに比べて著しく大きかったが,水銀/アロイ比を変化させることによって低下した。これは辺縁部において特に著しく,また低銅型アマルガムの場合よりも著しかった。高銅型アマルガムは操作因子の影響が大きいので,低銅型アマルガムよりも入念な取扱いが必要であることがわかった。
  • 中井 宏之, 鈴木 一臣, 橋本 弘一
    1985 年4 巻2 号 p. 134-145,275
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    粒状と銅含有量の異なる4種のアロイを用いて臨床的な方法で入念に作製されたアマルガム修復物の切断面について,硬さの分布を微小硬度計によって調べた。高銅型アマルガムはいずれも低銅型アマルガムに比べて著明に大きい硬さを示したが,単一組成型高銅アマルガムは特に大きい値を示した。窩洞側壁に接するアマルガムの硬さは,中心部に比べて著明に低かったが,低銅型削片状アマルガムが特に小さな値を示した。修復物の上,中,底層部についてみると,上層部の硬さが著明に小さく,特に単一組成型高銅アロイにあきらかであった。以上にのべたことから,アマルガム辺縁部の硬さはアロイの種類にかかわらず中心部より著明に低いことがわかった。従って,高銅型アマルガムの辺縁部の機械的性質は,一般的に用いられる機械的テストの結果から予想されるほど低銅型アマルガムよりも大きくはないことがわかった。
  • 高橋 純造, 岡崎 正之, 木村 博, 古田 安宏
    1985 年4 巻2 号 p. 146-152,275
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Ni-43.5wt% Ti合金の丸棒を,種々の鋳造条件で準備した。コージライト・ルツボで溶融し,リン酸塩系埋没材鋳型に鋳造した試験片は,銅ルツボで溶融し,リン酸塩系埋没材鋳型に鋳造したものより,強度,伸びが小さかった。すべての鋳造体は,室温で超弾性を示した。回復最大ひずみは,約1.8%であった。本合金製の鋳造クラスプは,模型に良く適合し,良いしなやかさと超弾性をしめした。
  • 中島 裕
    1985 年4 巻2 号 p. 153-174,276
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    金属焼付ポーセレンの金属と陶材との接着機構を解析するための基礎的研究として,スズ或いはインジウムを少量含んだ金合金の酸化挙動に関する実験を行った。実験には三種の実験合金(99.5wt% Au-0.5wt% Sn, 99,5wt% Au-0.5wt% In, 99.0wt% Au-0.5wt% Sn-0.5wt% In)を作製し,酸素分圧0.016∼0.8atm,温度700°C∼900°Cの範囲で酸化挙動を観察した。又,市販の焼付用合金(セラミックゴールド)についても酸素分圧0.2atm以下の酸化挙動について実験を行った。
    Au-In合金中のインジウム及びAu-Sn-In合金中のスズ,インジウムの酸化後の表層部付近への集積量は酸素分圧0.2atm以下では増加した。これは酸化様式が内部酸化傾向から外部酸化傾向に転換したためと考えられた。そしてこれらの合金の酸化表面には,合金マトリックスからなるノジュールが観察された。市販焼付用合金の酸化挙動はAu-Sn-In合金の場合と類似していた。この合金では,インジウムが,合金の酸化挙動と表面性状に大きな影響を与えるものと考えられた。
  • 新谷 英章, 二神 正文, 行広 映, 佐藤 淳子, 佐藤 尚毅, Makiko KAI, 林原 久盛, 井上 時雄, 瀬尾 輝明
    1985 年4 巻2 号 p. 175-180,276
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    歯質や金属と化学的に接着し,従来のセメントに比較して,接着力はもとより耐溶解性,耐酸性に優れ,さらに被膜厚さも改良されたレジン系セメントが開発された。
    2種類の接着性レジン系セメント(Bis-GMA系コンポジットレジンタイプ,4-METAタイプ)を用いて,金銀パラジウム合金の接着強さと2級インレー合着後の辺縁封鎖性をサーマルサイクリング後の色素浸透度により,従来のセメント(グラスアイオノマーセメント,リン酸亜鉛セメント)と比較検討した。
