理論応用力学講演会 講演論文集
第59回理論応用力学講演会
選択された号の論文の199件中101~150を表示しています
OS4 自己相互作用流体の物理現象と数学解析
  • 大塚 浩史
    セッションID: 2C07
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    本講演では、2次元有界領域におけるゲルファント問題について考察する。特に、解の列で多重爆発するものに焦点を絞り、その漸近的非退化性と呼ばれる性質を明らかにする。またこの結果と、点渦系の力学系との関連について報告する。
  • 八柳 祐一, 羽鳥 尹承
    セッションID: 2C08
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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     2次元点渦系のデルタ関数による点渦分布は,2次元非粘性非圧縮オイラー方程式の厳密解である。点渦モデルにより離散化したオイラー方程式には,粒子衝突に由来する粘性が実効的に存在することは,数値計算の分野から広く言われてきたことである。今回,我々は,点渦モデルにより導入される粘性項を解析的に評価することを試み,Kubo公式と類似した結果を得たので,その結果を報告する。
  • ダクト断面縦横比の影響
    若林 弘輝, 関本 敦, 河原 源太, ウルマン マルクス, ピネリ アルフレド
    セッションID: 2C09
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    低レイノルズ数における矩形ダクト流に現れる乱流パフと乱流斑点を直接数値シミュレーションにより調べた結果を報告する.ダクトのアスペクト(縦横)比に依存して,乱れの構造が大きく異なることを示す.アスペクト比が1に近い場合には,円管流や正方形ダクト流に現れるのと同様の乱流パフが認められる.しかし,アスペクト比の1からのずれが大きくなると,乱れは流れ方向だけではなくスパン方向にも局在し,いわゆる乱流斑点に類似した構造が認められる.
  • 杉本 信正, 稲垣 剛司
    セッションID: 2C10
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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     管の中に閉じ込めたヘリウムに軸方向に強い温度勾配を与えると,気体の粘性および熱伝導性の拡散効果によって気柱が不安定化し自励振動を始める.この振動はタコニス振動と呼ばれ,実験ではよく知られている.しかし,管の中で生じている熱流動場については実験の難しさのため測定結果は殆どなく,また発振のメカニズムも十分理解されているとは言い難い.  著者の一人は,タコニス振動に対して境界層理論を用いたモデリングを行い,境界層の外側である主流部の気体に対する断面平均をした方程式系を導出した.これを用いて,管の一端が開いた場合のタコニス振動のシミュレーションに成功している.しかし,開口部での境界条件を簡単化し管の外部気体の効果を取り入れていない.  そこで本報告では,この境界条件を排除すべく,両端が閉じた管でのシミュレーションを行い,開口部の効果やまた両端を閉じた場合の違い等について述べる.
  • -標準模型ヒッグス・ボソンの相転移と結晶化-
    北澤 一善
    セッションID: 2C11
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    標準模型ヒッグス・ボソンの相転移と結晶化について、強く束縛されたフェルミオン(トップクオーク)-反フェルミオン(反トップクオーク)対がベクトル粒子と交換する過程に関し素朴な相対論的エネルギー式、及びベーテ-サルピ-タ方程式(BS)により検討する。我々はBSのよく知られた連続スペクトル解は棄却されるべきでなく、交換したグルーオンのプロパゲータを表すものと解釈すべきと考える。その結果、標準模型ヒッグス・ボソンはそれぞれ2個のグルーオン(グルーボール)から構成される多数のメゾンから構築されることが理解されよう。我々は標準模型ヒッグス・ボソンが最終的に、自身の組成がそれぞれ保有する色電荷「価数」によって、あるフラーレン形状に結晶化すると予想する。かくして標準模型ヒッグス・ボソンの相転移は、結晶化前の近傍同粒子から「融解熱」を付与され、tr-O(切頂八面体)構造の状態に転移することで終結する。
OS3 風応答・風環境の予測・制御
  • 中尾 圭佑, 加藤 信介, 高橋 岳生
    セッションID: 2D01
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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     建て込みの進む近年において、生物兵器テロや汚染物質漏洩などに対して堅牢性を持ちうるだけの市街地の風環境を確保することは早急に解決されるべき懸案事項である。市街地における風通しを把握するために、100mm×100mm×200mmの直方体ブロックを風洞内に敷き、市街地を模擬した基本的な風の障害物の形態を作成した。その中心部を簡易的なキャビティとし、そのキャビティ中心からトレーサガスを発生させた。模型の配置は風洞主流に対して5度の傾斜をつけることで、対称性をなくし測定条件の不安定性を除去したうえで測定を行った。変動濃度、変動速度を同時測定し、各ベクトル方向の乱流濃度フラックスを測定した。キャビティ内の濃度拡散の空間的な傾向を理解し、平均濃度勾配と乱流濃度フラックスを比較し、乱流拡散係数の空間分布を明らかにした。また、変動濃度の確率密度分布の4次モーメントである尖度の分布を示し、その傾向と平均濃度分布の傾向について考察した。
  • 香月 壮亮, 大岡 龍三, ラーマン マフィザー, リジャル ホム, ヘフニー モハメド, 菊本 英紀
    セッションID: 2D02
