国際ビジネス研究
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12 巻 , 1 号
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研究論文
  • ―クールジャパンの先鞭となった『Japan in Motion』の事例分析―
    渡辺 圭史
    2020 年 12 巻 1 号 p. 1-16
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/23
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は、経営資源が限られた地方放送局が海外新規事業を模索する経営実践の中で、放送事業の国際化の障壁として指摘されてきた文化的差異と制度的差異を克服したプロセスを解明することである。事例分析の対象として、フジテレビ系列の地上波放送局テレビ新広島(TSS)グループが、2009 年にフランスにて放送を開始した『Japan in Motion』を取り上げる。これは日本のクールジャパン戦略の先鞭とされている事例である。放送事業の国際化の研究において、メディア研究が着目してきた文化的差異と、国際経営研究が着目してきた制度的差異を統合し、放送事業の国際化の障害となると論じたのがゲマワットである(Ghemawat, 2007)。彼が提示した「CAGE Distance Framework」モデルでは、国家間の差異が文化的、制度的/政治的、地理的、経済的という4種類の「距離(distance)」として分類されており、企業はそれぞれの距離を事前に分析し、それらをコントロールする国際経営戦略を実践する。これに対して、本稿では『Japan in Motion』が文化的距離と制度的距離を克服したプロセスを分析し、そのプロセスが「CAGE Distance Framework」モデルが提示するような分析的・計画的な戦略実践とは異なるものであったことを理論的に整理する。

  • ―ベトナムにおける8つ日系子会社の事例分析から―
    翁 娜娜
    2020 年 12 巻 1 号 p. 17-42
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/23
    ジャーナル フリー

    本稿は、Pudelko and Harzing(2008)による国際人事管理の「ゴールデントライアングル ( golden triangle )」に基づいて、多国籍企業の子会社HRM 施策の「ハイブリッド化」について探索する。理論的には、本稿ではハイブリッド化されたHRM 施策の採用活動と選考プロセス (Recruitment & Selection practices) を4つのタイプ:タイプ1(J + V)、タイプ2(J + U)、タイプ3(V + U)およびタイプ4(J + V + U)に分けた。さらに、ベトナムにおける8つの日系子会社に対して、半構造化インタビューでデータを収集し組み込んだ。その上で、本稿では、日系子会社間に人的資源管理施策レベルのハイブリダイゼーションが広く存在しているということを示唆した。さらに、ハイブリッド型R & S 施策と子会社の業績の関係について検討した。最後に、ハイブリッド型HRM 施策の影響と今後の方向性について説明した。

研究ノート
  • 竹内 竜介, 陰山 孔貴
    2020 年 12 巻 1 号 p. 43-54
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/23
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は、外資系企業の参入を起点とした食品市場(具体的には、シリアル食品市場)の生成と発展の歴史を解き明かすことである。

    これまでの先行研究では、外資系企業の参入後すぐに市場が発展した事例が取り扱われている。もとより、外資系企業のもたらしたすべての新製品・市場がすぐに発展を遂げたわけではない。外資系企業の参入とその後の成果は多様である。そこで本稿は、外資系食品企業の参入を起点として導入された製品を対象に、市場の生成後その発展に時間がかかった事例についての歴史を明らかにすることを課題とする。市場の発展に時間がかかった事例を取りあげ、その歴史を丹念に追うことによって、外資系企業の参入を契機として生成した市場の発展に関する歴史像を描き出すことができると考える。

    本稿では、シリアル食品市場の生成と発展の歴史を「製品カテゴリーの創造」という視点から考察する。その結果、シリアル食品に対する製品カテゴリーの定義づけが変わり、同製品は何度も新たな製品カテゴリーとして創造されてきたという経緯が明らかになった。具体的には、以下のような変遷をたどった。シリアル食品は、日本市場に本格的に登場した1960 年代は「日本の従来の朝食とは異なる新しい朝食」という製品カテゴリーの創造が目指されたものの、なかなかうまくいかず、紆余曲折があり「おやつ」の一製品カテゴリーとして再定義された。その後、「朝食の主食」という製品カテゴリーに転じることを目指し、長い年月をかけその認知度を高めたが、「おやつ」としての扱いが主であり、市場に大きな変化は生じなかった。多くの企業努力もあり、2010 年代に入り、シリアル食品は「健康価値の高い朝食の食材」という製品カテゴリーに再定義された。この結果、日本の食文化や時代のニーズとも適合し、ようやく市場は大きな発展を遂げることに成功した。

    本稿で明らかにされた事項は、次の二点である。第一、外資系企業と日本企業が相互作用しながら、新たに導入したシリアル食品に関する製品カテゴリーをつくりあげ、そしてその製品カテゴリーの再定義を幾度も試みていった。第二、試行錯誤の末、現地の食文化に適合し、かつ魅力的な製品カテゴリーとして再定義されたことによって、ようやくシリアル食品市場の発展がみられた。

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