修復および合着用セメントの表面は,修復材料の中でも化学的成分に多様性を持ち,反応基を多く含んでいる。さらに,齲蝕抑制効果を持たせるために,HY材やフッ化物を添加することも試みられており,これらの含有する成分の変化により菌体の付着,プラーク形成に影響を及ぼすと思われる。
各種セメントへの菌付着実験を代表的口腔細菌であるStreptococcus sanguis ATCC 10556を用いて行い,菌付着に及ぼす各種セメントの成分,表面性状の影響を検討した。
使用したセメントは,Glass Ionomer (GI), Polycarboxylate (Car), HY-Polycarboxylate (H・Car), Zinc Phosphate (Znp), HY-Zine Phosphate (H・Znp), Zinc Oxide-EBA (EBA), Silicate (Sil), Resin Cement (ReC)の8種で,対照としてComposite resin (CR)を用いた。菌体の付着は,pH依存性を示し,セメントの種類によって異なり,GIが最大でH・Car, Silが次いで多くEBAとReCが少なかった。セメントに含有される特徴的成分が,菌付着に影響を及ぼすと思われる。
抄録全体を表示