日本統計学会誌
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22 巻, 3 号
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  • 西川 俊作, 吉村 功
    1993 年 22 巻 3 号 p. 255
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 久保川 達也, 江口 真透, 竹村 彰通, 小西 貞則
    1993 年 22 巻 3 号 p. 257-312
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    統計的推測理論は多方面にわたって発展しているが,ここではこの発展を,決定論的観点からの推定論,微分幾何的アプローチによる漸近理論,検定論,プートストラップ法,の4つのトピックにわけそれぞれのトピックに章をあてて概観する.全体の内容を調整した後,第1章を久保川,第2章を江口,第3章を竹村,第4章を小西がそれぞれ執筆した.トピックごとに文献もかなり明確にわかれるため,参考文献も各章ごとに与えてある.統計的推測理論のような大きな分野の発展を概観する際には,その中で何が重要な発展であるかなどについてさまざまな観点がありえる.ここでの概観も,それぞれの執筆者の観点にある程度引き寄せた概観となっていることをお断りしておきたい.
  • 藤越 康祝, 柳井 晴夫
    1993 年 22 巻 3 号 p. 313-356
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    多変量解析とは,簡単にいえば,複数個の変量に関する多変量データを分析するための統計的諸概念,諸方法,並びに,それらに関連する統計理論の総称であるといえる.一般に,多変量解析の研究には, 2つの異なる方向がある. 1つの方向は,確率モデルを想定し,母集団の母数推測に重点をおく研究である.他は,確率モデルの想定を必ずしも前提とせずに,多変量データの縮約表現法等に重点をおく研究である.後者の場合には,多変量データが質的データで表される場合,さらには,多重配列データによって表される場合に対しても,多くの手法が開発されている.前者は多変量推測法とよばれ,後者は多変量データ解析法とよばれる.これら2つの研究の方向は,厳密には区別されるものではなく,また,一方,当然のことながら, 2つの方向は互いに補い合って, 1つの多変量統計的方法の体系が作り上げられていくべきものである.しかし,多変量解析の理論と応用は,膨大なものになってきており,また,これら2つの研究方向は独立に発展していることから,本稿ではこれを2つに分けて現状と展望を論じる.第I部;多変量推測法の執筆者は藤越康祝で,第II部;多変量データ解析法の執筆者は柳井晴夫である.なお,最後の第III部においては,多変量解析に関する書物を分野別に上げている.
  • 浅野 長一郎, 江島 伸興
    1993 年 22 巻 3 号 p. 357-373
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    近年における潜在構造分析の経緯とその進展方向について概観している.すなわち第1節はいわゆる潜在構造分析と総称される方法論の背景,およびその視点について,第2節では潜在特性モデルについて,また第3節では潜在クラスモデルについて,さらに第4節では潜在連立構造方程式モデルによる因果分析について,各分野の研究論文の現状を概観し,また展開の動向について考察している.
  • 藤井 光昭, 渡辺 則生, 田中 勝人, 酒井 英昭, 川島 利兵衛
    1993 年 22 巻 3 号 p. 375-411
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    時系列に関する統計的分析の研究の現状と展望について,いくつかの重要と考えられるテーマや分野に焦点を合せる形で論じた.内容は,一般的理論に関する部分といくつかの分野における特有の分析や応用に関する部分から構成されている.前者については,有限次元パラメータモデルに関する推測,ノンパラメトリックな推測,予測等であり,後者については,経済学分野,工学分野,海洋関係分野における時系列分析について論じた.
  • 尾形 良彦
    1993 年 22 巻 3 号 p. 413-463
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    時系列解析,点過程モデル,時空間モデル,大規模なペイズ型モデルなどの統計モデルを使った推論は有力な統計的方法として地球科学の研究に大きく寄与している.他方,これらのデータの解析の試行錯誤を繰り返すことによって統計学的研究が一層豊かなものになりつつある,地震学の分野で使用されている統計的手法やモデルについての現状を紹介する.筆者の研究分野の関係から地震活動に関する記述が多くを占めているが,地震波動に関する現状の一部も紹介する.また,共同研究などを通して統計学の専門家が地球科学の量的な研究に貢献したものをいくつか紹介する.
