土木学会論文集F3(土木情報学)
Online ISSN : 2185-6591
ISSN-L : 2185-6591
70 巻, 2 号
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特集号(論文)
  • 全 邦釘, 片岡 望, 三輪 知寛, 橋本 和明, 大賀 水田生
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_1-I_8
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     近年,コンクリート構造物の損傷状態を定量的かつ簡便に評価することを目的として,コンクリート表面を撮影し,画像解析によりひび割れを自動検出するという手法が多く研究されている.それぞれ特長を持つ優秀な手法であるが,その一方でそれらが一般化しているとは言いがたく,いまだ目視によるスケッチなどに頼られていることが多いのが現状である.筆者らはこの問題の解決には,解析手法を更に蓄積し,知見を深めていくことが重要であると考える.本論文ではその一環として,統計的特徴および幾何学的特徴に着目したひび割れ検出手法を提案する.そして本手法を様々なコンクリート構造物から撮影された画像に適用したところ,状況の変化に対して頑健であり,精度が高いことが確かめられた.
  • 辻原 治
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_9-I_15
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     地震火災の延焼シミュレーションにおいては一般に延焼速度式が用いられる.延焼速度式は,物理的な根拠や過去の市街地火災の被害調査などから構築されており,ばらつきがあることは否めない.本研究では,ペトリネットに基づく市街地地震火災シミュレーションにおいて,延焼速度式に基づいて算出された棟内および棟間の延焼時間にばらつきがあるとき,解析結果としての延焼到達時間の信頼性を効率的に評価する方法を提案する.
  • 矢吹 信喜, 種村 貴士, 福田 知弘, 道川 隆士
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_16-I_25
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     近年,土木建築分野での景観検討において,AR(Augmented Reality)が注目されている.しかし,現在のAR技術では,既設構造物を解体,撤去し,そこに新たに構造物を建設することを想定して景観検討を行う場合,解体,撤去予定の既設構造物と,重畳する新設構造物の3次元モデルが交わって表示され,本来見えるべきでない既設構造物の一部が見えてしまい,適切な景観検討ができないという問題がある.一方で,背景画像を除去対象物領域に重畳することで障害物を取り除く技術であるDR(DiminishedReality)が着目されている.本研究では,3次元点群データを用いて,建物の解体,撤去時の景観検討での利用を想定した,屋外大規模構造物を対象としたDR手法を開発し,開発したシステムの検証実験を行った.
  • 矢吹 信喜, 塚本 祥太, 中山 一希, 福田 知弘, 道川 隆士
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_26-I_33
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     近年,ビルや家庭に大量のセンサが環境中に設置されるようになりつつある.大量のセンサにより得られたデータを有効活用する手段としてデータマイニングがある.センサデータを用いたデータマイニングにおいては,センサデータ単体からのデータマイニングでは有用な知識の発見は難しく,センサの周辺情報などのコンテクスト情報を加味したデータマイニング手法が有効である.本研究では,コンテクストを活用し大量のデータから有用な知識を発見するためにコンテクストを用いたデータマイニング手法を開発し,さらにビルの省エネルギーに関する知識モデルを開発し,コンテクストを表現するオブジェクトモデルと知識を表現する知識モデルをそれぞれセンサデータモデルと統合した.さらに,統合化したモデルを用いてプロダクションシステムを作成し,建物の省エネルギーに関する知識データを作成した.さらに大阪大学において検証実験を行った.観測データ及び知識データは統合データモデルに従って保存し,データを用いて開発したシステムの検証を行った結果,データの知的処理を実行し,適切な知識が発見できることを確認した.
  • 平井 利枝, 矢吹 信喜, 福田 知弘, 道川 隆士
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_34-I_41
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     犯罪不安は生活の質(QOL)に大きく影響を与えるため犯罪予防は重要な課題である.犯罪予防の手法の一つである防犯環境設計(CPTED)は,特に都市部で多い機会犯罪の予防に効果的だとされているが,これに近年発展が進む無線センサネットワークを利用することを考えた.本研究ではセンサノードにArduinoと通信モジュールを用いることで安価に無線センサネットワークを構築し,屋外でも使用可能なデバイスの設計とシステムの検討を目的とした.検証実験では実際に屋外にデバイスを設置し,正常にシステムが作動することを確認した.
