交通工学研究発表会論文集
Online ISSN : 2758-3635
第42回交通工学研究発表会
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第 42 回 交通工学研究発表会
  • 大橋 幸子, 松永 奨生, 関谷 浩孝, 井坪 慎二
    p. 335-338
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    本研究では、大型車両の通行経路上の重量の自動記録に向けた研究として、重量の適切な取得タイミングについての知見を得ることを目的に、大型車両を実験的に走行させて、3 種類の方法で重量を計測し、記録により適する道路状況、車両挙動を検討した。その結果、平坦な場所では軸重、総重量とも値の変動はあるものの一定の範囲に収まっており走行全体としてはある程度安定する傾向にあることが分かった。また、車両の停止時が重量値のばらつきが小さい傾向にあり重量の記録タイミングとして適している可能性があることなどが分かった。併せて、いずれの計測方法においても停止時の重量記録によるモニタリングの実施が考えられたが、勾配部での考え方等、検討すべき課題があるといえた。

  • 菅原 宏明, 堀井 大輔, 菊池 恵和, 大久保 順一
    p. 339-342
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    近年、カメラで撮影した動画に AI 画像解析技術を適用して道路の単路部や交差点部の交通量を自動で読み取るシステムが開発されている。これらシステムではオクルージョン(対象物体の一部又は全てが遮蔽されること)を回避するために高所から撮影した動画を対象にするものが多く、交通量の動画を撮影をする場合には高所へのカメラ設置やそれに伴うコストの増大がネックとなっている。本研究では、4枝交差点を対象に市販の機材で簡易に設置可能な高さ 3m から撮影した動画に対してオクルージョンの処理方法を検討し、交差点の方向別交通量の計測精度に与える影響について検証した。

  • 今井 龍一, 神谷 大介, 山本 雄平, 中原 匡哉, 姜 文渊, 中畑 光貴, 住吉 諒, 高野 精久, 山中 亮, 平野 順俊
    p. 343-346
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    従来の自動車交通量調査では、調査員が目視で通過台数を計数する方法が一般的であるが、少子高齢化に伴い調査員不足が常態化しており、調査の省力化・効率化が急務となっている。近年、AI による調査手法が改善策として注目されているが、断面交通量の計数を対象とした既存手法が多く、方向別交通量や車両の流動を把握できない課題がある。この課題を解消するには、複数地点において車両を同定する技術の開発が必要となる。そこで、著者らは、車両のナンバープレートの文字を認識し、文字が一致する車両を同一の車両とすることで、車両を同定できると考えた。本研究では、その第一歩として、一連指定番号の抽出および認識手法を考案した。そして、実証実験を実施し、目視で判別可能な文字であれば高精度に抽出および認識できることを明らかにした。

  • 相樂 大紀, 長田 哲平, 大森 宣暁
    p. 347-351
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    既存研究において、中心市街地の実態把握にはカウント調査による通行量データの利用が行われてきた。しかし、カウント調査は調査日が限定されており、多時点における通行量や時間帯を考慮した研究は少なく、ICT 技術を活用した通行量調査の研究でも、計測器の精度検証や評価指標の提案が主であり計測期間も短期間であった。また受動赤外線自動計測器により計測したデータを用いた研究においても複数地点の観測データを扱い面的に分析した研究は少ない。そこで本研究では、中心市街地を対象に受動赤外線自動計測器を用いて計測した複数地点における異なる 2 方向の断面通行量連続データを利用し、平日と休日や時間帯、各イベント、感染拡大防止策が実施されていた期間等の通行量を面的に表すことで、中心市街地の人々の動きの特性や変化を明らかにした。

  • 吉田 竜聖, 佐々木 邦明, 小川 明人, 北條 彰人
    p. 353-356
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    これまで,歩行者動線分析にはその目的で取得した GPS データを用いることがほとんどであり,取得間隔が比較的大きい市販 GPS データで歩行者動線分析は行われてこなかった.そこで本研究では,市販の携帯 GPS データ(取得時間間隔 1 分程度)を経路選択モデルに適用することで経路選択に影響を与えている要因を明らかにすることを目的とする.市販の携帯 GPS データで得られた歩行者の経路情報を多項ロジットモデルに適用することで,経路長の短い経路よりも目的地に対して右左折の回数が少ない経路を選択することが示された.また,Cross Nested Logit モデルに適用することで,「経路長が短い・周辺に店舗が多い・右左折回数の少ない」といった特徴を持つ経路が選択されやすいことが示された.

  • 井ノ口 弘昭
    p. 357-360
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    道路交通事故の発生件数は減少傾向ではあるが、なお多くの事故が発生し、交通安全対策が必要である。一方で、近年では無人航空機の物流など様々な分野での活用が期待され、導入が進められている。本研究では、交通安全対策の立案に有用な基礎データを得ることを目的として、無人航空機の観測データを基に道路交通流解析を行う方法を示す。具体的には、大阪府守口市の京阪本通 1 交差点を対象とした 11 分間の撮影データを用いて、各車両の座標データを構築した。この座標データを基に、走行速度・車間距離・走行軌跡などを算定し、危険性の評価を行った。この結果、走行速度は全体的に高くないが、走行速度に応じた適切な車間距離を確保できていない車両が多くみられることなどが明らかとなった。

  • 坂本 淳, 中村 純也
    p. 361-365
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    大規模な洪水が発生した際においては,応急対策計画を立案する上で,迅速な浸水範囲の特定が極めて重要となる.本研究は,洪水により浸水した道路区間を自動的に検出する手法を提案するものである.物体検知アルゴリズムを用いて,過去に発生した洪水時に撮影された航空写真を用いて開発した学習モデルを,別の洪水時に撮影された航空写真に適用し,道路区間の浸水状況の適合状況について検証する.検証にあたっては,どの程度の道路が浸水しているのかを詳細に検出するため,GIS を援用して航空写真をメッシュに分割し,メッシュごとに道路リンクを重ね合わせて視覚化する.その結果,学習モデルの適合率は 81%~91%,浸水再現率は 84%~94%という極めて精度の高いものとなった.また,浸水状況を判断しづらい画像や,山間部の集落などでは誤判定が多くみられた.