    従来のセメントに比べ,2種のレジン系セメントは著しく高い接着強さを示し,サーマルサイクリング後も同様の傾向を示した。
    接着性セメントで合着したインレーの咬合面部および歯頸部のいずれにおいても,色素浸透度はエナメル質内に限局していた。リン酸セメントでは,窩底および歯髄腔まで浸透が認められ,グラスアイオノマーはその中間であった。
  • バルガ J,, 松村 英雄, 増原 英一, 田端 恒雄
    1985 年4 巻2 号 p. 181-190,276
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    高パラジウム含有合金"アルバボンドE"を各種接着性レジンで接着する場合の合金の表面処理法について検討した。被着面は鏡面研磨,アルミナサンドブラスト,電解エッチング,Sn電析,シリコーター処理および400°C1回加熱処理とし,接着材は4-META-MMA-TBB系レジンとパナビアEXを使用した。比較のため,パラジウム含有量の低い金パラ合金についても測定した。接着耐久性を評価するため4°Cと60°Cの水中熱サイクルを最高2,000回まで行なってから引張り接着強さを測定した。その結果各種表面処理のうち接着耐久性の向上に有効であったのは加熱酸化処理,Sn電析処理,シリコーター処理などであった。また2種の接着材のうちでは4-META-MMA-TBB系レジンの方が接着耐久性がすぐれていた。電解エッチングは被着面の粗造化には有効であったが接着強さにはほとんど効果がなかった。これは電解エッチングによって最表層に貴金属成分がより多く残留したためであると考えられた。
  • 井田 一夫, 谷 嘉明, 堤 定美, 都賀谷 紀宏, 南部 敏之, 末瀬 一彦, 川添 堯彬, 中村 雅彦, 和田 弘毅
    1985 年4 巻2 号 p. 191-195,277
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    純チタンの機械的性質は貴金属合金に近く,耐蝕性や生体安全性もすぐれているので,新らしく開発された鋳造方法により製作された純チタンのクラウン100コ以上を2年間に亘り臨床的に使用したところつぎの結果が得られた。
    純チタン・クラウンの適合性は銀-パラジウム合金のクラウンよりは幾分悪かったがニッケル・クロム合金のものよりはすぐれていた。咬合調整など装着時の問題点は各合金の間で差はなかった。純チタン・クラウンの装着後の変色や咬耗は殆んどなく,プラークの付着についても合金間の差は認められなかった。
  • 谷 嘉明, 鈴木 勝己, 浜田 敏裕, 湯浅 茂樹
    1985 年4 巻2 号 p. 196-200,277
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    マトリックスモノマーの重合収縮率と辺縁封鎖性との関係を定量的に明らかにすることを目的として,以下の実験をおこなった。異なる重合収縮率をもつマトリックスモノマーを8種類調製し,コンポジットレジンを試作した。なお,フィラーとして0.2μmの球状シリカを用い,充填率は54.5vol%に一定した。牛前歯唇面の円形窩洞に試作コンポジットレジンを填塞した。37°C水中に24時間浸漬保存後,辺縁部を仕上げ研磨し,0.1%フクシン水溶液中でサーマルサイクリング処理による色素浸透試験をおこなった。修復歯の正中部を縦断,研磨し,その断面における色素の浸透度から辺縁封鎖性を評価した。
    その結果,マトリックスモノマーの重合収縮率が7%付近に変曲点をもつS字形の相関曲線が得られ,重合収縮率と辺縁封鎖性との間に明確な相関関係のあることをあきらかにした。また,フィラー充填率の増大がマトリックスモノマーの重合収縮を補償し,辺縁封鎖性が改善されることも示唆された。
  • (第6報) 分子内にスピロ環を有するジメタクリレートの合成と物性について
    川口 稔, 福島 忠男, 宮崎 光治, 堀部 隆
    1985 年4 巻2 号 p. 201-207,277
