Dental Materials Journal
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6 巻, 2 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 1. Smear layerに及ぼす効果
    谷 嘉明, 川田 裕也
    1987 年6 巻2 号 p. 127-134,223
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    歯質への接着性を強化するためには,有効なボンディング材の開発もさることながら,被着面としての象牙質の前処理はさらに重要である。今回,新鮮抜去牛前歯の象牙質面に形成したsmear layerに,Nd-YAGおよびCO2レーザーを照射し,その形態学的変化と細管封鎖効果を,SEMおよび色素浸透試験によって観察した。
    その結果,smear layerは蒸散し,dentinal plugは象牙細管中に融着,固定されている所見が認められた。この所見は,照射エネルギー密度が高いほど著明であった。レーザー照射面からの1%メチレン・ブルーの浸透試験の結果,非照射面からの色素浸透が深部におよんでいるのに対し,レーザー照射面では,細管内への色素浸透は阻止されることが認められた。この細管封鎖効果は,低いエネルギー密度で照射した場合にも認められ,レーザー照射による象牙質前処理は,歯髄保護の点でも有用ではないかと考えられた。
  • 松村 英雄, 中村 光夫, 中林 宣男, 田中 卓男, 熱田 充
    1987 年6 巻2 号 p. 135-139,223
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    シランカップリング剤と塩化第二鉄を含むプライマーを調製し,これを4-META/MMA-TBBレジンと併用し,陶材,石英,アルミナに対する接着性能を検討した。シランカップリング剤と塩化第二鉄で前処理した陶材は4-META/MMA-TBBレジンで接着すると熱サイクル2,000回後,20MPa以上の接着強さを示した。また,シランカップリング剤で処理した石英と,4-METAを含むレジンで接着したアルミナは良好な接着耐久性が得られた。このことから陶材成分のうち珪素化合物に対してシランカップリング剤が,アルミニウム化合物に対しては4-METAが接着に有効にはたらいている可能性があることが示唆された。
  • KOMゲージ
    守川 雅雄, 小園 凱夫, 豊田 静夫, 林 一郎
    1987 年6 巻2 号 p. 140-147,223
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    適切な咬合高径を決定することは,補綴物を製作するうえで最も重要なことの一つである。その高径を決定するためには通常キャリパータイプのバイトゲージが用いられるが,同一患者の高径を数回計測すると,いかに注意深く測ってもその記録値には相当のバラツキを生じていることが多い。計測指示点の設定位置が不適当なことと,前回と同一位置に設定出来ないバイトゲージの構造的な問題が原因しているように思われる。これら従来のバイトゲージの欠点を改良したものが,新しく考案したKOMゲージである。
    明確なセントリックストップを有する有歯顎者5名を被験者として,6名の計測者がそれぞれ10回(最初5回,30分後に5回)繰り返し計測して,このゲージの再現精度を検討した。これにより,KOMゲージは,従来のバイトゲージに比べて有意にすぐれた再現精度を示し,極めて有用であることが証明された。このゲージの使用によって,咬合高径計測時における誤差発生の危険性が著しく減少するものと期待される。
  • 川口 稔, 福島 忠男, 堀部 隆
    1987 年6 巻2 号 p. 148-155,224
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    側鎮長の異なるビスフェノール系ジメタクリレート,2, 2'-bis (4-methacryloxy polyethoxyphenyl) propane (BisMPEPP)モノマー5種について,側鎮構造と重合体の物性との相関を検討する目的で,モノマーの粘度と重合体の機械的性質の測定を行った。BisMPEPPモノマーはBisGMAに比較して,著しく低粘性を示した。各Bis-MPEPP重合体の曲げ強さ,弾性係数,圧縮強さおよび硬さは側鎮長の増大にともない低下したが,アセトン吸収率および吸水量は増大する傾向を示した。BisGMA重合体は脆性に富み,dryでの弾性係数,dryおよびwetでの硬さはBisMPEPP重合体を上まわる値を示したが,吸水による機械的性質の低下率はBisMPEPP重合体を上まわる値を示した。
  • 守川 雅雄, 小園 凱夫, 豊田 静夫, 林 一郎
    1987 年6 巻2 号 p. 156-164,224