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    幹線道路における自動車排ガスによる大気汚染が大都市で問題となっている。このような汚染の特徴として、幹線道路沿いの濃度が他の地域より数倍高くなっている。 この研究の目的は、ダッカ市での自動車排ガスによって生じた汚染拡散の把握と実測と数値シミュレーションの検証を行うことである。 対象地域は、人口密集地域で交通渋滞のような重大な問題を抱えるダッカ市のSonargaon交差点である。 一酸化炭素と二酸化窒素の計測を行ない、その結果をCFDで検証した。 また、CFDでは標準k-εモデルと新しいk-εモデルの比較を行った。 新しいk-εモデルは風洞実験を基にして大気安定度を考慮したモデルである。 実測では、CO濃度は風上より風下で大きくなり、NO2濃度は日本の基準より高くなった。 CFDシミュレーションでは、新しいk-εモデルによるNO2濃度の結果は、標準k-εモデルより実測の結果と良い一致を示した。この結果から、大気安定度を考慮した新しいk-εモデルは標準k-εモデルより信頼できるといえる。
  • 菊本 英紀, 大岡 龍三
    セッションID: 2D03
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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     大気汚染物質は、一般的に化学反応性を有し、光化学スモッグの主要因物質であるオゾンも、窒素酸化物や炭化水素など多種の物質が絡む複雑な反応機構によって生成されることが知られる。ところが、街区規模の大気汚染解析において化学反応性を考慮した研究事例は少なく、非反応性物質の移流拡散性状が主たる検討対象となってきた。しかし、今日も環境基準達成率の極めて低い光化学オキシダントの生成が、化学反応に起因する事を考慮すれば、その影響は決して無視できるものではない。
     そこで、本研究では、化学反応をモデル化し、LESを用いて物質の反応性がストリートキャニオン内の濃度場に与える影響を検討している。化学反応としては、自動車排気ガスに含まれる一酸化窒素が大気中のオゾンによって比較的短時間に酸化されるという二分子化学反応を考慮の対象とした。その結果、汚染物質の反応性が、都市街区規模の濃度場に有意な差を生じさせることを確認し、乱流場での反応現象の特性を明らかにした。
  • ト 震, 加藤 信介
    セッションID: 2D04
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    地下室を居室にするには、衛生上の要請から、通風や換気に対する配慮が必要になる。ドライエリアを通じて屋外の新鮮な空気が地下室に流入し、地下室内部に発生した熱や汚染質をドライエリアを介して室外へ排出することにより、地下室内部の空気を清浄化したり、夏季において在室者の体感温度を下げて清涼感を与えたりするなど、通風・換気の観点に基づく居住環境の改善や環境負荷の低減が可能となる。この換気の有効性は定性的には認められているが、定量的な換気効果は現状ではまだ解明されるに至ってはいない。そこで、本研究では、ドライエリアを検討対象とし、RANSとLESのシミュレーションを行い、得られた風速分布を風洞実験結果と比較することにより、モデルの予測精度について検討したうえで、ドライエリアの上部開口面を通した空気の流出入特性について考察した。
  • 安部 諭, 加藤 信介
    セッションID: 2D05
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    リバースシミュレーションは大気中に危険性の物質が拡散したときに汚染源を特定することが可能となるので、環境分野で注目されている。一方で、リバースシミュレーションは負の移流、負の拡散を伴う時間発展問題である。負の拡散を伴う数値解析には、数値不安定性という問題点が存在する。そこで本研究では、LES(Large-eddy simulation)などでよく使われているローパスフィルターを用いて、RANS(Reynolds-averaged numerical simulation)解析によるリバースシミュレーションの実現を目指す。解析対象としては、シンプルな流れ場である平面上の流れ、単体建物周りでの流れのなかでの拡散物質の輸送方程式のリバースシミュレーションを実現する。
  • 近藤 典夫
    セッションID: 2D06
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    直列配置された2円柱において、その上流側円柱がバネとダンパーで支持され、流体流れの中に置かれたときの流力振動を捉える。このとき、スクルートン数を小さい数値で与える。この結果、インライン方向に2種類の流力振動が発生するが、その振動状態が単一円柱の場合とどのように異なるのかを含めて論じる。流体の基礎式にはナビエ・ストークス方程式を使うが、離散化にはFEMを採用する。円柱は剛体の1質点2自由度系モデルを採用するので、インラインとクロスフローの2方向の振動方程式の計算を行う。
  • 木村 吉郎, 中島 紘志, 加藤 九州男, 久保 喜延
    セッションID: 2D07
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    著者らは,自然風の風向変動を再現できる,「風向変動風洞」の開発を試みてきた.現在,0.5秒程度で90度までの風向変化を生じさせられる風洞を試作しているが,自然風で観測されることのある,急激な風向変動を相似するため,また実用的なサイズの模型実験を実施するためには,さらに大きな測定部を持つ風洞とする必要がある.風向変動風洞を大型化した際にポイントとなるのが,高速で開閉可能なシャッターであることから,本研究では,大型シャッターを開発し,また,それを測定部の風下側に設置した場合に生じる風速変動特性を検討した.シャッター閉塞時の風速低下は,風路内の場所によらず,短時間かつほぼ一様に生じていることから,開発したシャッターは概ね良好な特性であると考えられた.ただし,シャッター回転方向の風速変動が比較的大きかったことから,さらにシャッターから離れた位置での測定を実施することや,シャッターを測定部の風上側に設置した場合などの検討が必要である.