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    歯科用レジン材料の物性を改良することを目的として,分子内にスピロ環を有するジメタクリレート3.9-bis (1.1-dimethyl-2-methacryloxyethyl)-2, 4, 8, 10-tetraoxaspiro 〔5.5〕 undecane (SPDMA)を合成し,0-30mol%のMMA共重合体について圧縮強さ,曲げ強さ,曲げ弾性係数,ヌープ硬さ,吸水量,吸アセトン量を測定した。SPDMAを含む共重合体は,SPDMA濃度の増加とともに,圧縮強さ,ヌープ硬さは増大し,吸水量は低下する傾向を示した。また曲げ強さはSPDMA 10mol%濃度まではやや増大する傾向を示したが,10mol%以上になるとしだいに低下した。SPDMA共重合体の機械的強さは,比較のため測定した芳香族系のジメタクリレートとほぼ同程度であったが,吸水量はわずかに大きな値を示した。
  • I. 測定方法とpH変化
    伴 清治, 福井 寿男, 森 栄, 長谷川 二郎
    1985 年4 巻2 号 p. 208-215,278
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    セメント表面に接する少量の蒸留水のpH値をフラット型複合pH電極により測定し,硬化中の3種合着用セメントのpH変化を測定した。初期のpH値と中和速度は接する水量と練和から接触するまでの保持時間の減少に伴ない低くなった。すなわち,セメント表面に接する水の初期のpH値は未反応のセメント液の酸の溶出と拡散に影響されるためと考えられる。一方,その中和速度は未反応のセメント粉末の溶解速度,マトリックスの分解速度あるいは酸の溶出速度に依存するものと考えられる。ゆえに,ポリカルボキシレートセメントに接する水の中和が速いのは,初期硬化後の酸の溶出がきわめて少ないためであり,これに対し,リン酸亜鉛セメントとグラスアイオノマーセメントの中和速度が遅いのは,未反応のセメント液の酸の溶出が多いためと考えられる。
  • 佐藤 尚毅, 佐藤 淳子, 行広 映, 新谷 英章, 井上 時雄
    1985 年4 巻2 号 p. 216-222,278
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    修復および合着用セメントの表面は,修復材料の中でも化学的成分に多様性を持ち,反応基を多く含んでいる。さらに,齲蝕抑制効果を持たせるために,HY材やフッ化物を添加することも試みられており,これらの含有する成分の変化により菌体の付着,プラーク形成に影響を及ぼすと思われる。
    各種セメントへの菌付着実験を代表的口腔細菌であるStreptococcus sanguis ATCC 10556を用いて行い,菌付着に及ぼす各種セメントの成分,表面性状の影響を検討した。
    使用したセメントは,Glass Ionomer (GI), Polycarboxylate (Car), HY-Polycarboxylate (H・Car), Zinc Phosphate (Znp), HY-Zine Phosphate (H・Znp), Zinc Oxide-EBA (EBA), Silicate (Sil), Resin Cement (ReC)の8種で,対照としてComposite resin (CR)を用いた。菌体の付着は,pH依存性を示し,セメントの種類によって異なり,GIが最大でH・Car, Silが次いで多くEBAとReCが少なかった。セメントに含有される特徴的成分が,菌付着に影響を及ぼすと思われる。
  • 近藤 清一郎, 大川 昭治, 塙 隆夫, 菅原 敏, 太田 守
    1985 年4 巻2 号 p. 223-230,278
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    歯科用修復材料の切削・研削の最適加工条件を検索する研究の一環として,コンポジットレジンの定荷重方式による上向き切削・研削および下向き切削・研削の仕上面に及ぼす影響を調べた。本研究から次の結論が得られた。
    1) 切削工具(カーバイドバー7664)によるマイクロフィル型コンポジットレジンの切削仕上面は従来フイラー型コンポジットレジンに比べて著しく改善された。これは分散相フイラーの粒径とそれに基くコンポジットレジンの不均質性によって切削抵抗とその変動が影響されることを示唆する。