  • 杉本 達哉, 高山 雄貴, 髙木 朗義
    p. 367-374
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    本研究では,交通基盤整備の長期的影響評価に資する,浸水リスク増大による経済活動の空間分布(i.e., 人口分布,企業分布)変化を計測可能な都市経済分析手法の開発を目的とする.そのために,集積の経済を考慮した先行研究1)のモデルを基盤に,浸水リスクを考慮できるモデルを構築した.そして,実空間を対象とした分析で生じる大規模な数値計算を可能とするポテンシャル関数がモデルに存在することを示した.加えて,実空間での分析を可能とする系統的なパラメータ設定方法を提示した.さらに,金沢都市雇用圏を対象に,浸水リスク増大に関する反実仮想実験を実施した.そして,その結果がモデルの特徴を反映していることを確認し,整理した浸水区域人口変化から,浸水被害軽減策を考察した.

  • 宮内 弘太, 高田 和幸, 熊野 稔, 村上 ひとみ, 久保田 智貴
    p. 375-379
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    本研究では、南海トラフ地震発生時の津波被害が想定されている地方都市の沿岸平野部を対象に、歩行者、自転車、自動車による複数の移動を想定した津波避難シミュレーション解析を行った。結論として、同地域においては、自転車利用による避難が他の交通手段に比べて、最も円滑に避難できる可能性があることが明らかになった。また、道路空間上において、歩行者が円滑に避難するためには、歩行者が優先的に避難できる空間を整備しておくことが重要であり、避難時に自動車を利用する割合が高いと、避難の完了が遅くなることが明らかになった。以上の解析結果を踏まえ、交差点の運用方法について検討した結果、津波発生時には、特定の交差点では自動車の通行を制御する方法が有効である可能性を示した。

  • 近藤 愛子, 浦田 淳司, 羽藤 英二
    p. 381-387
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    不確実性の高い災害時等の行動は、その不確実性ゆえ、平時とは異なる構造や過程を経て行われ、意思決定者の選択肢集合自体が大きく変化しうる。意思決定時の選択肢のみならず、将来の不確実性もまた、時々刻々の意思決定に当然影響するが、既存研究では、選択肢集合評価による選好への影響が看過されている。本研究では、選択肢集合が動的・確率的に遷移することを表現できる動的離散選択モデルを構築した。意思決定時の選択肢集合は非補償的に形成し、不確実な将来の選択肢集合は定まらないため、確率的・補償的に扱う構造を選択肢の残留確率を用いて記述した。提案モデルを、豪雨災害時の滞在場所選択行動に適用した実証分析を行い、本モデルの有用性を明らかにした。

  • 望月 陽介, 浦田 淳司
    p. 389-396
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    本研究では、災害復旧期の交通需要予測に向けたリアルタイムのパラメータ推定手法を開発した。最適化問題において計算時間を大幅に短縮可能な surrogate-based optimization をベースに、アクティビティシミュレータのパラメータ推定を行うアルゴリズムの開発と実装を行った。提案アルゴリズムでは、転移学習による機械学習モデルの更新、損失関数微分値を利用した勾配降下法、学習データの範囲制限、の三つの拡張を導入した。提案アルゴリズムの有効性は、簡易なアクティビティシミュレータにより示した。また、2016 年熊本地震の状況を想定した地方都市圏を対象としたアクティビティシミュレータに、提案アルゴリズムを適用した。既存アルゴリズムに比べパラメータ推定に要する時間を大幅に短縮し、リアルタイム推定で得たパラメータはシミュレータ精度の向上に貢献した。

  • 南 紘雅, 猪井 博登
    p. 397-402
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    大雪時における自動車の立ち往生などの交通障害への対策が求められるなか、その対策を講じるにあたっては車両の挙動を把握する必要がある。本研究では、ETC2.0 プローブデータを用いて、急ハンドル及び急加減速が交差点付近で発生する割合を時系列に算出した。その結果、時間帯によって発生割合が大きく異なり、交差点付近で急ハンドルや急加減速が多発したあとに単路部で同様の現象が発生する割合が高くなる傾向が確認できた。加えて、急ハンドル及び急加減速が多発したおおよそ 1 時間後に単路部の速度低下が生じることが分かった。しかし、全発生件数が大雪による路面状況の悪化に起因するものであると断定するには十分でないため、今後、気象データなどを組み合わせて路面状況を推定し、定量的に評価していく必要がある。

  • 兵頭 知
    p. 403-410
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    本研究では,COVID-19 感染拡大による交通状態変化が交通事故リスクに与えた影響を把握するため,都市高速道路における交通流観測データ,事故データおよび道路幾何構造データを用いて事故類型別・交通状態別事故リスクモデルにより分析した.その結果,感染拡大後に混雑流の出現頻度が減少するなどの交通状態変化を確認し,その変化が交通事故リスクに及ぼす影響が事故類型によって異なることを示した.具体的には,混雑流の出現頻度が減少するほど追突事故及び車両接触事故のリスクは低下すること,非混雑流でかつ低い交通流率の出現頻度が増大するほど施設事故リスクが高まることを示した.また,感染拡大後,非混雑流下の追突事故リスクは低下したのに対して,施設接触事故リスクは交通状態の違いに関わらず上昇していることが示唆された.

