廃棄物資源循環学会論文誌
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22 巻, 4 号
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論文
  •  
    松藤 敏彦, 佐藤 法世, 中村 優
    2011 年 22 巻 4 号 p. 231-242
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/21
    ジャーナル フリー
    家庭において使用されている有害性をもつ塗料,殺虫剤などは,家庭系有害廃棄物と呼ばれている。本研究は,住民,自治体,処理業者に対してアンケート調査を実施し,家庭系有害廃棄物の購入・保管,収集区分,処理処分の状況を把握することを目的とした。対象品目は,米国EPAの分類を参考に14品目群とした。
    自治体については分別区分が一定しておらず,有害性の認識のばらつきを表している。特に電池や蛍光管,塗料,接着剤などは通常のごみと一緒に収集される例が見られる。家庭では,自治体が定める収集区分が十分に周知されておらず,一部がごみとして排出されている。排出禁止物としている場合,問い合わせ先の明記がなされていない自治体が多く,記載があったとしても実際には受け入れ不可の業者も多く,自治体と処理業者の連携が不足している。
  • 関戸 知雄, 土手 裕, 吉武 哲信
    2011 年 22 巻 4 号 p. 243-252
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/21
    ジャーナル フリー
    本研究では,ごみ排出原単位の大きく異なる宮崎県の2つの小都市を対象にフィールド調査を行い,ごみ発生抑制に対する行動や,可燃ごみ組成,ごみ袋重量を調査し,ごみ発生量に影響を与える要因について検討を行った。生活系ごみの中でも大きな割合を占める可燃ごみを中心に調査を行ったところ,自家処理実施割合や可燃ごみ袋あたりの重量,排出個数が異なることがわかった。調査結果をもとにした可燃ごみ排出原単位は両町で異なった。可燃ごみ排出原単位を外的基準とした数量化理論I類を用いた解析では,自家処理の影響が両町で異なることが示され,特に庭ごみの自家処理が可燃ごみ排出原単位の差に寄与していることがわかった。以上より,ごみの排出抑制のためには地方小都市の特徴を生かして,庭などがある家では家庭菜園を行い生ごみを堆肥として用いる等,積極的に自家処理を進めることが効果的である。
  • 石森 崇晃, Ayyakkannu Saravanan, 眞田 敏宏, 城 斗志夫, 藤村 忍, 西海 理之, 今井 明夫, 藤井 智幸, ...
    2011 年 22 巻 4 号 p. 253-266
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/21
    ジャーナル フリー
    新潟県胎内市の家庭生ごみを150℃で40分間,または200℃で15分間蒸煮し飼料化を試みた。蒸煮後の生ごみは,粗蛋白質含量および粗脂肪含量が肥育ブタ用配合飼料に比べて高く,それぞれ18~23%および10~17%であった。一方,ペプシン消化率は低く,26~56%であった。蒸煮生ごみの有効性を評価するため,体重約70kgの肥育ブタ8頭を4頭ずつ試験群と対照群の2群に分け,給与試験を行った。試験群では,まず200℃で蒸煮した生ごみ (200℃生ごみ) を配合飼料に20%混合して29日間給与し,その後200℃生ごみの代わりに150℃で蒸煮した生ごみ (150℃生ごみ) を混合して体重が110±5kgに達するまで給与した。対照群には100%配合飼料のみを給与した。試験群の4頭中2頭は,試験期間を通じて対照群のブタと同等の日増体重を示した。他の2頭は,200℃生ごみ混合飼料を給与した期間に日増体重が低下したものの,その後回復し,対照群のブタに比べて29∼46日遅れて110±5kgに達した。
  • ――模擬埋立実験とフィールドデータの比較――
    杉崎 真幸, 香村 一夫, 樋口 健人, 河村 陽介
    2011 年 22 巻 4 号 p. 267-275
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/21
    ジャーナル フリー
    処分場における比抵抗モニタリングの有効性を検討するため,模擬埋立層を用いたモデル実験を行った。大きさ180cm×100cm×50cmの塩ビ製土槽の底部をセルに区切り,その上に焼却残渣を充填し,厚さ35cmの模擬埋立層を作製した。この層に対して地表面から一様に散水するとともに2次元比抵抗探査を繰り返し行った。そして,得られた比抵抗とセルからの排水の量・質の関係に基づいて,浸出水の電気伝導率の低下が地層比抵抗に与える影響を検討した。その結果,地層比抵抗と浸出水の電気伝導率の変化は逆の相関を示すことが明らかとなり,さらに比抵抗変化率解析を用いて洗い出しの顕著なゾーンを捉えることができた。また,模擬実験としての妥当性を検証するために,実験の結果を実際の処分場で行った研究結果と比較したところ,両者は概ね類似した傾向を示した。
  • 西岡 洋, 内田 琢也, 村松 康司, 矢澤 哲夫, 尼子 龍也
    2011 年 22 巻 4 号 p. 276-283
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/21
    ジャーナル フリー
    カキ殻が持つ特長を活かしながら,低コストで環境負荷イオンを効率よく除去するための処理法確立を目的として,カキ殻の熱処理条件について検討した。
    適切な窒素ガス流量で焼成すれば1気圧での炭酸カルシウムの分解温度である900℃よりもはるかに低い600℃でカキ殻表面の改質ができ,リン酸イオンや硫酸イオンおよびカドミウムイオンを効率よく除去できることを明らかにした。オゾンや空気雰囲気では600℃で熱処理した場合にリン酸イオン除去率の低下が見られた。熱処理カキ殻によるイオン除去性は高い順にカドミウムイオン,リン酸イオン,硫酸イオンであった。
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