【目 的】 大学1年生を対象にした調査から、学科の違いを考慮した喫煙防止教育の効果を検討した。
【方 法】 学科ダミーを加えた重回帰分析から、他の要素でコントロールしても学科ダミーの係数が有意になるかどうかを確認した。回帰直線の切片と傾きで教育効果を分析した。
【結 果】 社会科学系学科は、学科の特徴を示す変数でコントロールしても、学科ダミーの係数が正で有意になった(偏回帰係数2.367、p<0.01)。一方で、福祉系学科のダミー係数は負で有意になった(-1.067、p<0.05)。別言すれば福祉系学科と比べて社会科学系学科は教育効果がなかった。
【考 察】 喫煙の社会的格差(社会科学系学科のダミー係数が正で有意)はKTSNDで把握できなかった規範が原因であった。本稿は、KTSNDで把握できない規範を説明変数として重回帰モデルに入れれば、この説明変数の係数が正で有意になり、一方で社会科学系学科ダミーの係数は有意でなくなることを検討した。
【結 論】 KTSNDで把握しきれない要素を重回帰モデルに加えることによって、介入効果を高める教育方法が得られることが期待された。
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