  • 吉田 純土, 新階 寛恭, 日向野 茂, 渡辺 英俊, 豊辺 将嘉
    p. 411-418
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    COVID-19 が世界的に蔓延する中、我が国においても政府の緊急事態宣言の発令等により都市生活者の様々な行動の制限が要請されているところである。この影響により、業務地や観光地等の都市内の歩行空間においても歩行者数の減少等、歩行流動の変化が見られるようになっている。本研究では、COVID-19 拡大後の 2020 年 12 月に首都圏内の業務地及び観光地において、ビデオ観測等により歩行者の歩行速度、歩行密度、立ち止まる歩行者の数等のデータを収集し、COVID-19 拡大前の同地点・類似期間におけるデータとの比較・分析を行った。その結果、業務地においては歩行速度の低下する傾向が見られる一方で、観光地においては歩行速度の上昇がする傾向が見られること、観光地においては立ち止まる歩行者の数の減少傾向が見られること等が明らかになった。

  • 三村 泰広, 鈴木 雄, 山﨑 基浩
    p. 419-425
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    本研究は、感染症蔓延時における公共交通利用に対する安心感と当該施設の利用の関係性について複数時点の住民意識を分析及び考察し、公共交通利用の適正化に向けた基礎的知見を得ることを目的とした。愛知県の居住者(n=1,242, n=1,685)を対象に、2 時点(2020.7、2021.10)のコロナ禍での公共交通利用頻度に対して当該施設に対する安心感の与える影響と当該安心感に与えるワクチン接種の影響について共分散分析を実施した。結果、以下の知見が得られた。(1)安心感の提供は、公共交通の利用頻度に影響を与えており、コロナ禍当初では、バス利用における安心感提供の影響が際立っていた。(2)ワクチン接種は公共交通の利用頻度並びに安心感の提供に影響を与えているとは言えなかった。

  • 山本 隆, 上水 一路, 花田 大輝, 鶴 元史, 中林 悠, 下川 澄雄
    p. 427-434
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    中日本高速道路(株)では、高速道路リニューアルプロジェクトを各地で進めており、様々な工事規制形態による渋滞実績が蓄積されてきた。本研究では、対面通行規制時の渋滞発生状況を整理したうえで、渋滞先頭地点の違いに着目し交通容量分析を行った。渋滞発生現象として渋滞先頭地点は、「規制始端部」、「規制区間内(合流部、単路部、車線シフト部)」であり、規制区間が短い場合は規制始端部に、規制区間が長い場合は規制区間内に渋滞が定着することが大半であった。また、渋滞中交通流率は規制始端部が最も高く、規制区間内の合流部、単路部、車線シフト部の順に低くなっていることを明らかにした。さらに、規制区間延長が長くなるほど、渋滞中交通流率が低下する傾向にあることを明らかにした。

  • 本間 英貴, 加藤 寛道, 石垣 博将, 松田 雄太, 中林 悠, 石田 貴志
    p. 435-442
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    全国の高速道路では、PML を用いた渋滞対策が実施されている。ただし、渋滞発生時交通流率の変化について、明示的に示している文献は多くない。また、利用者意識も明らかになっていない。本研究では PML の効果を明らかにし、効果発現メカニズムを考察することを目的として、東京外環自動車道の 3 区間において PML を設置し、交通容量分析と WEB アンケート調査による利用者意識分析を行った。PML によって渋滞発生時交通流率と渋滞中交通流率が増加し、渋滞が軽減することを明らかにした。ただし、連続するボトルネックの下流側では交通容量の増加効果が限定的であった。利用者が交通状況に応じた PML の目的を把握していないことや、慣れの影響で効果が発現しない可能性があることを考察した。

  • 葛西 誠, 長谷川 裕修, 井上 誠
    p. 443-448
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    単路部ボトルネックとなる区間では、車両追従挙動が他区間と異なること、特に何らかの量への反応遅れが微小速度擾乱とそれによる減速波増幅伝播に繋がって渋滞発生するとの仮説が有力である。本研究は阪神高速 Zen traffic data (ZTD)に 2 種類の追従挙動モデルをあてはめ、区間毎の時間遅れをはじめとした追従挙動モデルのパラメータ推定値の分布を考察する。区間毎のパラメータ推定にはいくつかの技術的課題があるため、0.5km 区間毎に重みの異なる最適化問題として推定を行なう。非線形追従挙動モデルとして基本的な Gazis モデルを修正したモデルを用いてパラメータ推定を行なった結果、区間毎に反応遅れの異なる傾向が確認される。ただし、ボトルネックと推測される区間で反応遅れが小さくなっている傾向も確認され、今後の慎重な検討も必要である。

  • 葛西 誠, 長谷川 裕修, 邢 健
    p. 449-453
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    どのような縦断線形のサグが容量上のボトルネックとなるかを知ることは渋滞発生メカニズムに迫る上で重要である。既往研究で用いたサグの緩さを表す縦断勾配変化率が縦断曲線半径を一定程度的確に代替する指標であることを確認した上で、以下の 2 検討を行なう。1)東北道のみでの検討だったものに東名、関越道、常磐道を加えた 4 路線で渋滞発生を交通量および前後サグの縦断勾配変化率で説明させるロジスティック回帰モデルを構築する。2)縦断勾配変化率を、ある縦断勾配変化率でピークを持つような非線形変換を行ない渋滞発生を説明するロジスティック回帰モデルを構築する。縦断勾配変化率が 0.5%/km 程度のとき最も説明力が高いモデルとなり、当該サグが急すぎず緩すぎず、1 つ上流サグおよび 1 つ下流サグが急であるほど渋滞しやすい傾向がみられる。