  • 板倉 崇理, 矢吹 信喜, 福田 知弘, 道川 隆士
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_42-I_49
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     高経年橋梁の増加により,既設橋梁の維持管理の重要性が高まっている.現在橋梁の維持管理では2次元図面を用いることが主流となっているが,維持管理の効率化のために3次元プロダクトモデルを利用する方法が考えられる.しかし,従来のプロダクトモデルは詳細度が高いため,維持管理には必ずしも必要のないレベルであると考えられる.そこで本研究では,既設橋梁を3次元プロダクトモデルで表現する際の最適な詳細度を決定することを目的としている.本稿では,モデルの最適な詳細度を求めるために必要となる,モデルの詳細度案の設定およびモデル作成にかかるコストの算出を行ない,モデル適用による便益の算出方法に関して検討を行なった.
  • 羽鳥 文雄, 矢吹 信喜, 浦野 雄大, 瀧 隼人
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_50-I_59
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     プラント施工時やオペレーション時のヒューマンエラーの防止策として拡張現実感の活用を検討している.本研究ではプラントオペレーション時の運転支援を目的として,画像特徴点を使用した位置合わせ手法を用いたシステムの開発,及び実用化を目指したシステムの改良を行った.操作対象となる場所をテンプレート画像から切り出してトラッキングする事でカメラで捕らえた映像の中からプラント操作位置を追跡し,作業手順や作業時の注意事項をビジュアルに表示できる機能を作成した.実務者による実証とシステム改善により実業務運用可能なシステムを構築でき,本手法の有効性を確認できた.
  • 小島 尚人, 関根 亮, 奥井 明紀人, 吉田 智也
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_60-I_69
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     本研究は,既崩壊領域を現状型教師データ(目的変量)として「斜面崩壊危険箇所評価モデル」を構築する際に議論が不足している点を指摘した上で,「未崩壊領域を規範型教師データ」とする潜在危険斜面の広域推定支援策について提案したものである.地すべりや斜面崩壊の発達過程を反映する「地形判読要因」は,専門家の知見として知られており3),次の5ケースを「規範型教師データ」として取り入れた.1)凸状尾根地形,2)凸状台地状地形,3)凹状単丘状地形,4)凹状多丘状地形,5)凹状緩斜面地形.現状型とこれら規範型教師データをもとに作成される斜面崩壊危険箇所評価図の違いを表示した「差画像」を提案し,その解釈の内容を含めて「既崩壊地とは土地の性状を異」にする「潜在危険斜面」の広域推定支援に有用となることを示した.
  • 黄 明霞, 藤田 素弘
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_70-I_78
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     本研究では,カウント表示式信号機下の車両挙動特性として,中国の冬季と夏季の8交差点の季節観測データを用いて,カウント表示有無などの条件が,青から赤への信号切り替わり時における,特に冬季(路面積雪時)の減速停止走行挙動に与える影響の比較評価を行った.最大減速度モデルの比較分析や冬季での停止確率分布の特性分析等の結果,冬と夏ともにカウント表示等は赤信号切替わり時に減速停止傾向を強めるが,冬季ではよりカウント表示の減速停止挙動への効果が高いことが分かった. 対象交差点特性として監視カメラによる赤信号無視の取締まり交差点が多いことや全赤時間が設定されていないこと及び,90m手前から情報板でカウント表示が確認できるという条件の下で,カウント表示式信号機の冬季における減速停止特性を確認できた.
  • 鈴木 彰一, 西坂 淳
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_79-I_86
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     国土交通省は,道路の老朽化対策に向けた大型車両の通行適正化方針の一部として,ITS技術を活用した通行経路把握による特殊車両通行許可制度の新たな運用の準備を進めている.本論文では,特殊車両通行許可データを用い,特殊車両の通行経路把握を目的として,効率的な情報収集が可能な箇所から段階的に路側機の追加配置箇所を選定し,現状,および路側機追加配置時の通行経路の把握水準を算出することを試みた.その結果,現状の高速道路上を中心とする路側機配置では特殊車両の通行経路把握水準が不十分であること,直轄国道上に路側機を追加配置する場合には,900箇所程度に追加配置した後は,それ以上路側機設置箇所を増加させても通行経路把握水準が大きく向上しないことを明らかにした.
  • 久保 知洋, 矢吹 信喜
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_87-I_94
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     国土交通省が推進しているCIM(Construction Information Modeling)を河川施設の維持管理に適用する場合,対象となる施設を効率的に3次元モデル化することが重要である.施工時に作成された河川施設の3次元モデルは,維持管理において十分な精度を有していると考えられるが,既存河川施設のモデル化に施工時と同程度の詳細度を持たせることは,モデル作成に多大なコストがかかり,あまり現実的でないと考えられる.そこで,本論では河川施設の3次元モデルをどの程度の精緻さで作成すれば維持管理に過不足なく利用できるかを検討した.その結果,維持管理の目的に応じた3次元モデルの詳細度を選定し,その詳細度の異なるモデルを組み合わせることで効率的に3次元モデルが作成できることを確認した.
