電子写真学会誌
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31 巻, 1 号
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  • 李 相南, 星野 勝義, 小門 宏
    1992 年 31 巻 1 号 p. 2-10
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
    水性コーティング法によりε型銅フタロシアニンの薄膜を作製し,積層型感光体の電荷発生層(CGL)に応用した.電荷輸送層(CTL)としてはポリビニルカルバゾール膜を用いた.水性コーティング法は,顔料粒子を分散した界面活性剤水溶液を電解液としてアルミニウム基板上に顔料薄膜を堆積させる新規製膜法である.そこでCGLの材料であるε型銅フタロシアニン顔料の粒径に関する知見を得るために,透過型電子顕微鏡観察,遠心沈降法および走査型電子顕微鏡観察により電解液中に存在するおよびCGLを構成するε型銅フタロシアニンの粒径測定を行った.その結果,電解液中に分散されたε型銅フタロシアニンの平均粒径としては0.173 μm(重量平均径),CGLは0.4 ~ 1 μmを中心とするε型銅フタロシアニン粒子から構成されていることがわかった.また得られたCGL膜の拡散反射スペクトルおよびX線回折測定を行った結果,膜の堆積過程すなわち電解析出過程においては結晶形が転移しないものの,電解温度を上げると膜形態がより秩序立った構造になることが示唆された.次に上述のCGL層にポリビニルカルバゾール膜をスピンコートし,積層型感光体を作製した.電子写真法によって測定された感光体の感度はCGLの膜厚(すなわちCGL堆積時の通電電気量)に大きく依存し,膜厚約1000 Å で最高感度になることがわかった.これはポリマーバインダー法を用いて作製された同じ構成の積層型感光体の挙動(感度はCGL膜厚とともに増大)とは大きく異なることがわかった.
  • 詫間 康夫
    1992 年 31 巻 1 号 p. 11-15
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
    高速電子写真プロセスにおいて感光体ドラムから用紙を安定に剥離することは,ACコロナを用いた除電器の性能に支配される.本報告は2本のワイヤを持つ除電器の性能に及ぼすコロトロンの形状およびコロトロンワイヤと電荷供給面との間の設定距離の効果を検討したものである.その結果,ワイヤ問に中間シールドが有り,ワイヤと電荷供給面との問の距離が小さい場合に,プレートに供給される負電荷量が増加することを明らかにした.更にこれより除電器の性能を安定化する方法を示した.
  • — 有機チタンおよびジルコニウム化合物皮膜による電荷注入阻止 —
    八木 茂
    1992 年 31 巻 1 号 p. 16-25
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
    半導電性の表面保護層をSeTeやAs2Se3などの電子写真感光体の上に設けた時に起こる表面層からの正電荷の注入を防止するための電荷注入阻止層の材料としてチタンとジルコニウムのアルコキシドとアセチルアセトン化合物から形成される皮膜を導入し,その皮膜形成過程と電荷注入阻止能・機構について調べた.これらの有機金属化合物から得られる皮膜はTiO2やZrO2と似た構造を持ち均一で耐溶剤性・接着性に優れている.1,1'-Dimethylferroceneを分子分散したPolyarylateあるいはSnO2/Sb2O3透明導電粉を分散したPolyacrylurethane樹脂表面層をSe-Te-Se感光体とAs2Se3感光体の上に形成した時に1/10以下に低下したコントラスト電位(暗時の表面電位-残留電位)は 0.2 μmのこれらの皮膜を挿入することによって表面層の無い場合と同じかそれ以上に増加した.これらの皮膜に20 - 30 %のシランカップリング剤を添加した場合には高湿度環境でも解像度低下が無く,これによって半導電性の表面保護層を設けた電子写真感光体を実用化した.電荷注入阻止層の満たすべき条件として界面に電荷を蓄積しないことと抵抗の電場依存性が小さいことが必要であることをモデル解析により明らかにした.
  • 宮脇 勝明, 武田 有介, 森 隆志, 柳田 香
    1992 年 31 巻 1 号 p. 26-31
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
    昇華型通電転写記録方式によって高速・高品位記録を実現した.この方式の主要素は通電ヘッドと通電インクシートである.その最適スペックを求めるため,通電ヘッドについては,高速記録における電極面積と濃度の関係を数値シミュレーションにより検討し,その結果に基づいて製作した.一方,通電インクシートは抵抗層,導電層,インク層の3層構造からなるが,そのうち抵抗層の抵抗値を変えて4種類製作した.濃度を記録エネルギーと印加パネル幅についての検討を行うとともに,記録速度と階調性についての実験を試みた.その結果,最高濃度1.8を1.2msの1ライン時間で,光沢を低下させることなく優れた階調性を示す画像が得られることがわかった.
