実験社会心理学研究
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22 巻, 2 号
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  • 指差誘導法と吸着誘導法
    杉万 俊夫, 三隅 二不二, 佐古 秀一
    1983 年 22 巻 2 号 p. 95-98
    発行日: 1983/02/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究では, 緊急避難状況における2つの避難誘導法-指差誘導法と吸着誘導法-を現場実験により比較検討した。指差誘導法とは, 誘導者が大声とともに出口の方向を指し示して誘導する方法であり, 従来, 避難訓練の場で広く用いられてきた避難誘導法である。一方, 吸着誘導法とは, 誘導者が自分の近辺にいる少数の避難者に対して, 自分についてくるよう働きかけ, それらの避難者を実際にひきつれて避難する方法であり, 本研究で初めて導入された避難誘導法である。現場実験の結果, 吸着誘導法の方が, 指差誘導法よりも短時間に, より多くの避難者を避難させたことが見出された。吸着誘導法においては, 誘導者を核とする即時的小集団が形成され, この即時的小集団の波及効果によって, 多数の人々の迅速な避難が達成されたものと考察した。
  • 孤独感尺度の信頼性・妥当性の検討
    工藤 力, 西川 正之
    1983 年 22 巻 2 号 p. 99-108
    発行日: 1983/02/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究は, Russellら (1980) の開発した改訂版UCLA孤独感尺度の邦訳版を作成し, その信頼性と妥当性を検討することを目的とした。被調査者は, 学生, 一般社会人, 入院治療中のアルコール依存症患者, 合計975名である。孤独感尺度のほかに, 社会的行動, および身体的徴候に関する自己評定尺度, 家族との愛情関係測定用のSDスケール, 自尊心尺度, CPI 10が用いられた。
    主要な結果は, 以下の通りである。
    (1) 孤独感はアルコール依存症患者で最も強く, 次いで, 男子の大学新入生, 30代~40代の一般社会人の順であった。しかし, 平均的にみると, 大学生に比べて一般社会人の方が有意に強い孤独感を示していた。
    (2) 孤独感の性差に関しては, 大学新入生においてのみ見出された。
    (3) 孤独感尺度の信頼性は, 上位・下位分析, α係数, 折半法, 再検査信頼性係数により吟味されたが, いずれの場合も本尺度の信頼性が充分であることを示している。
    (4) 孤独感尺度の妥当性は, 孤独感の行動的対件, 社会的関係の認知, 家族との愛情関係, 身体的徴候の現出, 自尊心尺度とCPI 10尺度との対応, 一般社会人とアルコール依存症患者の比較などにより検討されたが, いずれの場合も併存的妥当性が充分であることを示した。
    (5) 補足的な結果として, 母親との愛情関係 (経験) は, 孤独感の強さを規定するものであることが示唆された。
    今後は, 本尺度を使用して, 孤独感に陥る原因の解明や, 孤独感の永続化に寄与する要因の分析, 孤独感解消のための対処行動の様態, さらには孤独感の因果帰属が感情反応や対処行動, さらには自尊心に及ぼす影響などを明らかにする必要があるように思われる。
  • Lerner-正当世界仮説の検討
    諸井 克英
    1983 年 22 巻 2 号 p. 109-122
    発行日: 1983/02/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    Lerner-Simmonsパラダイムで見出されたderogation現象の正当世界仮説に基づく解釈の妥当性が検討された。
    被験者は107名の男女学生で, 対連合学習実験の場面を収録したと称されるテープを聴いた。その際, 被験者は, 自分自身学習者になったつもりでテープを聴くIS-set条件か, 学習者の身体の動きや状態を想像しながらテープを聴くWHset条件のいずれかに振り当てられた。学習実験は, Lernerの主張する行為と人格的価値へのoutcomeの二者択一的な対応づけの妥当性を検討するために, 何のショックも学習者には与えられないC条件, 学習者のエラーに対応してショックが与えられるES条件, およびエラーとは無関係にショックが与えられるRS条件を設けた。
    仮説は次の通りである。1) WHsetを取った場合には, ESおよびRS条件ではSPのderogationが生じるが, その程度はRS条件の方が大きいであろう。2) ISsetを取った場合には, ESおよびRS条件では同情が生じるが, その程度はRS条件の方が大きいであろう。
    仮説1), 2) は部分的にしか支持されなかったが, 男子の結果では, 以下に示すように, 比較的明確な傾向が見出された。
    (1) SPと観察者との間にユニット関係があるISset条件では, 三つの強化条件を通じてSPの相対印象値は高かったが, 他の評定と関連づけると, その意味合いは異なっていた。
    C条件ではSPの高い相対印象値はSPのパフォマンスの知覚と結びついており, ES条件では, それに加えて, 実験事態のポジティブな評価を伴っていた。しかし, RS条件での高い相対印象値は実験事態のネガティブな評価を伴っていた。したがって, ES条件での高い相対印象値は実験事態のポジティブな受容の結果であるのに対し, RS条件でのそれは不当な事態におかれたSPへの同情の反映として考えられる。ただし, RS条件では, Lernerの主張とは逆に, 正当世界信念は同情を抑制する方向に働くことが見出された。また, SPへの共感が同情を生じるというAdermanの主張も支持されなかった。
    (2) SPと観察者との間にユニット関係がないWH-set条件では, SPの相対印象値は, ES条件では少し高く, RS条件では最も低かった。
    C条件では, C-ISset条件に比べて, 相対印象値は低かったが, C-ISset条件と同様にSPのパフォマンスの知覚に結びついていた。ES条件では, 少し高い相対印象値は実験事態のネガティブな評価を伴い, RS-ISset条件と類似していた。しかし, RS条件では, 低い相対印象値は実験事態のポジティブな評価を伴っており, エラーとショックとが対応せず, 本来は不当であるべき実験事態全体をポジティブ方向に歪曲することによって, 正当性を回復しようとする傾向がうかがわれ, そのために, SP自体のderogationは弱められたと推測される。また, ESおよびRS条件では, 正当世界信念が強い観察者ほど, 相対印象値を低くする傾向が見られ, 正当世界仮説は支持された。
    (3) これに対して, C-WHset, C-ISsetおよびES-ISsetの三つの条件では, SPの評価は正当世界信念の強さとは全く関係がなく, もっぱらSPの行動に関する情報に基づいて行なわれた。したがって, 本来, 不当性の知覚が成立しないこれらの条件では, 一般的な帰属理論による結果の解釈が妥当であると言えよう。
  • 海野 道郎
    1983 年 22 巻 2 号 p. 123-132
    発行日: 1983/02/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    French (1956) 's paper on the “formal theory of social power” and its development by Harary (1959) were reexamined and criticized.