  • 保田 敬一, 山崎 元也
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_95-I_104
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     本研究では,現地事務所の保全計画策定作業を支援することを目的として,幾何情報(CAD図面,SXF形式[.P21/.SFC])および属性情報(SAFファイル,XML形式)をデータベースと連携させることを試みた.SAFの中に含まれるIRI等点検情報とSXFとを連動させ,データベースで点検情報を更新することによって,例えば,ある舗装面の色(補修レベル)などが連動して変更できると考えた.属性の適用方法は,SXF Ver. 3.1の属性付加機構を利用し,属性ファイル用属性付加機構(ATRF)を適用する.構築したデータベース上から,Web経由で,道路情報(中間ファイル:EXCEL)のアップロードとダウンロード,車線ごとのIRI表示,および,CAD図面と属性情報との連携が可能となる.
  • 保田 敬一, 白木 渡, 井面 仁志
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_105-I_114
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     本研究では,感性性能はデザインコンセプトとの合致性能とデザイン要素への配慮性能の両面から合意形成が図られるべきであると考え,性能マトリクス上にプロットした異なる被験者属性の評価を合意形成の場において瞬時に確認することができるシステムを構築した.ある被験者属性の評価が許容不可領域に位置している場合,偏相関係数の高いデザイン要素を選択してカテゴリを変更し,ほぼ1クリックにて代替案の性能評価が表示できることを確認した.全ての属性に対して標準ライン以上になるように試行錯誤することも可能である.さらに,合意形成経験者にこの問い合わせシステムについてアンケートを実施し,ワークショップ等での使用に際して効果があることを確認した.
  • 田内 裕人, 天口 英雄, 河村 明, 古賀 達也, 萩原 陽一
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_115-I_122
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     道路ネットワークデータは,カーナビゲーションシステムにおける経路探索システムの設計や交通・氾濫シミュレーションモデルの構築など多様な用途に活用されている.本研究では,入手が比較的容易なポリゴン型の道路を入力データとし,道路形状が複雑な都市域においても手作業の修正を必要としない新たな道路ネットワークデータの自動構築手法を提案する.本手法では,まず道路を交差部と単路部に分離することで単純化し,次いで単路部の道路中心線を発生させるとともに交差部の道路中心線について単路部と整合させ作成し,さらに各道路中心線を連結することで道路ネットワークデータを自動構築している.提案した自動構築手法を東京都杉並区の道路線形が複雑な領域に適用した結果,道路形状によらず,ひずみの少ない道路ネットワークデータが得られた.この結果より,本研究で提案した自動構築手法は,道路ネットワークデータを自動構築するのに有用である考えられる.
  • 須﨑 純一
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_123-I_132
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     本論文では,航空写真と航空機レーザ(light detection and ranging: LiDAR)データから建物境界線を自動推定する手法を提案する.提案手法では,航空写真に領域分割を行い初期の領域分割結果を得る.次に,航空機LiDARデータの3次元座標点群に対しフィルタリング処理を実施し,地盤面と非地盤面データに分離する.そして非地盤面データの各点に対し,近傍の点を含めて平面の法線を計算する.この法線を領域ごとに集計した領域の法線データを活用して,対となる領域のペアを生成し,領域を建物単位で捉え直す.最後に各々の建物単位で2次元の境界線を生成する.京都市東山区の密集市街地に提案手法を適用した結果,細い路地に囲まれた街区に建物が隣接し、陰影が多数発生する密集市街地であっても,提案手法は良好な境界線データを生成できることが判明した.
  • 谷口 寿俊, 青山 憲明, 藤田 玲, 重高 浩一
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_133-I_143
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     建設事業では,情報化施工の実績が増加しており,TS(トータルステーション)を利用した出来形管理等の3次元情報の利用が定着しつつある.しかし,そのための3次元データは,2次元図面を元に施工者が作成している.設計段階で3次元データを作成し,後工程へ流通・利用できれば,事業全体の効率化に繋がる.本研究では,既存の道路プロダクトモデルであるLandXMLを日本の道路設計に適合しやすいよう拡張し,道路事業,河川事業に関する設計及び工事で必要となる情報を3次元設計データとしてデータ交換するための標準的なモデルを作成した.
