【緒言】Leber遺伝性視神経症(LHON)は若年男性好発の両眼性視神経症である.今回,中心視野障害を有する正常眼圧緑内障にLHONを合併し,視神経炎との鑑別に苦慮した一例を報告する.
【症例】40歳代前半の男性,前医で両眼性の中心視野障害(5度以内)を認める正常眼圧緑内障にて加療中だった.右眼の急激な視力低下を認め当院紹介.初診時視力は右(0.07)左(1.2),右眼の相対的瞳孔求心路障害陽性であり右眼の軽度眼窩部痛を有した.右視神経乳頭上方の発赤腫脹を認め,動的視野検査にて上方視野欠損及び中心暗点を認めた.頭部造影MRIで右眼視神経に淡い造影効果を呈した.ステロイドパルス療法が施行されたが視力,眼底に変化を認めなかった.抗アクアポリン4抗体・抗MOG抗体陰性であった.採血検査にてm.11778G>Aの変異が検出された.1年後に左眼の頭部MRIで造影効果を伴わない視力低下を認め,LHONと考えられた.
【考察及び結論】進行した緑内障に合併し,MRI所見から視神経炎との鑑別が困難であったLHON症例を経験した.MRIで造影効果を認め視神経炎が疑われる場合にもLHONの可能性も念頭に置くべきと考えられた.
抄録全体を表示