  • 関原 敏裕, 柿元 祐史, 中村 英樹, 井料 美帆, 張 馨
    p. 455-462
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    道路ネットワークが概成したわが国において、依然として発生している道路交通問題の解決策の一つとして、機能階層型道路ネットワークの考え方が重要である。本研究では、道路ネットワークがどの程度機能階層的に利用しうるかを評価する方法について提案する。3つの階層を設定した仮想道路ネットワークにおいて、自由走行時を対象とした最短経路探索を行い、トリップ長と階層利用に関する道路利用特性指標を算出する。この指標値から想定される道路ネットワークの状態から、その機能階層性を4段階の階層化度で評価する方法を提案した。そして、岐阜南部と静岡西部の道路ネットワークを対象としてケーススタディを行った。その結果、現状では機能階層性に関する評価は低く、これを向上するためには、中位階層の道路が必要であることが明らかとなった。

  • 富永 真弘, 柿元 祐史, 中村 英樹, 関原 敏裕
    p. 463-469
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    これまでの堅実な整備により日本の道路ネットワークは概成しつつあるが、道路ネットワークを構成する各道路の交通機能の性能の考慮が必ずしも十分でなく、幹線道路での低い旅行速度や生活道路での抜け道利用といった問題が残存している。このため、各道路が目指すべき交通機能に応じて階層的に利用されているかといった機能階層性の観点から、道路ネットワークを見直す必要がある。そこで本研究は、道路計画設計の専門家に対するアンケート調査によって、機能階層性に影響を与える要因を明らかにすることを目的とする。調査の結果、機能階層性にはトリップ長、旅行速度に関する条件が相互に影響することを確認し、それらの組合せによって機能階層性を評価する必要性を明らかにした。

  • 神野 裕昭, 吉村 敏志, 田中 博, 吉田 博哉, 立野 勝真
    p. 471-478
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    都市高速道路では、主に合流部とサグ部でボトルネックとなって交通渋滞が発生しており、その対策としてソフト的な手法による交通容量拡大策が検討されている。本研究では、具体の対策検討や事前効果予測において必要になる車両毎の先行車両との車間距離、車間時間の取り方等の挙動特性について、交通流率に差が生じる午前と午後、および渋滞前と渋滞中の差に着目して分析した。小型車では、午前に比べて午後の、渋滞前に比べて渋滞中の車間時間とバラツキのの拡大が同時に発生し、追従挙動が緩慢になっている状況が発生しているが、大型車ではそれらが発生していないこと等を把握した。また、車間時間が相対的に小さい車両が多い追越車線において、追従挙動が緩慢になる車両が多いことを明らかにした。

  • 米川 英雄
    p. 479-486
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    渋滞の疎密波の周期を知ることは、高速道路において提供をしている所要時間情報の精度向上に資する。既往研究では 1 つの渋滞で 1 つの卓越周期を求めて解析したのに対し、本研究では渋滞疎密波の衝撃波(shock wave)1 波毎に周期を判読した。判読には、ETC2.0 プローブ走行履歴の速度を、100m×1 分に集計し、速度の時空間分布図を作成した。判読は、2 つの渋滞の疎密波から 1 渋滞につき上下流の各 2 地点で周期を判読した。判読結果は周期の範囲が 4~25 分であった。周期が変動をする要因は渋滞疎密波の衝撃波である車群が時空間上で時々刻々と変化しているため渋滞疎密波の性状も時空間的に変化するのではないかと推察された。

  • 生藤 大典, Hemant PRASAD, 松下 崇, 櫻井 均, 鈴木 健正, 松田 侑真, 大谷 学
    p. 487-490
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    我々はこれまでに、光ファイバセンシング技術を利用して高速道路上の走行車両軌跡を抽出し、分オーダーの時間幅で分析することで交通流を俯瞰で高精度に捉える手法を提案してきた。しかし、低速事象のような高速道路上の異常を即時検知するために処理時間幅を短くした場合、受信信号のノイズ量が相対的に増加することで速度誤推定が生じ、誤報が多発する課題がある。そこで本稿では、抽出軌跡の重み付けによる速度推定精度の向上、および低速事象のモデルを定義することで誤報を抑圧し、数十秒オーダーで低速事象を検知する手法を提案する。渋滞等による低速事象を含む実データで評価を実施した結果、30 秒の処理時間で低速事象の検出精度 90%以上、誤報率 10%以下を達成した。

  • 池谷 風馬, 田中 伸治, 中村 文彦, 有吉 亮
    p. 491-498
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    近年、複数の研究から高速道路における交通流の経年変化が指摘されており、その原因究明が急務的課題となっている。これを踏まえ、本研究では、首都高速道路の複数の地点において、3 時点間の比較を行い、交通流の経年変化を明らかにし、その要因を考察することを目的とする。マクロ的な観点から QV 図および 99%タイル値交通量の比較分析を行い、ミクロ的な視点から渋滞発生前後における速度、交通量、車群内の車頭時間の比較分析を行った。その結果、全体として、QV 図は縮小傾向、99%タイル値交通量や渋滞発生前後の交通量は減少傾向にある一方で、渋滞発生前後の車群発生率は増加傾向にあった。車群内の車頭時間は渋滞発生直前で増加傾向にあり、渋滞発生直後は左側車線で増加傾向、右側車線で減少傾向にあった。