  • 吉村 功
    1993 年 22 巻 3 号 p. 465-473
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    本稿は,動物や細胞を使って毒性や薬効を調べる試験について,現在焦点となっている統計学的な課題のサーベイを試みている.統計学の方法論的な分け方からは,多重性への処理,パーセント影響量の推定,経時データの解析,背景対照の利用を取り上げ,毒性試験の分け方からは,発癌性,変異原性,生殖毒性,行動毒性を取り上げている.新たに特別な理論や手法を用意しなくても,毒性学の学者・研究者と統計家の間で充分な知識の交換と共同作業が行われれば,生じている多くの問題は解決すると予想している.
  • 広津 千尋
    1993 年 22 巻 3 号 p. 475-492
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    臨床試験には一般的な統計解析の原理はすべてあてはめられる一方,いくつか特徴的なこともある.第一に施設,重症度,起因菌のように,一つの臨床試験内では母数的な標示因子と考えられるのに,実際の臨床処置においては必ずしも特定できず,誤差と考えざるを得ない,いわゆる変動因子が多数存在する.これに対処するモデルペーストの接近法としてここでは比例ハザードモデル,ロジスティック回帰,順序分類データに対する回帰モデル等の一般線形モデルについて述べる.ただし,解析の結果を当該臨床試験を超えて適用するにはモデルの十分な吟味が必要であり,二重盲検無作為化試験に基づくデザインベーストの接近法が必要であることも多い.それについては第2節で述べる.次に臨床試験では非正規分布を取り扱うことが多いが,分布形を仮定しない順位データに基づく方法は順序分類データにも用いることができその逆もいえる.経時測定データの解析は現在発展中の分野であるが,これに関しては一般化多変量分散分析模型に加え, 2段階混合模型,非線形混合模型を紹介する.その他の重要な問題として推論の多重性の問題,および新薬と標準薬の同等性を証明するための統計的方法について述べる.
  • 佐藤 俊哉
    1993 年 22 巻 3 号 p. 493-513
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    リスク要因と疾病発生との因果関係を調べるための疫学研究で用いる生物統計手法に関するレビューを行う.疫学研究で興味のある,リスク要因への曝露の効果の指標を導入した後,曝露効果を推定するための古典的な研究デザインである,コホート研究,ケース・コントロール研究とそこで用いる生物統計手法を解説する.最近では,生物統計学の発展にともなって,コホート研究,ケース・コントロール研究に代わる新しい研究デザインがいくつか提案されているが,新しいデザインのうち代表的なネステッド・ケース・コントロール研究,ケース・コホート研究, 2段階ケース・コントロール研究の紹介を行う.また,疫学的観察研究から因果推論を行うための最近の研究成果についても報告する.その他の重要な話題である,誤分類の影響, Ecologica bias,経時観察研究,についても簡単ではあるが文献紹介を行う.
  • 木下 宗七, 根本 二郎, 北坂 真一
    1993 年 22 巻 3 号 p. 515-555
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    この論文は, 1970年代後半から80年代に焦点を合わせて,わが国の計量経済分析の新しい動向を,マクロ経済に関するものと個別経済主体に関するものに分けて展望する.マクロ経済の計量分析では,マクロ計量経済モデルの最近の動向を要約した後,マクロモデル分析の第3期に属する主要な計量モデルの特徴を,モデルの定式化と政府支出乗数の面から比較検討する.
    個別経済主体の計量分析では,企業行動に関するものとして,設備投資関数と生産・費用関数の分析を,家計行動に関するものとして,消費・貯蓄関数をとりあげる.具体的には,設備投資関数では,トーピンのq理論に基づく投資関数の推定結果とそれらの問題点を議論する.また,生産・費用関数の分析では,要素間の代替可能性,技術進歩と生産性,規模と範囲の経済性の側面から,生産技術に関する構造パラメータの実証研究の結果について展望する.他方,家計行動の分析では,消費・貯蓄の最近の研究動向を, R.ホール以降のライフサイクル=恒常所得仮説を中心として展望した上で,わが国の高貯蓄率をめぐる実証研究を整理し,さらに,品目別消費支出,資産選択,労働供給に関する計量分析をとりあげる.
