現在の電弧熔接に於て比較的廣範圍に使用せられつゝある軟鋼用被覆電極棒の一種を以て製作した全熔着鐡を探りて最初に其の化學成分と顯微鏡組織に就て檢討を行ひ同時に多暦熔着鐵の結晶粒が微細化せらるゝ理由を説明し、次で100℃,200℃,300℃,900℃,500℃及び600℃並に0℃,-10℃,-20℃,-30℃,-40℃の各温度に於て實施した、抗張力及び衝撃抵抗に對する實驗の結果を提示し、別に高温度に於ける軟鋼板の壓延方向と衝撃値との關係を説述したる後熔着鐵の常温より600℃及び0℃より-70℃に至る間の熱膨脹及び收縮係數を測定して其の途中に於ける變化の有無を確むると共に100℃,200℃,300℃,400℃,500℃及び600℃の各温度から水中に燒入して其の鍍及び衝撃抵抗を測定することに依つて熔着中に存在する窒素の影響を吟味し更に熔着せる儘並びに600℃及び850℃に於て燒鈍せる試驗片を夫々600℃から水中に燒入した場合に惹起せらる玉時効現象に就てマの考察を試み更に高温度度に於ける鍛錬温度と機械的性質との關係を明かにし次で低温度に於ける收縮量を測定して其の數値を基礎とする比重の計算式を與へ最後に高度の低温度に於ける軟鋼及熔着鐵の硬度の變化に就て研究した報告である。
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