実験社会心理学研究
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57 巻 , 1 号
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原著論文
  • 尾関 美喜, 天野 正博
    2017 年 57 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/07
    [早期公開] 公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー

    人々の日常会話における噂話は時として風評被害をもたらすことがある。本研究は,友人間における食品に関するこのような噂話の機能を明らかにすることを目的とした。312名の女性が,牛乳から放射能が検出されたという情報を1)ニュースで聞いた 2)知らない人によるTwitterの投稿 3)親しい友人から聞いた,3つの架空のシナリオのいずれかの場合について,その情報についてうわさの機能や属性を評価する尺度(竹中,2013)に回答した。この結果,人々はニュースから得られた情報を信頼性のあるものとして友人との会話に用いていることが示唆された。

  • 正木 郁太郎, 村本 由紀子
    2017 年 57 巻 1 号 p. 12-28
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/07
    [早期公開] 公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,日本社会の特徴を踏まえたダイバーシティ風土の類型化を行った上で,組織制度との関係や,その機能を検討することである。多様な企業に勤める社員618名を対象にオンライン調査を実施し,その結果を分析した。第一に,ダイバーシティ風土として5因子からなる質問項目を作成し,各因子と組織の人事制度の関係を検討した。その結果,柔軟な働き方を促す制度(短時間勤務やフレックスタイム勤務など)がダイバーシティ風土の高さと関係していた一方で,育児休暇制度などの一部の制度には,正負両面の複雑な関係が見られた。第二に,ダイバーシティ風土が持つ,職場の性別ダイバーシティの心理的影響の調整効果を検討した。分析の結果,一部のダイバーシティ風土の知覚が弱い場合には職場の性別ダイバーシティが離職意図や,低いワークモチベーションにつながっていた。これらの結果は,多様な働き方を受容する風土の醸成が重要であることを示唆している。

  • 岩谷 舟真, 村本 由紀子
    2017 年 57 巻 1 号 p. 29-41
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/07
    [早期公開] 公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,多元的無知の先行因を検討することである。具体的には,「集団メンバーの行動を観察したとき,その行動が彼ら自身の選好と反していると推測する者ほど,却って当該行動の『規範性』を認知し,それに沿って振る舞う」という仮説を検討した。研究1では大学生の時間厳守規範に焦点を当てて通時的調査を行い,仮説に合致する現象を確認した。研究2では,実験室実験によって当該現象の生起プロセスをより精緻に検証した。参加者は5人1組で実験室に入り,2種類の水を試飲して品質の評定を行うという課題をひとりずつ順番に行った。このとき,すべての参加者が,自分は4番目に配置されていると信じており,先行する3人が「不味い」水を「より高品質である」として選択する様子を観察した。結果,「先行の参加者は(前の人に合わせて)個人的選好と反する行動をしている」と推測する者ほど,当該の行動の規範性を知覚しており,それゆえに自らも規範に沿って振る舞う(「不味い」水を選択する)ことが示された。

    Editor’s picks

  • 法理 樹里, 牧野 光琢, 堀井 豊充
    2017 年 57 巻 1 号 p. 42-50
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/07
    [早期公開] 公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー

    2011年3月11日に発生した,東北地方太平洋沖地震によって引き起こされた福島第一原子力発電所の事故に伴う風評被害は水産物にも及んでいる。福島県産農産物に対する消費者意識調査で用いられた手法を援用し,二重過程理論に基づき震災後の福島県産水産物の購買意図へ影響をおよぼす消費者意識を調査した。本研究で用いた,二重過程理論のシステム1には,「放射線・原発不安」意識および「被災地支援」意識,システム2には,「知識による判断」意識および「合理的判断」意識が含まれていた。共分散構造分析の結果,「放射線・原発不安」は購買意図を抑制することが示された。一方,「被災地支援」は,購買意図を促進することが示された。さらに,先行研究とは異なり,福島県産水産物の購買においては,「被災地支援」は「放射線・原発不安」を抑制する効果があることが明らかとなった。消費者は不安を抱えながらも復興支援の意識を持ち,福島県産水産物の「購買意図」を培っていることが示唆された。

  • 坂本 剛, 野波 寛, 蘇米雅 , 哈斯額尓敦 , 大友 章司, 田代 豊
    2017 年 57 巻 1 号 p. 51-62
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/07
    [早期公開] 公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー

    本研究は,自然資源の管理政策への協力意図に影響を及ぼす要因の効果を明らかにすることを目的として,資源と直接的な関わりの深い地域の住民と比較的関わりの浅い都市の住民による政策への協力意図に至る心理的過程を比較検討する。中国・内モンゴルの牧畜地域の草原管理を事例として,管理政策への協力意図に対して,手続き的公正感,信用度,法規性が与える影響を分析するために,全住民が牧畜に従事するA村(n=146)と大都市のフフホト市(n=262)で調査を行った。信用度から協力意図への影響は地域住民に顕著に見られる一方で,都市住民は草原管理に関わる行政の法規性を高く評価している場合,手続き的公正感による影響が減じられる「法規性の干渉効果」を示した。法規性の干渉効果について,主に法規性が偏重されることの弊害に注目をして考察を行った。社会的ガバナンスの前提となる多様なアクターの参加という条件のもとでは,結果的に,社会の多数派によって行政が持つ単一の価値のみが重視されるというパラドックスが発生する危険性が指摘された。

    Editor’s picks

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