リン酸塩を混合したアルギン酸ナトリウム水溶液をノズルを装着したシリンジを用いて,塩化カルシウムと酢酸カルシウムを混合し酢酸でpH7に調整した紡糸液中に吐出し,イオン交換させ,ゲル状繊維を合成した.乾燥後,大気中焼成し繊維状リン酸カルシウム塩を得た.焼成温度の上昇に伴い,繊維状リン酸カルシウム塩の結晶性は増加し,900°C焼成時にハイドロキシアパタイト(Ca
10(PO
4)
6(OH)
2,以下HAと略す)の単一結晶相を呈した.ゲル状繊維の紡糸液中での熟成時間が5分以下の時,焼成繊維はHA及びNaCaPO
4の混合結晶相であった.また,焼成繊維は熟成後の蒸留水による水洗時間が3秒以下の時,HA,クロルアパタイト(Ca
5Cl(PO
4)
3)及び酸化カルシウムの混合結晶相であり,5分∼1時間ではHAの単一結晶相であった.しかし,水洗時間が2週間を越えると,HAとβ-Ca
3(PO
4)
2の混合結晶相を呈した.
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