  • 藤田 陽一, 緒方 正剛, Wongsakorn CHANSEAWRASSAMEE, 小林 一郎
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_144-I_151
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     3次元点群データの利用に関する研究は,各分野で活発に行われている.また,国交省は近年CIMを実施し,調査計画・設計・施工・維持管理の各段階で3次元モデルを一元的に共有,活用,発展させることで建設生産プロセスの改善を図っている.筆者らはこれまでに,点群データの属性を分析し,編集することで,点群データに位置情報以外の情報を持たせ使用性向上を試みてきた.本研究では,点群データへの属性付与の観点をまとめ,属性付与した点群データの利用法を提案した.事例として,建設ライフサイクルの設計,施工,維持管理の各段階に属性付与点群を適用し,点群データ利用可能であることを示した.
  • 岩塚 雄大, 古牧 大樹, 西畑 剛, 川辺 赳史, 樫山 和男
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_152-I_159
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     本論文は,津波浸水解析手法と高品質な可視化手法を組み合わせることで地域防災教育に資する複合的なツールを提案するものである.
     宮城県気仙沼市の一地区を対象として,2011年東北地方太平洋沖地震津波に関する浸水解析とその可視化手法について示す.数値解析は,浅水長波式に基づく平面2次元の津波伝播解析とナビエストークス式を直接解いた3次元津波浸水解析モデルを併用した.計算結果は,建物および地形形状に適合した非構造格子に写像したうえで,テクスチャーマッピング手法やCG効果を付加することで避難者視点に立った動画へ変換した.地域住民が津波災害を直感的に理解することが可能なフォトリアリスティックな可視化を避難者目線で実現することで,津波からの避難教育・訓練に有効なツールが完成した.
  • 塚田 義典, 田中 成典, 梅原 喜政
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_160-I_168
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     近年,国土交通省は,公共事業の品質確保や業務改善を図ることを目的としたCIMを推進している.CIMをさらに発展させるためには,地物を正確なTINでモデル化した3次元データの利活用が求められる.しかし,3次元TINモデルの生成手法は画一化されておらず,手法によって精度が異なるという問題がある.さらに,激しい起伏や複雑な凹凸がある地物では,実形に即した3次元TINモデルの生成が困難であり精度の検証に時間を要するなどの課題が山積する.そこで,本研究では,距離データを用いて既存の3次元TINモデルを検定し,実際の形状と異なる箇所のみを簡単に修正する手法を提案する.これにより,既存の3次元TINモデルの高精度化を目指す.
  • 矢吹 信喜, 李 世一, 福田 知弘, 道川 隆士
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_169-I_176
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     本論文では,都市景観検討を目的とした軽量なVRモデルをBIMデータから生成する手法を提案する.提案手法は,建物のBIMデータから抽出した断面形状の輪郭を押し出すことによって生成する.このとき,等間隔に断面形状を取り出し,それらの押し出し形状を積層する.これにより,複雑な構造をもった建物を近似し,かつ外観からは見えない形状を除去したポリゴンデータの軽量化を実現する.簡略化によって失われた特徴は,簡略化前のBIMデータをレンダリングすることで得られる画像をテクスチャとして簡略化形状に貼り付けることで表現する.これにより,建物の外観特徴を保持しつつ,データサイズを軽量化したVR向けの3次元モデルを生成できる.本研究では,BIMデータに対して提案手法を適用し,50%以上のポリゴンを削減できたことを確認した.
  • 矢吹 信喜, 芦田 雄太, 福田 知弘, 道川 隆士
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_177-I_184
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     本稿では,NFC (Near Field Communication)を用いて,街路樹診断や市民を対象とした樹木情報の提供を可能とする情報管理システムを提案する.提案システムは,各街路樹にNFC準拠ICタグを設置し,ユーザが所有するNFC対応端末と通信して街路樹の情報を閲覧,編集する.データのやり取りはインターネットを通してシームレスに行われるため,提案システムは効率的に街路樹の診断などの作業を行うことを可能にする.本研究では,樹木管理システムおよび樹木情報提供システムを開発し,樹木医,学生による実証実験を通して本システムの有用性を検証した.本研究では,実用化において問題となるICタグの設置方法に関しても検討した.
  • Yoichi FUJITA, Ichiro KOBAYASHI, Wongsakorn CHANSEAWRASSAMEE, Yuji HOS ...
