軟鋼熔接部と鋲接部との硫酸による腐蝕性を比較するに, 重量の減少割合は鋲接に比し熔接の方が幾分多いが, 鋲接部は漏洩に對して極めて敏感なる欠點を有する上, 接手強度の低下する割合も鋲接の方が著しい.即ち硫酸容器, 貯槽等としての熔接は鋲接に比し遙に優れてゐるといふことが出來る.
次に熔接部の腐蝕状態の特徴は大體3通りに分けて考へられる.即ち熔着金屬の電氣化學的腐蝕, 熔接應力による母材部の腐蝕及び組織變化による母材部の腐蝕である.又ガス切斷部の腐蝕に於ては熔着金屬の腐蝕を除きたる他の2つに就て考ふべきである.
尚ほ熔着部鑄造組織の如何, 熔接電流, 熔着部の大さ, 表面状況等も熔接部腐蝕に關係を有して居り, 熔接の計畫, 施行に際して夫々適當なる考慮を要する.
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