神経眼科
Online ISSN : 2188-2002
Print ISSN : 0289-7024
ISSN-L : 0289-7024
32 巻, 4 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
特集
  • 津田 浩昌
    2015 年 32 巻 4 号 p. 341
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル 認証あり
  • 足立 拓也
    2015 年 32 巻 4 号 p. 342-348
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル 認証あり
    感染症には様々な病原体があり,それぞれに特有の症候がある.病歴聴取と身体診察によって感染症の存在を疑い,検査で病原体を確定するのが診断の基本である.急性の発熱に加えて,咳,下痢,排尿痛といった臓器特異的な随伴症状があれば,感染症を疑うことは容易であるが,一見分かりにくい症例であっても,神経眼科的所見を注意深く観察することによって,診断の手がかりとなることがある.感染病巣が頭蓋内にある場合,脳膿瘍,脳炎,髄膜炎といった病態にもとづいて異なる臨床像を呈し,局在病変があれば部位特異的な神経眼科所見を示す.加えて,必ずしも中枢神経系感染症でなくても,病原体によっては特徴的な神経眼科所見を示す疾患もあり,注意深い診察が診断の鍵となる.
  • 小野 眞史
    2015 年 32 巻 4 号 p. 349-357
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル 認証あり
    IT機器使用によるVDT作業の増加に伴い,我々は通常診療において非常に頻繁に頭痛とドライアイ双方を認める患者を診察する機会に遭遇する.しかしながらこの双方のスペシャリストおよび報告は極めて少ない.本稿では過去の報告をもとに「頭痛とドライアイは関係があるのか?」について考察する.結論としては「相関関係はあるが,因果関係は極めて部分的」というものである.両疾患の発症は主にVDT症候群による眼精疲労が共通の原因であり,結果として相関関係を生じると考えられ,これは直接的な因果関係ではないと考えられる.しかしながら近年これらの自覚症状の研究において,充分に吟味され,選別された対象群を用いた条件下での詳細な検討および脳機能イメージングを用いた直接的手法よる報告が行われている.最近ではコンタクトレンズ装用により発症する三叉神経系を介した皮膚異痛症と片頭痛の直接的な研究などが報告されており,極めて部分的であるが因果関係の示される病態が明らかになってきた.
  • 小泉 周
    2015 年 32 巻 4 号 p. 358-365
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル 認証あり
    マウスやウサギ,霊長類などの哺乳類の網膜には,形態学的・機能的に多様な網膜神経節細胞があることがわかってきた.形態学的には,樹状突起の形態や層構造によって少なくとも11種類の網膜神経節細胞があることが知られている.また,機能的にも,異なる種類の網膜神経節細胞が報告されており,たとえば,動きを検出する方向選択性神経節細胞やBlue-ON/Yellow-OFF神経節細胞,ローカルエッジディテクター,内因性光感受性網膜メラノプシン神経節細胞などが知られている.本稿では,これら網膜神経節細胞の形態学的・機能的多様性を概説するとともに,その視覚形成や病態生理へのかかわりについて議論する.
  • 津田 浩昌
    2015 年 32 巻 4 号 p. 366-370
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル 認証あり
    Body lateropulsion(BL)とは,中枢神経系の障害により,筋力が保たれているにも関わらず体幹が不随意に一側に傾いてしまう症候である.BLの責任病巣には,延髄外側,橋,中脳,小脳,上小脳脚・下小脳脚が報告されている.延髄外側病変では,前庭神経核,外側前庭脊髄路,背側脊髄小脳路がBLの責任病巣になりうる.前庭神経核の病変では,通常はBLの他に眼振,回転性眩暈,ocular tilt reaction,ocular lateropulsionなどの症状がみられる.また,BLにhemiataxiaを伴えば背側脊髄小脳路,伴わなければ外側前庭脊髄路が責任病巣と推定されるという仮説がある.しかし,この仮説に合致しない,BLを呈した延髄外側病変の症例も報告されている.橋病変では,ascending graviceptive pathway(GP)がBLの責任病巣と考えられている.GPは延髄の前庭神経核を起点とし,対側のカハール間質核に至るが,その正確な走行は未解明である.既報告からは,GPは橋下部の前庭神経核レベルで正中交叉した後に,橋下部・中部では内側毛帯の背側を走行し,橋上部においては腹側三叉神経視床路と内側縦束の間を走行すると推定される.中脳病変によるBLの責任病巣としては,赤核,ascending vestibulothalamic pathway,cerebellothalamic pathway,GPが挙げられている.小脳病変では,小脳虫部がBLに関与している可能性が高い.一側の小脳虫部nodulus病変では対側へのBL,一側culmenの病変では回転性眩暈を伴わない同側へのBLが起きるという既報告がある.また,一側の上小脳脚と下小脳脚に限局した病変により,同側へのisolated BLを呈した症例が報告されている.急性発症のBLでは,随伴症状が責任病巣の推定に役立つ.しかし,isolated BLが延髄外側,橋,中脳,小脳,上小脳脚・下小脳脚のいずれの病変でも起こりうることに注意を要する.
原著
  • 大草 直樹, 木村 亜紀子, 増田 明子, 大北 陽一, 三村 治
    2015 年 32 巻 4 号 p. 371-376
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル 認証あり
    スペクトラルドメインOCT(SD-OCT)で黄斑病変が明らかになった先天眼振5例を報告する.眼振は3例が振り子様眼振で,2例が律動眼振でいずれも静止位を認めるものはなく,両眼矯正視力は5中例4例が0.3,1例が0.5であった.5例中4例は光干渉断層計(OCT)で中心窩の生理的陥凹が認められない黄斑低形成を呈し,1例はellipsoid zoneの消失を認め錐体ジストロフィと診断した.手術加療を行った3例中16歳の症例で3段階の視力改善が得られ,8歳の症例で頭位異常の改善を得ることができた.視力不良な先天眼振患者には黄斑疾患が潜んでいることがあり,そのような症例にはOCT検査を積極的に行うべきと考えた.また保存的,外科的加療も積極的に行うべきであると考えた.
臨床報告
  • 蒲生 真里, 原 直人, 君島 真純, 鈴木 裕美, 向野 和雄
    2015 年 32 巻 4 号 p. 377-383
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル 認証あり
    症例は22歳男性.右頭頂後頭葉領域の脳動静脈奇形による脳出血により,開頭手術直後から複視を自覚し外斜視に気づき,発症2年後に近医より当院眼科へ斜視手術目的で紹介された.第一眼位は右外斜視.動的視野検査で左下1/4半盲を認め,眼球運動は全方向に制限なく,近見反応は輻湊不全がみられ,他覚的調節検査にて特に右眼の調節の減弱を認めた.対光反応は左右眼の差なく正常であった.右外直筋後転術8mmを施行した後,輻湊が可能となり眼位は正位を保つようになった.頭頂後頭葉領域は近見反応にとり重要な領域であり,輻湊不全型外斜視発症の重要な責任領域の可能性があると考えられた.
話題
入門シリーズ107
印象記
原典で読む神経眼科シリーズ
海外文献
Asian Section
エラータ
feedback
Top