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_185-I_192
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     Recently, the Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism (MLIT) has been using Construction Information Modelling/ Management (CIM) in its construction projects. CIM has the notion of using a 3D model in the life cycle of construction phases such as planning, design, construction, and maintenance. By sharing the models in each phase, the ideal of CIM can be anticipated. With this idea in mind, the use of 3D data in the design phase has substantially improved the construction process. Thus, in order to apply the use of 3D data in road maintenance, road surface point cloud data is acquired using mobile mapping system (MMS). In previous research, the authors have applied the use of point cloud data in the design and construction phases by analysing their attributes. In this study, the authors have defined the importance of assigning attributes to point cloud data and proposed the way to assign the attributes. As an example, the authors have applied this proposal in Town A, which is a vast amount of point cloud data derived from MMS in order to accomplish the road surface data management.
  • 田中 英哲, 宮本 文穂, 江本 久雄, 矢部 明人
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_193-I_206
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     現在,我が国では高度経済成長期に建設された多くの橋梁が高齢化を迎えており,目視点検や各種センサを用いたモニタリング(Structural Health Monitoring:SHM)といった常時監視を行い,変状を早期発見することが望まれている.しかし,その中でも多くの割合を占めるスパン10m~20mの中小橋梁は,各種コストや技術的課題が指摘されており,簡便で効率的な橋梁モニタリングシステムの開発が必要である.
     SHMに関する各種問題を解決する手段として公共交通機関である路線バスを用いた新たなモニタリング手法が提案されている.そのシステムを実用化可能なものとするため,中小橋梁を対象とした長期にわたる実証実験の検証を行うと共に,様々な環境(人工的損傷,日本国外)においての実証実験を実施し,検証・考察を行っている.
  • 松永 直美, 矢吹 信喜, 亀山 勇一, 福田 知弘
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_207-I_213
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     能舞台様式の変化を解明する新たな方法として,能の演技を構成する『序破急』と能舞台橋掛りとの関係性の検証を行った.囃子の音声データから『序破急』の抽出を行い,能舞台と演者の動きを3DCG動画化し,位置情報から移動距離・移動角度・滞在時間を割り出した.得られたデータと橋掛り(序所・破所・急所)との関係性を統計学の手法を用いて検証した結果,橋掛り様式の変化は『序破急』が要因のひとつである可能性が明らかになった.
  • 角間 孝一, 水谷 孝一, 若槻 尚斗
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_214-I_221
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     超音波CT法による角鋼片内部の欠陥検査において,欠陥径と可視化像に写る欠陥像の径は異なり,欠陥の実際の大きさを推定できない問題があった.そのため,パラメータ(送信信号の中心周波数,欠陥径,欠陥像の幅等)の関係性を調べる必要があり,数値計算によるシミュレーションを行った.計算手法には,伝達線路行列(TLM : Transmission-Line Matrix)法に比べて高速に計算可能な時間領域有限差分(FDTD : Finite-Difference Time Domain)法を用いた.その結果,可視化像の音速低下量と欠陥径の間に線形関係,信号の波長と欠陥像の幅に線形関係があることが分かった.一方で,欠陥径と欠陥像の幅には相関が見られなかった.よって欠陥の大きさの推定には,線形関係より導かれた関係式を利用すれば良いと分かった.
  • 安室 喜弘, 鶉野 康平
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_222-I_226
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     震災にともなう津波や台風などのような大規模な浸水被害だけでなく,短時間の豪雨による内水氾濫や地下浸水といった都市型水害も含め,近年においても至るところで水害が相次いでいる.災害を未然に防ぐハード面だけでなく,被災の予測やとるべき行動を周知するソフト面の施策が重要とされている.従来,予測される浸水深と地物との正確な表現においては,3次元CGとしての制作技術や,地物の3次元データが必要とされるが,本稿では,拡張現実感(AR: Augmented Reality)表現を利用して,容易に同等の映像オーサリングする手法を提案する.通常の実写映像入力を素材として,リアルタイムに周囲環境が浸水した様子を制作できるシステムを実装し,生成された映像データも幾何学的に整合したAR表現となった.