  • 白土 博通, 佐藤 祐一, 佐々木 治
    セッションID: 2D08
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    本研究では、ガスト応答と呼ばれる自然風の乱れに伴う風速変動により生じる構造物の不規則振動現象を対象としている。ガスト応答はガスト応答解析により予測される。このガスト応答解析において変動圧力の空間相関が一つの重要なパラメーターである。従来の解析においては、変動圧力をchord方向に積分してからspan方向に空間相関を求めていたが、本研究では、span方向だけでなくchord方向にも相関を求めてから、chord,span方向に空間積分する方法を試みた。また、定常翼理論の考え方を利用して、変動圧力の上下差圧による空間相関の評価を行った。以上の研究背景に基づいて、格子乱流中に おいて、B/D=5.0矩形断面模型の模型表面圧力を上下ともに計測することで、変動圧力の上下、chord,spanという3次元的な空間相関構造に基づくガスト応答解析を行い、たわみ1自由度振動実験結果と比較検討を行った。
  • 王 天元, 植松 康
    セッションID: 2D09
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    近年における高層建物の耐風設計においては,等価静的風荷重は準静的成分と共振成分の和として表されるのが一般的である。これは,それら2成分が互いに相関をもたないという仮定に基づいている。しかし,クロス項の影響について定量的かつ詳細に検討した研究はこれまで行われていない。そこで本研究では,準静的成分と共振成分,並びに,それらのクロス項を厳密に定義し,それら全てを考慮した等価静的風荷重の厳密なモデルを提案した。いくつかの高層建物モデルを設定し,それらの風方向並びに風直角方向の応答に対して,本研究で提案したモデルと従来の簡便モデルによる結果を比較した。その結果,風直角方向応答については,従来モデルは荷重および応答を過小評価することが分った。
  • 辰己 賢一, 竹見 哲也, 石川 裕彦
    セッションID: 2D11
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    目的: 2009年台風18号は,知多半島付近に上陸後、東海・関東・東北地方を縦断し,三陸沖で温帯低気圧になった. この間,同台風による被害は日本全国31道府県におよび,広い範囲で住家などに強風被害が出た. 本研究では、地形特性(沿岸域・平野部・盆地・山地など)が強風に及ぼす影響に焦点を当て,考察するものである. 方法: より現実的な高解像度の地形データをWRFモデルに組み込み,さらにウィンドプロファイラ観測データを同化させ, 近畿・東海地方における気象台・アメダス観測網との比較により整合的な風速・風向の鉛直分布が得られていることを確認する. さらにモデル内領域において面的に気圧傾度力の効果を収支解析することにより,地形特性が強風域形成に与える影響を定量的に評価する.
OS10  塑性力学におけるマルチスケールとマルチフィジックス
  • IntrinsicとExtrinsic粒界転位の相互作用
    下川 智嗣, 木下 惠介
    セッションID: 2E01
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    粒界は隣接する粒間の幾何学的なミスフィットを緩和する面欠陥であり,それらの構造はその方位差に応じて周期的な構造ユニットにより表現できる.ある安定な粒界構造を参照構造とした場合,DSC格子により計算されるintrinsic粒界転位がその参照構造よりも大きい,もしくは小さい方位差を有する粒界に導入されることになる.もし,外部から格子転位がこれらの平衡粒界に導入された場合,その粒界構造はextrinsic粒界転位を含む非平衡粒界構造となり,この余分な粒界転位が粒界の転位源能力にどのような影響を与えるかは興味深い現象である.本研究では,原子シミュレーションにより余分な粒界転位を含む非平衡粒界から転位を放出する現象を解析し,intrinsic粒界転位とextrinsic粒界転位の相互作用をDSC格子を用いて調査し,それらが転位放出現象にどのように影響を与えているかについて検討する.
