鎔接棒は鎔接機及鎔接工の優劣と共に金屬電弧鎔接作業の良否な左右する決定的要素である。而も鎔接棒は之に塗布する被覆劑により直接影響を受ける事は極めて大である。本研究は被覆劑として使用せらるる各種の化合物が先づ電弧現象に如何なる影響を及ぼすかを、一般的な約30種のものの各々に就き研究しれもので其の結果
(1) 被覆劑として金屬酸化物を使用する場合は其の金屬の屬する週期律の各族毎に是等の金屬の原子量と電弧電壓及鎔解時間との間に一定の關係がある。
(2) 如何なる被覆劑を使用するとも共の被覆劑の種類に無關係に電弧電壓と鎔解時間との間には一定の關係がある。
(3) 被覆劑の種類に依つては鎔接棒を陰極側に接續した場合と陽極側に接續した時とでは著しく電弧電壓と鎔解時間の値に差違が生ずる。(4) 化學成分及物理的性質の異る鎔接棒は夫々異る電弧電壓と鎔解時間とを有するが、是に一定の被覆劑な塗布すると是等の値は全く其の被覆劑特有の値を取る様になる。
等の事實を知るを得たが、如何なる被覆劑も之を單獨に使用する時は夫々其の場合の極性に應じ常に一定の電弧電壓を示し、此の値は芯線の種類、電弧電流の大小或は被覆の厚さ等に依り何等の影響な受けない該被覆劑特有のもので、鎔接電弧の特性な左右する最も重要な因子であると言ふ事實は特に注目すべき實驗結果である。
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