1986-1987年エルニーニョ時水沢における鉛直線変化は西に1ms傾き,江刺地球潮汐観測施設の傾斜変化の東西成分は50masの東高を示している.これらの説明を試みる.インドー中緯度太平洋結合および1日の長さ(LOD)の増加は大気角運動量(AAM)を風応力を通して,固体地球に海洋底圧力増加を通して伝達する.海洋底圧力による荷重が小さいのでエルニーニョに伴う傾斜変化を海洋潮汐模型で説明することはできない.東北日本島弧および太平洋プレートは,それぞれうすい弾性プレートおよび有限の厚さの弾性プレートとする.太平洋プレートは表面に一様な圧力を受け曲げを生ずる.表面側は底部に対し伸張し,島弧境界において曲げモーメントを生ずる.太平洋プレートに接する島弧プレートは境界において曲げモーメントおよび等価合せん断応力が連続であると仮定する.島弧プレートは密度の大きい下層に沈降すると密度差に比例する浮力および太平洋プレートから一様な圧縮応力を受ける.太平洋プレート表面に作用する圧力を25Pa,その中心位置を島弧境界から500kmとし,島弧を東西に伸びる棒として曲げを求める.島弧の長さを400kmおよび300km,厚さを30kmとすると,水沢における鉛直線変化の西方への傾きは18μs,25μs,また江刺におけるE-upの傾斜は30mas ,40masとなる.島弧プレートの厚さがうすくなれば曲げが大きくなり観測値と一致しない.
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