  • J積分によるPeach-Koheler力の評価
    木下 惠介, 下川 智嗣, 喜成 年泰
    セッションID: 2E02
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    金属材料において,結晶粒径が数百nmまで微細化された超微細粒材は通常の粗大粒材とは異なる力学特性を示すことが報告されている.結晶粒径が小さくなるほど粒界の体積比は急増するので,粒界で生じる現象がそのような特異な力学特性の一つの要因として考えられる.そのため近年,原子モデルを用いて平衡な傾角粒界の転位源能力についての研究が盛んに行われている.しかしながら,実際の結晶粒界には幾何学的に必要でない欠陥も多くふくまれており,強ひずみ加工により作成されて超微細粒材には余分な粒界転位の存在が報告されている.従って,余分な粒界転位が粒界転位源能力に与える影響を検討することは,超微細粒材の特異な力学特性を理解する上で重要であると理解できる.そこで本研究では,傾角粒界に外部から余分な格子転位を導入したのちに除荷することで,非平衡粒界を作成し,その非平衡粒界を含む双結晶モデルを再負荷することで,非平衡粒界から転位が放出させる原子シミュレーションを実施し,放出される粒界転位近傍に対してJ積分を適用することで,粒界から転位が放出するために必要なPeach-Koehler力を評価する.
  • 高木 知弘
    セッションID: 2E03
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    Phase-field-crystal法を用いたマルチスケール塑性変形シミュレーションを行い,転位の運動,転位と粒界の相互作用について考察を行う.
  • 鈴木 航, 小林 遼太郎, 青柳 吉輝, 志澤 一之
    セッションID: 2E04
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    著者らが提案した擬似3次元の転位-結晶塑性モデルは,転位の相互作用や動的回復の表現に不十分な点があることに加え,反応-拡散方程式の形が複雑であるといった問題を有している.そこで本研究では,反応-拡散方程式におけるすべり系間相互作用モデルを改良し,2次すべり系の活動に伴う転位セル構造の発現をより的確に再現するとともに,反応-拡散方程式における不動転位の対消滅項からすべり速度情報を除いて粗視化した転位の回復率を結晶の硬化係数に導入することで,セル構造から小傾角粒界で囲まれたサブグレインへの遷移を表現する.また,反応-拡散方程式における拡散係数のみに応力情報を導入することでモデルを簡単化する.さらに,構築された転位-結晶塑性モデルを用いて転位場と変形場を連成させた擬似3次元マルチフィジックス解析を行い,転位組織形成およびマイクロシアバンドの形成に基づく結晶粒微細化の一連のプロセスを再現する.
  • 斉藤 岳行, 中山 英介, 高須賀 幹, 岡村 一男, 志澤 一之
    セッションID: 2E05
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    金属の塑性変形を結晶のすべり系を基に予測する結晶塑性解析は塑性変形異方性を捉える有力な解析手法として注目されている。 これまでにFCC金属に対しては実験と結晶塑性解析を比較した研究結果が多々報告されているがBCC金属に対しての報告事例は少ない。 本発表ではBCC金属多結晶体の結晶塑性解析手法構築の第一段階として、フェライト単結晶と2結晶粒からなる試験片の引張試験を行い、結晶塑性解析と比較、検討した結果を報告する。 単結晶の場合、引張方向の結晶方位によって試験片断面の変形形状および荷重応答に差が生じ、解析結果は実験結果と概略一致した。 2結晶の場合、粒界でのすべりが実験で確認されなかったことから、粒界すべりを無視した解析を行った。Schmid因子の大きい結晶粒側に変形が集中する結果を得た。
  • 只野 裕一, 奥山 雄太, 萩原 世也
    セッションID: 2E06
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    多結晶金属材料の巨視的力学挙動には,結晶方位の偏り,すなわち集合組織が強い影響を及ぼす.一般に金属材料は,塑性加工に伴う大変形によって加工集合組織を発現するため,塑性加工によって生成される集合組織を予測することは,高性能金属材料の創製において極めて重要な課題である.マグネシウムの集合組織としては,圧延や押出によってc軸が強い偏りを持つ底面集合組織が発現することが知られている.金属材料のメゾスケールモデルとして近年広く議論されている結晶塑性論は,この結晶方位情報を数値解析においてダイレクトに表現できることが利点である.そこで本報では,結晶塑性モデルによる純マグネシウムの大変形解析を実施する.これにより,圧延および押出に伴う底面集合組織発達が再現できることを示すとともに,加工条件と発現する集合組織について詳細に考察する.
  • 今谷 勝次, 白潟 啓章
    セッションID: 2E07
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    ニッケル薄膜の変形特性を特定するために,ビッカース試験を行い硬さ曲線から変形抵抗を求めた.その結果,薄膜の材料異方性を明らかにした.さらに熱負荷を繰返すことで変形特性が変化することを見いだし,その変化を解析的/実験的に検討した.