  • 衣川 晃平, 内田 敬
    p. 499-504
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    交通渋滞をはじめとする道路で起こる様々な現象の研究のために、阪神高速道路株式会社は画像センシングにより生成された車両軌跡データ「Zen Traffic Data」を公開している。このデータを用いてサグ部でのミクロ交通流シミュレーションを行う手法が開発されたが、そのモデル式は前 1 台の車両の影響しか反映できないものである。本研究では、そのモデル式に交通状態量の項を増やすことで周囲の車両の影響を考慮したミクロ交通流モデルを作成することを目的とする。そのために、重回帰分析を用いて採用する交通状態量およびその測定範囲を求める方法とその結果について述べる。また、交通流のシミュレーションを行うことで求めたモデル式の再現性を確かめた。

  • 和田 健太郎, 金﨑 圭吾, 西田 匡志, 平井 章一
    p. 505-512
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    本研究は,小仏トンネルに渋滞対策として導入された音声注意喚起(速度回復情報提供)システムによって,なぜ渋滞発生時交通量,渋滞発生後捌け交通量等の交通性能の改善がもたらされたのかを考察する.具体的には,近年提案された最新の交通流理論(Jin, 2018; Wada et al., 2020)に基づく実証分析をシステム導入前後のデータに対して行い比較する.そして,(i) 渋滞発生時/渋滞発生後捌け交通量の改善はボトルネック区間における「安全車間時間の短縮」という共通のメカニズムにより説明できること,(ii) 渋滞中のボトルネック下流の加速度向上は必ずしも捌け交通量の改善には繋がっておらずさらなる改善の余地があること,を示す.

  • 甲斐 慎一朗, 和田 健太郎, 堀口 良太, 邢 健
    p. 513-517
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    本研究は,近年提唱された連続体交通流理論について,国内複数のサグ・トンネルにおいてモデルのパラメータ推定を行い,交通容量低下の実証分析を行ったものである.具体的には,NEXCO 東日本・中日本・西日本が作成した渋滞発生日時,規模,原因等が記録された 2019 年 1 年間の渋滞イベントデータの中から,原因が「サグ」「トンネル」と記載されている渋滞イベントをボトルネック名称単位で集計し,渋滞回数が上位となった箇所の中から 5 区間を分析対象区間として選定し,地点依存のタイムギャップ(安全車間時間),ボトルネック区間の下流端/渋滞の先頭におけるタイムギャップの空間変化率,BA モデルの加速度パラメータ,ボトルネック交通容量の各パラメータおよび渋滞発生後捌け交通量(QDF)などの指標を算出の上,その結果を考察した.

  • 髙田 啓介, 森本 裕治, 吉井 稔雄, 坪田 隆宏
    p. 519-522
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
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    グリッドロック現象などに起因して道路ネットワーク交通処理能力が低下する巨視的渋滞は,ひとたび発生するとその社会的損失が著しく増加する.これを回避するためには,巨視的渋滞の発生を事前に予測し適切な交通制御を実施する必要があり,同予測を行うためには,過去の巨視的渋滞発生状況を把握することが必要となる.そこで本研究では,交通流状態を巨視的に捉えるエリア交通流状態を用いて,巨視的渋滞発生の有無を検出する手法を考案する.具体的には,プローブデータを用いて算定されるエリア交通流状態の時間推移をクラスター分析することで,特定の道路ネットワークエリア,特定の観測日における巨視的渋滞発生の有無を判定する手法を考案した.

  • Mengying ZHANG, Masami YANAGIHARA, Hiroyuki ONEYAMA
    p. 523-529
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    会議録・要旨集 フリー

    In these recent years, the moving light guide system has been introduced on Japanese expressways as a measure to solve traffic congestion in sag sections. A previous study examined the relationship between the introduction of the moving light guide systems and lane-changing behavior. However, there are no studies on the impact of system-induced changes in lane-changing behavior on overall traffic flow. Therefore, the purpose of this study is to elucidate the impact of changes in lane-changing behavior caused by the introduction of a moving light-guide system on the overall traffic flow from a macroscopic view. This study assumes that the introduction of the system influences lane-changing behavior, uses the measured data to estimate the parameters of the lane-changing model, which is then added to the macroscopic traffic flow simulation. Finally, according to the simulation results, when the system was turned on, the speed difference became smaller, the density difference became larger, and the traffic flow rate of the cruising lane increased.

  • 柿本 有希, 佐藤 公彦, 坂田 裕彦, 南部 繁樹
    p. 531-537
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    会議録・要旨集 フリー

    九州自動車道(上り線)太宰府 IC は、一般道と福岡都市高速道路に接続しており、九州各地から福岡方面や本州方面へ向かう車両により交通量が多い。本線を走行する約 5 万台の交通のうち、太宰府 IC へ流出する交通が全体の約 6 割を占めることから、IC 出口付近の第一走行車線に交通が集中し、連日渋滞が発生していた。対策として、第一走行車線への交通の偏りを平準化させるため、第二走行車線からも出口へ流出できるよう車線運用の変更を行ったところ、渋滞が大幅に改善された。本稿は、拡幅等の抜本的な対策が困難な箇所でも、交通特性に合致した車線運用の工夫により渋滞が改善できた事例の紹介として、太宰府 IC の渋滞対策概要及びその効果検証について述べるものである。

  • 長野 高志, 原山 哲郎, 成嶋 晋一, 鴻江 雄太
    p. 539-545
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    会議録・要旨集 フリー