  • 吉田 史朗, 野間 卓志, 藤田 陽一, 小林 一郎
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_227-I_234
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     公共施設管理は,巡視車で状況を目視したり,定期的に計測をすることで日々の変化を確認している.また,道路や河川などに監視カメラを設置し,交通状況や大雨の際に水位変化を画像や映像で確認することで状況を把握している.現在,多くの監視カメラを用いた公共施設管理の取り組みがおこなわれている.しかし,地方自治体における公共施設管理においては管理延長が膨大であり,財政的にも厳しい状況であるため,設置が十分であるとはいえない.防災の観点以外で監視カメラが有効に利用されている場面は少なく,管理の手段として使用されている監視カメラはほとんどない.そこで,比較的簡易な手法で公共施設管理をおこなえないかと考え,本論では,測量機能付監視カメラの利用法について研究し,河道管理の観点からダム撤去工事で実証をおこなった.
  • 川辺 赳史, 樫山 和男, 宮地 英生, 岩塚 雄大, 古牧 大樹, 西畑 剛
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_235-I_242
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     本論文は立体音響場に基づく可聴化技術を用いた津波の疑似体験システムの構築を行ったものである.本システムでは,没入型VR(バーチャルリアリティ)装置内の空間において,浸水する津波の立体視に基づく可視化映像の提示とともに,津波の襲来音の音源を移動する水際線に設定して立体音響場を実現している.音響計算には幾何音響理論に基づく方法を行い,距離減衰を考慮している.システム利用者はVR空間においてコントローラーを用いることで任意の場所に移動ができ,津波の疑似体験が可能となる.本システムの妥当性を検証するために,検証例題および実地形を用いた解析例への適用を行った.
  • 井上 裕貴, 安室 喜弘, 檀 寛成, 小林 晃
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_243-I_248
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     高度経済成長期に作られた社会インフラの老朽化が深刻な問題となっている昨今,全ての異常箇所を発見し補修するのは困難であるため,優先順位をつけた維持管理が求められる.本研究ではその中でも水利施設のパイプラインに着目し,RGB-Dカメラを用いた調査方法を提案する.RGB-Dカメラはカラー画像に加えて3次元形状情報を取得できる.本研究では,複数の光マーカとRGB-Dカメラを併用することにより,既往研究では連続的かつ定量的データとして取得することが難しかった断面形状やたわみ量の分布を取得する手法を提案する.円筒型の模型を用いて実験を行い,600mmφのパイプに対して実時間計測で5%のたわみ検出能を満たしながら,パイプ内でのカメラの自己位置を5mmの精度で同定できることを確認した.
  • 石森 章之, 佐田 達典, 塩崎 正人
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_249-I_256
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     トンネルの定期点検は,現場での作業時間が長く,変状の記録も手描きで行うため,非常に労力を必要とする.そこで,短時間でトンネル覆工面の画像を取得し,展開画像から壁面の表面調査ができる走行型の画像計測車両が注目されている.現場での作業を省力化できる一方で,画像から変状を抽出する作業は,技術者の目視によるトレースが必要とされる.本研究では,投光器の照射角度と抽出した段差の陰影幅を利用し,段差の高さを求める方法を提案した.検証実験の結果,実際の段差高の80%~120%の高さを算出できた.加えて,照射角45°が最も正確に高さを算出可能であることがわかった.
  • 北田 祐平, 安室 喜弘, 檀 寛成, 西形 達明, 石垣 泰輔, 井村 誠孝
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_257-I_264
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     レーザスキャナは詳細で広範囲の3次元座標データを取得できるため,多くの現場で導入されCIM(Construction Information Modeling)の普及においても有効な手段として期待されているが,現実的な作業量で実用的なデータを取得するには計測位置の選択が難しく,専門作業者の経験に任されることが多い.本研究ではSfM(Structure from Motion)を導入することにより,通常のカメラで現地を撮影するだけで,詳細な植生や地形等を考慮した最適なレーザスキャン計画を立案する手法を提案する.また,本手法による計画に基づいた実地計測を行い,GSA(General Service Administration)ガイドラインで定義される計測漏れを可能な限り防ぎ,最小回数で計測できる最適な計測計画を立案できることを示した.
  • 岡本 修, 三浦 光通, 高橋 徹, 塙 和広, 浪江 宏宗
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_265-I_271
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     土壌汚染状況調査では,調査区域をメッシュで区分けして,調査地点を決定する調査地点設定作業が行われる.調査現場の規模により数十から数百点におよぶ調査地点を逆打ち測量するが,調査地点の起伏や植栽等の状況により労力と時間がかかりコスト削減が求められている.本研究では,土壌汚染状況調査向けの調査地点設定システムを開発した.開発したシステムは,調査地点の座標値算出等の事前準備を必要とせず,一人で容易に調査地点を現場に落とすことができるナビゲーション手法と,水平方向数cmと高精度だが高価な衛星測位であるRTK法を,低コストで利用する仕組みを新たに導入した.これらの取り組みにより,高精度を維持しながらシステムのコストダウンと省力化を実現した.
