日本統計学会誌
Online ISSN : 2189-1478
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46 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
原著論文
  • 星野 伸明
    2016 年 46 巻 1 号 p. 1-42
    発行日: 2017/01/10
    公開日: 2017/08/30
    ジャーナル フリー

    匿名データについて,個体識別が可能か否かの判定は定義に関わる.しかしこの判定は明確に定式化されていないため,改善のための議論がかみ合わない.従って本論文は,個体識別可能性の判定方式を定量評価に基づいて明確化する.このような判定方式に関する既存研究は存在するが,個体識別可能性の測度について閾値を定める理論が欠けている.この点について本論文では,個体識別が起きていないという観測可能な事実に基づいて統計的に閾値を推定する.このような実証的態度により,匿名データ制度を根拠に基づいて継続的に改善することが出来る.実際に本論文では個体識別可能性審査の改善を提案する.

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日本統計学会賞受賞者特別寄稿論文
日本統計学会研究業績賞受賞者特別寄稿論文
  • 黒住 英司
    2016 年 46 巻 1 号 p. 69-84
    発行日: 2017/01/10
    公開日: 2017/08/30
    ジャーナル フリー

    本稿では,非斉次な説明変数が存在する場合の構造変化点の信頼領域の構築方法を提案する.まず初めに,構造変化点に関するある種の最適検定を導出し,次に,その検定を反転させることにより構造変化点の信頼領域を構築する.一般的には,変化点に関する検定統計量の極限分布は説明変数の積率に依存してしまうということを明らかにした上で,非斉次な説明変数が時間変数t(線形トレンド)の場合に,この問題を解決する方法を提案した.モンテカルロ実験では,提案された方法で構築した信頼領域の有限標本でのカバレッジは信頼水準に近いものとなり,実用的な方法であることが確認された.

    Editor's pick

  • 加藤 昇吾
    2017 年 46 巻 1 号 p. 85-111
    発行日: 2017/01/10
    公開日: 2017/08/30
    ジャーナル フリー

    円周上のコーシー分布は,円周上で定義される確率分布の1つである.本稿では,この分布に関連した2つの話題を提供する.1つは円周上のコーシー分布について知られている結果を紹介することである.具体的にはこの分布に関して,基本的な性質,導出法,パラメータ推定,メビウス変換との関連,フォン・ミーゼス分布との比較,などを概説する.2つめの話題は,円周上のコーシー分布に関連した統計モデルのレビューである.特に,円周上のコーシー分布の2変量拡張を与えたKato and Pewsey (2015)の結果については,ある程度詳しく説明する.彼らの分布に関して,確率密度関数,パラメータの解釈,周辺分布と条件付分布,相関係数,パラメータ推定などについて議論し,解析的に扱いやすい多くの性質を持っていることを紹介する.

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