    It was made clear from the comparison of French-Harary model (FH model) with Umino (1981a) 's “decision-making process model (U model) ” that FH model was a special case of U model. Expressing interaction process in terms of U model, which includes several parameters such as the coefficient of unconformity, the coefficient of the perception of mutual distance, and etc., U model enabled us to explain such kinds of interaction as repulsion and over-conformity. It also specified the difference between pattern of relations and the intensity of relations.
    Several incomplete points and/or defects of FH model were also pointed out. In the cases of French's paper, complete proofs of theorems 1, 2, and 7 were given. The incompleteness in theorem 6 was corrected, with the proof of the revised theorem. According to Harary, FH model was represented in terms of Markov chain. The present paper made clear the differences between the two models; FH model as well as U model was difference equation system of deterministic process. Inconsistency in axiom 3′ was also pointed out.
  • シロネズミの集団逃避事態における “行動的同調性”
    岩本 隆茂, 矢口 敬, 戸田 正直
    1983 年 22 巻 2 号 p. 133-138
    発行日: 1983/02/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    A panic experiment using rats as experimental subjects demonstrated that the grouped rats in a kind of modified maze box showed a serious panic behavior, on the occasion of escaping from a real imminent fire in the box. None of grouped rats could not escape alive from the fire, although one of them had ever have the same experience and he could have performed very well (Abe, 1978), Abe suggested those different results between the individual and the grouped condition were due to the heavy conformity of grouped rats caused from the panic situation.
    The aim of the present study was to examine strictly the effects of psychological interference upon the conformity in grouped subjects, without the contaminated effects from the physical interference Abe mentioned. The experimental procedure used in the present study was a kind of escape training situations. Two homogeneous groups of five rats of Wistar strain each were used, and those were not different substantially in their experimental procedures (Table 1., and Fig. 2.). The apparatus used was amodified shuttle box (Fig. 1.), and each rat of the same group was observed together in that box. After some preliminary training sessions, the experimental sessions were carried out. Those consisted of two phases of 30-sec sessions each. In the first phase (choice phase) with tone signal presentation, five rats of two groups could freely move about both compartments of the box, without physical interference. At the end of that phase, the tone stopped and then another phase (outcome phase) started. Each animal was confined forcedly within either of the compartments according to his own choice. The illumination in one compartment was changed into low level (5 lux), but another was still high level (500 lux or 5000 lux) at an even chance, respectively. Each rat could escape at the chance level from the high illumination, regardless of his behavior as “stay-in-the-same-compartment” or “move-to-theadjacent-compartment”.
    The main findings were as follows.
    (1) A higher degree of behavioral conformity in grouped rats than the chance expected was observed (Fig. 2., Fig. 3., & Table2.).
    (2) The behavioral conformity was not affected by the success or the failure of their choice.
    (3) The behavioral conformity was furthermore enhanced with introducing the unexpected and occasional increase of the highly aversive illumination.
  • 田崎 敏昭
    1983 年 22 巻 2 号 p. 139-142
    発行日: 1983/02/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本実験は, 過大な報酬を受けると援助動機が換起されるであろうとするEquity理論から導びかれる仮説を検討するため行なったものである。大学生の被験者36名をA, B, Cの3グループに分け適性検査のような作業をさせ, 全員同額の謝礼を支払った。その際, Aグループには仕事に対して謝礼が過大である, Bグループには謝礼と仕事は見合ったものであると教示し, Cグループには何も言わなかった。その後, 質問紙で, もらった謝礼のうち善意銀行に寄付してもよいと思うかどうかを問うたところ, 寄付してもよいとする被験者数は3グループ間で有意差がみられず仮説は支持されなかった。しかし, グループを越えて謝礼が過大であると認知した被験者群とそうでない被験者群とを比べると, 後者に比べ前者には寄付をしてもよいとする被験者が有意に多かった。これは, 過大な報酬が与えられると, 寄付によるoutcomeの低減をすることにより, input/outcomeのバランスを回復するためである, とするEquity理論を支持するものである。
  • 三井 宏隆
    1983 年 22 巻 2 号 p. 143-155
    発行日: 1983/02/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 上野 徳美
    1983 年 22 巻 2 号 p. 157-166
    発行日: 1983/02/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 「不充分な正当化の心理的効果」 に関する諸理論的立場の吟味と総括
    高田 利武, 白井 泰子, 林 春男
    1983 年 22 巻 2 号 p. 167-181
    発行日: 1983/02/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 22 巻 2 号 p. 188c
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 22 巻 2 号 p. 188d
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 22 巻 2 号 p. 188e
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 22 巻 2 号 p. 188f
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 22 巻 2 号 p. 188g
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 22 巻 2 号 p. 188h
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 22 巻 2 号 p. 188b
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 22 巻 2 号 p. 188a
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
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