    2) 研削工具(ダイヤモンド工具F201R)による研削仕上面はカーバイドバーによるそれよりも改善されると共に,コンポジットレジン間の差異が減少した。これは負のすくい角の増加によって切込みが減少したことに起因すると考えられる。
    3) 両工具において,上向き切削・研削の仕上面の方が下向き切削・研削のそれよりも良くなった。これは接線切削・研削抵抗が上向き切削・研削では切削・研削予定面の上方に働き,下向き切削・研削では逆に下方に働くことから説明できる。
  • 中村 正明, 今井 弘一, 大島 浩, 工藤 貴也, 吉岡 宣史朗, 川原 春幸
    1985 年4 巻2 号 p. 231-237,279
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    光線重合レジン5製品,すなわち,可視光線重合タイプ4製品,紫外線重合タイプ1製品の硬化試料がHeLa S3細胞に対しておよぼす影響を調べるために,in vitro環境下で細胞コロニー形成法を駆使して実験を行った。2週間の単位浸漬期間を合計6週間にわたって,従来から行っている口腔内の動的環境のシミュレーションを目ざした旋回投入浸漬を続け,各時期の浸漬液を実験に用いた。テストした各材料で初期に浸漬液の濃度があがると中等度から強い細胞毒性を示した。しかし,その後は細胞毒性は急速に消失し去った。この結果は同時にテストした従来型のクリアフィルFと似ていたし,以前にテストしたMFRタイプなどを含む従来型製品とも軌を一にするものであった。以上の実験結果はテストした2種類の光線重合レジンが細胞に対して従来型製品ときわめてよく似た影響を及ぼすことを示している。
    本研究の一部は文部省科学研究費補助の試験研究(56870103)による。
  • (第2報) 高温たわみに対する鉄,インジウム,スズ添加の影響
    安藤 進夫, 中山 正彦
    1985 年4 巻2 号 p. 238-246,279
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    鉄,インジウムおよび/あるいは,スズを2種の母合金,90Au-10Pd, 80Au-20Pt,に添加し,各母合金につき10種の合金を試作した。添加元素の合計は,0.75%であった。高温たわみ(試験片を1050°Cまで加熱した後の最終たわみ量)および,変形開始温度(20μmのたわみを生じる温度)を測定し,これらの性質に対する添加元素の影響を調べた。
    鉄,インジウム,スズの添加により,いずれの合金系においても,高温たわみは減少し,変形開始温度は増大した。これらの結果は,鉄,インジウム,スズの添加により,高温における機械的性質が改善された事を証明している。高温たわみと変形開始温度の間には,負の相関関係がみられた。インジウムはいずれの合金系においても,高温たわみを増大させる様である。
  • 右近 晋一, 片山 隆昭, 松浦 智二, 赤木 幸一, 岸本 省三, 織邊 秀也
    1985 年4 巻2 号 p. 247-264,280
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    義歯重合後,作業模型からの義歯の分離は困難であるばかりでなく,時には破折を経験することもある。このステップでの模型分割に著者らは従来行なわれている動的な石膏分割法に代るものとして,歪速度の緩い静的な分割法を考案し,その実用化の検討を行った。
    本方法に使用した膨張剤はCaOを主成分とするものである。その水和反応の体積膨張によって発生する膨張力で石膏を破壊する。
    得られた膨張力は,最大120kg/cm2石膏円筒でのそれは,96kg/cm2と推定される。これらの力は石膏の引張強度よりも大である為,破壊は容易におこった。
    また臨床モデルでの実験結果では,義歯床内に発生する最大歪量でもレジンの比例限以下であり全てに残留歪は,認められなかった。
    本方法は,安全であるばかりでなく省力的であり臨床応用に貢献するものと思われる。
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