日本禁煙学会雑誌
Online ISSN : 1882-6806
ISSN-L : 1882-6806
12 巻, 1 号
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巻頭言
原著
  • 荻野 大助, 大見 広規, メドウズ マーチン
    2017 年12 巻1 号 p. 4-11
    発行日: 2017/02/28
    公開日: 2017/03/25
    ジャーナル フリー

    【目 的】 学生自身の喫煙経験や両親の喫煙習慣等によって、初年次学生の喫煙や受動喫煙に対する意識が異なるかどうかの調査を実施し、新入生の喫煙や受動喫煙防止の啓発や健康管理の助言をするための資料とする。

    【方 法】 名寄市立大学および短期大学部に在籍する2014年度、2015年度の初年次学生を対象者として、喫煙、受動喫煙に関する意識調査を含むアンケート調査を実施した。

    【結 果】 喫煙経験のある学生群は、KTSNDの点数が3.5有意に高く、さらに受動喫煙寛容度の点数が2.0有意に高かった。両親の喫煙状況は、現在喫煙している母親の場合、KTSNDの点数のみ1.3有意に高かった。

    【考 察】 母親の喫煙が入学前(未成年)の喫煙経験に影響があることが示唆された。喫煙経験のある学生は、受動喫煙に寛容で、喫煙に対して容認する傾向があった。

    【結 論】 入学初期の20歳前に積極的な教育的介入を行う必要がある。

  • 石井 正和, 大西 司, 下手 葉月, 長野 明日香, 石橋 正祥, 阿藤 由美, 松野 咲紀, 岩崎 睦, 森崎 槙, 佐口 健一, 相良 ...
    2017 年12 巻1 号 p. 12-20
    発行日: 2017/02/28
    公開日: 2017/03/25
    ジャーナル フリー

    【目 的】 禁煙外来を受診した患者へのアンケート調査により、保険薬局薬剤師(以下薬局薬剤師)による禁煙支援の必要性と、実際の薬局での禁煙支援の現状の把握から、薬局薬剤師の禁煙支援業務について考察する。

    【方 法】 昭和大学病院の禁煙外来を受診した患者を対象にアンケート調査を実施した。

    【結 果】 回収率は59%(36/61名)だった。対象者は、男性69%、女性が28%、平均年齢は58歳であった。禁煙を始めるとき、56%の患者は医師に相談したと回答したが、薬局薬剤師に相談した患者はいなかった。同様に、58%の患者は禁煙外来を医師から教えてもらったと回答したが、薬局の薬剤師から教えてもらった患者はいなかった。保険薬局の薬剤師による禁煙支援(禁煙の勧め、禁煙補助薬の供給・服薬指導、禁煙指導、禁煙外来への受診勧奨の4項目)の必要性を75%以上の患者は感じていたが、患者の視点では薬剤師による禁煙支援は4項目すべてにおいて患者の望む環境にはなっていなかった。しかしながら、薬剤師による禁煙支援を受けた経験がある患者は、その支援に65%以上が満足していた。

    【結 論】薬局薬剤師による禁煙支援体制は、患者は必要と感じているものの、患者視点では現実は不十分であることがわかった。薬局薬剤師がより良い禁煙支援を行うためには、さらなる努力が必要だと思われる。

  • 長野 明日香, 石井 正和, 大西 司, 下手 葉月, 石橋 正祥, 森崎 槙, 相良 博典, 巖本 三壽
    2017 年12 巻1 号 p. 21-29
    発行日: 2017/02/28
    公開日: 2017/03/25
    ジャーナル フリー

    【目 的】医師が求める薬局薬剤師の禁煙支援における役割について明らかにする。

    【方 法】 日本禁煙学会のホームページに掲載されている日本禁煙学会専門医及び認定医(200名)を対象にアンケート調査を実施した。

    【結 果】 回収率は51%(102名/200名)だった。薬局薬剤師が禁煙を勧めることは、喫煙者全員に行ったほうがよいとの回答が多かった(70%)。市販の禁煙補助薬での禁煙治療を勧めることは、禁煙の意思がある喫煙者に勧めるべきと回答した人が最も多かった(62%)。また、市販の禁煙補助薬による治療が失敗した場合は、禁煙外来の受診を勧めるべきと8割以上が回答した。薬剤師から医師への受診勧奨時の患者情報の提供方法としては、文書による提供を望む声が最も多く、中でも服用薬の情報を提供すべきとの意見が最も多かった。禁煙外来に通院中で、禁煙を継続している患者に対しては、称賛し自信をもたせること(85%)、禁煙できていない患者に対しては、禁煙できていない理由を確認することが、薬剤師が行うべき継続的フォローとして重要だと考えている人が多かった(71%)。より良い禁煙支援を行うために学会や薬剤師会などの認定を取得すべきだと7割以上の医師が考えていた。

    【結 論】禁煙治療では治療中に精神的ケアが必要となることもあることから、薬局薬剤師がより良い禁煙支援を行うためには、禁煙支援に関する知識をさらに身に着ける必要があると思われる。

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