    都市間高速道路上での渋滞が予測される工事車線規制にて、移動式防護柵(ロードジッパーシステム)による車線切り替えを行い、交通需要が多い時間帯の交通容量を確保する渋滞対策を行った。併せて、工事区間の交通の分散を目的として、高速道路と並行する一般道への迂回を推奨するため、リアルタイムで所要時間と渋滞状況の情報提供を行った。これらより、両方向とも同時刻帯に交通量のピークが発生する休日の場合は、片側の容量は確保できても両側はできないため、渋滞が発生する結果となったが、交通量のピークの時間帯が上下線で異なる平日の渋滞発生を抑制することが出来た。また、工事区間を走行した車両を対象としたアンケート調査を実施し、どのような条件であれば、高速道路上の工事規制を避け、一般道の迂回を選択するかの確認を行った。

  • 増井 啓太, 白畑 健, 鳥海 梓, 伊藤 昌毅, 大口 敬
    p. 547-553
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    会議録・要旨集 フリー

    信号交差点の制御設計は,道路交通の円滑性の観点から非常に重要である.その主な要素である車線運用と現示設計において,車線運用を先に設定してから信号現示方式を選択,適用すると,最適な組合せが必ずしも選定されない,という問題がある.また,車線運用と現示によっては,横断歩行者の存在に起因して交差点の処理能力が大きく変動し得るが,その影響が十分に考慮されていない.本研究では,横断歩行者の存在を考慮し,異なる車線運用と現示方式の組合せに対して処理能力を計算し比較することで,車線運用と現示設計を組み合わせた交差点信号制御について検討する.組合せにより平均遅れの計算結果が異なること,その大小関係が交通需要条件により変化し得ることを確認し,車線運用と現示設計の組合せに基づく交差点信号制御の重要性を示唆した.

  • 鈴木 丈昭, 宇野 伸宏, 金崎 智也, 中野 総士, 安田 幸司, 中川 真治
    p. 555-562
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    会議録・要旨集 フリー

    一般道の渋滞は依然として解決すべき重要課題の一つとなっている.近年の ICT の発展により様々なビッグデータが蓄積されているが,その利活用は十分とは言い難い.そこで本研究では,ETC2.0 プローブデータを用いて一般道の主なボトルネックである信号交差点に着目して交通状況を整理し,国土数値情報等のその他ビッグデータを活用して道路構造・土地利用等に関するデータを整理・統合利用することで,一般道の渋滞発生要因を定量的に分析する.XGBoost を用いた機械学習モデルを構築し,SHAP による解釈を試みた結果,時間帯交通量等が渋滞発生に,左折車線延長等が渋滞抑制に影響することを確認した.また,個別の信号交差点に着目した渋滞対策の効果予測より,右折車線の延伸による渋滞抑制への影響を確認した.

  • 桑原 雅夫, 福田 和輝, 橋本 申, 佐津川 功季, 田名部 淳
    p. 563-570
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,強化学習を用いた信号制御パラメータの決定方法について基礎的な分析を行い,強化学習を用いることの実用性について整理した.まず,対象交差点全体の最適制御パラメータを求めるための条件を整理し,状態,行動,報酬を定義した.次に,深層強化学習モデルの Dueling Network を用いて,簡単な 2 交差点ネットワークで制御パラメータの最適化を行い,制御パラメータの妥当性,計算の実用性について分析した.その結果,対象交差点全体の最適制御パラメータの算出には多くの学習が必要であることや実務に適用することが難しい制御パラメータを算出する場合があることがわかった.一方,個別交差点単位の学習や状態変数を減らした学習でも,全体最適と同等の制御パラメータを算出できる可能性があり,計算の実用性にむけた工夫の余地があることを確認した.

  • 赤羽 弘和, 本多 祥子, 伊寳田 真晴, 加藤 漱人, 堀口 良太
    p. 571-578
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は、プローブ・データを適用した交通信号の遅れ時間帰還制御の開発とシミュレーション評価のために、民間プローブ・データによる平均遅れ時間の推定精度等を、ビデオ観測値により評価した。駒沢通りおよび近傍の 14 交差点における朝ピークのビデオ観測により通過全車両の 7~8 割の車両登録番号を照合し、平均遅れ時間の基準値を算定した。その結果、プローブ・データのサンプル率は数%~十数%、平均遅れ時間の RMSE、MAE はそれぞれ 60、40 秒/台程度で同最大値の数分の 1 程度に収まった。一方で、通常よりも悪化した渋滞を迂回するプローブ車の影響で遅れ時間の推定精度が低下したと想定される例があった。また、プローブ・データの伝送・処理遅れは高々5 分程度と推定された。

  • 張 ウチン, 吉井 稔雄, 坪田 隆宏
    p. 579-584
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は,新しい信号制御方式の開発支援を目的として,信号交差点交通状態を 4 つの状態に分類して定義し,プローブ旅行時間を用いてリアルタイムで交通状態を判別する手法を考案する.具体的には,交差点流出方向の先詰まり有無と各現示の飽和状態を判定して,信号交差点交通状態を判別するアルゴリズムを考案する.また,実観測データに基づいてプローブ旅行時間に基づく先詰まり有無判定方法の精度を検証した結果,交差点によってその精度が大きく異なった.精度に影響を与える要因を検討するとともに,判定に用いる閾値の適切な設定方法を検討することが今後の課題である.