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Sm-Coマグネットが開発されて以来,このマグネットは,オーバーデンチャーや顎義歯の維持装置として期待されている。そこでSm-Coマグネットを用いた種々のマグネチックシステムについて,吸引力の実験を行った。吸引力は二つのマグネットを用いたり,磁性合金ヨークでハウジングすることによって著しく増強された。しかしながら,マグネットとキーパー間のギャップが増大するにつれて急激に減衰した。ヨークの深さを半分にするとギャップ0mmのときはハウジング効果は半減したが,ギャップが0.2mmあるいはそれ以上になるとむしろフルサイズのヨークによってハウジングした場合より大きな値を示すようになった。二つのマグネットやフルサイズのハウジングを用いる方法はマグネットとキーパーを極めて密接させて用いる場合は有効であるが,それらの間にともすれば大きなギャップが生じやすい臨床的な応用においては,浅いヨークでハウジングしたマグネットと磁性合金キーパーの組み合わせが簡便さと良好な吸引力のために有効であろうと思われる。
  • 谷 嘉明, 後藤 秀明, 井田 一夫
    1987 年6 巻2 号 p. 165-174,225
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    臼歯用修復材としての諸物性のうち,耐摩耗性およびmarginal fracture toughnessは臨床的にきわめて重要である。しかも,それらの評価法は臨床結果を反映し,予測できるものでなければならない。筆者らの考案したグラスビーズ摩耗試験が臨床の結果と比較的良好な一致性を示すことを確認したが,今回,本試験法を用いて,市販の16種類の臼歯用コンポジットレジンの耐摩耗性を評価した。
    その結果,超微粒子フィラー配合型が,もっともすぐれた耐摩耗性を示し,次いでサブミクロンフィラー配合型が良好で,高密度充填型はおおむね摩耗が大きいことがわかった。このことから,超微粒子フィラーと粒径数μmのfine fillersとが混合された高密度充填型でも含有しているフィラーのサイズが大きければ,摩耗が大きいことが示唆され,そのことは臨床症例の所見によっても確かめられた。今回,同時に行ったハブラシ摩耗試験の結果には,一定の整合性がなく,そのデータにはとくに意味を見出せなかった。
  • 奥野 攻, 柴田 直幸, 三浦 維四
    1987 年6 巻2 号 p. 175-184,225
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    多孔材の空孔には骨が成長侵入し,強固な結合が得られるが,このような多孔材の強度は一般に低いのが問題であった。そこでジルコニウムとチタンの球形粒子を良く混合し,焼結して得られる高強度の多孔材を開発した。粒径を変えて多孔性60wt% Zr-40wt% Ti合金を作製し,空孔の形状寸法,多孔率と機械的性質を調べ,歯科用インプラントとしての可能性を検討した。空孔径や多孔率から200∼250μmの粒子の多孔体でも骨組織の成長が可能と考えられた。圧縮強さは曲げ強さの約2倍で,小粒子径による多孔体の方が高い強さを示した。圧縮強さや曲げ強さは骨よりかなり高かった。弾性率も同様に小粒子による多孔体ほど高かった。弾性率は皮質骨と同じ範囲であり,骨と力学的にも適合性の良いことが分かった。圧縮疲労強度は420∼510μmの粒径の多孔体で60MPa, 250∼300μmの粒径の多孔体で100MPaで,臼歯用インプラントとして十分な疲労強さと考えられた。
  • 柴田 直幸, 奥野 攻
    1987 年6 巻2 号 p. 185-200,225
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    多孔性Zr-Ti合金がインプラント材として十分な機械的性質をもつことを先に報告した。ここでは3種の粒子径の多孔材(250-300μm, 350-420μm, 500-590μm)を家兎の大腿骨に埋入し骨の成長侵入について検討した。埋入後,2週,4週,8週,12週で屠殺し試料を含む大腿骨を摘出し押出し試験および組織観察を行った。骨の成長侵入は2週から,4週にかけてかなり上昇し,4週以降緩やかな上昇がみられた。押出し強さも同様な傾向が見られた。粒子径の大きなものほど押出し強さは高く,27MPaぐらいの高い値を示した(4週以降)。Zr-Ti多孔材と骨は大部分直接接しており生体親和性はきわめて良好であると思われた。また軟組織との反応において中実体ではZr-Ti合金はアパタイトやチタンとはあまり差異がみられなかった。多孔材では上皮が多孔材部を完全におおうように治癒した場合に結合組織が入り強固な結合が得られた。
  • 田上 順一, 細田 裕康, 今井 庸二, 増原 英一
    1987 年6 巻2 号 p. 201-208,226
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    サリチル酸の誘導体であるN-メタクリロイルアミノサリチル酸(NMSA)に着目し,その接着性ライナーとしての評価のみならず象牙質に対する知覚鈍麻作用についても検討した。その結果,5% NMSAアセトン溶液を調整しNMSAライナーとして用いると,牛象牙質に対する各種レジン材料の引っ張り接着強さが向上することが確認された。また象牙質知覚過敏症に対する本剤の塗布効果を臨床的に評価したところ,塗布直後においては,ほとんどすべての症例において症状の消退がみられ,臨床的に極めて効果的であることが示唆された。数日後にその効果の消退する例もみられたが,塗布面に対する10-3溶液による前処理の有効性も確認された。本剤の象牙質知覚過敏症に対する作用機序については現在検討中である。
  • 1987 年6 巻2 号 p. e1
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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