  • 中野 徹也, 吉武 俊章, 宮本 文穂
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_272-I_282
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     本研究は,筆者らが開発してきた舗装路面簡易評価システム(以下,「一歩感舗」と表記する)の路面損傷検出精度の向上を目的としたものである.「一歩感舗」はZ軸方向の加速度標準偏差を評価信号とするため,タイヤ幅よりも広いレール状のわだち(以下,レール状のわだちと表記する)区間走行時にはZ軸方向の加速度標準偏差が小さく,わだちの検出が困難という課題があった.この課題を解決するために,3軸方向の加速度・角速度・角加速度データとひび割れ・わだち掘れなどの路面損傷との関連性について検証を行い,これまで検出が困難であったレール状のわだちを検出するための検討を行った.
  • 田中 成典, 今井 龍一, 中村 健二, 窪田 諭, 梅原 喜政
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_283-I_292
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     河川は古来より私たちに恵みをもたらし,時折猛威をふるってきた.私たちの安心安全で豊かな生活を確保するうえで,河川管理の社会的責務は極めて重大である.河川管理で取り扱われている様々な資料の内,横断図は堤防の現況把握に加え,堤防改修計画や流下能力の把握などでも利用されており,全国の一級河川で定期横断測量を実施して調製されている.実測による横断図調製の代替手法として,航空レーザで取得した点群データの利用が研究されているが,計測誤差や植生のノイズに影響される課題などがある.本研究は,これらの課題を解消し,点群データから高精度な横断図を生成する手法を提案する.
  • 鴫原 育子, 山田 稔, 齋藤 修, 兼子 恭平
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_293-I_302
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     車社会が進んだ結果,道路の交通渋滞が路線バスの定時運行を困難にした.そのため,バス利用者の最も多い不満は「時刻どおりにバスが来ないこと」である.「いつ来るのか分からない」「行ってしまったのかもしれない」という不安を抱えながらバスを待つという問題があるため,利用者減少に拍車をかける要因になっていると思われる.筆者らはこの問題の解決のため,バスの正確な現在位置をリアルタイムに把握できる「見えバス」を開発した.バスの現在位置が分かれば,利用者自身で解決策を立てられると考えたからである.本研究は「TOP画面で欲しい情報が手に入る」をコンセプトとし,バスに不慣れな人でもバス利用時の不安解消に役立つユーザインターフェース(以下UI)になっているかの検証を行う.実証実験は地方都市をフィールドに選んで行った.
  • 野村 大智, 西内 裕晶, 轟 朝幸, 川﨑 智也, 割田 博
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_303-I_309
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     本研究では,ベイジアンネットワークを用いた首都高速道路における突発事象検知モデルの構築を行い,首都高速道路上の5路線上(4号新宿線,6号向島線,7号小松川線,中央環状線,川口線)に適用し,構築したモデルの検知精度の確認を行う.特に本稿では,提案するような検知モデルを実務へ適用する際に考慮すべきモデルの検知遅れや誤検知に着目し,モデルの性能を確認した.その結果,最も良い路線では約70%と高い検知率による突発事象の検知が可能であることを示した.また,突発事象の検知遅れの発生は見られず,誤検知率は約4%であり,本稿で比較対象とした既存研究よりも良好な結果が得られた.
  • 井上 晴可, 窪田 諭, 今井 龍一, 田中 成典, 大内 佑起
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_310-I_318
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     都市計画や防災計画の立案において人物の行動を把握することは重要である.スマートフォンのGPSセンサと行動認識APIを用いることにより,人物の交通手段を付加した位置情報を取得することに期待が高まっている.しかし,機種毎のGPSセンサは異なるため,開発者がその特性を理解せずにアプリケーションを開発すると,機種によっては正確な値を取得できないことがある.本研究では,位置情報サービスのアプリケーション開発者のために,スマートフォンのGPSセンサと行動認識APIの特性を明らかにすることを目的として,実験からそれらの計測データを分析した.そこでは,位置情報を取得する通知間隔の設定や位置情報の補正を行い,交通手段毎に位置情報を取得する条件を追加し,一定の間隔で位置情報を通知する手法を提案し,アプリケーションを開発するときの位置情報取得に関する考察をまとめた.