  • 鈴木 嘉音, 横田 康成, 楊 甲
    p. 585-592
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    会議録・要旨集 フリー

    片側交互通行道路区間において、効率の良い通行制御方法の実現に向けて、通行する車両すべての情報を把握する交通整理員の目と脳を再現するため、カメラと画像処理により周辺の交通状況を把握して動的に信号機を制御するシステムを開発することが求められている。本研究では交通整理員による交通制御の考え方を再現し、周辺の交通状況を利用し信号を制御する手法を提案する。このため、停止車両の合計停車時間と通行車両の青信号から先頭車両までの距離を比較して信号を切り替える判断をする基準を設定する。通過車両全体の平均停車時間を最小化するようにシミュレータと機械学習を用いて最適化した。その結果、最適化された切り替え判断基準を利用することで、従来の工事用信号機と比較した平均停車時間を短縮させることが示唆された。

  • 坪田 啓吾, 和田 脩平, 高橋 翔, 萩原 亨
    p. 593-600
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では交通シミュレーションソフトの VISSIM を用いて、冬期路面を想定した ACC 制御車の混在が低交通量の交通流に与える影響について明らかにする。最初に、ACC 制御車の走行を VISSIM で再現する追従モデルを開発した。次に、フィールド実験における ACC 制御車(追従車)の追従挙動を用いて VISSIM で再現した ACC 制御車の追従モデルの妥当性を検証した。これらの結果をベースに、冬期路面を想定した長い設定車間時間の影響を検討した。交通流シミュレーションの結果から、ACC 制御車の混在率が高く、設定車間時間が長いとき、平均速度・平均旅行時間・平均遅れ時間に大きな影響はない結果となった。ただし、ACC 制御車の混在率が高く時間交通量が多い条件で、設定車間時間を長くすると平均遅れ時間が長くなるなど、交通流へ影響する結果となった。

  • 川田 怜央, 柳原 正実, 小根山 裕之
    p. 601-607
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    会議録・要旨集 フリー

    高速道路の渋滞は上り坂及びサグ部における渋滞が全体の多く占めており,その対策の一つとして走光型視線誘導システムが導入されている.一方、自動運転車の開発と普及の進展に伴い,自動運転車と手動運転車が混在する状態が続くといわれている.発光体が渋滞流中の捌け交通量の増加に効果があることが明らかになっているが,混在状態の渋滞流への発光体の効用についての研究は行われていない.そこで本研究では,発光体が混在状態の渋滞流に対してどのような影響を及ぼすのかについての知見を得ることを目的とし,ドライビングシミュレータ―を利用し検証を行った.その結果,自動運転車混在下の渋滞流に対して,走光型視線誘導システムが渋滞緩和効果をもたらす可能性があること,その効果は個人特性によって異なることなどが示された.

  • 寺田 弘明, 柳原 正実, 小根山 裕之
    p. 609-614
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    会議録・要旨集 フリー

    上り坂・サグ部で発生する渋滞対策として、路肩付近に連続的に設置した LED 発光体により光を流す走光型視線誘導システムが導入されている。また、近年の自動運転車開発により,手動運転車と自動運転車の混在状態が数年続くと考えられている中,混在条件の違いによる手動運転車挙動の違いや,それらを踏まえた交通流への影響は十分に把握されていない.そこで本研究は,システム点灯および自動運転車混在状態による交通流全体への影響を明らかにすることを目的として,追従特性の把握と,推定した追従特性を踏まえたミクロ交通シミュレーション実験を行った.その結果,システムの点灯有無と先行車種による追従挙動特性を把握し,シミュレーション実験により,システムが最も効果を発揮する交通状況,自動運転車混在率,システム点灯速度を確認した.

  • 加藤 泰貴, 円山 琢也
    p. 615-621
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    会議録・要旨集 フリー

    自動運転車両の実用化によって交通の安全性や円滑性の向上が期待されている。しかし、従来車との混在や既存公共交通との干渉で、交通流の円滑性の低下も懸念される。そこで本研究では実際の道路ネットワークを対象に、現況の交通流を再現したミクロ交通シミュレーションモデルを構築し、自動運転車両の普及に伴なう従来車との混在を再現し、混在率と運転挙動パラメータの設定値を変えることで、交通流の円滑性についての分析を行った。その結果、自動運転車両の混在率が大きくなるにしたがって、ネットワーク全体では円滑性が向上することが分かった。車種別では、バスは混在率が半分程度の時に円滑性が最も向上し、路面電車は混在率が大きくなるにしたがって円滑性が低下することが示された。

  • 中垣 弦一郎, 田代 むつみ, 三輪 富生, 森川 高行
    p. 623-630
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,全て車両が速度,位置,ルートを共有できる自動運転のコネクティッドカーであることを想定し,右折レーンを活用した協調制御方法の提案とそのシミュレーション実験を行った.提案した協調制御方法では,コンフリクト関係にない車両は同時に交差点に進入することが可能であり,これらの車両で構成される車両群を“世代”と呼ぶ.また,交差点流入タイミングが異なることに対応し,1 台の車両が交差点に進入するたびに世代を更新する,さらに,右折レーンから直進することも可能とした.交通流の右左折率を変化させてシミュレーション実験を行った結果,世代の更新を行い右折レーンから直進可能な条件では,信号制御と同等以上の効率性が示された.また,右左折率が増加するほど,効率性が高まる傾向も示された.

  • 飯田 克弘, 藤本 怜央
    p. 631-636
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    会議録・要旨集 フリー

    現在,自動運転の実現に向けた車両の開発・普及状況を踏まえ,道路からの支援について検討が進められつつある.本研究は,走行実験データを分析することで,車線区画線の状態や全天日射量が車線逸脱警報システムの検知性能に及ぼす影響を把握し,車線区画線の管理目安策定に向けた検知性能低下条件の定量化を試みた.劣化状態を疑似的に再現した車線区画線を設置した試験走路で走行実験を行い,車線区画線の検知可否および,車線区画線と路面の輝度,全天日射量を測定した.分析結果から,車線区画線と路面の輝度差と全天日射量は検知性能に及ぼす要因であり,車線区画線の剥離の進行によっても検知性能が低下することが示唆された.