  • 奥村 大, 高橋 佑治, 大野 信忠
    セッションID: 2E08
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    本研究では,金属オープンセルフォームの微視的座屈挙動に対してクローズドフェース欠陥の影響を調べる.このため,均質化理論を用いて,拡張されたケルビンセルモデルが解析される.クローズドフェース欠陥を含む拡張されたモデルはTakahashiらの研究に基づいて開発される.支柱断面の非一様性や硬化軟化特性は実験観察の結果に基づいて決定される.有限要素解析は異なる3つのモデルに対して実施される.結果として,クローズドフェース欠陥は,相対密度を上昇させるものの,圧縮強度に対してはほとんど寄与しないことがわかる.また,Gibson-Ashbyの半実験式との比較によって,クローズドフェース欠陥の導入が圧縮強度の解析結果を定量的に高精度化させることを示す.
  • Garcia Edwin, 木元 小百合, 岡 二三生
    セッションID: 2E09
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    近年、豪雨による斜面崩壊などにより多くの地盤工学的問題が引き起こされており不飽和土の浸透問題は重要なテーマとなっている。本研究では、Oka ら(2006)によって提案された多相混合体理論にもとづく弾粘塑性有限要素法を用いて、不飽和土の1次元浸透変形解析を行った。特に一定速度の降雨が上面から浸透する場合に、水分特性曲線すなわちサクション-飽和度関係が水圧や変形挙動に与える影響について、数値解析により検討した。その結果、浸透による水圧上昇や変形挙動は主として水分特性を決定する材料定数によって支配されることが分かった。
  • 三根 啓吾, 大森 崇裕, 高橋 順一, 志澤 一之
    セッションID: 2E10
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    著者らは前報で,ポリマにおける参照ひずみ速度までの低ひずみ速度を想定したクレイズ発展式およびクレイズ発生クライテリオンを提案し,それに基づいて結晶性ポリマの延性破壊を再現してきた.しかし,参照ひずみ速度以上およびそれ以下のいずれにおいても延性低下を呈するというポリマの特異なひずみ速度依存性を再現するには至っていない.そこで本報では,広範囲のひずみ速度でクレイズの発生・伝ぱを再現可能なモデルを新たに提案する.さらに,本モデルに基づいてポリプロピレン平板に対する大変形引張FEM解析を行い,本損傷モデルが高速変形での数値解析に対応可能であることを示す.さらに,フィブリル強度の実験値から得られる破断クレイズ値と実応力値の評価に基づいて破断クライテリオンを提案するとともに,それを本数値解析結果に適用し,クレイズの集積とフィブリル強度に立脚した破断予測を行う.
  • 水澤 文彦, 宮越 亮丞, 志澤 一之
    セッションID: 2E11
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    著者らはこれまでに,非晶性ポリマの塑性変形の素過程を分子鎖のキンク回転と捉えることで,結晶塑性論の体系に類似した分子鎖塑性モデルを構築した.しかしながら,構造材料としてよく用いられるのは非晶質部分と結晶質部分が混在する結晶性ポリマであるため,本モデルを結晶性ポリマに拡張させる必要性がある.そこで,本報では,非晶質部分には分子鎖塑性モデルを,結晶質部分には通常の結晶塑性論を採用することで,結晶性ポリマの変形挙動を結晶塑性論の体系によって統一的に表現する.さらに,均質化法を導入することで,微視的な分子鎖スケール,非晶質部分と結晶質部分の混在したラメラ結晶スケールおよび巨視スケールという3階層を橋渡しするトリプルスケール分子鎖塑性モデルを構築する.以上のモデルを用いてFEM解析を実施し,ユニットセル内の結晶質部分の個数および初期方位がユニットセル全体の変形挙動に及ぼす影響について考察する.
