軟鋼の裸電極棒を使用した電弧熔接と,鋼以外の銅,銀,アルミニウム若しくはニッケルの裸棒を便用した場合の電弧熔接とに於ては,電極漆端並に母材の熔融部の運動は全く相異なる.即ち鋼の場合には熔融部の運動は活撥にして,盛に棒と母材とは接觸して電弧と短絡とが交互するが,鋼以外の金屬の場合には斯の如き電弧中に短絡が交互して生するが如きことは起らす,電弧は發生しつゞけるか或は一旦短絡が生すれば永久短絡となり電弧は再生しない(第4圖).之は鋼の場合には熔融部内部に瓦斯或は蒸氣が大量に生じ,爲に外形が膨脹して極と母材との接觸が起り,接觸によつて收縮を生じて電弧再生が生するが,鋼以外の金屬の場合には斯の如き瓦斯或は蒸氣の生成が殆どない爲に,熔融部の運動は盛とならない爲であると説明せられる.本文は斯の如き電弧下に於ける熔融部の運動に關する鋼め特異性をオシログラム並に高速度寫眞によつて麿驗的に觀察したる結果を示し,之に關する簡單な説明を記述するものである.
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