  • 和田 駿一, 高橋 翔, 萩原 亨
    p. 637-643
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    会議録・要旨集 フリー

    ドライバが不在化する自動運転車が普及すると,歩行者は車の行動意図を読み取りにくくなることが懸念される.本研究では,無信号横断歩道において歩行者に接近車の意図を伝える情報提示の効果を検証することを試みた.情報提示として,歩行者に横断を促す「アイコン」,減速を表す「フロントブレーキランプ」,双方向のコミュニケーションを考慮した「視線に応じたアイコン」を比較した.Unity を用いて仮想現実(VR)内の接近車に情報を表示させた.VR を用いて,14 名の実験参加者による実験を実施し,情報提示条件別に接近車の減速認知と横断判断を評価した.フロントブレーキランプを表示することで接近車の減速認知時間が早まった.視線に応じたアイコンでは,フロントブレーキランプと併用することに横断判断が早まった.

  • 田端 佑多, 内田 敬
    p. 645-650
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    会議録・要旨集 フリー

    自動運転車(AV)の普及が近づき,歩行者との交錯問題が予想される.AV が社会や歩行者に受容されるためには AV の技術的向上だけではなく,AV の存在や挙動が歩行者により分かりやすく伝わることが必要である.そこで,本研究では機械とその周辺の人々の間で情報をやり取りする eHMI(external Human Machine Interface)に着目し,歩行者が安心して移動することができる eHMI,歩行者にとって最適な eHMI を「AV と HDV を識別できる eHMI」,「アイコンタクトやジェスチャーに代わる eHMI」の 2 つとして設定した.そして歩行者にとって最適な eHMI 検討のための仮想空間を Unity 上に構築し,構築した仮想空間が仮想空間実験に耐えうるものかを確認するために仮想空間実験を行った.最適な eHMI を検討する第一歩として実験から横断開始時刻,横断判断割合を取得し,アンケートから各 eHMI の印象評価を得た.

  • 田部井 優也, 小早川 悟
    p. 651-656
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は、道路交通法で義務付けられている一時停止の遵守率の低さに着目し、その実態を明らかにするとともに、法律遵守による走行が想定される自動運転車が普及し、一時停止率が向上した場合の道路交通流への影響についてミクロ交通流シミュレータを用いて検討した。その結果、現状では多くの出入口で一時停止率は 1%程度とほとんど守られていない実態が明らかになった。また自動運転車の普及を考慮したミクロ交通流シミュレーションを行った結果、自動運転車が普及し、一時停止率が向上するほど、直進車両の遅れ時間が増加することを明らかにした。また一時停止だけでなく、歩行者交通量との関係によっては、遅れ時間が増加することが明らかになり、交通アセスメントにおいて駐車場出入口を事前の検討に含める必要性を示した。

  • 高島 優大, 大森 宣暁, 長田 哲平, 土橋 喜人
    p. 657-662
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    会議録・要旨集 フリー

    外出手段を自動車に依存した我が国の地方都市において、公共交通の利便性向上のためにも、交通結節点における円滑な交通流と乗り換え利便性向上は都市交通における重要な課題である。本研究は、JR 宇都宮駅西口バスターミナルをケーススタディとして、個々の車両の動きを再現するミクロ交通流シミュレーションと、乗り換え利便性を定量化することのできる等価時間係数を用いた一般化時間の算出によって、バスターミナルの車両交通流改善と、鉄道とバスの乗り換え利便性向上に資する代替案の評価を行うことを目的とする。歩行者動線、車両動線、上下移動施設を改善する複数の代替案を設定し、シミュレーション分析を行った結果、車両交通流の改善および乗り換え時の一般化時間減少の効果を定量的に評価することができた。

  • 杉本 げん, 梶田 佳孝, 川畑 光輝, 清水 直弥
    p. 663-666
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は、駅前広場の車両交通処理機能の円滑性や安全性を高めるため、主要駅の駅前広場のロータリー内におけるタクシー・一般車などの車両の移動実態を、LiDAR センサによる観測調査で実施し、これらの車両の混雑状況を分析することを目的としている。その結果として、流入台数は平日の朝ラッシュ時間帯が多かったが、新型コロナ感染症発生以前に比べて、台数は少ない傾向にあった。タクシー・一般車の乗降場では、ある 1 台が乗降で時間を取られると、信号サイクルの影響で後続が先頭車両の後ろに続くことで滞留の傾向がみられた。滞留発生率では、平日、休日ともに夕方が朝の約 2 倍滞留が発生しやすい。流入台数が少なくても、滞留時間が長い時間帯があった。

  • 桝本 太門, 大沢 昌玄
    p. 667-672
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/10
    会議録・要旨集 フリー

    スポーツスタジアムはイベント時には,数千人から数万人を収容する大規模な建築物である.現在新たなスタジアムの建設及びリニューアル工事が進められているが,スタジアムの駐車場の整備方針,実態は明らかとなっていない.イベント開催頻度を踏まえ,他の施設の駐車場とシェアリングし駐車場の有効活用を図ることも有用である.そこで本研究では,スタジアムにおける駐車場整備台数を網羅的に把握し,設置台数の実態を明らかにすることを目的とする.そして今後のスタジアムの駐車場整備の最適化の一助とする.その結果,対象 128 ヶ所の平均駐車台数は 922 台であり,多くの駐車場が整備されていたが,スタジアム収容人数との関係を把握したところに収容人数に相当する駐車台数は整備されていなく,また収容人数と駐車台数には関係性を見出せなかった.

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