木材生産を指向した森林経営において,原木の消費者からの評価とその特性は重要な情報である。そこで,長野県の主たる原木消費者である長野県内の製材業者に対して原木・製材品の材質への評価に関するアンケート調査を行った。原木にある材質指標が見られたとき,製材時および原木購入時にどのような判断を行うか回答を集計した。その結果,「腐れ」や「材面の割れ・目回り」等への要求度が高く,材色や年輪に関する項目は低いなど,各材質指標に対する要求度の順序は,いずれの樹種・製材品目でもほぼ一致した傾向が見られた。この回答結果から,施業との関連性を考察した。材質指標には少なくとも購買不可との判断に直結しやすいものとそうでないものがあり,後者の場合は材価に影響を与えると考えられ,その影響の度合いは材質指標によって異なるものと予想された。また製材業者の素材購入時における材質への要求度は,樹種別ではヒノキが最も高く,次いでスギが高かった。カラマツとアカマツは同程度で,ヒノキ,スギと比較すると低かった。これらの結果は樹種ごとの製品出荷割合および製材特性から説明でき,樹種間の要求度の違いは製材特性に起因するものと推察された。
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