林の数量化理論第4類は多次元尺度解析の有力な一方法としてわが国で広く用いられているが(例えば中村他(1970)), TorgersonとGowerによって提唱された主座標分析法もこれと同じデータに適用でき,またユークリッド空間内の表現を与えるという点で共通した役割をもっている.この小論の目的はこれら2つの方法を比較することである.そのため,まず2つの方法のアウトラインを紹介し,次に表現の忠実性,同定性,固有値の符号と減少の速さという特性について両者を比較し,さらに2つの実際例において種々の親近性が用いられるときの両者の結果を例示する.総合的に見て主座標分析法は第4類よりすぐれているのではないかと思われる.
抄録全体を表示