  • 森棟 公夫, 坂野 慎哉
    1993 年 22 巻 3 号 p. 557-583
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    回帰診断とは回帰式に関する諸前提に対する検定の総称であるが,その主たる内容は誤差項に関する諸前提の検定と回帰式の定式化に関する検定に二分できよう.本論では,誤差項については静学的および動学的回帰における系列相関(第1章),分散の均一性(第2章2.1節), ARCHモデル,正規性の混合検定(第2章2.2節)を解説する.回帰式の定式化についてはRESET検定(第2章2.3節)を解説する.最終の第3章は非定常時系列の問題,特に単位根の検定,誤差修正モデル,そして共和分の推定及び検定を扱う.
  • 伴 金美
    1993 年 22 巻 3 号 p. 585-598
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    最近の計量経済学の分野で盛んに行われつつあるスーパーコンピューターの利用の現状についてまとめている.特に,非線形確率モデルの推定が重要になり,スーパーコンピューターによる数値解析がモデルの推定に重要な役割を果たしている.また,ブートスラッピング法の利用も進んでいる.さらに,モデルの数値解析だけでなく,モデルの構造を図示化することによりより多くの情報を的確に表現する手段として,その意義が評価されている.
  • 寺崎 康博
    1993 年 22 巻 3 号 p. 599-612
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    本稿は所得の規模別分布の計測に関する諸問題について最近の研究を中心に現状を展望することを目的とする.戦後の所得分布研究については1970年代に一度大きな関心を呼び,データの収集と評価のための方法論に進展が見られた. 1980年代に入ってからはデータの集積が高まり,所得分布の構造に関する研究も進展することとなった.所得を生み出す経済活動自体が国際化し,競争も激化しているのでますます「公正」さについての議論が内外を問わず活発になっており,新たな研究課題を提起している.ここではわが国の所得分布に関して,不平等度の計測,不平等度の長期変動とその要因,高齢者と高額所得者の分布,及び所得の再分配について主要な結果の評価を行う.特に実証的な結果に重点をおいて展望する.また,今日では国際比較という視点を欠くことはできないので,わが国で行われている研究の現状の整理も行う.
  • 工藤 弘安, 大屋 祐雪, 山田 茂, 森 博美
    1993 年 22 巻 3 号 p. 613-654
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    1.統計制度論
    統計制度論の対象の中で,政府統計事業の事業主体としての統計組織および事業の根拠となる統計法規に焦点をあて,これらに関連する諸研究のサーベイを行ったものである.統計制度が調査統計の基盤として論じられる限りでは,統計制度論はしばしば統計調査論と交錯するが,調査統計のほかにも業務統計あるいはレジスター・ペースの統計を包含した統計制度論の構築の必要がある.統計組織では,総合調整機能と関連して,統計調査体系についてサーベイを行った.統計法規は,戦後の統計2法が制定された経緯を踏まえて,現状ではどのような問題が発生しているかを検討した.
    2.統計調査と統計調査論
    本章は, 2.1調査客体の変容と統計の課題で, 1985年に統計審議会の答申「統計行政の中長期構想」が整備が急がれると指摘した分野の統計を中心に, 6つの分野を取り上げて,主な業績と統計行政の動向について展望した.これらの分野では,従来の統計調査が前提としてきた調査客体が大きな変容をみせており,また社会・経済の新しい動向が新しい統計の作成を促している.そこにはこれまでと違った統計作成上の困難があり,その解決にはそれなりの工夫が求められる.
    2.2統計調査技術の新たな展開では,まず統計関係省庁による統計調査技術に関する研究会の成果について,それらの研究の方向と領域をデータ・リンケージ手法の研究を中心に紹介した.また,レジスターを利用した統計作成における問題点を対象とした論稿も展望した.ついで近年進展が著しい経済活動の多様化・国際化と統計分類の関連に関する業績にも触れた.
    2.3調査環境問題と統計の課題で,最近の統計調査の実施困難化の背後にある,プライバシー意識の高揚など統計調査に対する被調査者の潜在的な非協力意識を,非協力実情把握に関わる各種の意識調査の結果の主な傾向と関連する業績を紹介した.最後に,これまであまり利用されていない民間統計の利用可能性と限界についても考察した.
    3.統計資料論
    データ論の見地から,現行の統計体系と統計資料論のあり方を展望している.特に最近のデ-タ提供の新しい形態であるデータベースの現状についても言及した.
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