GS6 流体力学
  • 大庭 勝久, 藤田 將喜
    セッションID: 3B01
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    二線式温度流速計は、抵抗線温度計と熱線流速計から構成され、熱流体計測に用いられる気流の温度・速度の高精度な同時計測が可能な計測器である。温度センサと速度センサ間に必然的に存在する空間的隔たりによって、温度・速度信号間には位相差が生じ、空間分解能が低下する。遅延補償回路により、温度信号を瞬間流速およびセンサ間隔に応じた時間遅延させることで、二信号間の位相差を解消する。従来の二線式温度流速計では、遅延補償回路に搭載される遅延素子の動作性能により、適用流速範囲は制限され(1.8~12m/s)、大きな速度変動を伴う流れ場への適用が制限されていた。本研究では、ワンチップマイコン(SH-2A)を用いた遅延補償回路を開発することにより、二線式温度流速計の計測可能な流速域が拡大され、熱噴流場への適用が可能となった。
  • 和田 章弘, 石川 敬三, 水島 二郎
    セッションID: 3B02
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    自由表面を有する水槽に流入する流れの偏向とその解の分岐について、数値解析および可視化実験により調べた。これまでの研究で、ある同じ条件の下で実験を行っても、流れは底面の方へ偏向する場合と自由表面の方へ偏向する場合のどちらの流れも生じることが知られていた。しかし、同じ条件であっても異なる2つの流れが生じる物理的な原因と理由については明らかにされていない。今回の報告で、著者らは、この流れの数値シミュレーション、定常解の直接計算、解の分岐解析を行うことにより、ある条件の下では複数の安定解が存在し、パラメータを連続的に変えると解の個数が変わることを見いだした。これらの結果から解の分岐構造と偏向の方向を決定付けるメカニズムを明らかにした。また、流れが複数の安定解をもつための条件を明らかにした。可視化実験により、これらの結果を確かめた
  • 輸送効果と表面粗さの影響
    小林 晋, 足立 孝, 鈴木 立之, デバティン クラウス, シェンケル トルステン, オエルテル ヘルベルト
    セッションID: 3B03
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    弱い衝撃波のマッハ反射の非自己相似性における表面粗さと輸送特性の影響を実験的に調べた。表面粗さはモデル表面に#60および#240の耐水ペーパーを貼ることによって与えた。輸送特性の効果は入射衝撃波前方の雰囲気圧力によって変化させた。結果を表面が滑らかな場合の実験と比較した。本実験における実験条件の範囲では、表面粗さよりも輸送特性の効果の方がマッハ反射に与える影響は大きかった。異なる輸送特性の実験結果を比較するに際して、無次元変数を導入して整理したところ、結果の差異は小さくなり、測定誤差を考慮するとほぼ重なるケースもあった。
  • 瀬川 武彦, 阿部 裕幸, 武川 信也, 吉田 博夫, Choi Kwing-So
    セッションID: 3B04
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    誘電体バリア放電を利用したDBDプラズマアクチュエータ(DBD-PA)を用い、MEL001翼型からの剥離流れの能動制御を試みた。試作したDBD-PAに ±2.0, ±2.25, ±2.5, ±2.75, ±3.0 kVのバイポーラ電圧を50kHzで印加した場合、1m/s以上のtangential jetを誘起できる。剥離制御実験は、風洞内に設置した200mm×200mm×500mmの試験部で行われ、主流速度Um = 3.2 m/sで実施した。剥離制御を効果的に行うためのジェット速度及び消費電力が有職分布及び計測される電流・電圧信号から評価した。
OS13 衝撃解析と実験的検証
  • 1次元多層解析の場合
    世戸 憲治, 野中 泰二郎
    セッションID: 3B05
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    地震時に発生する跳び石現象の1つのモデルとして,表面層がいくつかの層から構成されている場合の1次元弾性体理論に基づく解析をした.この理論から導かれる方程式の解は固有関数の重ね合わせで表すことができ,解析的にでき得るかぎりコンパクトな形の厳密解を求めることに成功した.さらに,ここでの解析のより深い理解のため,ここでの結果に基づくパラメトリックなコンピュータ・シミュレータを作成した.
  • 尾? 翠, 河合 皓太, 小檜山 雅之
    セッションID: 3B06
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    建築構造物における健全性評価のため,鉄筋コンクリート(RC)梁の損傷評価指標の提案を行った.損傷により打撃応答波形の複雑さが変化することに着目し,短時間窓で抽出した応答波形のフラクタル次元の時刻歴データについて,さらにフラクタル次元を求めたものを提案指標として採用した.指標の妥当性を確認するため,実験を行った.単純支持したRC梁試験体に二点載荷を行い,ひび割れを発生させ,損傷状況ごとにインパクトハンマによる打撃を加えた際のRC梁の打撃応答加速度を計測した.その結果,提案指標は損傷が小さい段階から大きい段階まで連続的に評価できることが示された.