  • 服部 好弘, 濱道 優, 児玉 秀明
    1992 年 31 巻 1 号 p. 32-39
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
    我々は,レーザ強度変調露光方式を適用した高画質な電子写真フルカラー作像プロセスを構築した.この方式は,高い解像度となめらかな階調性を合わせ持つという長所がある反面,画質の安定性に対しては不利であると言われてきた.我々は,レーザ強度変調露光下における潜像電位分布の解析を行い,現像トナー量を支配する「実効現像電位」モデルを導き出した.実効現像電位モデルを画像安定化システムに適用することによって,強度変調露光下において安定した画像再現が可能となった.
  • — 画像ボケの計算機シミュレーションとその材料開発への応用 —
    佐藤 徹哉, 久田 均, 信太 三吉
    1992 年 31 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
    ウレタン/シリコーン系材料を用いて正帯電有機感光体用保護層を形成し,保護層の高温高湿環境におけるボケ・流れなどの画像特性に与える影響を,保護層の抵抗率の測定と画像ボケの計算機シミュレーションの結果を基に検討した.保護層の抵抗は温湿度環境に大きく依存し,特に連続画像出し試験後の高温高湿環境での抵抗低下が画像ボケを引き起こす.保護層の抵抗測定から求めた正常画像が得られるために必要な表面抵抗は1×1015&Omega/□)であり,画像ボケの計算機シミュレーションから求めた値とよ一致する.本構成の感光体の表面抵抗は保護層の抵抗で決っているものと考えられる.また,連続画像出し試験後の保護層の抵抗低下はCl-,SO42-などの紙成分イオンのコロイダルシリカ表面への吸着によるものと考えられる.
  • 上原 良幸, 三川 禮, 堀 節夫, 栄 正彦, 渡辺 剛史, Masaaki YUKAWA, 楳田 正
    1992 年 31 巻 1 号 p. 46-52
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
    非磁性一成分非接触現像におけるトナー粒子の飛翔シミュレーションについて検討した.電界強度については,現像スリーブに印加した交直両バイアス,ドラムに与えた表面電位と共に刻々と位置の変わる飛翔中のトナー粒子の電荷による電位についてそれぞれ考慮し,電界を位置の関数として運動方程式を計算する.特に飛翔中の多数のトナー電荷による電位は個々のトナーの電位を加算した包絡線を階段関数として近似することにより計算を可能とした.本論文では非磁性一成分非接触現像における以上の電界強度の計算方法並びにシミュレーションと実験結果との比較について報告する.
  • 明珍 寿史, 井上 芳典, 奥野 仁樹
    1992 年 31 巻 1 号 p. 53-59
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
    電子写真の要素技術であるコロナチャージャには,オゾンの感光体に対する悪影響の低減化が要求されている.悪影響の低減化には,感光体に吹き付けるオゾン風を,できる限り抑えなければならない.しかし,感光体表面電位を確保しながら,オゾンを低減することは困難である.必要技術は,第1がコロナチャージャから発生するオゾンの低減化技術,第2がチャージャから発生したオゾン風の制御技術である.
    そこで,コロナイオン流およびオゾン風の可視化を実現する解析ソフト,およびコロナチャージャの設計システムを,有限要素法を基礎として開発した.この解析ソフトと設計システムを用いることにより,感光体表面電位を確保しながら,オゾン発生量およびオゾン風の感光体に対する悪影響を低減し,画像品質を向上させた.
  • 金子 明成
    1992 年 31 巻 1 号 p. 60-68
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
    熱溶融転写記録における熱拡散シミュレーションにおいて,ワックス・インクの融解熱計算を3種類の方法で行った.このうち2種類は既存の方法であり,差分法を用い,古くから使用されている一般的な方法とG. Comini, K. Morganらによる熱容量の代わりにエンタルピーを導入した有限要素法である.第3の方法は今回初めて報告するが,有限要素法のマトリックス計算の中で仮想的熱流を導入し,融解熱計算を処理していく方法である.計算結果においては3方法に大きな相違はなく,特に第3の新しい計算法はCominiらの結果とほぼ同じ結果を与え,かつ計算時間はかなり短縮されている.実験データと計算との比較も行い,サーマルヘッド発熱素子と同じ大きさの記録ドット形成時の印加電圧とパルス幅の関係において,シミュレーションは実験と同様な変化を示し,インク/記録紙界面に空気層を入れると実験との一致が良いことが示された.
  • 小口 寿彦
    1992 年 31 巻 1 号 p. 70-76
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
  • 川角 浩一
    1992 年 31 巻 1 号 p. 77-81
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
  • 義村 尚光
    1992 年 31 巻 1 号 p. 82-86
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
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