  • 姜 文渊, 田中 成典
    2014 年 70 巻 2 号 p. I_319-I_327
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     高度経済成長期に建設された高架道路橋は,設計図や竣工図を基に維持管理されている.しかし,それらの高架道路橋は,設計時や竣工時の図面が紙媒体であることから廃棄されているケースが多々あり,維持管理が困難である.この場合,現況の詳細図の再生が必要であるが,その場合に膨大なコストがかかる.この問題に対して,MMSの点群座標データから道路橋の維持管理用の3次元モデルを自動生成する研究が多数行われている.しかし,これらの研究は,道路本来の幾何情報を考慮していないことから図面としての利用が難しい.そこで,本研究では,高架道路橋上部工のSXF図面の再生を目的とし,MMSの点群座標データから,上部工の線形の幾何情報の抽出手法を提案する.実験では現況図と比較することで,手法およびシステムの有用性を確認する.
特集号(報告)
  • 宮武 一郎, 田村 利晶, 盛 伸行, 岡井 春樹, 高岸 智紘
    2014 年 70 巻 2 号 p. II_1-II_8
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     本稿は,河川事業のうち築堤事業の設計の過程においてCIM(Construction Information Modeling)を適用した結果を報告するとともに,その結果で得られた知見を踏まえ,築堤事業の設計におけるCIMの適用について述べるものである.
     CIMを設計において試行した結果,CIMの適用によりこれまでであれば顕在化しにくかった図面間の不整合の発見に寄与することや,関係機関との協議や地元関係者への説明に有用な手段となる可能性が示された.一方,CIMを適用した設計においては,相当な業務量を要するところもあった.試行の結果や現状(通常)の築堤事業におけるリスクを踏まえつつ,CIMを適用する場合のプロセス,予備設計・詳細設計それぞれの実施事項を提案し,CIMを設計に適用することにより期待される効果を述べる.
  • 関根 大樹, 桑原 祐史, 三尾 有年
    2014 年 70 巻 2 号 p. II_9-II_16
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     InSAR処理におけるコヒーレンス値は,異なる2時期間のデータの干渉性を評価する中間生成データとして扱われることが多い.研究事例としては,火山地帯における火砕流検出や液状化地域検出に利用されている例は多いが,土地被覆変化とコヒーレンス値の変化が示す傾向を複数地域で定量的に示した研究事例は未だない.そこで本研究では,地域性と被覆変化に焦点を絞り,土地被覆変化毎のコヒーレンス値の傾向を整理し,被覆変化の分析における有用性を示すことを目的とした.結論として,2時期のSARデータと光学センサ等のデータを組み合わせることで,天候やフェーズの影響を抑え,SARデータの物理特性と光学センサによる地物判読の2つの観点から土地被覆変化を捉えることが可能であることを示した.
  • 池田 隆博, 佐田 達典
    2014 年 70 巻 2 号 p. II_17-II_26
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     衛星測位システムは,QZSSやGalileo等の測位衛星に加え,既存のGPSについてもL2C等の新たな民生信号の運用など利用可能な衛星電波が増加しつつある.衛星電波の増加により,従来よりも良質な観測データの取得が期待されるが,これらの効果を測位に生かすには,マルチパス等の誤差を含む衛星電波の除去が重要となる.本研究では,筆者らが提案したマルチパス検知手法にGPSのL2C,GLONASSのL1P信号を加え,実際の観測データからマルチパスを含む衛星電波を検知可能か検証した.その結果,マルチパスの影響を含む衛星電波の検知が従来の測位信号と同様に可能であること,マルチパス検知時の指標を新たに追加し衛星選択を行うことでFix解の取得割合が増加し測位精度が向上する場合が確認された.
  • 窪田 諭, 中村 健二, 重高 浩一, 今井 龍一, 櫻井 淳
    2014 年 70 巻 2 号 p. II_27-II_34
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/08
    ジャーナル フリー
     社会基盤施設の3次元モデルと密接な関連を有する地形については,施設と地形の密接な関連を考慮した上で,その3次元での取得と利用を促進することが必要である.しかし,取得した地形データを3次元で作成するための定義と基準が存在しないため,3次元地形の表記としての描き方とビューのガイドラインである「地形を対象とした3次元製図基準」が必要である.本研究では,地形の3次元データを取得・整備し,円滑に流通する環境を構築することを目的に,3次元地形の描き方とビューを定義する「地形を対象とした3次元製図基準」について検討し,構成項目(目次案)と検討項目をまとめた.これは,3次元製図基準を策定するための基礎資料となり,3次元地形の描き方とビューを検証する3次元ブラウザにつながるものである.
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