  • 水島 靖典, 橘 英三郎
    セッションID: 3B07
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    多くの鉄筋コンクリートのビルが阪神淡路大震災(1995)で破壊された。 いくつかのビルでは、1階のコラムの上端が圧縮応力によって破壊され、それがビルの全体崩壊に結びついたと思われる事例も認められた。 本稿では、最初に、衝撃荷重問題の観点から、数値シミュレーションを実行し、その現象の説明を試みる。 外部荷重としては、柱脚に衝撃荷重を上下方向に与えた。解析の結果、柱の鉛直応力の変動成分が各階を通過するごとに下向きへの反射と梁やスラブへの分散で急減していくことが分かった。又、それと同時に1階の 柱の上端で高いレベルの応力状態の発生していることも分かった。 また、いくつかの簡単な仮定を導入することによって、「棒の縦衝撃」の古典的問題の解の応用によりこれらを近似的に説明することができた。
  • 中村 尚弘, 鈴木 拓也, 笠井 和彦, 大木 洋司
    セッションID: 3B08
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    建物の制振部材として,様々な種類の粘弾性ダンパーが用いられている。これらのうちには,温度・振動数・振幅依存性が複雑な性状を示す材料も多い。著者等は,これらの依存性を考慮し時刻歴応答解析を行う実用的な方法を提案した。本報ではこの方法を用いて、地震時に隣接する建物が衝突する場合を想定し、これによって起こる衝撃波を含む入力に対する精度を検討した。検討の結果、解析モデルの振動数依存性を高振動数域まで評価することにより、良好な結果が得られることを確認した。
  • 西田 明美, 飯垣 和彦
    セッションID: 3B09
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    高温ガス炉の原子炉圧力容器と中間熱交換器との間における一次系冷却材である高温高圧ヘリウムガスの輸送には、二重配管が用いられる。二重配管には流路の耐圧壁として機能する内管と外管があり、特に、耐圧管が同心円状にあるという二重構造の配管であるため、その振動特性を考慮した構造設計が要求される。この二重配管構造の詳細な振動特性を把握するために、これまでに試験体を用いた打撃実験を行っている。打撃実験では高周波数域の入力や応答を扱うため、高周波数域でも精度が高いといわれるスペクトル要素を用いた衝撃応答解析を行った。解析結果と実験結果との比較により、応答の再現性が高いことを確認でき、二重管の振動特性の詳細解析に本要素を用いることが有効であるとの見通しを得た。また、二重配管構造の減衰特性についてパラメータスタディを実施し、実験結果と比較したところ、外管と内管で異なる減衰値となる同定結果を得た。本稿ではこれらの結果について報告する。
OS6 金融工学理論の新潮流
OS21 破壊力学の理論とその応用
  • 大塚 厚二
    セッションID: 3C01
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    Griffithのエネルギー平衡理論は「亀裂が進展するかどうか」を判定する基準としては有効であるが、亀裂進展後の挙動に関する評価基準としては不十分な部分がある。多くの場合、亀裂成長は破断に至るが、負荷や境界条件などを制御することで安定な亀裂成長を実現できる可能性がある。本研究では、Griffithのエネルギー平衡理論を拡張して亀裂安定成長に関する基準を提案すると共に、その可能性を数理に基づいて論じる。
  • 木村 正人, 高石 武史
    セッションID: 3C02
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    2次元等方弾性体からなる平板の面外変形における亀裂進展を記述するフェーズフィールドモデルを提案する.このモデルは Francfort-Marigo の提案したエネルギーを元に、正規化されたエネルギーの勾配流として導出される.このモデルでは面の変位と亀裂領域を表すフェーズフィールドという2つのスカラー変数に対する反応拡散方程式になっており,既存の数値計算スキームでの解析が容易であるのみならず,理論解析から亀裂進展に関する多くの知見が得られることが期待される.
  • 柴沼 一樹, 宇都宮 智昭
    セッションID: 3C03
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    XFEMは有限要素法の枠組みにおいて任意の局所的な領域内に既知である解の特性を考慮した高度な近似であるエンリッチメントを構成する手法である.特にXFEMをき裂解析への適用した場合,き裂を要素と独立にモデル化でき,複雑なリメッシュ処理を回避できるため有効な手法となっている.しかし,XFEMの近似法において不可避的に発生するエンリッチメントを部分的に含む要素(BE)に起因して解析精度の低下する問題が指摘された.本研究では,このBEの問題に起因するXFEMの不完全性を解決するための新たな定式化(PU-XFEM)を行った.これは,近似精度の保証を基礎としたPUFEMと,XFEMにおいて解析精度の低下をもたらすBEの問題との間の矛盾に着目し,PUFEMのXFEMに対する適用法に再検討を加えることで,XFEMの再定式化を試みたものである.解析精度を評価した結果,PU-XFEMはXFEMの本質的な問題であるBEの問題を解決し,XFEMの本来の特徴を有することが示された.
  • 野津 裕史, MIRESMAEILI Reza, SAINTIER Nicolas, OLIVE Jean-Marc, 金山 寛
    セッションID: 3C04
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    Many attempts were made in the past to investigate numerically the metal-hydrogen interactions at macro-scale but the actual microstructure was generally not introduced into the analyses. The objective of this work is to simulate, on an artificial polycrystal, the effect of the microstructure-induced stress-strain field heterogeneity on the internal hydrogen evolution. Finite element method is used to take into account explicitly the grain morphologies and their crystalline orientations into the description of the mechanical deformation. A one-way coupled crystal plasticity-transient hydrogen diffusion analysis is developed and applied to solve the boundary value problem. The analysis of the computed hydrogen content field shows that a segregation of hydrogen is observed mainly at the grain boundaries. It is also shown that grain size has a significant effect not only on the amount of hydrogen segregated at the grain boundaries but also on the relative size of concentration gradients.
  • 古田 雄輔, 斎藤 隆泰, 中畑 和之, 廣瀬 壮一
    セッションID: 3C05
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    非線形超音波法は、不完全接合部や、き裂等の欠陥の微視構造の動的相互作用に起因して発生する高調波や分調波を利用して欠陥を評価する新たな非破壊評価手法として注目を集めており、原子力機器等への適用が見込まれている。しかしながら、非線形超音波法で利用する分調波や高調波の発生機構については未知の部分が多い。本研究では、非線形超音波法の数値シミュレーションとして不完全接合部を有する異種材料接合界面における超音波の数値シミュレーションを行う。解析手法として、波動解析において解の安定性が期待できる演算子積分時間領域境界要素法を用いる。本論文ではまず、開発する時間領域境界要素法の定式化およびその解析精度を確認した後、不完全結合部を有するモデルに対して非線形超音波法の数値シミュレーションを行う。不完全接合部のモデル化には、接合界面に非線形バネを用いたモデルと摩擦滑りや固着状態等を考慮した接触境界モデルの2通りを考慮する。数値解析結果より、高調波や分調波の発生機構について考察する。
OS20 離散体の力学
  • 荒木 進歩, 松田 和也, 出口 一郎
    セッションID: 3C06
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    没水型の消波構造物である潜堤の被覆層の被災を3次元の個別要素法により解析した。被覆層を構成する被覆ブロックは直方体状のものを想定し,球形要素を組み合わせて1つのブロックとした。被覆ブロックの下部には中詰め工として球要素を配置した。潜堤の被覆ブロックおよび中詰め工は,波動による流体力を受けて動揺,飛散するが,要素に作用する外力(流体力)は汎用モデルであるCADMAS-SURFから水粒子速度を計算し,モリソン式を適用することにより算定した。潜堤は実スケールで岸沖方向に数十メートル,沿岸方向に数十から数百メートルの規模を持つ大きな構造物であるため,計算では波浪は潜堤に対して直角に入射する場合のみを考え,潜堤主幹部(中央部)のみを切り出して計算を行った。計算結果は実験結果を定性的に再現できた。
  • 今瀬 達也, 前田 健一, 坂井 宏隆, 三宅 達夫, 澤田 豊, 角田 紘子
    セッションID: 3C07
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    世界的に甚大な被害をもたらす津波災害に対し,被害を最小限に抑える対策は重要であり,我が国においては東海・東南海・南海地震が発生すると予想されており非常に急務である.過去の被害報告では津波と海岸構造物の相互作用に注目するケースが多い.しかし,北海道南西地震で発生した津波被害では,防波堤などの海岸構造物の被災は,防波堤直下の捨石マウンドや地盤が津波力の作用により変形することに起因すると指摘されている.そこで本研究では,津波と構造物,さらに海底地盤の相互作用に着目し,被害メカニズムの解明に取り組んでいる.解明にあたり,数値解析手法に粒子法であるSPH法を用いて,支持地盤の洗掘・浸食,液状化による不安定化,それに伴う構造物の転倒・滑動が予測可能な解析手法の開発を試みている.また,精度を検証するため東洋建設株式会社鳴尾研究所と共同で実施したドラム型遠心力載荷装置による津波実験との比較を行った.
  • 長神 新之介, 西藤 潤, 田村 武
    セッションID: 3C08
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    トンネルの力学的安定性を評価する手法として,個別要素法とはりばねモデルを組み合わせた数値解析手法を提案する.トンネルをはりばねモデルで,その周辺地盤を粒状体要素でモデル化する.はりばねモデルは少ない接点数で曲げや圧縮が表現できるという特徴がある. 一般に覆工と地盤では剛性が異なるため,陽解法を用いる場合,要求される適切な時間ステップが異なる.そこで,覆工部分の解析を陰的に行うことで時間ステップを覆工と地盤で揃える工夫をした. 数値解析例として,埋め戻しトンネルの解析を行った.数値解析の結果,塑性曲げ破壊や局所的な座屈現象が確認された.
  • 堀 智之, 山口 智世, 前田 健一
    セッションID: 3C09
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
     短繊維補強土工法は,曲げ剛性を持たない短繊維で地盤を補強する工法である.施工が容易で安価な上,適用範囲が広く,今後の研究・開発が期待されている.本工法では,土粒子とは異なる性質をもつ材料を挿入・敷設することで見かけの粘着力や摩擦力が増加し,補強土構造物全体の強度が増すと考えられてきた.しかし,これだけでは説明できない現象も確認されており,本質的なメカニズムは未だに明らかになっていない.したがって,ミクロな視点から土粒子と短繊維との相互関係を理論的に理解することが必要である.本研究では,2次元個別要素法を用いた短繊維混合土の二軸圧縮試験によって,粒子回転に着目した考察を行った.その結果,短繊維を混合することで接点変位を伴う粒子の回転,並進運動が抑制され,粒子間にせん断強度を発揮させることで応力を伝達している粒子構造を支える役目の粒子構造を生じさせていると考えることができた.
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